題名 : 壊れた時間の先に・・・

第10話 「?曜日、午?3時27分」



洞窟の最深部に向けて全速力で駆けていく。


迫る闇が、視界により狭く細く、飛び込んでは過ぎていく。





昨日からの戦いによる身体の負担・・・

奥に控えているかも知れないドラゴンのプレッシャー。

テリィの安否・・・


私の鼓動は激しくなるばかりで湿気の多い洞窟に汗が瀧の様に流れていく・・・。

もっと速く走りたいのに・・・

もっと早く駆けつけたいのに・・・

駆けた後に飛び散る汗が地面に落ちるまでの「時間」がまるで遅い・・・。



この先にテリィが居る?


この先にドラゴンが居る?



この先に待っているのは果たして何なのか・・・






今はまだ分からない・・・




考えれば考える程、私の時間は「遅く」なり、得たい答えに近づけない・・・。



最深部まであと20m・・・なのに「遅い」・・・。



最深部の闇まで数秒で到着できる筈なのに・・・その距離に対して指数関数的に増加した「遅さ」・・・。







今・・・・私の『時間』は・・・・




壊れ始めている・・・・。





hidechi「hでういhくいっばykwby!! でういdんうぇんぅ!?」



マリア「であgふいghるえbjhcvfrふいうぇらふい!!!でういでぃあうぇうh??dwじお!!」




私の後を走る二人が何かを叫んでいる??

聴覚がちゃんと機能しているのか・・・?判断も出来ない程、今の私は吸い込まれていく・・・。


私の意識は二人を無視して・・・違う世界へと旅立つ様に・・・今、向かうべき闇へと向かっていった・・・。



闇まで・・・・後・・・・4m・・・










































・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3m・・・

































































・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2・・・・・・・・・・m・・・






・・・・・・・・・・・・・・1・・・・・・・・m・・・・・・・・












B10「うっ!!!」





ライトアップの光に照らされた40立方メートルぐらいの広大な空間に息を呑む!!!



天井、壁が蒼く、碧く重い光に輝くその空間・・・








その地面一帯に広がる・・・黒い血・・・。

それに混じる様に浮かぶ、たくさんの腐敗した肉片・・・。



巨大な爪に抉られた岩壁。そして、何かで斬られた巨大な岩が無数に散らばり空間を支配する・・・。

斬られた岩の切断面は鏡の様に美しく、私の姿を僅かな光で容易に映し出す・・・。



B10「こ・・・ここで何があったの・・・?ど・・・どうしたらこんな事になるの???」


今まで見た事もない凄惨な光景・・・・。



B10「テ、テリィ!!何処なの!?居るの??居ないの!?返事をして!!!」


ゆっくりと歩きながら、辺りに声を掛ける・・・。


血や腐敗した肉片によって汚染された空気に擦れる声・・・大きな声は出せないけど懸命に呼びかける・・・。





しかし私の声は凄惨な空間に、ただただ虚しく木霊するだけだった・・・。



B10「テ・・・テリィはここには居ない・・・?」



腐敗した巨大な肉片は壁にも飛び散り、へばり付いて異臭を放っている・・・。


時折、重力に負けて落ちていく肉片が・・・・ビチャリ、ビチャリと音を立てる・・・。




その落ちた一つの肉片の影に・・・



B10「!?」



鈍く光る何かを見つけた・・・。






B10「ま・・・まさか・・・まさか・・・?」


肉片の影、隠れる様に地面に落ちている・・・。

濁って輝く鋼鉄色・・・。



見覚えのある「ガントレット」の甲・・・。


忘れるはずもない・・・昔、戦時中に配布された「騎士団専用の装備品」


ビート「う・・・あぁ・・・」




来ていたんだ・・・・・





やっぱり・・・ここに来ていたんだ・・・・




あのガントレットは・・・・・








テリィのものだッ!!!!!







その瞬間!!!!!







B10「!?」





天井から崩れ落ちる巨大な岩!!!

私が今から向かおうと思っていた「肉片の影」に落ちていく・・・!!



B10「くっ!!フェザー・ビート・・・・」



加速の魔法を自身に掛け、「肉片の影」に飛び込めば・・・間に合うかも知れない・・・・!!!








間に合うかも・・・・!!






hidechi「何やってるんだァ!!?ビートォォ〜〜〜〜〜ッ!!!」

B10「ひ、hidechiさん!?」


私の腕は鷲掴みにされ、まるで手錠に束縛されたかの様に「肉片の影」へ向かう事を禁じられる・・・。


私の行動は拒否されて・・・


『!!!!!!!!』

B10「い・・・いやぁ〜〜〜〜〜〜ッ!!!テリィッ!!!テリィが〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!


想いは全て叶うことなく・・・巨大な岩が「ガントレット」に向かって落ちていった・・・。



マリア「ビートさんッ!!大丈夫!?」



てりり「 (;゚Д゚) 」



遅れてやってきたマリアさんとてりりが駆け寄ってくる・・・。



でも・・・



マリア「frhういおえcんはしおhうぇい!?あでぇういhw!!ふぢあう!!」


hidechi「どぇいどぇhじおどあdjうぇいおjどぇいおd!!!!」



刹那に我を失う・・・。

あの一瞬が私の全てだったのに・・・。


あの瞬間に全力を注がなきゃいけなかったのに・・・。


私は確かに・・・「肉片の影」にテリィを見たのよ・・・?


なのに・・た・・・・助け・・・助けられなかった・・・。


ここまで来たのに・・・必死で駆けてきたのに・・・・・


テリィの居る場所に・・・岩が落ちるなんて・・・・


hidechi「・・・!!!・・・・・!!!!!」



hidechiさんが私に大声で何かを言っている・・・。でも・・・



でもッ!!!



B10「なんで止めたりしたんですかッ!!!あそこに・・・あそこにテリィがッ!!!テリィが居たのにッ!!!!」


hidechi「ビ、ビートッ!?」


B10「hidechiさんが止めたからッ!!と、止めたりしたからッ!!!!止めなかったら〜〜〜〜〜ッッ!!!」


そうよ!!!hidechiさんが私を止めなかったらテリィは死なずに・・・過んだかも知れないのに!!!!



なんで・・・なんで余計な事をしたのよ!!!余計な事をッッ!!!




次々に湧き上がる私の中の憤怒が渾身の力でhidechiさんの胸倉を締め付ける・・・。


マリア「止めて!!ビートさんッ!!あなたが向かう先にテリィさんは居なかったわ!!冷静になってッ!!」


hidechi「そ、そうだぞ・・・ビート。確かに何かが落ちているのは見えたが・・・突っ込もうとしたから・・・俺は・・・」


マリア「そうよ!!あなたが向かった先には「ガントレット」しか無かったわ!!私たちの位置からちゃんと確認できたもの!!」

B10「えっ・・・?ガ、ガントレット・・・だけ・・・・?」


マリア「えぇ!!人は居なかったわ!!!だから気を確かに持って!!」


てりり「  (;゚Д゚);。_。)  」



そ、そんな・・・本当に・・・?本当にガントレットだけだったの・・・?わ・・・私は・・・私は・・・なんで・・・


そんなミスを・・・?


hidechi「ビート・・・。い、いつもの様に・・・冷静になれ・・・。」


そうよ・・・いつもならもっと「冷静」な筈なのに・・・?




B10「 !!?? 」



なんで私は・・・?そうよ・・・私はなんで・・・・?



冷静じゃないの・・・?


こんな時だからこそ、冷静で居なければいけないのに・・・なんでこんな状態になっているのよ・・・?


胸に手を置き、暴れる鼓動を押さえつけ、みんなの言葉に我に返る・・・。



そうよ!!私は冷静にこの状況を把握して、速やかにテリィを救出しなければいけないのよ!!





長い悪夢から覚めた様に・・・目を大きく開けた・・・。


でも、私の中の何かが・・・「壊れかけている」・・・。


その進行は止まる事を知らない・・・。


B10「ひ、hidechiさん・・・わ・・・わたし・・・・。」


何を言うでもなく言葉を発した瞬間、私の体外にそれは放出されていった・・・。


体が震える・・・?


涙が零れる・・・??



冷静になろうとすればなろうとする程、私の意志に反して体が言う事を聞いてくれない・・・。

ど、どうしてなの??こ、こんな事・・・今まで一度もなかったのに!?

怖いょ・・・

恐いょ・・・!

こわいょッ・・・!!



マリア「ビ・・・ビートさん・・・。」

hidechi「無理をするな、ビート・・・。」


未知の恐怖に崩れる私の肩を抱き、そっと立ち上がらせてくれる・・・。


な、情けない・・・ここまで来て・・・こんなのって・・・ありえない・・・。



マリア「あ、あれは何ッ!?」



突如、マリアさんが声を上げる!!

マリアさんが指を指した方向に見えるのは・・・


地面に転がる銀の懐中時計だった・・・。

B10「あ、あれはッ!?」

hidechi「と、時計・・・?あのデザインは確か・・・」




てりり「 ・・・(;´Д`) 」








ゆっくりとhidechiさんがそこへと向かってくれるが、











地面に落ちているその時計を見て・・・









ビート「・・・・・・・・」












私の『時間』が止まった・・・






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・














・ ・・・・・・・・・・・・・・・















・・・・・・・・・













『なぁ・・・今日・・・13歳の誕生日だろ?お嬢ちゃん・・・?』




『私の誕生日を覚えてくれているなんて雨でも降りそうね?テリィ・・・。』




『はっはっは・・・そう言うなよ?お嬢ちゃんの為にプレゼントを用意したんだぞ!!?』




『プレゼント・・・?どうせロクでもないものなんでしょう・・・?』




『へへへ・・・結構な値段したんだぞ?見て驚くなよ??』




『えっ!?これって・・・?時計じゃない!?それもミースモデル最新の「魔石駆動式」??』




『そう!!どれだけ「時」を重ねても1秒の狂いもなく時を刻んでくれる優れものさ・・・。』




『でも・・・?なんで「同じものが二つ」もあるの??』




『それは勿論!!一つは俺が持つのさ・・・。』








『・・・・・・・・・・・』












『・・・・・・・・・??』

















『・・・・・・・・えーーーーー・・・・・』




『な、なんだよ!!その態度はッ!!』




『ふふふ・・・うそ、ウソッ!!ありがとう・・・テリィ。この時計、大事にするわ・・・。』




『あぁ・・・大事に使ってくれ』













『これから、この二つの時計は・・・・』
















『同じ『時間』を刻み続けるんだからな・・・。』





















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




hidechi「テリィの・・・だ・・・」



力なく、hidechiさんが時計を拾い上げる・・・。閉まっていた蓋は少し傷が付き、開きにくくなっているが・・・


グッと力を込めると、カチッと音を鳴らせて開いてくれた・・・。





そこに有ったのは・・・時刻「03時27分」を刻む時計の針と、そして・・・



hidechi「・・・・・・」


マリア「こ、この写真って・・・」



てりり「 (;´Д`) 」


B10「・・・・・テリィ・・・」

蓋の裏に・・・綺麗に貼り付けられた・・・・『満面の笑顔で手を向ける私』の写真だった・・・。




hidechi「テリィ・・・お前・・・ここで・・・・?本当に此所で逝っちまったのかよ??なぁ・・・テリィ・・・?」

今まで我慢していたhidechiさんの目に大粒の涙が浮かび上がるが、零れるのを拒んで天井を仰ぐ・・・。

マリア「・・・・・・・」

マリアさんも涙を流している・・・。

てりり「 ((  )) 」

てりりも・・・一人、背を向けて体を震わせている・・・。


テリィ・・・あなた・・・どうして私に声を掛けてくれなかったの・・・?



どうして私に・・・声を掛けてくれなかったのよ・・・?



私が一緒に戦えば・・・何度でも「回復」してあげられたのよ・・・?



何度でも、私はあなたの傷を・・・塞いで・・・癒してあげる事が・・・できたのよ・・・?



それなのに、いつも子供扱いをして・・・私の事を「馬鹿」にして・・・


勝手に先へ進んでしまう・・・。



いいえ!!違うわ!!!いつも・・・いっつも・・・私が思っている方向とは逆を向いて突っ走ってッ!!!



今、テリィの時計が刺している時刻だってそうよ・・・。


私の止まった時計が刺している時刻09時57分の全く逆を・・・刺している・・・。





あなたとどんなに離れていても、同じ時を過ごしていると信じていたのに・・・。


私の信じた『時間』は、


虚無以外の・・・何物でもない・・・。








B10「最低よ・・・テリィ。こうなって・・・・当然だったんだわ・・・。」




hidechi「ビ、ビート??」


B10「私の「回復魔法」を信じる事が出来なかったから・・・私に声を掛けなかったのよね?テリィ・・・。」


マリア「ビートさん・・・。」



B10「私の事をお嬢ちゃんって呼び続けていたのは、心の何処かで私を馬鹿にしていたんだよね?ねぇ?そうなんでしょう??」


hidechi「ち、違うぞ!!それは違うぞ!!ビートッ!!!」



B10「じゃあ何ッ!?足手纏いで困るから私を一緒に連れてこなかったのかしらッ!? 」



てりり「 ・・・・・((  )) 」


B10「見くびらないでよッ!!テリィの・・・テリィの馬鹿ァァ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」





hidechi「馬鹿はお前だーーーーーーーッ!!ビートッ!!」

B10「 ッ!? 」


戦争が終わってからの5年間、私の事をずっと見守り続け、助けてくれたhidechiさんが初めて私に大声を上げる・・・。

今まで、一度として私に手を挙げた事のないhidechiさんの平手・・・。

私の言葉の全てを否定する様にバシッ!!っと頬を叩かれた・・・。


マリア「hidechiさんっ!?」



hidechi「お、お前は・・・テリィの事をそんな風に・・・そんな風に思っていたのか??」





そんな風に・・・?わかりませんよ・・・。もう・・・私にはわかりません、hidechiさん。


だってテリィが居なくなって・・・今の私にテリィの「本当の想い」なんて理解のしようが無いじゃないですか?














本当は・・・5年前の「あの別れ際」・・・











本当はテリィと・・・・







ずっと一緒に居たかった・・・







彼と一緒にいたいって・・・そう思っていたんです・・・。






でも、テリィは私の事なんて・・・何も考えてくれないから・・・・




私を置いて・・・イデアに行ったんですょ・・・




ほんの少しでも・・・私の事を気に掛けて欲しかった・・・



子供扱いなんかして欲しくなかった・・・。


「お嬢ちゃん」じゃなくて・・・「ビート」って名前で呼んで欲しかった・・・。



一人の「女性」として私を見て欲しかった・・・。


そうよ・・・私は・・・・








テリィの事が・・・好きだったんです・・・。





hidechi「ビート・・・」



涙が止まらない・・・・



酷いよ・・・酷すぎるよ・・・テリィ・・・。




hidechiさんの半分・・・いえ・・・10分の1でもいい・・・



私の事を・・・少しは考えてくれても良かったんじゃないの・・・?



hidechi「ビート・・・お前の夢を・・・言ってみろ。」


マリア「・・・夢・・・?」


てりり「 ((  )) 」


ビート「私の・・・夢・・・?」

唐突なhidechiさんの質問・・・でも私は胸を張って答える事ができる。






私の夢・・・・





それは・・・・





「一人になった」あの時から変わってはいない・・・



騎士団にいた頃・・・そのずっと前から、みんなに言い続けていた私の夢・・・



それは、いつか必ず・・・







『 「魔法医療」を極めて、世界中の人を救う事・・・ 』







両親の様にドラゴンや魔物達に襲われて命を奪われない様に・・・


「回復の魔法」でみんなを救う事・・・。



クロノス様の騎士団に入るずっと前から、心に誓った私の夢・・・。


hidechi「そう・・・だが、その為には必要な物がある・・・。」



必要なもの・・・そう、確かに必要な物はたくさんあります・・・。


並大抵では理解できない「身体回復論」の習得。

詠唱無しで実現する「魔光細胞活性法」の会得。

新型ウィルスや毒によって人体変形が起こるのを阻止する「新薬研究」の追求。

その他、剥き出しの努力で乗り越えなければならない困難の連続・・・。


その全ては「常に医療の最前線」で無ければ経験する事は出来ない・・・。



hidechi「そうだ・・・。だが戦後、ビートは14歳だった為に本来、病院で働けなかったな?」



確かにおっしゃる通りです。14歳では世間一般的には「医療学校」に通っている年齢・・・。


更に法律上、医療機関に所属するには公正な試験を突破して資格を得て可能とされるもの・・・。



それは満18歳にならなければ取得できない資格・・・。


「一人になった日」に知り合ったシトラスさんが「ドルイ戦争」で戦死したお父様の代わりに

病院を継ぐと言う事で「院長特権」で特別に病院へ受け入れて貰う事が出来た・・・。

一応、私も「医療師団の団長」を勤めていたから、その辺りは国家に掛け合ってうまくやってくれたのだろう・・・。




hidechi「ビート・・・本当はな・・・。」


B10「・・・・?」


マリア「・・・?」



hidechi「本当は・・・違うんだ・・・。」




てりり「 Σ(   ) 」


hidechiさんが大粒の涙を零して、私の瞳を見つめる。

どうしてhidechiさんが涙を流すの?私はずっと・・・今、言った様に記憶していたのに・・・?

一体・・・な、何が違うって言うんですか?


hidechi「本当は・・・お前は14歳から18歳になるまで「病院」で働いていたんじゃないんだ・・・。」


マリア「 ? 」


ビート「そ、それってどういう事ですか・・・?」


てりり「≡;゚Д゚)・・・ 」



hidechi「どれだけ医療の才能があっても14歳のビートを病院で「働かせる」事は法律上、違反になる・・・。

だから、病院側はお前を職員として登録する事は一切出来なかった・・・。」


!?



そ、それってどういう事ですか?

それじゃ、私は18歳になるまで「病院の中で勉強をさせて貰っていた」だけって言う事じゃないですか?

そんなの今まで知りませんでしたよ!?そんな事、一言も言ってくれなかったじゃないですか??

病院のみんなだって私の事を「薬剤師」として認めてくれていたし、1年前には医師免許だって取得したし・・・

私の地位もお給料もちゃんと上がっていった・・・。



!!




hidechiさん、今してくれた「お話」はおかしいですよ!?


それじゃあそもそも、14歳から18歳になるまで病院から私に支給されていた「お給料」はいったい何だったって言うんですか?

説明が付かないじゃないですか!?



hidechi「ビートが病院で勉強できる環境を整えてくれたのも・・・・・」




『整えてくれた・・・?』





な、何なの?この言い方・・・私を今まで支えてきてくれたhidechiさんのこの口ぶり・・・。




hidechi「今までお前が得てきた給料の全てを工面してくれたのも・・・」





まるで今まで「誰かの意図」でそうしていたみたいな言い方・・・。









まさか・・・?











ま、まさか・・・ッ!?








hidechi「テリィのお陰だったんだよ・・・ビート・・・。」




マリア「 !! 」



てりり「 ・・・(;_ _) 」



ビート「・・・・・・え・・ぇ・・・?」


突然と突きつけられた真実に言葉を失う・・・。

一体なんで・・・そんな事を・・・?

嘘でしょう・・・hidechiさん・・・?

テリィが私にそこまでする理由なんて・・・何もないのに・・・?どうして・・・どうしてそんな・・・?


hidechi「今まで黙っていたが・・・これが『真実』なんだ・・・。」


hidechiさんの言葉で今まで私を包み込んでいた「黒い闇」が晴れる。

だけど代わりに「白い闇」が私を包み込む・・・。


頭の中が真っ白になっていき、何も考える事が出来なくなっていく・・・。


ただ、思い浮かぶのはテリィの事だけ・・・


今までテリィと過ごした時の記憶だけが頭の中を掻き混ぜる様に過ぎっていく・・・。





・・・・・・・・・・・・・・・



『お嬢ちゃんが『国家守護団、時の番人』に入った新入りか?俺は第01騎士団のテリィ・・・これからよろしくな??』

クロノス様の騎士団に入り、初めてテリィに逢ったときのこと・・・


『魔物の多い森はお嬢ちゃんだけじゃ無理だ・・・。俺も付いていくから任せておけよ?』

初めてクロノス様から任務を出された時・・・


『お嬢ちゃんの為に「アイスクリーム」を造ってみた☆食べてみな?飛び上がる程旨いぜ??』

休憩中、私に必ず食べ物を運んでくれた・・・


『お嬢ちゃん!!蜂に刺された!!死ぬ!!もう死ぬ!!!早くキュアをッ!!キュアヲォォ〜〜〜〜ッ!!』

私を笑わせてくれたり・・・


『誰にだって失敗はある。二度としない様に努力をすればいいのさ?だろぅ・・・お嬢ちゃん!?』

私を慰めてくれたり・・・


『どんな時でも、俺はお前を守ってやるから・・・好きな様にすればいいぞ?お嬢ちゃん・・・。』

私を支えてくれた・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




私は・・・最低だわ・・・





『誰の言う事も聞かない自分勝手』・・・?

テリィの事・・・





『私の事なんて気にも掛けてくれない』・・・?

全然理解していなかったのは・・・








私だったんだ・・・。






テリィの私への態度・・・何もかもを悪く取って、自分の都合の良い様に解釈して記憶を残している・・・。


テリィは今まで・・・ずっと私の事を・・・守ってくれていた・・・・・




さ、支えてくれていたのに・・・




ビート「う・・うぅぅ・・・・うぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!

私は・・・私は・・・・!!」



マリア「ビートさん・・・」

私を案じてマリアさんが抱きしめてくれる・・・。

伝わるその温もりは今の私には切ない・・・。


hidechi「すまない・・・テリィに口止めされていたんだ・・・。ビートが何も気にせず、『夢』に向かって走れる様に・・・、と・・・」

ビート「・・・・・・」

てりり「 (;´Д`) 」


遠く忘れかけていたテリィと過ごした『時間』は、私の中で悲しみの色を添えて鮮明に甦ってくる・・・。

もう一度と、・・・どれだけ強く願っても二度と叶う事の無い『時間』。

ガラスが砕けた様に脆く、脆く散っていく・・・。


私の望んだ時間はもう・・・やってくる事はない・・・。


どれだけ待っても・・・どれだけ追いかけても・・・過ごせなくなった『時間』・・・。







テリィとの再会、約束だった「5年の空白」は後悔しか残らない。



あまりに強い悲しみが私の心の全てを飲み込んでいく・・・。





闇の中に私の涙が落ちた時・・・
















テリィと私の時間は・・・壊れた・・・




















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




???「いやぁ・・・これは凄惨な光景だ・・・ここで「白銀の勇者」は戦ったのか?」



hidechi「だ、誰だッ!?」

突然の「招かれざる客」が多くの足音を引き連れ、万感の空間に土足で入り込む。


金の鎧を身につけた「剣士」と銀の鎧を身につけた2人の剣士・・・それに3人の魔法使いを引き連れている。


私はこの人に会った事がない・・・。いったい、誰・・・?


ジーン「フッ・・・?誰だとは心外な?しかし貴様以外は初めて見る顔ぶれだな・・・?」


hidechi「き、貴様・・・ジーン・・・。」


☆miyabin☆「ひ、hidechiさん、まさか貴方がここにいらっしゃるなんて??」


コーカサス「ありゃりゃ?こりゃまた「イイPt編成」だ☆女性に囲まれて羨ましいww」


てりり「 (;`Д´) 」

マリア「・・・・・・・」


hidechi「てめえら・・・よくも今頃ノコノコと・・・」



隊長格らしきジーンという男が金髪を掻き上げつつ、私たちの方へと歩み寄ってきた・・・。

地面から湧き上がる黒い血の腐臭に鼻を押さえながら、目を反らしながらも下卑た笑いを見せている・・・。


ジーン「『龍深の洞窟』へ率先して入り込むなんて馬鹿のする事さ・・・。我らには到底、真似は出来ん・・・。」


☆miyabin☆「ジ、ジーンさん!!それはあまりに酷いですよ!?」


コーカサス「うわっ!!確かに気合い入れて来たくねぇ場所だけど酷い言い様だな??」


明らかに気分を害する言い回し・・・。部下の剣士2人は私たちに気を遣いジーンを止めるが・・・

命を賭けてドラゴンに挑んだ者に対してあまりに酷い言葉!!


ビート「・・・・・・・・・」



hidechi「てめぇ・・・ケンカ売ってるのか??」

血走った眼差しでジーンを睨むhidechiさんの拳はあまりに力強く握られ、血が滲み溢れていく・・・。


ジーンはhidechiさんの言葉を無視しながら碧く光る空間を眺めているが、大きな溜め息を吐いた後、

高らかに笑い出した!!


ジーン「あーーっはっはっは・・・馬鹿を馬鹿呼ばわりして何が悪い?

「トカゲ1匹」を退治するのに自分の身を犠牲にしなければ不可能だったとは!!笑いが止まらんッ!!

『白銀の勇者』の二つ名が泣いているぞ!!」

hidechi「て、てめぇッ!?」


てりり「 !!(;`Д´) 」


マリア「トカゲ・・・1匹・・・?」


ジーン「私とて「トカゲ狩り」は困難を生じるが命を落とす程の任務とは言えない。

つまりは私の方が有能な剣士だったと言う事・・・。違うかね?諸君?」

魔法使い「・・・・・・・・・」


寡黙な魔法使い3人はまるでその意見に同意するかの様にジーンの背後で嘲ら笑う。

その時、マリアさんは睨む様な眼差しでジーン達に言い放った・・・。


マリア「この洞窟にいたドラゴンは推測だけど『ルーンドラゴン』だった可能性があるわ・・・。

人間がたった一人で倒せる様な生物じゃないわよ!!

    何も知らないで、よくもそんな罵声を浴びせる事が出来るわ!!酷すぎるッ!!!」


目に大粒の涙を浮かべてジーンに怒鳴り上げるマリアさんだが、その意見にすら耳を傾けようとはしない・・・。



ジーン「くっくっく・・・「ルーンドラゴン」ねぇ?300年に一度現れるという『三大龍』の一・・・。

所詮は空想の中の生物に過ぎん!!」


マリア「『ルーンドラゴン』の存在は空想じゃないわ・・・。

『ルーンドラゴン』、『ブレスドラゴン』、『カオスドラゴン』の『三大龍』は本当に存在する・・・。」


ジーン「ほぅ・・・?それを証明する物は有るというのか・・・?」


マリア「さっき拾ったこの「宝玉」が証拠よ・・・。母体となるドラゴンがこの宝玉を飲み、卵を産めば再度『ルーンドラゴン』が産まれてくる・・・。」


hidechi「ビ、ビートが突っ走っていった時に拾ったそれか!?」


ビート「 !? 」


私がこの部屋に一人で入る前、マリアさんが拾っていた『銀に輝く宝玉』・・・。

あまりに危険な光を発し続けるその宝玉は見る物を魅了する輝きを持っている・・・。


☆miyabin☆「これが・・・ドラゴンが「ルーンドラゴン」を産むための・・・?」

コーカサス「う、売ったら・・・凄ぇ金額になりそうだな・・・?」


ジーン「な、なんと美しい宝玉・・・!?そ、それが『ルーンドラゴン』の媒体になるというのか・・・?」


マリアさんは目を据えながらコクンと頷く・・・。ジーンはそれを聞くと数度、目を瞑りながらも何かを考えている素振りを見せる・・・。




そして、一つの結論を導き出して私たちの方へと歩いてきた・・・。


ジーン「どれ?手にとって私にも見せてみろ・・・。本物かどうか、見てやろう・・・。」


付きだした右手にマリアさんが「宝玉」を乗せた・・・。






その時ッ!!!


マリア「 ッ!! 」



☆miyabin☆「 !? 」


hidechi「な、何をッ!?」


てりり「Σ(;゚Д゚)」





                                  第11話に続く・・・