第3章「金曜日、午後19:32」
ビート「はぁはぁ・・・何で私が・・・こんな事を・・・」
診察受付時間を過ぎて、休暇中の筈の私が『トイレ』の中でモップを持って一面に敷き詰められたタイルと向かい合う。
ゴシゴシとモップのブラシ部分に力が入る様に45度の角度で何度も何度も一生懸命擦る。
毎日、掃除のおばさんが掃除してくれているので大した汚れも見つからないが「トイレはいつも清潔に!」がモットーの
ナーレ白桜病院では汚れに対して一切の妥協が許されない。
さっきまで着ていた白いワンピースを脱いで、今は掃除作業員用のツナギを着ているが激しい??労働にフッと額の汗を拭う。
まったくッ!!今日はとんでもない日だわッ!!!
シーポン「 〜〜〜(つ´▽`)つ 」
それと言うのもッ!!このシーポンちゃんの責任だッ!!!
結局あの後(第2次シーポン大戦)、グレイバーの責任を取らされて「トイレ掃除」の罰を受けちゃった・・・。
知性派なビートちゃんがツナギを着てトイレの掃除なんて、友達に見られたら絶対に笑われちゃうッ!!
シーポン「〜〜〜〜〜(o*-Д-)o」
グレイバー事件、主犯格のシーポンちゃんは何食わぬ顔でトイレの回りを飛び回っているけど、本当に何を考えてるのかしら?この子は??
ビート「シーポンちゃん!!掃除してるんだから勝手に飛び回ったりしないでよ!?」
シーポン「 (*゜▽゜)(*。_。) 」
人間の言葉をちゃんと理解してるはずなのに、私以外に対しては傍若無人な振る舞い・・・。
hidechiさんは「保健所に連れて行く!」なんて怒っていたけど、私が飼うと言う事で何とか怒りを静めて貰ったのだ。
代わりに飼い主となる私が罰を受ける羽目に・・・。
ビート「まったく・・・私、ペットなんか飼った事がないのに・・・。」
子供の頃から結構貧し・・・いやいや、お金が無かった私は家で「ペット」を飼った事がない。
正直、「いずれペットを飼いたいナァ〜」なんて思った事はあるけど、
私が飼いたかったのは「血統書付き」のウッディーと呼ばれる「かわいくって言う事をよく聞く翼竜」だったのに・・・
シーポン「 (*´▽`)? 」
ムカツク程「破天荒」なこのシーポンを私が飼う事になってしまった・・・
ビート「この子を飼うのはしょうがないとして・・・知識的な事何も知らないんだよねぇ〜?」
シーポン「??(´▽`)」
ビート「・・・・・・・」
ビート「・・・・・・・・!!」
陽気に笑うシーポンちゃんを見つめて、フッと年下の友人、「ジェイツ」が頭に過ぎる!!
ドルイ戦争時代からの友達だけど・・・確かあの子は昔、お姉さんが「シーポン」を飼っていたとか何とか言ってた気がする。
一面がぴかぴかと光るタイルに最終確認で目を通して掃除完了のハンコをポンと押す。
作業衣を脱ぎながらシーポンちゃんに手招きした。
ビート「よしッ!掃除も終わったし、あなたの「飼い方」を教えてくれる人の所に行くわよ!??」
シーポン「 Σ(*゜▽゜)*。_。) 」
きっとジェイツちゃんだったら、昔使ってたペット用品とか分けてくれるに違いない!
私は一目散に町はずれにあるジェイツの家へと向かった・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
完全に診療時間を終え、入院患者の消灯時間21:00を過ぎたドルロレのナーレ白桜病院・・・。
入院患者を多く抱えるその病院だが、9時を過ぎると1F,2Fの診療スペースは僅かな灯りを残して闇に落ちる・・・。
病を抱え、病院を訪れる病人の足音は完全に消え失せ、ただ静寂がその空間を包み込む・・・。
時折見える人影、それは病院の関係者で無ければいけないのだが・・・
足下を照らす薄暗い灯りの中に伸びる「2つの人影」は白衣ではなく、鎧を身につけていた。
????「緊急という事だが・・・どういう事だ?」
??「多分、テリィ氏の一件ではないでしょうか?「アレ」以来、我々は彼と関与はしていませんが「行方」が不明ですし・・・。」
剣を腰に携えて、病院の廊下を歩く。
コツコツと静寂の中・・・・ブーツの音を鳴らして「地下」へと向かっていく。
冷たい眼差し・・・。
生を司る病院の中・・・まるで闇に堕ちていく様に地下の部屋を目指して歩く。
「関係者以外、立ち入り禁止」と書かれた立札を無視して奥に進むと大きな鉄のドアに差し掛かった・・・。
????「やれやれ、ただでさえ忙しいこの時期に「いち、傭兵」の為に呼び出されるとは・・・」
バサバサに跳ね返った金髪を手でガシガシッを掻きむしる金の鎧を纏った騎士・・・。
??「シ、「シトラス院長」には色々と世話になっているわけですし・・・とにかく聴聞しましょう・・・。」
銀の鎧を纏った部下の剣士は重い鉄のドアを開けて部屋の中へと入っていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
鉄のドアをくぐると豪華に内装された来賓室とも呼べる部屋。
中央に置かれた大きなテーブルに多くの椅子が設けられ、
パッと見は会議スペースと言うよりも会食を楽しめる様な気品が漂う雰囲気を醸し出している。
部屋の奥に見えるのは3人。
入ってきた剣士二人を見つめ座っている。
左席にはラバー、右席にはhidechiが控えているがその表情は考え深げだ。
そして、中央の席に座る白衣を着た女性が二人に少しの笑みを見せて声を掛けた。
この女性こそが、ドルロレ、ナーレ白桜病院の頂点に立つ院長、シトラスである。
シトラス「ジーン、☆miyabin☆くん・・・遅かったわね・・・?」
☆miyabin☆「す・・すいません、シトラス院長・・・色々「任務」が重なっておりまして・・・」
ジーン「・・・・・・・・・・・・・」
目を瞑りながら溜息を吐くと金の鎧を身につけたジーンが身近な椅子をスッと引き出して腰を据える。
シトラス「さぁ、☆miyabin☆くんも椅子に座って・・・。」
☆miyabin☆「は、はい!」
遅れて銀の鎧を身につけた☆miyabin☆が座って、ようやく話しが始められた。
ジーン「で?用件はなんだ?緊急連絡の受信でここへ来てはみたが・・・?」
ラバー「二人を呼んだのは他でもないわ。2週間前、「黒き翼」よりの依頼で徴兵された「白銀の勇者」の事です。」
hidechi「そう!今回の任務は『ドルロレ、イデア間に生体反応があった「ドラゴン」の退治』と言う事で
古くからの友人だった「テリィ」を紹介したが・・・」
☆miyabin☆「や、やはり「テリィ氏」の事でしたか・・・。」
ハンカチで汗をぬぐい、困った様子で下を向く☆miyabin☆。
目を泳がせる。
シトラス「ドルイ戦争の経験者が多いナーレ白桜病院は「黒き翼」に対して民間には「秘密」で協力をしてきました。
だけど今日、ラバーの報告でテリィが『行方不明』になっていると分ったわ。
彼に直接仕事の依頼をした「黒き翼」ならば彼の動向を知っていると思って二人を呼び出したわけなのよ・・・。」
かつて、シトラス、hidechi、ラバー、ビート達はドルイ戦争と呼ばれる「国家間戦争」の経験者である。
卓越された剣技を持つ剣士や、熟練された魔法を使用する魔法使い、果ては野に散る獰猛な魔物の混入によって
混沌の中に繰り広げられた「たった4日間の史上最悪の戦争」。
5年の歳月を経た今、その傷跡を残しながらも「平和」の道を歩もうとしているが未だに「魔物」の存在は人間達を大きく脅かす存在であった。
「黒き翼」とは国家ドルロレによって定められた「対魔物用、試験的殲滅部隊」。
現在、十数名が在籍しているが国家を守るにはあまりに人材が不足している為に信頼が置ける「民間に散らばった戦争経験者」を
頼る事が多々ある。
今回の「ドラゴン退治」という任務もまた、国家任務の一つであった。
シトラス「テリィは今、何処にいるのか貴方達なら・・・わかるわよね??」
指を絡めながら、眉をしかめて2人に問いかけるシトラス。
しかし、返ってきたのは「試験的」な組織として「情報管理」が明らかに疎かである回答だった。
☆miyabin☆「じ、実は・・・我々も「ドラゴン退治完了」の報告は・・・まだ「テリィ氏」から受けていないんです・・・。」
シトラス「!!」
hidechi「な、なんだって!?」
☆miyabin☆「1週間前の話ですが、強力な魔物の所在を映し出す『宝玉、破邪の精霊』に今まで出ていたドラゴンの生体反応は消えましたし、
任務達成は果たしていると思うのですが・・・」
ラバー「お、思うってどういう事なんだょ??そこまで分ってるなら「確認」に行けばいいじゃないか??」
☆miyabin☆「た、確かに仰る通りです!!我々もその場所へ赴こうとしましたが「ドラゴンが現存していた場所」
というのは実際には不確定で、場所の特定が出来ないんです・・・。」
ラバー「そ、それはどういう事ですか??」
☆miyabin☆「く、詳しく言うと、反応のあった「10km四方」を隈無く探さなきゃならないんです・・・。」
hidechi「そ、それじゃ実際には殆ど探せてないって事じゃないのか??」
懸命に弁明する☆miyabin☆だがジーンは声を荒げるラバー、hidechiを無視してテーブルに肘を突く。
ジーンは3人に向かって目を据え、ようやくその重い口を開けた。
その声は明らかに「だるさ」を感じさせる声。
ジーン「結論から言うと我々は丸1日を彼の捜索に費やしたが、まったく所在が掴めない為に「任務完了後、失踪」と処理をした・・・。」
hidechi「なんだそりゃ!?「失踪」だと??アイツが・・・テリィが「仕事」を終えて失踪なんてする訳がないだろうが!!
場合によっちゃ「怪我」でもして何処かで動けずにいるかも知れないッ・・・!!!」
ジーンの発言に憤怒し、冷静さを失うhidechiの大声が部屋一面を震わせる。
しかし、ジーンは溜息を吐きながら椅子を立ち上がりhidechiに目を向ける。
ジーン「hidechi・・・『白銀の勇者』の実力は友人である君が一番良く知る所ではないのか??
彼はかつて、たった9歳という年齢でありながら剣1本で「ドラゴン」を斬り殺した「人知れぬ勇者」・・・。」
hidechi「た、確かにヤツは「ドラゴン」を斬り倒し、俺たちの住む村を救った英雄だ・・・。
だが、依頼を振ったお前達はテリィの所在を管理する『義務』が有る筈だろう!?」
シトラス「そうよ、貴方達や私達では遂行不能と判断しテリィに依頼を振った。
貴方達にテリィを紹介してあげたのは私達・・・。所在を知る『権利』があるわ。
彼は私たちにとって大切な友人!!「黒き翼」としての誠意を見せなさい!!」
荒げた二人の声から目をそらすジーン。
背を向けてスッとドアの方へと歩き始めていく・・・。
☆miyabin☆はその姿を見ると慌てて重い鉄のドアを開けた。
ラバー「ど、どこへ行かれるんだ!?話はまだ終わってはいない!!」
hidechi「そうだぞ!!ジーンッ!!」
手に力を込めて声を掛けるがジーンは振り向こうともしない。
目線だけを3人に向けて呟く様に口を開く。
ジーン「まぁ・・・俺としても『白銀の勇者』を失うとなっては心が痛む・・・。再度、彼の捜索は検討するさ・・・。」
シトラス「そう、じゃぁ早急に手を打って貰うわよ??どんな事をしてでも彼を連れ戻して頂戴!!」
シトラスが強い口調でジーンに訴えるが・・・吐き捨てる様に残した彼の言葉は優しさが感じられる物ではなかった。
ジーン「やれやれ・・・期待していた『白銀の勇者』・・・この程度だったか・・・」
hidechi「な、なんだと!?貴様ッ!戻ってこいッ!!お、俺が相手してやるッ!!
その金髪を全部ムシってモコモコのカリフラワーな頭にしてやるッ!!」
ラバー「ちょ、ちょっとhidechiさんっ!!」
興奮するhidechiを羽交い締めで慌てて止める。
その姿を見て☆miyabin☆は申し訳なさそうに頭を下げ、重い鉄のドアに身を隠す様に帰って行った。
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「 「 ダーーーンッ!!!! 」 」
ジーン、☆miyabin☆が帰った後、憤りのままに両手をテーブルに強く叩きつけるhidechi。
Hidechi「くそっ!なんて奴らだッ!!」
ラバー「えぇ・・・国の安全を守る部隊にしては杜撰(ずさん)な動きが多い・・・。
こんな事ならばテリィさんの紹介なんて辞めておけば良かったですね・・・。」
シトラス「今回ばかりは、そう言う訳にも行かなかったでしょう??
でも、実際問題テリィの実力ならばドラゴン3〜4匹を一人で相手しても十分に勝てる筈・・・。」
テリィにとって「やり得て当然」のドラゴン退治・・・。
しかしながらドラゴンという種族は決して弱い存在ではない。
その口から吐く燃え盛る炎は鉄を溶かし、振るう爪は鉄を切り裂く。
鱗一つ一つが鉄の硬度を持ち、「地上最強」とも言える強さを持っている。
テリィは今までに約12匹のドラゴンを退治しているが、現状において何の連絡もないと言う事は最悪の場合は「死」を意味する。
シトラスは医療予定を脳裏に過ぎらせるが困難な手術が土曜に1件、日曜に1件入っている。
医師であるシトラス、ラバーはこの手術に参加する事が決まっていて欠席する事はまかり成らない。
ラバー「すぐにでもテリィさんの安否を知りたいのに・・・どうすれば・・・」
額を手で覆いながら首を振り続けるラバーの肩にシトラスがポンと手を添えるとhidechiに目を向ける。
戦争経験者は病院の一般業務から手を離せない人材ばかりだが、シトラスは思い切って決断した。
シトラス「hidechi、救急業務は部下に任せる事が出来るかしら?」
hidechi「 あ・・・? あ、あぁ!! 日頃から仕込んでいるからな??それは大丈夫だ!!」
シトラスがこれから出すであろう命令はhidechiにとって容易に推測できる物。
拒む気も毛頭無く、シトラスからの「命令」を待つ!
シトラス「hidechi、明日より「テリィの捜索」に出なさい。そして対象確認後、速やかに確保!!」
それとなく「戦争当時の言葉遣い」がhidechiに飛びかかる。
しかし、hidechiは嬉しそうにシトラスの命令に笑顔で答えた。
hidechi「任せておいてくれ!見つけ次第、確保、拘束するぜ!!」
ラバー「こ、拘束の必要は無いのでは・・・?」
笑顔を浮かべる3人・・・。
しかしその時、ハッと気付いた様にラバーがhidechiに問いかけた。
ラバー「そ、そうだ!!「この事」はビートには言っておいた方がいいですかね?hidechiさん・・・?」
昼にビートから「テリィと逢えなかった」という事をビートより知ったラバーが汗をタラッと垂らす。
hidechi「お、おいおい?そんな事できる訳がないだろう?あの子に心配を掛けさせるだけになっちまう・・・。」
シトラス「そうね・・・元々が「戦争経験者」だけに「私もテリーを探しにいく!」なんて言いかねないわよ・・・?」
これからの行動に対して方向性をハッキリさせたが、ラバーより出たビートの名前で再度3人の表情が曇る。
シトラスはゆっくりと椅子に座り、頬杖を付くと大きな溜息を吐いて結論を出す。
シトラス「テリーと昔した『約束』もあるから、今回の一件はビートちゃんには黙っておきましょう。」
無言で頷く二人。
テリィの安否を確認する為にhidechiは今、この時より『破邪の精霊』に反応のあった地点へと旅立っていくのだった。
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時刻は夜も夜! 22:18
気の良いジェイツちゃんから「ペット用具一式」を貰い受けた後、急いで家路を辿る。
こんなに暗い夜道なんて女の子の通る時間帯じゃないもんね!
しかもビートちゃんはとっても『美人』!!誰かに襲われるとも限らない!!
????「ハァハァ・・・」
ほら、こんな事を言ったばかりなのに・・・後ろからナマメカシイ声が聞こえてくるでしょう・・・?
????「ハァハァ・・・」
でもまぁ、心配は要らないんだけどねぇ〜〜〜〜〜☆
シーポン「 ・・・εεε(o´Д`;)oハァハァ」
ジェイツちゃんから貰った荷物の全てをシーポンちゃんが持って、私の少し後ろを飛んでいる。
かなりしんどそうに荷物を持っているけど、今回の一件で皆に掛けた迷惑の罰でもあるの。
ビート「早くきなさいょ?それっくらいの荷物ワケないでしょう?」
シーポン「・・・εεε(o´Д`;)oハァハァ」
その声に、がんばって私を追い越して前に出る・・・。
かなり表情に陰りが見えるけど、ちょっと意地悪・・・じゃなかった愛のムチみたいなものだから頑張りなさいね?
そうだ!これから一緒に住む訳だし!!このシーポンちゃんには「買い物」という特技を身に付けてもらうのもいいわね?
あとあと!!ワケのわからない「訪問販売」とかが来たら追い払う「番犬」ならぬ「番シーポン」になってもらおう!!
あぁ〜〜・・・シーポンちゃんを飼う事になって、ちょっと気分がウキウキ状態!!
あの路地を右に曲がったら直ぐに家だから走っちゃおうかな?
早く家に帰ろう〜〜〜〜・・・・ととっ・・・?
シーポン「・・・・・・・( o´Д) クィ 」
あれ?
何でこの子は私が指示を出す前に「路地を曲がる」って解ったんだろう?
シーポン「 ???(o;´Д`)oハァハァ 」
路地の真ん中で立ち止まる私をシーポンちゃんが振り向いて待ってくれている・・・。
ビート「そ、そうよ?そっちで合ってるわょ・・・。」
シーポン「 (o*´Д`)b 」
ふと、辺りを見渡すと右の路地以外は「住宅地」とは縁遠い広場や商店街へと延びる道のり。
流石にこの時間帯は灯りが消えて「住宅街」の方が煌びやか・・・。
そっかそっか・・・明るい方に進んでいくのは当然ってもんだ!
そうやって考えるとシーポンちゃんってば、ちょっぴり「走光性のある虫」みたいだよね〜〜〜。
ビート「えいッ!!」
シーポン「ΣΣo(゜Д゜;o)!!」
私が駆け出すと、慌てて私の後を追いかけてくる・・・。
やっぱり私の家への道のりを知ってるわけじゃなかったんだ・・・。
ちょっと安心した私は「アパート」の入り口に駆け込み、階段も一気に駆け上っていく。
ハァハァ・・・
私の部屋は3階にあるけど、最近は運動不足だったかな?ちょっぴり息切れ状態で家のドアの前へと差し掛かる・・・。
このドアノブには青い宝玉がついていて、それに手を触れる事によってドアが開く仕組みになっている。
大家さんが最近「変質者」が出るという事で最新のセキュリティーに変えてくれたんだけど、そのお陰でこの『鍵』に変わった。
私としては「鍵」を持ち歩かなくていいのでとっても楽だわ。
ちなみに私以外の人がこの宝玉に手を付けてもドアが開く事は無い。
シーポン「εεε(o´Д`;)oハァハァ」
ちょっと遅れ気味にやってきたシーポンちゃんが私の前でゆっくりと地面に荷物を置いた。
ビート「よしよし!!よくここまで荷物を運んでくれたわね?ご褒美をあげるわ。」
シーポン「 εε(;´▽`)シ? 」
嬉しそうに私の方へと近寄るシーポンちゃんの手をそっと引っ張ると、
ドアに埋め込まれた青い宝玉に私とシーポンちゃんが同時に手を触れる。
ポッポッポと数度、宝玉が点滅した後・・・今度は青い光がパーっと広がった。
うん!コレで完了!!
シーポン「 ??(´▽`*=*´▽`)?? 」
ビート「ふふふ・・・何が起こったか解らない?シーポンちゃん?
これでね、シーポンちゃんはいつでもこのお部屋に入る事が出来るようになったんだよ?」
シーポン「 !(“▽”)シ」
つまり!これでシーポンちゃんは我が家の家族になったような物ね?
家族なんだからいつでもおうちに入れるのは当然だもん。
シーポン「 ヾ(´▽`*)シ=ヾ(*´▽`)シ 」
喜んで私の周りを飛び回ってる。
ふふふ、この子はやっぱり捨てシーポンだったみたいね・・・。
私も家族が増えるのはとっても嬉しい・・・。
ビート「さぁ、シーポンちゃん!今日から私とシーポンちゃんの新しい生活が始まるんだから、ヨロシクね?」
シーポン「 (*´▽`)*,_、)*´▽`)* ,_、) 」
私がドアを開けるとシーポンちゃんは言われもせずに荷物を持ち上げて部屋の中に入っていく。
スッと私も後を追うように部屋へ入ると・・・
シーポン「 ボー(´Д`;) 」
シーポンちゃんが呆然とした表情で私の部屋を見つめていた。
そこに見えるのは・・・・・
「布団がめくれあがったままのベッド」
「食べ残しをそのまま置いてある食器」
「雑誌や小物で足の踏み場の無い絨毯」
「脱ぎ捨てた洋服類」
「タンスの上にちょっぴり?出来た「ホコリ」の層」
「植えた覚えも無いのに壁から生えてきた少し愛着のあるキノコ」
ビート「どうしたの・・・?シーポンちゃん・・・?」
シーポン「 (|´Д`||)ゲンナリ 」
うおぅッ!!明らかにシーポンちゃんの表情が歪んでる!!
こ、これでも2週間前に掃除したんだよ!?
そ、そりゃぁ私は最近の女の子に比べて「ちょっぴり掃除が苦手」だよ?
よくさっきの友達、ジェイツちゃんに部屋の掃除を手伝ってもらう度「掃除シロヨ・・・」とか言われるよ??
で、でもッ!!そんなに嫌っそうな顔する事無いじゃない???
シーポン「 (;´Д`)つД ←パジャマ」
うぅぅ!!汚いものを触るみたいに私の「パジャマ」を拾い上げないでッ!!
シーポン「 (;´Д`)つ目 ←ジュース」
うぅぅぅぅッ!!!後で飲もうと思ってた「ジュース」を捨てようとしないでッ!!
シーポン「 (;´Д`)つ↑ ←キノコ」
うわぁ〜〜〜〜ん!!!!勝手に育っていくキノコを千切らないで〜〜〜〜〜ッ!!!
シーポン「 ブン!!(;`Д´)ノシ 〜〜・・・→ 」
ビート「しょ、しょうがないじゃない!? 私、掃除が大の苦手なんだもん!!・・・ってか、キノコ投げんなッ!!!」
な、なによぉ〜〜〜!?怒った表情を見せられても、掃除が苦手なものは苦手なのよッ!!
そんな贅沢言うんだったらシーポンちゃんが「掃除」やってみなよ!!
仕事で疲れた体を無理やり奮起して「雑巾がけ」や「箒がけ」をするのは重労働なんだから!!
休みの日に掃除しよう、掃除しようと思っても甘い誘惑が街の方から漂ってきたり
「携帯」で遊びのお誘いがあったりで・・・掃除なんて・・掃除なんてッ・・・!!
シーポン「 セッセ、セッセ(´Д`;=;´Д`)つ◎ ←皿 」
えっ・・・?テーブルの上においてあったお皿やゴミをあっという間に片付けていく・・・?
シーポン「 セッセ、セッセ(´Д`;=;´Д`)つ 己 ←布団 」
捲れあがった布団を2秒で直した!?
シーポン「 セッセ、セッセ(´Д`;=;´Д`)つ[自主規制] 」
きゃうッ!ちょっと恥ずかしいけど「洋服」や「下着類」を洗濯機に放り込んで洗剤を入れたッ??
信じられない事にシーポンちゃんはアッという間に部屋の掃除をしてしまったのだ!!
こ、この掃除の腕はもしかして「ジェイツちゃん」を上回るスピードじゃない??
な、なんてイレギュラーな展開??
なんて美味しいシーポンちゃんなの???
シーポンちゃんはこの時点で「私の生活にとって無くてはならない存在」に変わっちゃったわ!!!
こ、これはある意味「神降臨」!?
ビート「あ、ありがとうシーポンちゃん??シーポンちゃんって・・・こ、こんなにお掃除が上手だったんだね??」
目をキラキラさせて、その光景を見つめることしか出来ない私にシーポンちゃんは・・・
シーポン「 ハァ・・・ε(´Д`;)・・・ 」
た、溜息を吐くなァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!
た、唯でさえ「敗北感」と「無力感」が混じった感情で押し潰されそうになっていたのにッ!!
私のプライドが・・・ズタズタだぁ〜〜〜〜〜〜ッ!!!
シーポン「ハァ・・・ε(´Д`;=;´Д`)・・・」
く、首を振りながら・・・一度ならず二度までも・・・・
うぅぅ・・・昼間hidechiさんが感じた敗北感って、きっとこんな感じだったんだろうなぁ・・・。
シーポン「・・・ジー(o*-Д-)o」
な、何よ??こ、今度は何??まだ何か文句でもあるの???
シーポン「 ピューーーεεεε(つ*>Д<)つ 」
えっ・・・・?
こ、今度は台所に向かっていく???
ま、まさか・・・・?
シーポン「 (つ*゜▽゜)つ 日 ←冷蔵庫」
れ、冷蔵庫に残っていた賞味期限ギリギリの食材をゴッソリ取り出すと今度は料理を始めた〜〜〜ッ!!?
シーポン「 ヾ(´Д`;)つ〆_ 」
まな板で食材を加工しながら綺麗に引いた座布団の上で座って待っていろと指示を出しちゃうシーポンちゃん・・・。
これって・・・あぁ・・・そう・・・この感覚は・・・・・・。
ビート「うわ〜〜〜〜・・・なんだか「一人暮らしする駄目な娘のもとへお母さんがやって来た」みたい・・・。」
人間の女性一人、シーポンの指示で・・・少し俯きながら、立つ瀬無く晩御飯を待ちながら正座をしていました・・・。
第4話に続く・・・。