第5章 「土曜日、午後12時42分」





最悪の朝を何とか乗り切り、汗だくになりながらも私はどうにか遅刻することなく、病院の薬剤業務を終了することができた。




ビート「しっかし、あんなに時間が進むのが早いって信じられない・・・。」

とりわけ、なにかしていた訳でもないのに、あっという間に進んだ時間・・・今更ながらに驚いちゃう。



確かに朝は早く過ぎる物よ?でもでも、あの早さは尋常じゃないよ・・・?

いつもの3倍ぐらいあっという間に過ぎた感じがするもん!!




ぶっちゃけ「赤い彗星」だょ!!




アリア「ちょっと、ビート?お薬もうできた?」


友人の看護士、アリアが本日最後の患者さんを薬剤室につれて来て、お薬を要求する。


そうそう!!今日は「土曜日」だから午前でお仕事は終りなのだッ!!



ビート「うん!これだよ。お大事にね?GEIZUくん!」


GEIZU「ありがとうございます!ビートさん!!」




足に痛々しいギプスをはめている。3週間前に足を「超複雑骨折」して病院に運ばれた「少しまなざしの鋭い少年、GEIZUくん」。

病院に運ばれた時は「なんで私を睨むんだろう?」と、思ったけど「まなざし」は生まれつきみたいで・・・

話してみるとすごく愛敬があってとっても素直ないい子なのよねぇ。




GEIZU「とりあえず「通院」に切り替わる事になりました。ビートさんには本当にお世話に・・・」




礼儀正しく、私に深々と頭を下げて痛めた足をかばいながらお礼をいう・・・。


ビート「いいよ!いいよ!お礼なんて!病院の患者さんを大事にするのは当たり前だよ。」




薬剤免許と医師免許を持つ上、回復魔法のスペシャリスト、ビートちゃん!!

実は彼の病室へと通い、担当の医師とは別に「彼の足」を治してあげてたのです!!(無償で!)

完全に砕けて、魔法医療以外じゃ確実に回復は見込めなかったんだけど本当に回復してよかったわ。




アリア「もう強い魔物に一人で挑んじゃダメよ?」


GEIZU「はい、反省してます・・・。」




未だ、街から数kmと離れると「魔物」が出てくるこの「ドルロレ」という国は


「国家」、「民間」の双方において「魔物の駆逐」を一つの「職」として認定している。


なもんで、GEIZUくんみたいに「剣士」や「魔法使い」を目指す人が絶えないのよねぇ・・・。




街の近隣であれば「アッピー」という可愛らしい林檎のお化け程度しか出てこないが数十kmも離れれば、大の大人でも勝利困難な魔物が溢れているの。




まだ14歳のGEIZUくんは「バスターソード」なんて2mもある剣を振り回す「剣士君の卵」みたいだけど、


たった一人で「国家剣士でも逃走を選ぶ」アックスベアと戦ったらしい。





本来であればこの子の実力なら十分に渡り合える筈なのに返り討ちにあってしまった。

何度理由を聞いても「原因」を話そうとしないのでちょっと気にはなっていたりする。




ビート「まぁ、戦闘は「環境」や「状況」でかなり変わるから油断だけはしないようにね?一人で戦うのはそれからだよ?」


GEIZU「はぃ・・・そうします。僕を助けてくれた剣士様にもそう言われましたし・・・」



うつむいて悲しげな表情・・・。あらら?ちょっとショゲ気味になっちゃった・・・?まぁ、気持ちはわかるけどね・・・。


助けてくれた剣士さんは一瞬の内に「アックスベア」を倒しちゃったって言うぐらいだから、かなりの「力の差」も実感したでしょう・・・。





アリア「ふふふ・・・わかればいいのよ?退院もできる事だし完全に回復したら剣士さんにもお礼に行かないとね。」





GEIZU「えぇ!この近所に住んでるみたいですし、絶対に行きますよ。テリィさんには何度お礼を言っても言い足りません・・・。」





ビート「へぇーー?GEIZUくんを助けてくれた剣士さんって「テリィ」って名前なんだーーー?」

















・・・・・・・・・・













・・・・・・・













ビート「  !!!!  」




にこやかに会話していた中、話題に入って来るはずの無い・・・「ヤツ」の名前が突如として走る!!!



ビート「テリィですってッ!?」





アリア「!!!」





GEIZU「そ、そうですが!?な、何か!?」








大声を上げたのに驚いて二人が目を大きくあける!!でもでも、私だって負けないくらい目を大きくあけちゃうわよ!?






だって・・・だって・・・・







アックスベアを一瞬で倒す手垂れで名前がテリィって剣士って言ったら・・・







ビート「もしかして、「白銀の勇者」って名乗らなかった!?そいつ!!」





GEIZU「え、えぇ!そうですよ?ドルイ戦争の英雄の一人、テリィさんです。」




え、英雄!?


英雄なもんですかッ!?


あ・・・あ、あんなチャランポランッ!!






あのバカ(テリー)は『昔あげた功績』が凄かったらしく「白銀の勇者」などと呼ばれている。


詳しい内容は知らないけれど「『シルバーズ・スノゥ』という辺境の街で暴れていたドラゴンを倒した」とかなんとかで・・・


その時に付けられた「二つ名」らしい・・・。


テリー自身も「白銀の勇者」という「二つ名」を気に入っているらしく、誰かを助けては「白銀の勇者」と名乗る癖がある。








そ、それよりも・・・「さっき言ってたこと」を確認しなくっちゃ!!






ビート「ゲ、GEIZUくん?さっきテリィが・・・こ、「この近くに住んでる」って言わなかった?」






そうよ!ヤツは5年前に!!「イデア」っていう新興国に向かったのよ!







なのに・・・き、近所って・・・?



あ、頭が物凄く混乱してきた!!

とにかく落ち着かないと・・・・



GEIZU「え、えぇ?「シャレード通り」にテリィさんのおうちがあります。そこで「応急手当」をしてくれたので・・・」





シャレード通り・・・・・





こ、ここから「10分」程の距離にある「繁華街」じゃないのよ?




テリィが引っ越したなんてhidechiさんにもシトラス院長にも聞いてないし・・・




じゃ、じゃあ・・・あいつ昔の仲間だった「みんな」に何も言わないで・・・・






アリア「ビ、ビート・・・どうしたの?そんなに険しい顔して・・・す、凄く・・・怖いよ!?」







ごめんね・・・アリア。





今の私はきっと「殺意が芽生えた鬼」の様な顔をしてるでしょう・・・。






GEIZUくんも少し怯えたような顔で私を見てるもんね・・・。





でもね・・・・






それは、私が悪いんじゃないのよ・・・?







何も言わず勝手やって・・・






みんなに迷惑を掛けても何も思わず・・・






果ては近所に引っ越して来てるにも関わらず・・・









「私との約束」すら忘れて・・・姿も表せない・・・・。










ヤツが悪いの・・・・。









ヤツが悪いのよ・・・・・ッ!!














ビート「ヤツが悪いのよーーーーッ!!!」


アリア「うわーーーーッ!?」


GEIZU「ご、ごめんなさい!!なんだかわかりませんがッ!!ごめんなさいーーー!!」


や、やばい!!心で思ってた事が口に出て、何も悪くないGEIZUくんを謝らせちゃった!!


大丈夫!!君が悪い事なんて何も無いんだから!!







んっ!?






いやいや・・・今のこの表情をあえて「利用」しちゃおう!!



ビート「ねぇ、GEIZUくん・・・お願いがあるの・・・。」




GEIZU「は、はい・・・・。」





うん!思ったとおりの反応だわ!!




GEIZUくんってば、私に恐怖を感じて目を合わせようともしない!!






アリア「ビ、ビート・・・それってお願いじゃなくって『脅迫』・・・。」






う〜〜ん・・・外野からなんか聞こえてくるけど、スルーしとこう!!





ビート「テリィの住んでる家の住所を・・・・・・?教えてくれるかしら〜〜〜?」




GEIZU「あ・・・あの・・・あの・・・」



おそるおそる私に目を合わせるGEIZUくんが、おそるおそる問いかけた。




GEIZU「場所を教えても・・・な、なにもしないですか・・・?」








ビート「・・・・・・・・・・」







アリア「・・・・・・・・・(こ、怖いよ!?ビート・・・怖いよッ!?)」











GEIZU「あ・・・あの・・・・」










ビート「うふふふふふ〜〜〜〜・・・・・大丈夫よぉ〜〜〜〜〜〜・・・。」












大丈夫よ・・・・うん・・・。











もっともそれは「ヤツ」次第だけどね・・・。





GEIZU「で、でわ・・・メモに地図を書きますんで・・・」




そういうとGEIZUくんはアリアから手渡された「メモ用紙」にサラサラとシャレード通りの地図を書き、テリーの家らしき場所に印を付けてくれた。




ビート「ありがとう、GEIZUくん!!私は『急にできた用事』があるから帰るけど・・・早く骨折を治すのよ〜〜??」





思いっきり不安そうな二人に背を向けて、更衣室へと駆け抜ける・・・!!








「ヤツ」めッ・・・!!








ビートちゃんを怒らせたからには、どうなるか教え込んでやる!!!




これから出向いて・・・・



アンタの家ごと・・・ブッ飛ばしてやるわ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!






・・・・・・・・・・・・・・・

























GEIZU「あ、あの・・・アリアさん・・・。」














アリア「な・・・何・・・GEIZUくん・・・?」
























GEIZU「僕・・・『殺人教唆』には・・・ならないですよね・・・?」

(殺人教唆 : 他人をそそのかして犯罪実行の決意を生じさせることです(*゜▽゜)b )





























アリア「・・・・・・・・・・たぶん・・・。」





















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




うわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!







むかつく!!むかつく!!!超〜〜〜〜むかつく〜〜〜〜〜ッ!!!





てりりのおかげで忘れる事が出来てたのにッ!!


思いっきり「あの時の記憶」が甦ってきた!!



道に伸びる石畳をコレでもか!?と言うぐらい蹴っ飛ばして「シャレード通り」に向かう!!





いやいや!!!まだるっこしい!!




こうなったら魔法よ〜〜〜〜ッ!!





ビート「我を舞い上がらせよ!!! フェザー・ビートッ!!」



宙へ飛びあがり全身を「風」で包み込むと、私の中の魔力が溢れかえってきた!!



天使の羽の鼓動が私の魔力を吸い上げると、体をフワリと軽くしてくれる!!



『風の力を借りる事』により体重を軽減して普段よりも速く走り!!高く跳ぶ事ができるのッ!!!


道行く人は風のように駆け抜ける私に誰も気付かない!!

だから「スカート」でも安心してとび跳ねる事ができるのよ〜〜〜ッ!!


実は今朝もこの魔法のお陰で「遅刻」しなかったりもする!!!


「回復魔法」を使う者にとって「重要視」される「攻撃回避能力」!!

それの向上の為に身に付けたビートちゃんの「スーパー魔法」の一つよ!!!



そうそう!!私も昔、完全に「空を飛ぶ」事ができれば良いと思って魔法を応用して練習した事があったなぁ〜〜〜。

でもね、「風で人が安全に空を飛ぶ」って言う事は莫大な魔法力を必要とするの。


いろいろと計算したけど、ざっと『魔法使い10人分の魔法制御能力』が必要だったりする。

言うなれば、空を飛べる魔法使いは『この世の中には存在するわけ無い』って事なのよねぇ〜〜〜。



『完全に空を飛ぶ』なんて芸当が出来たら『化物』か『天才』以外の何者でもないわ!!


んっ!?







『私が軽かったら飛べるんじゃないか?』ですって・・・・?





『私の「体重」は元々何kgか・・・?』ですって・・・・?



そんな事はどうだっていいのよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!





魔法を使って屋根伝いにショートカットしていく!!



ぴょん・・・ぴょん・・・と数十件の家を飛び越えるとシャレード通りが見えてきた!!



市場や食堂もあって昼も夜も賑やかなところだけど・・・




「ヤツ」は「通り自体がR指定!?」ってキャッチフレーズで有名な「3番通り」に住んでるみたい!!


こ、こんなイカガワシイ所に住んでるって・・・どういう神経している訳!?あのバカッ!!!






今、走っている屋根の上が繁華街の「1番通り」・・・。



これを飛び越えて、市場の「2番通り」を飛び越えれば・・・ヤツの家が見えてくる!!





よ〜〜〜し、飛び越えて・・・・・っと・・・?










・・・・・・・・・・・・・・・・・・






八百屋のおっさん「これでいいのか?ボーズ?」





てりり「 (*゜▽゜)*。_。)  」







家で留守番している筈の「てりり」が買い物籠を持って八百屋のおじさんとやりとりをしてる??


ここって「シャレード2番通りの市場」だよね?


家からここまでだったら結構、道が入り組んでて迷いやすいのに・・・よく一人でここまで来られたわね??



空を飛んでここまで来たのかしら・・・?




てりりってば・・・やっぱり、買い物してるの!?





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



八百屋のおっさん「ほら!!ニンジンとジャガイモとネギで「500ドニア」だ!!!」




おじさんが「てりり」の買い物籠に丁寧に買ったものを入れてくれてる・・・。







でも「てりり」・・・?あなたお金なんて持ってないんじゃ・・・?








てりり「 (*゜Д゜)つ[ビート] ←名刺」



八百屋のおっさん「おぅ!?ここに「請求」しろってことか?ボーズ??」




てりり「 (*゜▽゜)*。_。)  」



ビート「 ΣΣ(゜Д゜;)!! 」




あ、あの子ッ!!何時の間に「私の名刺」なんて抜き取ってたのよ!?



しかもよく見たら!!てりりの持ってる買い物籠の中ってば「買ったもの」で溢れてる!!




な、なんて機転が利くやつなの!?



八百屋のおっさん「しかしボーズ?この食材・・・今日はご主人様が豪勢な料理を作ってくれるみたいだねぇ?」



てりり「  σ(゜▽゜*)b 」


八百屋のおっさん「おっ!?お前が作るってか??」



てりり「 (*゜▽゜)*。_。)  」



八百屋のおっさん「いいねぇ〜〜〜!!そのイカシタ冗談は最高だ!!ほれッ!「5ドニア」駄賃でやろう!!」


てりり「   ヾ(´▽`*)シ・・〜〜〜〜・・ヾ(*´▽`)シ  」


5ドニアもらって嬉しそうに、てりりが飛びまわる・・・。

八百屋のおじさんは笑ってるけど、これが本当の事だから「私は笑えない」よね・・・。





八百屋のおっさん「じゃぁな?ボーズ!!また来いよ〜〜〜?」



てりり「 後姿→(  )シ」




てりりが八百屋のおじさんから離れてシャレード通りを曲がったわ!!


勝手に名刺を抜き取ってた事は良いとして・・・


ちょっと驚かせてやろっと!!



ビート「て〜〜〜りり!!」



てりり「ΣΣ(゜Д゜;)!!」



あはは・・・急に私が降って来たからびっくりしたみたいね?


仰天して買い物籠を落としちゃった・・・。


ビート「お買い物、ご苦労様!!てりりが頑張ってくれて私も嬉しいわ!!」



てりり「 (´ー`)b 」


うん!!いつも通り元気一杯ね?

はぁ〜〜〜・・・こんなてりりの笑顔を見ていると・・・・





「テリィの愚考」なんて少しずつ・・・








少しずつ・・・・







・・・・・・・・・・・・・・









ビート「忘れてたまるか〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!!!!」




てりり「  ΣΣ(゜Д゜;)!!? 」



ペットは癒しに最適です!って何かで聞いてたけどコレばっかりは許せないのよ!!


絶対にブッ飛ばしてやるって決めたんだッ!!


ビート「てりりッ!!その買い物籠・・・家に置いたら私のところに来なさい!!ブッ飛ばしたいヤツがいるのよ!!待っててあげるから!!」




てりり「 Σ(*゜▽゜)*。_。) 」



てりりも真剣な表情でコクンと頷くと家へと高速で飛んでいった!!


そうよ!!私と「てりり」の二人であのバカをブッ飛ばしてやるんだから!!



シーポンは元来「人間の潜在能力を引き出す能力」を兼ね備えている。

だから「てりり」が協力してくれたら確実にテリィなんてぶっ飛ばせる筈!!


あぁっ!!!もう今の私はテリィをぶっ飛ばす事しか考えられない!!




てりり「 ヾ(`Д´*)シ 」


うん!!ちゃんと家に買い物籠を置いてきたわね?


それじゃ!!ヤツの家に・・・・




ビート「行くよッ!てりりッ!!」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



それから走る事2分・・・あっという間に「ヤツ」の家の前に着いた。





でも・・・そこにあったのは・・・あまりにも見窄らしい家・・・。






てりり「 Σ(;゜Д゜) 」






ふ・・・ふふふふふふ・・・・・






本当に笑いたくなるぐらいに「ボロっちい一軒屋」だわ・・・。



テリィがドルロレ国に在籍していた時、支給された総額は確か「2億ドニア」・・・。


更にはイデアに「移民」した時、テリィの功績から『家』を支給されるらしいって「風の噂」で聞いた事がある・・・。





なのにも関わらず・・・何!?何なのよ?このボロさは!?



壁は「ペンキ」の白と、「水垢」の灰色で「斑模様」になってるし、窓にはヒビが入ってる・・・。



普通「2億ドニア」なんてあれば、豪邸が建つよ!?土地だったら「2ヘクタール」ぐらいは購入できる金額よ!?




それなのに・・・あのチャランポラン・・・




な、なんだって・・・こんなにボロい家に住んでるの・・・・?





きっと「遊び」にお金を使いすぎて「破産寸前」にまで追い込まれているんだわ・・・。





ありえない・・・ありえないわよ!?




「劇的!ビフォーアフター」にでも「応募はがき」を出せばいいのよ!!


格安でリフォームされっちまえばいいのよッ!!



あまりの転落振りに涙が出てきたッ!!!


てりり「  ヾ(;´Д`)つ{  」



ん?なんでだか、てりりが服を引っ張ってる??


ビート「どうしたの、てりり??そうよ?ここに今から「サンダースピア」を打ち込むのよ?」


てりり「 Σヾ(;゜Д゜)シ  」



何よ?驚く事ないじゃない?この世の中から必要ない「虫」が一匹減るだけの事なの・・・。



だからコレは「害虫退治」だよ?


てりり「 ・。σ(´Д`;)ノシ  」



何、てりり???目が血走ってるですって?



そりゃぁそうでしょ?今の私は「殺ル気満々」ですもの・・・。




てりり「m(;。。)m」



むっ!?てりりが土下座を始めた・・・。やめてよ!「将軍が配下を打ち首にしようとしているのを止める老中」みたいなマネッ!!



ビート「ん〜〜・・・でもまぁ、イキナリ滅殺はヒドイか・・・考えても見れば「国家剣魔律」に反しちゃうしね〜〜〜」



そうそう!!街中で「攻撃魔法」を使ったら「刑務所行き」になっちゃうのよね・・・。

頭に昇っていた血が少し下がってきたかも・・・。





ビート「よし!とりあえず、ドアをノックしてみよう!!」


てりり「  (´Д`;)  」


そんなに不安そうな顔しなくっても大丈夫よ?

もう「攻撃魔法」を使ったりはしないから・・・







攻撃魔法はね・・・。










ノックしても反応が無いのでもう一回コンコンコンとドアを叩いてみる・・・。





?????「誰や・・・?」




するとドアの向こうから返ってきたのは、あまりに聞きなれない方言を使う「子供の声」!?



もしかして私!!家を間違えたッ!!?



ビート「えっ!?こ、ここテリィの家じゃないんですか!?」



?????「せや・・・テリィの家や・・・。せやけど・・・誰もおらへんで・・・。帰りぃ・・・」




てりり「 ・・・ (;ノД`) 」



ど、どういう事よ!?

な、なんでテリィの家に子供がいるわけ!?わ、訳がわからないわッ!!

く、詳しく内容を聞かないと帰るに帰れないッ!!




ビート「ちょ、ちょっと!!お願いッ!!出てきて!!」


ドンドンドンっと再度強くドアを叩いて中の子供を呼びかける・・・。




すると不機嫌そうな大きな声が返ってきた。



?????「うるさいねん!!おばはんッ!!新聞の勧誘かッ!?ここの主人は貧乏やから、そんなん無駄やでッ!!!」





お・・・








お・・・お・・・・・・・








おばはんッッッ!?















・・・・・・・・・・・・・・・・・















?????「ったく・・・しつっこいおばはんやったで・・・腹減っとるのにムカついてしょうがないわ・・・・なんか作って食うか・・・?」










?????「しっかし、この家・・・なんで「台所が3つ」もあるねん??意味わかれへんわ・・・・。」









ガタ・・・・ガタ・・・・・ガタ・・・・・ッ!!!!








?????「・・・・なんや?外がうるさいのぉ〜〜〜・・・?」








ガタ・・・・ガタ・・・・・ガタ・・・・・ッ!!!!








?????「あの新聞屋のおばはんッ!!まだ帰らへんのかッ!?」










『!!!!!!!!!ドガーーーーーーーーン!!!!!!!!!』






?????「!!! Σ(;゜Д゜) 」



てりり「  ・゜・Σ(つД`)・゜・。 」





ビート「・・・・・うふっ・・・・・・・・・・」








いい表情(カオ)ね・・・。




私がドアを蹴破って入ってくるとは・・・・思っていなかったって表情だわ・・・。




見た目は「12歳」ぐらいの「いい所のおぼっちゃま」みたいな男の子ね・・・。

来ている服も高級そうな青い服を着て・・・これは「魔法衣」かしら?

何にしても「チョットムカツク感じがするお子ちゃま」だわ・・・。

イメージは「スネちゃま」って所かしら・・・?




?????「な、なんやねん!!お、お前・・・何しとんねんッ!!」




てりり「 ヾ(゜Д゜;≡;´Д`)つ 」






ビート「てりり・・・もう遅いのよ・・・。」


悲しげな表情で、優しくてりりの頭を撫でる・・・。



てりりは必死で私を止めて、「私をおばはん呼ばわりした子供」を逃がそうとしている。



ビート「死ぬ前に教えなさい・・・。ここの「テリィ」は何処に行ったかと・・・「テリィとの関係」を・・・」



?????「なっ!?ね、姉ちゃんッ!!さっきの新聞屋かッ!!」




「おばはん」から「姉ちゃん」に昇格した・・・。

まぁ、少しは寿命が延びたわね?



?????「ここの主人はおらん!!1週間ほど前から出かけたまま帰って来よらんねん!!」



てりり「  (´Д`;=;´Д`)ハァハァ  」



ビート「なるほど・・・で、あんたは何?テリィの弟子?それとも弟・・・?」









?????「ア、アホかッ!!アイツに教わる事なんてナニも無いわ!!オマケに俺が「あの貧乏」の弟やと!?


俺がアイツの弟やったら貧乏すぎて「自殺」してまうわッ!!!」












てりり「 ΣΣ(゜Д゜;)!! 」 
















ビート「まぁ、妥当な回答よね・・・。」
















てりり「 Σ(;TДT)!! 」
















でも、この子がここにいるって事は「留守番」って事・・・。


「何処に行ったか」ぐらいは聞いてるでしょう・・・。




ビート「・・・で、テリィは何処に行ったか聞いてるわよね?」


?????「し、知るかッ!!何でお前に教えんとあかんねんッ!!!!」







ビート「・・・・・・・・・・・・・・・」









『!!!!!!!!!!!!!!ビターーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!』



?????「ブルぅわぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」



てりり「 ΣΣ(゜Д゜;)!! 」









思いっきり・・・叩いた。









ビート「いい事?子供はね・・・大人にそんな口の利き方しちゃ〜〜ダメなのよ?」



?????「な、何すんねんッ!!お前ッ!!お、俺が『イルザーク侯爵家』の人間って解ってんのかッ!!!」



てりり「 ・゜・(つД`)・゜・。 」




ビート「『イルザーク侯爵家』・・・?」



ドルロレ国家において指折りの権力を持つ『イルザーク侯爵家』・・・。

民に優しく、常に先頭に立って魔から民を守る「義」に重い貴族・・・。



確かに『イルザーク侯爵家』には2人の子供が居たと聞くわ・・・。




ビート「そう・・・あなた、『イルザーク侯爵』の子供なの?」



stall「そうや!!俺が『イルザーク侯爵家』の次男坊!!stallやッ!!!」






・・・・・・・・・・・・・・







ビート「嘘つくな〜〜〜〜ッ!!」






『!!!!!!!!!!!!!!ビターーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!』



stall「ブルぅわぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」



てりり「 ΣΣ(TДT;)!! 」





ビート「あんたみたいな「ボンクラ」が『イルザーク家』の人間な訳ないでしょうが〜〜〜ッ!!」





まったくッ!!最近の子供は平気で嘘を吐くから資性が悪いわッ!!



こんな「ボロ家」に『国で指折りの侯爵家の子供』が居るわけ無いじゃないッ!!






『 結論・・・こういう『悪い子』にはお仕置きが必要ね・・・。 』












stall「な、なんで「拳(コブシ)」作って近寄るんねんッ!!こ、こっちに・・・・こっちに来んなやッ!!!」





ビクビクと震えながら、腫れた頬を押さえて後ずさりをしていく・・・。


ボロボロと涙を零して何度も何度も首を・・・横に振る・・・。




ふふふ・・・大丈夫よ?





一時間後には『大人の怖さ』と『社会性の大切さ』を知って、正しい大人の階段を一歩昇っているから・・・!!!






stall「な、なんで『笑顔』ッ!?な、なんで『笑顔』やねん〜〜〜〜〜ッ・・・!!?」





虚しく・・・「自称、侯爵の次男坊」の悲鳴が響いてゆく・・・。





てりり「 ブルブルガタガタ (((((((;TДT)))))) ブルブルガタガタ 」





てりりは私の「折檻」を・・・ただただ、震えて見守るしかできなかった・・・。









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









・ ・・・・・・・・・・・・・・・












・ ・・・・・・・


















ビート「わかった? これからは大人の言う事はちゃんと聞かなきゃダメだよ?」





stall「は・・・はい・・・・すいませんでした・・・。僕が調子に乗っていました・・・。本当にごめんなさい・・・。」




うん!!ちゃんと「標準語」を使えるまでに「反省」したみたいね?


饅頭の様に腫れ上がった両頬を抱えながら私に反省の姿勢を見せている。






てりり「 ブルブルガタガタ (((((((;TДT)))))) ブルブルガタガタ )



てりり・・・そんなにビクビクしないのッ!!

誰の為でもなくッ!!stallくんの為の「折檻」だったんだからッ!!



私は普段は「優しいお姉さん」なんだからッ!!


そんなにてりりが震えたら私は恐い人みたいじゃない〜〜?




ビート「じゃぁ、テリィが何処に行ったか教えてくれる?」






stall「テ、テリィさんは1週間程前・・・通りの真ん中にある『ドルの花園』という「バー」に行くと言って・・・そのまま帰ってきてないんです。」





ビート「えっ!!? お、お酒を飲みに行ったまま、帰ってきてないの!?あいつッ!?」




stall「い、いえ・・・『大きな仕事が入った』とかで・・・

出かける前に景気付けに行くと言って・・・そこから何処へ行ったかまでは僕にも・・・。」




なるほど・・・


とりあえずはその『ドルの花園』ってバーに行かないと始まらないって事ね・・・。







stall「あ、あの・・・もういいでしょうか・・・?ぼ、僕・・・回復魔法はまだ使えないので病院に行きたいんですが・・・。」


てりり「 ヾ(´Д`;)ナデナデ 」



ビート「あ、あぁ〜〜〜ごめんごめん!!」



涙が次から次へと溢れて、痛々しく屈み込むstallくんと それを撫でで慰めるてりり・・・。


そうね・・・ほんのちょっぴり殴り・・・・いやいや、叩き過ぎちゃったみたい。







それでは、ちょっと回復魔法のキュアを一つ・・・




ビート「よっとッ!!」


サッと指を振ると光の粒がstallくんに迸る!!


あっという間にstallくんの「饅頭顔」は元通りにッ!!


stall「 !!? 」



ビート「 どう?完全回復でしょう?? これに懲りたら、『人を信じ、誰にでも優しい人間』を目指しなさい!!」




stall「わ、わかりましたッ!!本当に・・・私には過ぎたお言葉に存じますッ!!」



てりり「 ・・・(´Д`;) 」




よし!!stallくんを『マトモな子供』にする事も出来たしッ!!!




ココまで来たら「意地」でもテリィの顔面をぶん殴ってやるんだからッ!!!




一路、『ドルの花園』を目指そう!!






テリィを・・・ヤツを『ぶっ飛ばしてやる』ッ!!!!!















・・・・・・・・・・・・・・・・・・














・・・・・・・・・・・・・・・・













・・・・・・・・・












stall「行ったみたいだなぁ・・・ビートさん・・・。」














stall「・・・・・・・・・・・」





















stall「とりあえず『子供をバシバシ殴る大人にだけはならない』様にしよう・・・。」













・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・















後で知る事になるんだけど・・・









バシバシと殴っ・・・叩いた彼は本当に『ドルロレ、指折りの権力を持つ「イルザーク侯爵家の次男」だったらしい・・・。







でも、これを機に彼はメキメキとその実力を開花させて「お姫様のご学友」にまでなったらしい・・・。







ここだけの話し、彼の成長の全ては『ビートちゃん』のお陰だったのです(*゜▽゜)b





                                  第6話に続く・・・