題名 : 壊れた時間の先に・・・

第7話 「土曜日 午後、18:21」


店を出てから、終始無言のまま到着した闘技場「クロノ・スタジアム」・・・。


アーチを等間隔に設置して外壁を形成した煉瓦造りは、いつ見ても見事の一言に尽きる。


この施設の歴史は意外と浅く、設立されたのは十年足らず前の事・・・。


今では伝説となった「蒼き英雄」と呼ばれる騎士が当時14歳という年齢にもかかわらず、

ベテランの王宮騎士を50人連続で打ち倒したという偉業を称え、国王が設立した施設である・・・。



実はこの「蒼き英雄」・・・何を隠そう?戦時中、私やシトラス院長、ついでにテリィの上司、クロノス様だったりする・・・。

この建物を見るたびに思うけど、あれほど強かったクロノス様が死んでしまったなんて信じる事が出来ない・・・。


感傷に耽りながらアーチをくぐり、闘技場の入り口を抜けると薄暗い石造りの廊下が奥へと延びる。

この先に、「施設使用受付所」が有るんだよね・・・。



・・・・・・・


実はこの施設の内部に結構詳しいビートちゃん・・・。


私がここへ来るのは今日で『3回目』なんだ・・・。



一回目はシトラス院長(当時、国軍、第8部隊 隊長)に連れてこられた時・・・。


私が軍部に正式登録するということで、最終試験の時に「フリールーム」を使用したんだよね・・・。






ふぅ・・・・



あの時は「ボロボロ」に負けちゃったんだよね・・・。


戦士のシトラス院長・・・手加減もしてくれないから「攻撃魔法の詠唱」すらさせてくれなかったんだっけ・・・。

まぁ、アレで私の弱点を理解する事が出来たから感謝しているわ・・・。


2回目はテリィと大喧嘩した時だったっけ・・・。


私がみんなの為に作ったオムライスを勝手に一人で全部食べてブチ切れしちゃった時だ・・・。

ボコボコにする為に「コーフィンルーム」に放り込んだんだけど、「お嬢ちゃんは足が遅いなぁ〜〜」なんて

笑いながら私の攻撃の全てを避けられた事を覚えてる・・・。



オマケにあの時、攻撃を避け様・・・何回も私の頭を撫でたんだよね・・・。

悔しいのを通り越してムカついてムカッついて、しょうがなかった・・・。




チェリー「ふん・・・小娘。今になって逃げるなよ・・・?」



店を出て、久々にチェリーの声を聞くが・・・それは私のセリフよ・・・。


ここへ連れてきた事を後悔させてあげるんだからッ!!!



受付員「あ〜〜〜〜・・・お二人で・・・?」


廊下の終着、私達の顔も見ずに下を向いたまま、眠たそうに受付員が声を掛ける・・・。


この受付の先に赤く光る3つの球体がプカプカと宙に浮かんでいるが、それに触れる事によって3種の闘技場への道が開かれる。


単純に「各ルームへの転送装置」だ・・・。


転送された先には出口は無く、『使用可能時間』が過ぎるまでこの場所へ戻ってくる事は出来ない。

まぁ、例外として「使用申請登録者のキャンセル」で即、戻る事も可能・・・。


受付員「フリールームで・・・?」




チェリー「『コーフィンルーム』を1時間使用だ・・・。」

手慣れた手つきで手元の装置を操作していた受付員だったが、ハッと顔を上げ、チェリーの言葉に耳を疑っている・・・。




まぁ、そうだよね・・・。今では『コーフィンルーム』を使用する民間人なんてザラにはいない・・・。



受付員「またあんたかい?・・・好きだねぇ・・・。チェリーさん・・・。」




ビート「 !? 」



チェリー「ふん・・・さっさとしろ・・・。」





また・・・!?またって・・・この「おかま」・・・。『コーフィンルーム』を使用する事が多いって事・・・?


受付さんがハッとしたのは「聞きなれた声」だったから・・・?


只でさえ「曰く付き」の部屋だって言うのに・・・一体、何者なの?このオカマは・・・?




受付員の言葉を聞き終えるのを待たずに赤い球体へと歩いていき、それに手を触れる・・・。



チェリー「どうした・・・?さぁ・・・楽しもうぞ?小娘・・・。」



余裕の笑み・・・。


私は「コーフィンルーム」への久々の入場に固唾を飲んで赤い球体に手を触れた・・・・。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





てりり「・・・・・フキフキ(ÅД゜)〜〜〜」





てりり「 ・・・・(*´Д`)?・・・・」





てりり「 ??(´Д`;=;´Д`)???」




てりり「 ・・・・(;´Д`)?・・・・」








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




てりりは今頃どうしてるだろう?店に置いて来ちゃったけど、店に誰もいない事が分かれば家に帰るかな?

家への帰り方も知ってる訳だし大丈夫だよね・・・?




ルームへの転送中、ふと、てりりの事が過ぎる。まぁ、今回は「本気」で戦っちゃうから瞬殺で戦いは終わるだろうし問題はないか・・・。



チェリー「さぁ、着いたぞ。」


チェリーの言葉に閉じていた目をフッとあける。そこには夥しい程の血の後が部屋中を覆っていた。



30m四方に包まれ、天井までの高さは約10m・・・。この空間でどれだけの「死闘」があったのか・・・?


地を這い、伸ばした手の後を容易に想像できる「生々しい血の跡」・・・。

ツンと鼻を突く「鉄臭」・・・。

仄かに湿った「空気」・・・。

音のない部屋に広がる「悲鳴」・・・。


正直、前回は調子に乗ってこの部屋に入ったけど・・・二度と此所へ来るつもりはなかった・・・。



テリィも最後は「こんな部屋に入るのは最後にしようぜ・・・お嬢ちゃん・・・。」って泣きベソかいてたもんね・・・。




チェリー「顔色が悪いぞ?小娘・・・。今謝れば「半殺し」で許してやるが・・・?」



はっ、「半殺し」ですって、このおかま・・・?


それだけ「筋肉」に包まれた体でどんな動きをするのか?ほんのチョッピリ気になる所だけど、今回の私はマジですッ!!


あんたにテリィの居場所を聞いた後、「キャンセルします」ッ!!!って言わせてやるんだからッ!!!




魔力を研ぎ澄ませて、部屋の隅、対角の定位置に着く。


私とおかまの距離は42.4m・・・。この距離・・・簡単に想像ができるけど、遠距離攻撃が可能な「魔法使い」の私にとっては有利以外の何物でもない。



チェリー「ワシの投げるコインが地に着いた瞬間から、始めるぞ・・・。」



ビート「そう・・・分かったわ・・・。でも・・・その前に・・・」




白いワンピースの下・・・私はいつも一つのペンダントを隠し持っている・・・。


傷が多く付き、重い輝きを放つ十字架の「金の首飾り」・・・。



チェリー「ふん・・・神に祈るか・・・?残された命、何に使うも良かろう・・・。」




神に祈る・・・?そうね、私は「神様」を信じているから毎週、日曜日にはなるべく欠かさず礼拝をしてるょ・・・。



でも、この首飾りは「十字架」の形をしているけど・・・大切な「変身アイテム」・・・。

コレを使えば私の戦闘力は格段にUPする・・・。


ビート「さぁ・・・いくわっ!!!」



チェリー「ぬ・・ぬっ!!?」



魔力を込め、右手で強く十字架を握りしめる。かつて「蒼き英雄」に托された「金の首飾り」・・・。


これは「白いワンピース」から「戦闘着」へと衣装を変えてくれるだけじゃない・・・。


私の「弱点」を補うために、与えられた「変身アイテム」・・・。




チェリー「ぬぅぅ・・・まさか・・・「変身アイテム」を・・・?」



今の時代、変身アイテムを使用する人は少ない・・・。

防御力の高い鎧や法衣などの戦闘装備は戦後、ファッションの一部として急速な進化を遂げて普通の服と同等にまで「着心地」が良くなっているからだ・・・。

でも、私が身につけるこの法衣は今、現在「王宮法術士等の上級魔術師」が着ている物を遥かに凌駕する性能を誇っている・・・。



B10「さぁ、行くわよ・・・?」


「シルバーグローブ」の上から右手の指に嵌められたプラチナ、エメラルド、サファイアの3種のリング・・・。

妖精達が集めた「陽香の花の蜜」でコーティングされた「妖精のローブ」・・・。


この装備が私の魔力を更に研ぎ澄ませる・・・。








チェリー「・・・・・・・・・・・・」








ふふふっ・・どう・・・?チェリーから見て、私の魔力はさっきまでの3倍以上に感じているはずだけど・・・?









チェリー「はっはっは・・・なかなかして・・・大した物だ。よもやこのご時世にヌシの様な小娘の「変身」を見れるとは思いもしなかった・・・。」



B10「 !!!? 」



むむむ・・・?随分と余裕な表情・・・?オマケに笑いながら「小銭入れ」を探ってる?


このおかま、私以外に「変身」を見た事が有るのかしら・・・?


・・・ってか、その「ウサギ柄の小銭入れ」!!!アンタが持ってるとキモイッッ!!!




チェリー「ヌシの余興・・・面白かった・・・。では・・・ゆくぞ?」




指でコインを弾くと高い金属音が無音の部屋に響き渡る。



このコインが地面に着いた瞬間からが戦いの始まりだッ!!!




私はゴスロリの服を着たチェリーに鋭い眼差しを向けながら、指に魔力を一気に送り、その時を待つ!!





チェリー「さぁ、血に舞うがよい・・・小娘・・・。」




開いた両手をゆっくりと握りしめるのが見える・・・。


向こうも気力充実ってトコロね・・・。












キーーーーーーーーーーーーーーーン・・・・・・・・・









地面から音が鳴った瞬間、私は息を大きく止め、「サファイアリングを嵌めた人差し指」をチェリーに向けた!!!








私が放ったのは青い光が一線に突き抜ける雷撃・・・。


魔法使いであれば誰でも使えるが本来なら『詠唱』が必要な・・・。


「テリィと別れ際に放った」あの魔法・・・。








『サンダースピア』だっ!!!







チェリー「ぐぅっ!!?え、『詠唱完全省略』だとぉ〜〜〜〜〜ッ!!!!???」




そう!!魔法使いであれば誰もが望む『詠唱完全省略』・・・。


まだるっこしい「詠唱」を唱える事でやっと形成される魔法だけど、それを全て無視して瞬時に魔法を構築する事ができる魔法使いの「裏技的技術」!!!



回復魔法は元々省略できるんだけど「それ以外は苦手」な私はこの姿に「変身」することで、「サンダースピアとフェザー・ビート」の詠唱省略を可能にする。

これが私の「変身」の最大の利点!!


ついでに言うと魔力もしっかり上がるのでサンダースピアの威力も大木を一瞬で黒焦げにできちゃうぐらいまで攻撃力UPするッ!!!



眼前に向かうサンダースピアに目を奪われちゃって・・・。



もうお終いね・・・チェリー・・・。



せめて、あなたの命が助かる様に私も祈ってあげるわッ!!!





チェリー「ふんッ!!!!その程度で勝ち誇るな・・・小娘がッ!!!とくと見よッ!!!我が『ティモーレ女僧院流』の秘技を〜〜〜〜ッ!!!」






B10「ティ、ティモーレ女僧院流ッ!?」



な、なにそれ!?き、聞いた事のない「流派」っ!?


右手を私の魔法に向けて闘気を込めた!!!


それで魔法を「相殺」するつもりッ!?




チェリー「これが・・・・『剛法避雷針』じゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」




大きな岩を粉砕した様な爆音が響いた瞬間、部屋中に放電膜が弾け、視界に発光が襲いかかる・・・。



B10「っッ!!!」



ゆっくりと閉じた目を開けると白い煙の向こうにオカマの笑みが見えてきた!!!




B10「な・・・なんで・・・なんで立っていられるの・・・?あなた・・・??」




チェリー「くっくっく・・・何を驚いておる?貴様の雷撃は全て・・・地面へと流したわ・・・。」


B10「雷撃を『流す』・・・?」



チェリー「そう!!右手に溜めた闘気で雷撃を一点に纏め、体内を通しながらも両足から地面へと雷撃を受け流す秘術ッ!!!」




B10「な、なんですって!!!???」





おかしいッ!!このオカマ・・・。誇らしげにウンチクを語ってるけど・・・




そんなこと、『ありえない』よッ!!!





チェリー「くっくっく・・・その青ざめた表情はいいの・・・。気分を高揚させる・・・。」






オカマが何か言ってるけど耳に入らない・・・。




だってどうしても納得がいかないのよ・・・。




確か、あなたは・・・『剛法避雷針』って叫んでいたわよね・・・??




ってことは・・・避雷針って事は「地面へのアース処理」が必要でしょう?




このゴスロリのオカマ・・・長身のくせに結構『 厚底 』のシューズを履いているのよ・・・??




その厚底・・・ゴムだよね・・・?「絶縁体」だよね・・・?



って事は「電気」・・・体で止まっちゃうでしょう?



なんか髪の毛が茹だってるって言うか・・・煙、出てるよね・・・?


なんか・・・ほんのチョッピリ体が痺れてるよね・・・?



って事は・・・つまり・・・







ビート「あんた『直撃』喰らっただけじゃないのッ!?どう見ても受け流せてないよッ!!!」




チェリー「バッ!!こ、このバカめッ!!貴様がどう思おうと・・・ワ、ワシはピンピンしておるじゃろうが〜〜〜〜〜ッ!!!!」




このオカマ・・・アホだわ・・・。



でも、効いている以上はやっぱり攻撃を止めたりはしない!!!



2発、3発と容赦なく『サンダースピア』をチェリーに放ってやる!!!





チェリー「ぐ・・・ぐのぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」




ぶぶッ!!!電撃に顔を歪めながら直進してくるッ!?


このオカマ、どれだけヤセ我慢すれば気が済むっていうのッ!?


あんたもしかして「M」なんじゃない!?



B10「絶対に受け流せてないって言ってるでしょうッ!?これ以上は時間の無駄よッ!?」



チェリー「ぐぅぅ〜〜〜〜〜〜・・・お、おのれ・・・」


私の言葉に体を振るわせながら涙を流す・・・。そうね・・・負けを認めたならこれ以上は攻撃したりしないよ。





しかし・・・





チェリーはゆっくり・・・・









厚底の靴を見て言った。









チェリー「ひょっとして・・・これ・・・?」



B10「な・に・がッ!!コレ!?だッ!!?」




チェリー「まったく・・・ワシとした事が・・・・ハッハッハ・・・・」


ヤッバーーーーイみたいな顔するなッ!!



その「膝だけ曲げて靴を脱ぐ」の止せッ!!



あんたがやるとマジでキモイからジンマシンが出てくるのょーーーーーッ!!!!



チェリー「よし、もうこれで痛くは無かろう・・・。ここからが本番だ・・・。」



やっぱり痛かったんじゃないの・・・。このオカマ、マジで馬鹿だわ・・・。



まぁ、靴を脱いでいる間に最大限までサンダースピアの魔力を込めたから、この一撃で終了ょッ!!


ってか、靴を脱いだところで「電撃」が効かなくなるとは思えない・・・。



チェリー「 『ティモーレ女僧院流』の一撃の重さ・・・思い知れッ!!!」






チェリーが体中に力を込めて一気に間合いを詰めてくる!!




私もそれに応える様に「最大出力のサンダースピア」をチェリーにぶちかましたッ!!!!











『 『 『 『   !!!!!ドガーーーーーーン!!!!!   』 』 』 』








・・・・・・・・・・・・・・・・






てりり「Σ!!(゜д゜;)ハッ! 」







てりり「・・・・(゜д゜;) 」






てりり「・・・・・(゜д゜;)φ サッ・・・ 」







てりり「・・・・・(゜〜゜*)/ モシャ・・・」
















果物屋のおっさん「おっ?こっちのイチゴも試食してみるか?ボウズ?」







てりり「・・・・・(゜д゜*)/ ・・」













てりり「つφ  ヾ(´▽`*)シ 〜〜〜〜〜」




果物屋のおっさん「はっはっは・・・しかしお前よく食うなぁ?商店街ウロウロしてたが〜〜・・・」





てりり「モシャモシャ・・・(´〜`)φ」




果物屋のおっさん「飼い主さんは探さなくていいのか?」




てりり「・・・・・・・パク(´ー`*)/・・・・」









てりり「・・・・・・・(´〜`)モシャモシャ・・・・」








てりり「・・・・・・(´д`*)」












てりり「・・・・・・(´д`*)」

















てりり「Σ(゜ロ゜;)ハッ!」













・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








B10「・・・・・・・・・」




チェリー「・・・・・・・・・・」






このオカマの鍛え抜かれた筋肉・・・。



物理攻撃力に絶対的な破壊力がある事が容易に推測できる・・・。





防御に関しても、この鋼の様な肉体なら「剣」や「斧」で攻撃しても「無傷」を実現できるだろう・・・。




だけど、私の「サンダースピア」は「雷撃」という利点から「生物」であれば洩れる事無くダメージを与える事ができる。



物理防御力を無視する「サンダースピア」の最大出力を受けて、無傷で居られるわけが無い。



『避雷針』だかなんだか知らないけど、そんなモノで私の「魔法」を防げる訳が無い・・・。









そう・・・・・・思っていた・・・・。




B10「ガ・・はっ・・・・」



チェリーの右拳がわたしの左肋骨部に鋭く刺さっている・・・。



チェリー「ヌッハッハ・・・今回は全然痺れなかったぞ・・・。」



B10「ッ・・・ァ・・・・」


呼吸が止まる程の激痛・・・

霞む視界・・・


チェリーの渾身の一撃で私の体が羽根の様に宙を舞う・・・



チェリー「どうじゃ!!この一撃ッ!!!これで仕舞いじゃろうがぁーーーー!!!」



完全に仰け反り、首から地面に向かって落ちていく・・・。

B10「ぐ・・・ぅぅっ・・・・」


このままの状態で地面に激突したら確実に「頚椎」を損傷する!!

私の最も得意とする「魔法」を・・・


「キュア」を私自身に掛けないと受身一つ取れないッ!!!




チェリー「むぅっ!?」



指を振って光が私を包み込んだ瞬間、猫の様に地面に着地して、そこから速攻で「フェザー・ビート」を使用!!


そしてチェリーの周囲を周回しながらサンダースピアを数発発射!!



チェリー「ハッ!!今の一撃で気を失う事もないとは!!骨にヒビが入った感触はあったのだがなぁ?」




笑みを見せながら、私の「サンダースピア」を悉く地面に流して行く!?


ダメージは多少与えているみたいだけど、あのデタラメな秘術のせいで1/10程度のダメージすら与える事ができない!


ま、まさか「サンダースピア」が通用しないなんて思いもしなかったッ!!!



チェリー「ふっふっふ・・・あの一撃を受けてこの動き・・・最早『手加減』の必要はないの・・・。」



そう言って、チェリーは闘気を全身に巡らせてドンドン肉体を強化していく・・・。












くっ!!「サンダースピア」の最初の一撃で気付くべきだったッ!!













こ、このオカマ・・・










タフネスまでもが武器だったなんて・・・。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


てりり「 ??(´д`;≡;´Д`)ハァハァ  」





てりり「 ・・・・・(;´Д`)  」




てりり「・・・・・(;´Д`)  」




てりり「 ピーーン(゜△゜;)ハッ!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








B10「ハァハァ・・・」




チェリー「はっはっは・・・貴様の「不死身の理由」がようやく理解できたわ!貴様、回復魔法を詠唱無しで使用しておるな??」



最初の右拳の一撃から更に4発の攻撃を喰らってしまった・・・。


流石にこれ以上はチェリーを欺く事ができない・・・。


フェザー・ビートの素早い動きで精一杯チェリーを撹乱しているけど、先読みされてしまう!!


おまけに「サンダースピア以外の攻撃魔法」は「詠唱」しなければ構築する事ができない・・・。


雷撃が効かないチェリーを相手にこの状態は不利すぎる・・・・




B10「!!」



戦場と違って「一切の障害物が無い」四角のフィールド・・・。

30m角という広いスペースが異様に狭く感じる!!


チェリー「ほれ!!追い詰めた!!」

部屋の角隅にいつの間にか追いやられたッ?



またもやチェリーの右拳が私に襲い掛かる!!


B10「あぐぁァッ!!」


チェリー「くくくくく・・・人間サンドバッグ状態だなぁ?小娘よ?ワシの強さ・・・思い知ったか?」





痛い・・・




口から内臓が飛び出そうな程に痛い・・・。







何度回復してもその度にチェリーの攻撃を喰らってしまう・・・。


サンダースピアは通用しないし、私の最強攻撃力を発揮できる「風の魔法」は詠唱する『時間』が無い・・・。





元々「回復魔法」が得意な分、「攻撃魔法」が苦手な私・・・。

もう・・・チェリーを倒す為の決め手は無いの・・・?



朝から魔法を再三に渡って使用していた分、魔法力も残り少ないし・・・




使えて「キュア2回」がいい所・・・。


だ、だめだわ!!その前に「フェザー・ビート」も使えなくなってしまう!!

B10「ぐ・・・」



く、悔しいッ!!チェリーの前で半膝を付いてしまうなんて・・・。


悔しいけど・・・勝機が見えない・・・。






チェリー「くっくっく・・・もうネタ切れか?案外もろいモノだな?」




・・・・?



チェリーが構えを解いて、ゆっくりとこっちに向かってくる・・・。


私が回復魔法を使わずに屈んでいるから「魔力切れ」と勘違いしている??




B10「・・・・・・」





だとしたら・・・これが最後のチャンスだわ・・・。




B10「・・・・・」



チェリー「これでトドメじゃ!!迷わず逝くが良い!!!」




蹲る私に向かって腕を大きく振りかぶった!!!



でも逆に、この瞬間こそ!!最後にして、最大のチャンスッ!!!




チェリー「な、何ッ!?」



拳を振り下ろす寸前・・・チェリーの懐へと一気に入り込んで両腕を掴む・・・。


私の行動に驚嘆したのか、その表情を大きく歪める・・・。

あなたと比較して体格が小さい私がチェリーに組み掛かるなんて想像も付かなかったでしょう?






確かにチェリー・・・私はあなたを投げ飛ばしたりできないわ・・・。






でもこれで直接・・・アナタの体に「雷撃」を流し込む事が出来るッ!!!







雷撃を受け流す「剛法避雷針」・・・。

でもそれは「私が遠距離から魔法を放ち、それを右手で受け止める」から可能になる秘術・・・。

もう・・・私の魔法はあなたを逃がさない・・・。




『時間』が止まったかの様な迅疾、そして精密な動作・・・。

指先から青い電流を確実にチェリーの体内へと流しこむ・・・。




体内の細胞、一つ一つが分離するんじゃないかって衝撃が今、アナタを包み込むわッ!!!











喰らいなさい!!これが私の「必殺魔法の一つ」ッ!!!!!





B10「エレクトリカル・ビートーーーッ!!!!」



チェリー「ぐ・・・・ぐぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?!?」




最大限にまで高めた「サンダー・スピア」を右手から放ち、左手へ送る事により体内へ強制的に電流を打ち流す・・・。


本来、この魔法は「魔法医療学」において、心臓の「除細動」を行う為に存在する魔法・・・。


身体に害をなすレベルで放射する事で、この魔法は「戦闘」に置いても絶大な効果を発揮する・・・。


減衰する事のない100%の電撃がチェリーの体内を通過して、ダメージを残す筈・・・。




チェリー「・・・・・・・・・」



体中から煙が立ち上り、大きく仰け反ったまま白目をむいて微動すらも無くなる・・・。



これで・・・終わり・・・・。



いえ・・・終わってくれないと・・・・




チェリー「・・・・」






もう・・・勝てない・・・。




チェリー「ぐ・・・ぐぅ・・・エレクトリカ・・ル・ビート・・・・か・・・」


B10「 !!! 」






そんなッ!?あれだけの電流を流したのに意識を失っていないのッ?




ま、まさか・・・まだ・・・戦える・・・??














チェリー「ワシの・・・ま・・・負けじゃ・・・。」



B10「・・・・っ・・・ぁ・・・・。」




チェリーの言葉に体の力が一瞬抜けて数歩後ずさりする。だけどチェリーもまた両腕を広げながら天を仰ぐ様に倒れた・・・。



B10「・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・」


安堵に体が酸素を要求する・・・。

限界を超過した肉体に、遅れてやってきた痙攣・・・。

急に寒気が体を襲い、溢れ返ってくる涙・・・。



最初、楽勝と思っていたこの戦い・・・


でも、それは私の「侮り」以外の何物でもなかった・・・。



これだけのレベルを誇る戦士はドルロレでも稀ともいえるけど・・・

チェリーの外見で全てを否定的に判断していた・・・。

自分が「ドルロレの師団長」を勤めていた事から慢心があったのかも知れない。

結果、手も足も出ずに追い込まれ・・・最後はチェリーの油断で無理矢理もぎ取った「辛勝」・・・。



B10「情け・ないね・・・。」


それはチェリーに掛けた言葉じゃない・・・。





B10「・・・・・・。」







残された魔力は「キュア、1回分」・・・。



これは当然・・・





チェリー「ぬっ??ぬぉ??」



B10「大丈夫?キュアを掛けて体力は完全に回復したと思うけど・・・まだ痛い所とかある?」



チェリー「き、貴様・・・自分の体の回復はッ!?貴様の方が重傷ではないかッ!!?」


言ってチェリーは心配そうに私の両肩を掴んできた・・・。

さっきまで敵対していたチェリーが私の体を心配してくれる・・・。


この人にはその「優しさ」がある事すら、さっきまで知らないまま否定していた。





B10「大丈夫だよ・・・。それよりもありがとう。」


チェリー「??」


私の言葉に困惑した表情・・・。でも、私は感謝せずにはいられない・・・。


B10「今まで、私・・・少し調子に乗っていた所があったかも知れない・・・。あなたのお陰で解ったわ・・・。」



チェリー「・・・・貴様・・・」



「人を見る」っていう大切な事を忘れかけていたかも知れない・・・。


あ〜〜〜!!・・・恥ずかしくてチェリーの顔を見られないわッ・・・。





チェリー「テリィは・・・ドルロレとイデアの境にある『龍深の洞窟』に向かいおった・・・。」


B10「りゅ、『龍深の洞窟』・・・?」



ふと、チェリーの言葉に顔を上げる・・・。チェリーは懐から「地図」を取り出すと、それを私に手渡してくれた・・・。




チェリー「はっきり言って「危険」多き場所だ。しかし貴様ならば存分に魔力を回復させれば・・・大丈夫じゃろう・・・。」




B10「あ、ありがとう・・・チェリー・・・。」



チェリー「貴様の名は・・・覚えたぞ・・・ビートよ・・・。」



そうチェリーは言い終えると「闘技場の登録申請」をキャンセルして元の受付へと私を戻してくれた・・・。




       ○ B10 VS ● チェリー    ( 決め技 エレクトリカル・ビート )



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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









・・・・・・・・・・・・・・













チェリー「ふん・・・・!!」











「すまんな・・・テリィ・・・。」










「ビートに・・・少しばかり・・・意地悪な事をしてしもうた・・・。」











「1ヶ月前・・・あの娘の住むアパートの前で・・・」













「ビートだけには・・・」











「 『自分とは違う世界』で生きて欲しいと言っておったが・・・」














「貴様が『惚れている』と言い続けた娘に・・・」












「居場所を教えてしもうたわ・・・。」









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「しかし、あの娘の住むアパートの管理人・・・。」









「ワシがアパートの周りをうろつくという理由だけで「鍵」を変えおって・・・」











「超ォ〜〜〜・・・ムカツクのぉ・・・」












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ビート「これでテリィの居場所は分かった・・・。」




チェリーさんに貰った地図を片手にゆっくりと歩きながら家へと向かう・・・。



体の怪我はかなりヒドイけど「1時間」も睡眠を取ればキュアを使って回復させられるもんね・・・。





ここから『龍深の洞窟』まで、フェザー・ビートを使えばナーレ村を経由して3時間と掛からない筈・・・。






明日、てりりと一緒にアイツの所に行こう・・・。








・・・・・・って・・・・・??







てりり・・・ちゃんと家に帰ってるかなぁ・・・?





















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








てりり「 ハァハァ(*゜▽゜≡*゜▽゜)ハァハァ 」











てりり「  ハァハァ(*゜▽゜≡*゜▽゜)ハァハァ 」










下着屋のお姉さん「んっ??キミ、どうしたの?迷いシーポン??」



お客のお姉さん1「やだーーーッ、この子ちょっとカワイイ〜〜!!」



てりり「 (*´Д`)シ 」




お客のお姉さん2「きゃ〜〜〜ん!!こっちにも来て〜〜!!シーポンちゃ〜〜ん!!!」



てりり「   d(´▽`*)   」

















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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・














・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・











その日、てりりが家に帰ってきたのは深夜0時を越えていました・・・。




口からは甘い果物の匂いをプンプンさせて、体中に女の人の「キスマーク」を付けちゃって・・・。





ビート「・・・・・・・・・・・・・・・・」







てりり「・・・・(;´Д`)」







ビート「何か・・・言う事はある・・・?てりり・・・?」








てりり「 ペコッm(;。_。) m 」










当然・・・思いっきり怒った事は・・・言うまでもありません・・・。










                                第8話に続く・・・・