題名 : 壊れた時間の先に・・・
第6話 「土曜日 午後、15:02」
一路、stallくんに聞いた「ドルの花園」へとてりりと向かっていた・・・。
通りの中央へと向かって二軒、三軒と駆け抜けていく!!
仕事に向かう前に一杯って言ってたけど、この通りのイカガワシイ雰囲気から言って「一人」で飲んでいたとは考えにくいょね・・・。
ってことはつまり・・・・・
ビート「一体どんな女と飲んでいたのかしら・・・。」
切実な生活を送っていそうなボロ家に住んでて一体何が「一杯」よッ!!
それにしても「白銀の勇者」も落ちぶれたものだわ!!
認めたくは無いけど、戦後は「英雄」として各国に名を馳せていたのに・・・
酒と女に溺れて住んでる家はあまりに汚い「ボロ家」・・・。
挙げ句の果ては「民間の仕事依頼受諾」なんて・・・
んっ!?
でも「大きな仕事」って冷静に考えたらどういう事・・・!?
アイツはイデア国家の「役人」や「王宮騎士」をやっていてもいいレベルの戦士じゃないの??
なんで「傭兵」みたいなマネをやってるわけ・・・?
もう・・・!!テリィの職業を含めて、今の状態が全く理解不能だッ!!!
・・・・・・・
これって、本当にブン殴るだけでいいのかしら・・・?
ちょっと「再教育」の必要があるんじゃない??
もう!こうなったら、性根を叩き直しては「回復魔法キュア」を掛け、殴りつぶしては「キュア」を掛け・・・・
100回ぐらい反復しないと気が済まないわ!!!
などと考えながら走っていると、アッという間に通りの中央に着いちゃった!!!
けど・・・・
ビート「な・・・ななな・・・」
目に飛び込んできたのは・・・・思いもよらなかった種類のお店・・・・。
てりり「 ・・・ (;゚-゚) 」
夏の日差しの下、燦々と降り注ぐ太陽の光・・・
にも関わらず、店全体から溢れ出るのは「邪な波動」に鼻を突く「腐臭」・・・。
昼という事でネオンサインは消えているが真っ黒の壁に無造作に付けられた虹色の扉・・・。
雰囲気に彩りを添えようとしているのか?来る客を威嚇しているのか?
入り口の両サイドには、大きな「ラフレシア」が2輪、飾られている・・・。
(世界最大の寄生植物です。腐肉のニオイを出してハエをおびきよせ、受粉させると言われています。(*゚Д゚)b)
ラフレシアから放たれる腐臭であまりにも多くの「ハエ」が飛び回る。それを捕まえるため、ラフレシアの真上に「ハエ取り紙」をぶら下げているが、ハエが付きすぎて白いはずのハエ取り紙が真ッ黒くなっている・・・。
こ、この店って・・・一体全体・・・何を考えてこんな趣向を推奨してるのッ!!??
い、いやいや・・・・そ、それ以前に・・・・・
ビート「き・・きき・・・気持ち悪ッ!!!!」
思わずポーチからハンカチを取り出して、鼻と口を押さえつける!!
数歩後ずさりして店の屋根を見上げると・・・・信じられない看板がッ!!!
ビート「お・・・おかまバー!!? 『ドルの花園』ッ!??? 」
てりり「 ・・・(;´Д`) 」
アイツ・・・何処までイカレてるのよッ!!
お・・・おかまって・・・・おかまって一体なんなのッ!!??
堕落して金も権力も底をつきた結果、女にも相手にされなくなって・・・おかましか相手にして貰えないっていう事ッ!!?
てりり「 (´Д`;=;´Д`)つ{ }
てりりが私の服を引っ張って店を離れようと言っている・・・。
・・・・・・・・・
そうよね・・・
テリィはもう・・・私たちとは「全く違う世界のヒト」になっちゃってたみたいね・・・。
この店の外観を見て・・・今のテリィに会うのが嫌になってきた・・・。
・・・・・・・・・・・
昔からちょっとバカっぽくて・・・でも、どこか頼りがいがあって・・・
街の人にも凄く人気のあるヤツだったのに・・・
軍部に在籍していた時、何度も協力してミッションを遂行したりもした・・・。
アイツが魔物を散らして、傷ついては私が回復したりして・・・・
そうだ・・・何回か私を庇ってくれた事もあったなぁ・・・。
てりり「 ・・・・(;´Д`) 」
ビート「昔はあんなに・・・「誰にでも優しいヤツ」だったのに・・・」
・・・・・・
って・・・!!!
あんなヤツッ!!優しくなんかないッ!!!タダの・・・タダのバカだもんッ!!
みんなを心配させて・・・何処に行ったかも分からなくなって・・・
仲間の中でも一番信頼できるヤツだったのに・・・・
一番頑張ってたヤツなのに・・・・
それを見事に裏切って・・・
・・・・・
なんか・・・・もう・・・情けない・・・・
ドッと疲れが出てきたのかな?体から力が抜けてへたり込んじゃった・・・。
てりり「 Σ(;゚Д゚)つ{ }
うん・・・てりり・・・心配してくれてるんだね・・・ありがとう・・・。
でも・・・もう・・・・立てないのよ・・・・。
『裏切られた』っていう気持ちで心が一杯になって・・・なんだかやるせないんだ・・・。
てりり「 ・・・(;´Д`)」
???「こんな所で何をしておる?邪魔になるから向こうへ行け・・・。」
貫禄のある低い声が聞こえてくる・・・。どこかの男の人が話し掛けてきた・・・?
でも今の私に振り返る気力はない・・・。コレばかりは「回復魔法のキュア」でも回復できるモノじゃないのよ・・・。
・・・っと・・・?
地面を見つめる私の周囲が何故か影に包まれていく・・・?
不思議な現象に少し動転して地面から目を上げた・・・・。
でっかいオカマ「ワシの勤める店の前で何をしておる・・・小娘?」
そこに居たのは『貫禄のある男の人』じゃなかったッ〜〜〜〜〜ッ!!
切れ目で顎の割れたイカツイ人相ッ!!!鍛え抜かれた両腕に発達した胸筋に背筋ッ!!!
にも関わらず無駄に付けられている「可愛らしいモノクロのリボン」ッ!!!
超萌え系の「ゴスロリ」に身を包んだ身の丈2mはある筋肉隆々の「超兄貴」が私に話しかけてきてるッ!!!
でっかいオカマ「ここは『おかまバー』だぞ?『ノーマル』の貴様が来るような場所ではないわッ!!!」
首をフルフルと振りながら後ずさる・・・。
はいッ!!その通りで御座いますッ!!!私だってこんな場所だって・・・「おかまバー」だって情報を仕入れていたら
ここには来ませんでしたッッ!!!
ビート「て、てりりッ!!か、帰ろうッ!!!は、早くおうちへ帰ろう!!!」
てりり「 (;゚Д゚);。_。);゚Д゚);。_。) 」
や、厄日だ・・・。
今日は紛れもなく厄日だわ・・・。だって有り得ないわよッ!!私の知らない世界だったとはいえ・・・ここまでイカツイモノを見せられるなんて
思ってもみなかった・・・・。
でっかいオカマ「何をしておるッ!!早々に立ち去れぃ!!!」
ビート「わ、分かってるわよッ!!焦らさないでッ!!!」
思わず目を合わせて大きな声で言い返すが、ぶっちゃけ「店」も「あなた」も恐ろしいのよッ!!!
ん〜〜〜ッ!!!むしろキモイッッッッ!!!!!!!!
か、体の震えが・・・・止まらないよぅッ!!!!
その時・・・
でっかいオカマ「・・・・んっ?・・・・・」
でっかいオカマが私の方へとススススッ!!!っと近寄って顔を覗き込むッ!!!?
や、止めてッ!!!私、オカマは生理的に受け付けられないんです〜〜〜ッ!!!
でっかいオカマ「おぉ・・・・いつか来る・・・いつか来る、とは思ぉておったが・・・・遂に来たのか・・・。」
ビート「 !? 」
てりり「 (;つД`) 」
・・・・・・・・
えっ・・・?ど、どういう事???
でっかいオカマから発せられた言葉に耳を疑う・・・。
いつか来る・・・?ってどういう事・・・?ア、アナタは私の事を知っていたって言う事なの??
でっかいオカマは中腰になって私の手を引くと、立ち上がらせながらニッと笑う・・・。
チェリー「ワシの名前は『チェリー』・・・。テリィから主の事は「耳にタコができる」程、聞いておる・・・。」
ビート「 !? 」
てりり「 (´Д`;=;´Д`)ハァハァ 」
テリィから聞いているって・・・この人?・・・もしかしてテリィの事を知っているって言う事ッ???
っていうか・・・なんでアナタが私の事をテリィから聞くのよッ!? い、一体テリィから何を聞いていたって言うのッ!!?
チェリー「大したことはできぬが持て成そう・・・。さぁ・・・付いてくるがいい・・・。」
薄暗い店内へと続く入り口をチェリーは堂々と歩いて入っていく・・・。
この場に来て・・・テリィが私の事をどういう風に喋っていたのか気になって仕方がない。
思いもしなかったけど、引かれるように私は店内へと入っていった・・・。
・・・・・・・・・・
薄暗い通路を歩いていくと少しずつ「お香」の甘い匂いが香ってくる・・・。
一歩、また一歩と歩く度に沈む足取り・・・高級な絨毯を使用している事が感覚で理解する事ができた・・・。
花瓶に飾られたばかりの花、清掃された美しい店内・・・。
15組の豪華なソファーとテーブルが置かれ、店の外とは打って変わって気品ある装い・・・。
一番奥に設置されたカウンターは一度に20人は接客できそう・・・。
パチンとスイッチの入れる音が誰もいない薄暗い店内に響き渡るとカウンターにだけ「美しい光」が注がれた・・・。
カウンター後ろの棚に沢山並べられたの洋酒のボトルたち・・・。
誇らしげにその光を全身に受けるとキラキラと一斉に輝きはじめる。
正直、おかまバーと言う事で敬遠していたけど、この気品ある光景は私が想像していた「高級クラブ」となんら変わる事はない・・・。
まさに「夜の世界」の見本とも言うべき風格をこの店は持っている・・・。
ビート「テリィはここへは・・・よく・・・?」
チェリー「うむ・・・週に2〜3回は顔を出すが・・・ここ1週間は見ておらぬな・・・。」
週に2〜3回か・・・
認めたくはないけどその気持ちが少し分かってしまう・・・。
壁に掲げられた「3人の美しい女性」は、きっとこの店の『トップ3』なのね・・・・。
チョット可愛い女の子・・・程度じゃ正直、足下にも及ばない位「綺麗な人」ばかりだ・・・。
女も嫉妬する美しさって言うのはこういうのを言うのだろう・・・。
チェリー「さぁ、我が店自慢の「100%リンゴジュース」だ・・・。本来ならばカクテルの素材に使用するのだがヌシは「未成年」であったろう・・・?」
てりり「 (*´▽`)シロ 」
そう言ってカウンター越しに私と てりり へグラスを手渡すとチェリーも私たちの物とは違う色をした飲み物をゆっくりと飲んでいった・・・。
ビート「は・・はの・・・」
あの・・・と言いたかったのに・・・・格好悪いほどオドケタ声が出る・・・。
だってしょうがないじゃない!?見ず知らずのオカマが私の事を知っていて、尚かつテリィがそれを話していたなんて思ってもいなかったんだもの!!
だけど私の声にチェリーは目を瞑ってカウンターへ肘をつく・・・。そして一息置き、優しげに私の目を見つめた・・・。
チェリー「ヤツの言っていた通り・・・澄んだ綺麗な瞳だ・・・。」
てりり「 Σ(゚Д゚;)!! 」
ビート「 ッ!!!? 」
思わずチェリーさんから目を反らしてしまう!!
澄んだ瞳!? 言っていた通り!? い、いい・・一体!!テリィのヤツ!チェリーさんに何を言ったのよ!?
チェリー「この店に来る度、ヌシとの思い出話を聞かされての・・・少々妬けたぞ・・・?」
てりり「 Σ(;゚Д゚)!! 」
カンラカンラと笑顔で話すチェリーさんだけど!!わ、私は恥ずかしくって仕方がない!!
アイツッ!!人が知らない所で一体どんな話をしたって言うのッ!!?
チェリー「初めて逢った時の事・・・。ヌシと幾つもの『死線』をくぐり、庇い合った事・・・。
ケンカしつつも共に過ごした日々・・・。それはもう楽しそうに話しておった・・・。」
てりり「・゜・(*ノДノ)・゜・。」
ビート「 !!! 」
な、なんですってッッ!?そ、そんな事喋ってたのアイツ!?
で・・・でも楽しそうって・・・
動揺する気持ちを静めるためにリンゴジュースを半分ぐらい一気に飲む・・・。
チェリー「ふふふ・・・」
私の飲みっぷりに笑顔のチェリーさん・・・。ふぅ・・・だけどこれで少しは冷静に・・・
チェリー「最後にテリィとケンカ別れしたそうだの・・・?」
ビート「 ぶっ!!! 」
てりり「 吹き出したジュース→<<<<<・゜・(つД`;) 」
な・・・なにッ!?そ、そんな事まで言ったのッ!!?
ビート「あ・・あの!!別にケンカとかって訳じゃッ!!」
チェリー「なに・・・隠す事もあるまい・・・。テリィも随分と気にしておったのでな・・・。ちょっと耳に入れておいてやろうと思ったまで・・・。」
ビート「そ、そうなんですか・・・?」
私から喋るタイミングはなかったけどチェリーさんは「私と別れた後のテリィ」の事を数十分くらい話してくれた・・・。
てりり「 〜〜〜〜〜〜〜〜〜ネバネバ(;つД`)つ 」
私とチェリーさんの会話が退屈だったのか?体に付いたジュースを取るためか?てりりが店の外へと飛んでいく・・・。
でも私はチェリーさんの話を少し・・・ドキドキしながら聞き入っていた・・・。
チェリー「 ドルロレのグレース灯台付近でのミッションの時は二人っきりで行動したらしいの・・・。 」
チェリーさんの言葉でふと、昔を思い返す・・・。えぇ・・・確かにあったわね、そんな事も・・・。
灯台付近に蔓延った魔物を駆逐する為に二人で行動した時の事よね・・・?
あの時は一日で終える任務の筈が思いの外、時間が掛かって『野宿』する羽目になったんだ・・・。
チェリー「懸命に火を熾し、闇夜の中でスヤスヤと眠ったんだの・・・?」
ビート「あ・・・あははは・・・あの時は疲れていて・・・思わず・・・」
そうだ!思い出した!!「先に寝た方が負け!!」とか言いつつ一瞬で私、眠っちゃったんだ!!
でも、あの勝負は起きた時、二人とも寝てたんだからドローだよ・・・。
チェリー「眠るヌシを見て・・・欲望に負けたと言っておったの・・・テリィのヤツ・・・。」
へぇ〜〜〜〜・・・欲望に負ける・・・確かにアイツも眠っちゃってたしね・・・。
人間、どんなに頑張っても『睡眠欲』には勝てないものよ・・・。
まぁ、テリィは寝たい時に寝るって動物みたいな習性を持ってるヤツだし・・・
チェリー「甘い吐息・・・揺れる髪・・・無防備な寝相・・・」
・・・・・・・・・・・・・
エッ・・・?
チェ・・・チェリーさん・・・な、何を言ってらっしゃるのですか・・・・?
チェリー「どうしても、どうしても・・・食べたくなったと言って・・・」
ビート「ちょ・・・ちょっと待ってョッ!!!そ、それってッッッッ!!!!!!!!!!??????????」
チェリーさんの言葉で思わず目を背ける!!
な、何よそれッ!!!あ、アイツ私が寝てる時・・・・そ・・・そんな事しようとしたって言うのッッッ!?
そ、それって・・・・それって『犯罪』じゃないッ!!人の事「お嬢ちゃん」とか言っておいて・・・。
確か当時の私は「13歳」の筈よ!!
あ・・・あの・・・・あの「ロリ勇者」めッ!!!
チェリー「はっはっは・・・まぁ、結局テリィの思いは通じずに離ればなれとなってしまったと言っておったが・・・
ヌシがこうしてここへ来たという事は少し「脈あり」と言う所か・・・?」
ビート「・・・・・・・・」
もう・・・言葉が言葉にならない・・・・。
テリィをブン殴ろうと思ってここまで来たけど・・・訳が分からないよッ!!
昔の事といい、今の事と言い・・・テリィの事・・・もう分からない・・・。
でも、アイツに対して分かっている事はただ一つ!!!
ビート「さ、最低だよッ!!!アイツ!!!」
チェリー「そんなに怒る事もあるまい・・・。一目惚れをして愛して病まない娘が側に追っては男も理性を失うというモノぞ・・・?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ッッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!????
テ・・テリィが・・・・私の事を・・・・・ッ!?
ひ・・・ひとめ・・・・ぼれ・・・・・・?
チェリー「ふふふ・・・何をそんなに動揺しておる?」
ニヤニヤして私を見つめる直球主義のチェリーさんは3杯目のお酒を既に飲んでいる。
だけど酔ってもいない私にそんな話をされても動揺しかできないんですけどッ!?
あ、汗が額にめちゃくちゃ滲んでくる・・・。そ・・そそそ・・・そうだ!!ハ、ハンカチ・・・。
店内は冷房が効き始めて少し涼しい筈なのに、汗が止まらない・・・。
そんな風に火照って動揺する私に笑顔のチェリーさんは冷えたリンゴジュースを差し出しながらポンと肩を叩いた。
チェリー「まぁ、再会した時は素直な気持ちで臨むが良い・・・『エリザベート』よ・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はっ・・・???
い、今・・・なんて言いました・・・?チェリーさん・・・?
チェリー「まだ「火照り」が冷めやらぬか?随分と無垢な娘よのぅ・・・『エリザベート』は・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『エリザベート』・・・・・・?
それって・・・
その名前って・・・・・
確か、昔・・・・テリィが飼っていた・・・
ビート「それッ!!!『馬』の名前だろぉぉぉぉぉォォォォオオオーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!」
チェリー「な、何ッ!?それではヌシはエリザベートでは無いというのか!?」
ビート「ち、違うわよッ!!!エリザは馬の名前よッ!!!」
大きく目を開いて私を強く見つめながらイキナリ肩をグッと掴む・・・。
なに慌てふためいてんのッ!!?私が慌てたいわよ〜〜〜〜ッ!!!!
チェリー「は、初めてあった時、牧場のオークションで格安に売られていて・・・・「俺が求めていたのはコイツだッ!!」って・・・」
ビート「アホかッ!!その時点で不自然じゃないッ!!!って・・・しかも格安ってなんだッ!?」
ふざけないでよッ!!人身売買で出会いが始まってたまるかってのッ!!!
チェリー「困難な任務も貴様がテリーを背に乗せて、二人で戦場を駆けたのではないのかッ!?」
何なのョッ!?私がテリィをおぶってたまるかッ!!!それは余りにあり得ないでしょう!?
ちょっとッ!!・・・その「お前ならできるだろう?」みたいな表情、止めなさいよッ!?
チェリー「最後のケンカの時、首にカジリ付かれたから思いっきり蹴っ飛ばして・・・そして離別したのでは・・・?」
全然違うッ!!私はエリザに乗って地平線に消えるテリィを見送ったわよ!!!
ってか・・・・あ、アイツ『エリザ』を喰おうとしたんかッ!!!???
チェリー「な、なんと言う事じゃ・・・よもや『エリザベート』ではなかったとは・・・・」
ふ〜〜〜やれやれ・・・みたいな感じで溜め息を付いてるチェリー・・・。
でも、その姿・・・見れば見るほど腹が立ってしょうがない・・・。
チェリー「で、貴様の名前は一体なんだというのだ・・・?」
ビート「私の名前は『ビート』よッ!!『ビート』ッ!!!」
フッと目を閉じて少し考え込む・・・。すると不機嫌そうに髪を掻きむしりながら「おかま」は言った。
チェリー「そんな『名前』・・・聞いた事無いわい・・・。」
ブチッ・・・と・・・・私の血管が切れる音が・・・・・・
でも、当然でしょう・・・?
こんな巫山戯た話に『時間』を費やされて、今の私は「怒りMAX」・・・。
こんな「バカなオカマ」と話している時間は勿体なさ過ぎる・・・。
この怒り・・・テリィにぶつけるしかない・・・・。
ビート「チェリー、もうアナタと話す事は何も無いわ・・・。テリィの居場所を早々に教えなさい・・・。」
チェリー「ふぅ・・・イキナリ何を言い出すかと思えば・・・。」
ガタっと音を鳴らせながらカウンターから出てくるオカマ、チェリー・・・。
据えた目を私に向けて、色っぽさを強調しながら腰に手を乗せる・・・。それがまたキモイ・・・。
チェリー「ヤツは『今回の仕事場』へと出掛けて行ったが、その場所を教える事は出来ぬナァ・・・。」
凄味を見せて少し威嚇・・・?でもね、チェリー・・・ここで退く程、私はヤワじゃない・・・。
ビート「何、言ってるのよ・・・?仕事場だろうが関係ないわッ!!!教えなさいッ!!!!」
私の大声が誰もいない店内に木霊するが、チェリーも此所ぞとばかりに吠え返してきた!!!!
チェリー「女、子供が『男の仕事場』に・・・・顔を出すんじゃねぇ〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!!!」
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
何言ってるの・・・?コイツ・・・?
言い返す言葉は一つしか見つからない・・・・・・・・・・・。
ビート「『オカマ』のアナタに・・・何も言われたくありませんッッ!!!!!」
一触即発・・・超険悪なムードが店内を包み込む・・・。
チェリーの右手はコブシが作られ、私の魔力も研ぎ澄まされていく・・・。
ビート「・・・・・・・・・」
チェリー「・・・・・・・・・」
昼間にもかかわらず薄暗い店内に殺伐とした空気が流れる・・・。
暫くの沈黙の後、チェリーが願ってもいない提案を出してくれた・・・・。
チェリー「ヌシ・・・引かぬ様ならばこう言うのはどうじゃ・・・?」
ビート「・・・?」
チェリー「今から『闘技場』へと行き、主が勝ったら『テリィの居場所』を教えよう・・・。しかし、ワシが勝ったら『諦める』・・・。どうじゃ・・・?」
闘技場・・・
チェリーの言う『闘技場』とは国営による管理の下、運営されている「公共の闘技場」・・・。
ここから数分も歩けば見えてくる煉瓦に包まれた仰々しいスタジアムで民間人も気軽に使用できる施設である。
僅かな金額で使用できる親切、かつリーズナブルな設定・・・。
この施設のすごい所は、施設中で発生した『犯罪のすべて』は外界へと反映される事が無い事・・・。
つまり、暴力抑止法である『国家剣魔律』が全く適用されない空間なのだ・・・。
この闘技場の内部は大きく3種類のルームに分かれていて『フリールーム』、『ファイトルーム』、『コーフィンルーム』に
分類される。
『フリールーム』と『ファイトルーム』は知り合い同士が楽しく「剣」や「魔法」を競い合う空間だが、今、チェリーが私に誘っているのは間違いなく、「殺人」が起こっても施設の人が後処理をしてくれると言う・・・
チェリー「当然、『コーフィンルーム』での戦いになるだろうがのぉ・・・」
やっぱり・・・・
『コーフィンルーム』・・・・
文字通り、部屋に入ったが最後・・・その部屋自体が『闘技場』から『棺桶』へと変わってしまうと言う「曰く付き」の部屋・・・。
何が『諦めろ』よ・・・。このオカマ・・・上腕二等筋に力を入れて・・・。
私を殺す気満々じゃないのよ・・・。
ビート「・・・・・」
チェリーが私をこの部屋へ誘う行為・・・。
確かに貴方の肉体は常人のモノではないと断言できるほど鍛え抜かれていることが解るよ・・・。
チェリーは私よりも戦闘向きの体型をしている・・・。
「一撃」でも貰ってしまえば、私の骨なんて簡単に砕けてしまいそう・・・。
でも、チェリーは私を見縊っている・・・。
私はれっきとした『魔法使い』なのよ・・・。
『肉体の強度は関係ない・・・。』
まったく、チェリーは理解していない・・・。
私が戦争を経験し、幾度と無く『死線』を潜り抜けた事を・・・。
『あなたはその『時間』を所有してはいない・・・。』
ビート「ふふふ・・・変な気分になっちゃうわね・・・。」
チェリー「ふっ・・・何が・・・?」
悠然と私を見下ろすチェリーに、ただ目を閉じて笑みを浮かべる・・・。
何を・・・?
当然それは・・・
ビート「『釜』を『桶』に突っ込む事になるなんて思いもしなかったからよっ・・・!!!」
私とチェリーは、それを最後に沈黙のまま『闘技場』へと向かっていった・・・。
第7話に続く・・・