題名 : 壊れた時間の先に・・・
第9話 「日曜日、午前09時57分??」
ナーレ村で馬車を降り、南東の草原をひた走る事、約1時間。
一路、チェリーさんに貰った地図を頼りに『龍深の洞窟』に向かっていた。
てりり「ゲシゲシッ!!!(*`Д´)つ)」
さっき倒した「泥の魔物、バデロル」が地面倒れているが、てりりがトドメとばかりに殴っている。
それを無視して・・・時計の針が何時を指しているか確認。現在の時刻は『09時57分』・・・。
洞窟へはイメージだと後25分程で到着できる。予想時刻通りに『龍深の洞窟』へ到着する事が出来そうだわ・・・。
再度、草原を駆けると私の目に見えてくるのは生態系も不明な大きな暗い森・・・。
てりりは私の肩に捕まって、ジッと森を見据えているが所狭しと木々が生え渡り、草々が茂返っている様は不気味以外の何物でもない。
はっきり言って、この場所へは来た事がない・・・。
軍部に所属していた時は結構ドルロレ国内を渡り歩いてきたが、そもそも国の定める地図に『龍深の洞窟』なんて
載っていないかったはず・・・?
『龍深の洞窟』はこの周辺で間違いない筈なんだけど・・・
歩いて奥に進んでいるけど、あまりの暗さと同じように見える木々の風景に方向感覚を奪われてきた・・・。
少し不安が過ぎる・・・。
てりり「 (´Д`;=;´Д`)??」
ビート「んっ?どうしたの??てりり?」
『龍深の洞窟』へ向かう事に必死だったので気づかなかったが、てりりが不思議そうに辺りを見つめている?
てりり「・・・(´Д`;)?」
ビート「・・・・?」
てりりのこの表情・・・。なんだか気になる・・・。
そう、気になると言えばもう一つ・・・。
草原を駆けている時は結構な数の魔物に遭遇して戦ったけど、森に入ってから『一度も魔物に遭遇していない』わ・・・。
地図ではもう『龍深の洞窟』は間近だけど・・・ここまで一匹も「森の魔物」に遭遇しないなんて一体どういう事かしら??
もしかして・・・私の日頃の行いが良いお陰・・・? ☆
等と思いながら、目前に見えてくる大きな岩壁・・・。
そこに辿り着き、地図と地形を比較・・・。
時計の針と太陽の位置を照合確認しながら『龍深の洞窟』の方角を調べる・・・。
ん〜〜〜と・・・今が「9時57分」だから・・・南の方角は〜〜〜っと・・・・
・・・・・ととっ!?
あ、あれれ??おかしいな?この時計???
草原で時計を見た時も『09時57分』を刺してなかったっけ??
ビート「ちょ、ちょっと・・・??なんで時計・・・さっきと同じ時刻なの・・・?」
てりり「・・・ Σ(;゚ロ゚)σ 」
てりりが頬を引き攣らせて「秒針」を指差した・・・?
げっ!!びょ、秒針がピクピク同じ所で動いて一向に進まないじゃない??
か、肝心な時に壊れちゃうなんて??
ビート「うっはぁ〜〜〜〜ッ・・・時計・・・これしか持ってきてないのに!!」
勘で大体の時刻は分かるから方角の計算は問題ないけど、時間が分からないとちょっぴり不安・・・。
この時計って「とある理由」があって結構大事にしている『デザイナー、ミースブランド』の懐中時計なのに・・・
簡単には壊れたりしないはずなのに・・・?と、首を捻って眉をしかめる・・・。
いやいや!!今はそれどころじゃない!!
今頃テリィが洞窟の中で・・・・
いやいや!!今、それを考えるのは止そう!!
とにかく『龍深の洞窟』へ向かうんだ!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・
辺りを確認しながら岩璧沿いを数分南へ進む・・・。
おかしい・・・森での魔物遭遇率は私の経験上なら、もう10回は遭遇しているはず・・・。
『龍深の洞窟』って、もしかして「聖域の類い」なのかしら??
魔物を一切寄せ付けないとか・・・?
精神を研ぎ澄ませて周囲に目を向けるが影はおろか気配すら感じる事が出来ない・・・。
んっ!?でもでも・・・無害な動物すら確認できないってどういう事なの??
てりり「 (´Д`;=;´Д`)ハァハァ 」
くっ!!いちいち悩んでたって埒があかないッ!!
勢いで岩璧に沿って南へ進む・・・。
『龍深の洞窟』は・・・もう、すぐそこなんだからッ!!!
と、気合いを入れて進むと・・・
???「・・・・ブツブツブツブツ・・・・・・・」
岩璧に向かって何やら『ブツブツ』言いながら岩肌を触っている女性を発見した・・・。
金髪がとっても綺麗で、おしゃれな茶色の法衣に身を包む女性・・・。
私よりも少し背が高いから165cm前後ってところかな?
お肌も透き通る様な白色で私よりも少し若い・・・?
いやいや!!同じぐらいの年齢ってところよッ!!!!!!!
てりり「 〜〜〜ヾ(*´▽`)シ♪ 」
てりりが嬉しそうに、その女性を見つめて鼻歌らしき鳴き声?を上げている・・・??
ビート「・・・ちょっとッ!!てりりッ!!!・・・・・」
フラフラと飛んでいくこの後ろ姿!!
も、もしかしてアンタ・・・女好きなのッ!?
美しい飼い主の私を差し置いてそんな表情するなんて少しムカツク。
でも、同然・・・
てりり「 メコ!! つ);゚Д゚)シ!?」
私の裏拳一発ッ!!!
パタンきゅぅ〜っと地面に落ちていく小翼竜てりり・・・。
昨日、キスマークを体中に付けて帰ってきてるぐらいだから何をしでかすか分からない!!
アンタちょっと眠ってなさいッ!!
???「 !? 」
と、その時・・・女性がこっちに気づいて目を向ける・・・。
ビート「あっ!!こ、こんにちは〜〜〜〜!!」
いきなり現れた私たちに驚いたのか・・・?怖ず怖ずと後ずさる・・・。
まぁ、こんな暗い森に人がいるなんて私も想像付かなかったし、この反応は少し理解できる・・・。
ビート「こんな暗い森に一人でどうしたんですか??何か探してらっしゃるんですか?」
???「・・・・あ、・・あなたは・・・?」
うぅぅッ!!!両手を握って胸に押し当てる女性・・・。見るからに私に対して怯えているのが分かるょぅ・・・。
そ、そんな表情しないでッ!別に私、怪しいものじゃないのょ・・・
そうだ!!こういう時は「自己紹介」でコミュニケーションだっ!!
ビート「私の名前は『ビート』っていうの。この近くに『龍深の洞窟』って有ると思うんだけど・・・」
???「 !!! 」
っと・・・ッ!?
「龍深の洞窟」の名前を聞いた途端、女性の目に「鋭い光」が灯った!?
明らかに「睨まれてる」よね?な、なんか変な事いったかしら??私???
???「龍深の洞窟に何をしに行くつもり・・・?」
ビート「えと・・・人捜しで・・・テリィっていう「戦士」を探しに来たんです・・・。」
???「テリィ・・・を?探し・・・に・・・?」
それを聞くと女性の表情から「棘」が消えた??
『龍深の洞窟』がキーワードだったみたいだけど・・・どういう事だろう??
マリア「私の名前はマリア・・・龍深の洞窟が『発生した』っていう情報を仕入れてここへ来た者よ・・・。」
はぁ・・・なるほど・・・『龍深の洞窟』が目的だったんだね・・・。
マリア「この岩璧の成分からして、場所は間違い無いと判断できるけど・・・「魔力」を感じないから手遅れかも・・・」
ビート「えっ!?えっ!!?て、手遅れッ!?!?手遅れって何ッ!?」
マリア「あ・・・?あぁッ!!ご、ごめんなさいッ!!こっちの話なのッ!!アナタのお友達の話じゃないわッ!!」
顔を赤くして俯く女性。今まで頭の中で考えていた事と私との会話が混乱しているのかしら??
それともこの人、少し天然っぽい??
どっちにしてもこの人って何者なのかしら??
てりり「 〜〜〜(*´▽`)シ 」
あっ!!!てりりが目を覚ましてマリアさんに近寄っていく・・・。
ビート「ちょ、ちょっと!てりりッ!!失礼の無い様にしてねッ!!」
マリア「あらっ!?この子・・・?アナタのペット??」
私の心配を他所にマリアさんはパァ〜〜〜っと笑顔を見せてくれる・・・。
あれ?もしかしてアナタ??動物好きですか??
マリア「うふふ・・・可愛いわ。」
てりり「 m(*。_。) m ガシッ 」
てりりを胸に抱き、にこやかに頭を撫でている・・・。
機嫌を良くしてか?さっきまでとは打って変わって笑顔で話しかけてくれた・・・。
マリア「『龍深の洞窟』にこの子を連れてきている所を見ると・・・ビートさんは『龍深の洞窟』ってどういう場所かご存じじゃないのかしら?」
むむむ???その言い方からして『龍深の洞窟』ってやっぱり特別な所なんですか??
そう言えばさっきも「龍深の洞窟が発生した」とかなんとか・・・?
洞窟が発生って意味の把握ができないよね??
ビート「あ、あはははははっ・・・じ、実は『龍深の洞窟』の名前だけで知っててそれ以外は全くだったりして・・・。」
笑って誤魔化すビートちゃん・・・うぅぅ・・・少し情けない?
てりり「 Σ(;´Д`) 」
てりり!!何よッその表情はッ!?「やっぱり知らなかったのかよッ!?」みたいな表情止めなさいよッ!!!
はぅあ〜〜〜・・・でも確かにそうだよね。普通の地図にも載っていない「洞窟」なのに普通の洞窟な訳がない・・・。
私の赤面にクスッと笑いを漏らして、てりりを胸に抱いたままマリアさんが南へと歩いていく・・・。
マリア「『龍深の洞窟』って言うのは『龍の巣』・・・つまり「ドラゴンの卵」が有る場所を示すの・・・。」
ビート「ド、ドラゴンの卵ッ!?」
マリア「そう・・・ドラゴンの生態って詳しく解明されていないけど、ドラゴンが卵を生む時は決まって「岩璧の奥深く」に生み付けるのよ・・・。」
ビート「な、なんで岩璧なんかに??」
マリア「鳥が断崖や高い所に巣を作るのと同じで「外敵」から卵を守る為。
大体外界から50m程度、奥深い場所に生み付けるって言われてるわ・・・。生み付けた後は岩で覆い隠すのよ・・・」
ビート「なるほど・・・それで「発生」って言う言葉を使ったんだ・・・。でも、どうやってドラゴンは地上に出る事ができるの??」
マリア「生まれたドラゴンが、口から吐く炎で少しずつ岩を溶かすの・・・。
そして外界に出た後、岩を溶かした後がまるで通路の様になり洞窟の様になる。」
ビート「な、なるほどッ!!それで『龍深の洞窟』っていうんだッ!!マリアさんって凄く物知りなのねッ!!!」
てりり「 (*´▽`)。_。) 」
マリア「エッ!!?そ、そんな事無いよッ!!」
すごいッ!!そんなの初めて知ったよ!!軍部学校で教えて貰った「ドラゴンの知識」でもそんな事教えて貰えなかったのに!!
マリアさんってもしかして「大学関係の人」なのかな??
いやはや、ビートちゃんの知らない事ってこの世の中には沢山あるんだなぁ〜〜〜〜・・・・・・
・・・・・・って・・・・・
ちょっと待ってよ・・・・・・・・???
『龍深の洞窟』が「龍の巣」って事は・・・・
テリィ・・・『龍深の洞窟』に向かって・・・仕事してるって・・・
つまりそれってッ!!!
ビート「なにそれっ!!『龍深の洞窟』が有るって事は「ドラゴン発生確率100%」って事なのッ!!??」
目を大きく開けてマリアさんに訪ねちゃう私っ!!
つまりはテリィはドラゴンと戦ったって事じゃないッ!?
てりり「 Σ(;´Д`) 」
またもや、てりりのその表情ッ!!
てりりだって知らなかったんでしょうッ!?「何を今更?」みたいな表情止めてッ!!
マリア「もちろんそうよ?私もドラゴンが生まれたかを調べに来てるんだから・・・。」
ビート「マ、マリアさん・・・み、見たところ「魔法使い」みたいですけど流石にドラゴンを相手に戦えないでしょうっ!?」
一般の「魔法使い」としては、レベルはかなり低く見える・・・。
何か特別な術を持っていない限り、マリアさんじゃ必死だよ??
私の知る限りドラゴンを倒せる人物は「テリィ」はもちろん、今は無き「クロノス様」・・・
後はその直属の弟子「地獄の旅先案内人」っていう二つ名を持つ戦士ぐらい・・・。
他国にも「ドラゴン」を倒せる人は何人かはいると思うけど・・・
世界でもトップレベルの実力を持っていないと不可能よっ!?
マリア「とりあえず「卵」だったら持って帰って・・・産まれてたら〜・・・その時に考えます。」
ビート「か、考えるってッ!?ド、ドラゴンを発見したら即、逃げる方が良いわよッ!?」
この人の見た目・・・優しくホンワカした雰囲気してるけどッ!!もしかして「後先は何も考えていないタイプ」ッ!!??
マリア「うふふ・・・ビートさん、私の心配をしてくれるんだ。」
私の言葉を聞いて、とても嬉しそうに微笑みながら、振り向くマリアさん。少し照れながら歩みを速める。
そりゃそうです!ドラゴンがいる洞窟に向かう以上、危険は付き物だけど心配しない訳がない!!!
マリア「なんだか・・・ビートさんとは良いお友達になれそう・・・。」
ビート「えっ!?そ、そう言って貰えると私もなんだか嬉しいな。」
マリアさんの嬉しそうな表情を見ると私も嬉しい。
でも、マリアさんのレベルで「龍深の洞窟」へ向かうだなんて本当に無茶もいい所だわ・・・。
等と思っていたその時、マリアさんの歩みがピタッと止まる!!
マリア「付いたわ・・・。」
ビート「こ、ここが『龍深の洞窟』!?」
岩壁に人一人がやっと入れる程度の小さな穴がポッカリと空き、そこから邪悪な黒い波動が漏れて出ている様に見える「漆黒の洞窟」。
小さな洞窟の入り口は何処までも続く闇に奥が全く見えない。
一歩、足を踏み入れた瞬間、何もかもを奪われてしまう様で・・・おぞましい。
マリア「ドラゴンが生まれ出たなら、もっと大きな穴が開くはず・・・。これは人為的に開けられたものだわ・・・。」
ビート「えっ!?そ、それじゃぁ・・・・。」
こ、この中にテリィがいるってことだよねッ!?
ビート「わ、私・・・入りますッ!!」
私の言葉を聞くとマリアさんが頷く。てりりを抱きながら、漆黒の闇が広がる洞窟へと入っていった・・・。
外界の光は人一人の入り口では数メートルしか照らす事はない・・・。
奥へ進むには灯りが必要となる・・・。
ここは一つ、私の魔法で・・・
マリア「闇に閉ざされし我に光を・・・ライトアップッ!!!」
むむむ?今から私が使おうと思っていた「魔法」をマリアさんが使用した!!
まばゆい光を発する球体がマリアさんの頭上にふわふわと浮かび上がっている。
マリア「ふふふ・・・ビートさんにも・・・闇に閉ざされし我に光を・・・ライトアップッ!!!」
ビート「あ、ありがとう、マリアさん。」
マリア「ドラゴンの卵が在る場所は私の経験である程度わかるから私に付いてきてね?」
ビート「は、はい!お願いします!」
今から何が起こるか全くわからないこの状態・・・。経験豊富なマリアさんが頼もしく見える。
魔力を少しでも温存して、万が一の時の回復魔法は私が使ってあげられるものね。
しかし、ドラゴンがいるというこの洞窟・・・奥に進めば進むほど分岐路が現れ、「迷路」の様に複雑になっていく。
マリアさんのさっきの話だと「50m」も奥へと進めは、ドラゴンの卵が在る所に到着する筈なのに・・・?
もう100m近く外界から離れているような気がする??
マリア「この『龍深の洞窟』・・・。当たりみたいだわ・・・。」
てりり「 ・・・(´Д`;=;´Д`) 」
少しの笑みを浮かべて、歩みが早くなるマリアさん・・・。
しっかりと進む道を見据えて、複雑な迷路を突き進む・・・。
でもなぜ、マリアさんはここまで「正解」への道順がわかるのかしら?
と、その時ッ!!!
大こうもり「キキ〜〜〜〜ッ!!」
マリア「ッ!!」
てりり「 Σ(;`Д´)」
ビート「な、なんて大きさに数ッ!?」
無数の大こうもりが私たちの行く手を遮る!!
テリトリーを犯され、狂気に飛び回る大こうもり達・・・。
爪と牙を剥き出して私たちに襲いかかろうとするけど・・・・
ビート「変身して・・・一気に片づけてやるっ!!」
服の中に忍ばせていた金の首飾りをグッと握りしめて変身!!
マリア「・・・・」
私の前を進んでいたマリアさんに向かって一匹の大こうもりが突進してきた!!
それに続くように四方八方からマリアさんに集中攻撃を掛けようとしている!!
でも安心して!!今、私が・・・
てりり「ポイッ!!・゜・Σ(つДT)つ・゜・。」
B10「えっ!?ええぇっ!?」
後ろを見向きもせずに、てりりを私へ放り投げた??
てりりを条件反射で受け止めた為に、両手が塞がる!!こ、これじゃマリアさんを守れないよッ!!
マリア「・・この・・コ・・・が・・・」
マリアさんが何を言ったかも聞き取れないほど、たった一瞬の出来事だった・・・。
詠唱もなく、一瞬の内・・・。
マリア「ふぅ・・・びっくりした〜〜〜」
あまりに鼻を突く、焼け焦げた臭いがマリアさんの周囲を包み込んでいる。
無数の「炭」へと変わった大こうもりが地面に落ち、それから沸き上がってくる白い煙・・・。
マリア「ビートさん!もう大丈夫よ・・・。って・・・その姿!!さっきと違う??
すごく可愛いじゃない!??も、もしかして『変身型』の魔法使いだったの?ビートさん??」
B10「え、えぇ・・・。一応・・・。」
てりり「 ??(゚Д゚;≡;゚Д゚) 」
私の変身姿にキャ〜っとテンションを上げるが、マリアさんの圧倒的な強さに息を飲む。
でもなんで??なんでマリアさんが「これ程の魔法」を・・・?
詠唱無しで魔法を使ったマリアさんだが、正直に言うとここまでの魔力は感じることができない・・・。
同じ魔法使いとして考えると「不可解」を秘めている・・・。
マリアさんと比較して、レベル的には私の方が断然上の筈なのに??
う〜〜〜ん・・・チェリーさんの時もそうだったけど・・・戦線から遠のいて私の勘が鈍っているのかしら??
まぁ、何はともあれマリアさんのお陰で又々助けられちゃった・・・。
B10「マリアさん、ありがとう!って・・・その傷!!」
痛々しく、マリアさんの右腕から血が流れていく。
マリア「ん・・・?あぁ?さっき大こうもりの攻撃が腕にかすったみたいね??大丈夫よ・・・今、回復薬で・・・」
そういうとマリアさんはリュックから薬を取り出そうとした・・・。
この様子、マリアさんはどうやら回復魔法は使えないみたいね?
B10「ちょっと待って!!」
そういうよりも早く、私の「回復魔法」がマリアさんの腕を包み込む・・・。
マリアさんに魔力を使わせてばかりじゃ申し訳ないものね!!
あっという間に完全回復だ!!
それをみるとマリアさんはびっくりした表情で目を大きく開ける・・・。
マリア「す、すごい!回復魔法を詠唱無しで使う人・・・初めて見たわ!!」
えへへ・・・そうですか?
マリアさんにそう言われると何だか嬉しいかも・・・。
B10「ここから先、魔物が結構出てきそうだから、一緒に頑張りましょう!!」
マリア「えぇ!もちろんよ!!」
マリアさんとの信頼関係を深めて、更に『龍深の洞窟』の奥へと進んでいった・・・。
4回ほど「大こうもり」に遭遇した頃・・・
洞窟の更に奥から「うなり声」の様なものが聞こえてきた!!
B10「これは!?ま、まさかドラゴンのうなり声ッ!?」
てりり「!? Σ(;´Д`)??」
マリア「えぇッ!?ド、ドラゴンなのかなッ!?」
少し後ずさって耳を澄ませてみる・・・。
すると・・・
???「ぐ・・・くっ・・・くそっつ!!・・・こ、こんな所で・・・」
!!!!!!!!
人の声だッ!!!
てりり「Σ(;゚Д゚)!?」
マリア「どうやら『男の人』の声みたいね?もしかしてビートさんの探している「テリィ」さんかしら??」
B10「わ、わからない!!でも、行きましょうッ!!」
っ!!まさか・・・本当にテリィなの??今にも消えていきそうな声だった!!
この雰囲気だとかなりの大怪我を負っている筈・・・
私がここに来た以上、どんなに怪我をしていても回復してあげられる自信はあるけど・・・
それでも・・・安心するのはまだ早い・・・。
万が一、ドラゴンに体の一部を食べられたりしていたら『回復するのは不可能』だからだ。
万能のように思える「回復魔法キュア」だけど、もし体の一部を食べられたりした場合は、
体の千切れた部位が閉じる様に回復して元に戻ることがない。
切断された腕をいくら活性化させてもトカゲのしっぽのように生え替わってくる事ってないでしょう?
つまり五体満足での回復ができないと言うこと・・・。
せめて千切れた部位が残っていれば回復できるんだけど、それも時間経過に反比例して回復成功率が減っていく。
あの馬鹿ッ!!こんなに困難な仕事だったなら私に一言・・・声を掛けりゃいいのにッ!!
???「ぐ・・・ぐぅぅ・・・・」
声の主に近づくのがわかる・・・。
這い蹲っている剣士の影・・・。
背に羽織った古びたマント・・・。
泥にまみれた銀の鎧・・・
それが発光照射魔法、ライトアップによって少しずつ明らかになっていく・・・。
そして・・・
!!!!!!!!!!カッ??????????・
不意!!
視覚に襲いかかる発光ッ!?
マリア「うっ!?」
てりり「 Σ(;つД`)!?」
B10「ま、まぶしいッ!?」
何っ!?この光??不明の光で目を一瞬、鎧の剣士から反らしてしまう・・・。
はっ!?ま・・・まさか・・・・・これって「罠」だってことは・・・!?
傷ついた剣士も・・・
私たちを油断させるための・・・
魔物の罠ッ!?
一瞬!!安堵していた中に襲いかかる緊張!!
不明の光に指を突き出しながら指輪に魔力を込める!!
その時・・・マリアさんも警戒しながら光に声を掛けた!!
マリア「あ、あなたはテリィさんですか??」
???「ぐ・・・ぐぅぅ・・・テ、テリィ・・・?あなたもテリィを知っているのか??」
ッ!?
こ、この声ッ!?
さ、さっきは距離が遠くて声の判断まで出来なかったけど・・・
この声って・・・ま、まさかっ!?
hidechi「わ、私の名前はhidechi・・・この洞窟にテリィという剣士を探しに来たものだ・・・。途中、魔物に襲われてこのざま・・・。情けない・・・。」
っと、言いながらhidechiさんが少し動いて光が薄く・・・いや、違う方へと照射されていく・・・。
あぁ・・・これって・・・この光の原因って・・・
マリア「ひ、hidechiさん・・・スキンヘッドなんですね・・・?」
ライトアップの光が「兜」を無くしたhidechiさんの頭に反射して私たちを照らしていただけだったんだ・・・。
てりり「 ・・・(;´Д`) 」
「おいおい・・・」と言わんばかりに、てりりが少し蔑んだ目で見つめる。
うぅぅ・・・hidechiさん、たしかにそれって少し・・・いえ、か〜〜〜なり格好悪いです・・・。
壁に体を起こして座りながらこちらに振り向く・・・。
すると私の病院での上司、hidechiさんが目を大きく開けた。
hidechi「ま、まさか後ろにいるのはビートかッ!?な、なんでお前が・・・ここに居るんだッ!?」
B10「えへへ・・・大丈夫ですか?剣士のhidechiさんじゃ回復魔法は使えないですもんね?」
私は指を振り、hidechiさんに回復魔法を掛ける・・・。
九死に一生を得たhidechiさんは大きく息を吸うと私に大声を上げてきた!!?
hidechi「ビートッ!!お前・・・すぐに帰れッ!!!」
B10「な、い、いきなりそんなッ!?」
てりり「 (;´Д`) 」
マリア「・・・・・」
な、なによ!?いくらhidechiさんでもそれって無いんじゃないですか??
私のお陰で瀕死だった体を完全に回復できたんじゃないですか??
それなのにいきなりそれは無いですよ?
B10「私が帰らないといけない理由ってなんなんですか??それにさっき「テリィ」を探しに来たって・・・言ってましたよね?」
hidechi「ぐっ・・・そ・・・それはだな・・・。」
身を寄せて問いかける私に対して言葉が詰まる・・・。
汗を垂らして私からわざとらしく目を反らして口を尖らせて・・・
何よッ!!こういう時のhidechiさんの表情って100%隠し事をしている時の顔じゃないですか!!
何となく読めてしまう・・・。
きっとhidechiさんは何かを知っているにも関わらず、私にテリィの事、黙ってたんだ!!
私が金曜日にテリィと会えなかった事を知って、そしてテリィを探しにここに来たんだ!!!
酷いよッ!!テリィに何かが起こったんだったら私にも教えてくれてもいいじゃないですかッ!!
hidechi「お前を・・・危険な目に遭わせたく無かったからなんだ・・・わかってくれ・・・。」
マリア「・・・・」
ビート「・・・・」
目を反らしたまま悲痛な表情。その時、後ろからそっとマリアさんが私に声を掛ける。
マリア「ねぇ・・・この人ってビートちゃんとどういう関係なの?」
ビート「えっ??」
は、はぅ・・・ごめんなさい!
紹介も何もなく会話の蚊帳の外だったマリアさん・・・。
おずおずとhidechiさんを見つめながら問いかけてくる。
ビート「この人はhidechiさんと言って「ドルイ戦争」前から私を大事にしてくれた人なの・・・。
今働いてる病院でも私の上司をしていて・・・私の「お兄さん」みたいな人・・・」
マリア「じゃぁ、あんまり怒らない方が良いわよ?ビートさんの事を心配してくれているのに・・・。」
ぐっ!マリアさんの正論が私の良心を突いてくる。
力なく背を向けるhidechiさんの姿を見つめるとこれ以上、私も大声を上げる気は失せていった。
でも、私もここまで来てテリィを放って帰ることは出来ないわ!!
ビート「hidechiさん、私を心配してくれるのは分かりますけど私だってもう、子供じゃないんです。」
hidechi「ビート・・・。」
今まで私を妹のように大事にしてくれたhidechiさんの表情から心配が消えない。
たしかに私も今まで困ったことがあったらhidechiさんを頼ることが多かったけど、今回ばかりは私の力が必要になると思うんです。
ビート「テリィの事を考えたら、今は一刻の猶予も無い筈です!!我が儘かもしれないけど、許してください。」
俯いて、hidechiさんから目を反らす。
その時!!!
洞窟の最深部から地鳴りのような大きな音が!!
ビート「な、なにッ!?この大きな音??」
hidechi「洞窟自体が震えたのか??」
てりり「!?(;゚Д゚)??」
マリア「歪みが一瞬崩れたみたいね・・・。この洞窟・・・あまり持たないかも・・・。」
マリアさんの冷静な分析、確かに人為的に作られた物ではない洞窟がいつまでも「持つ」訳がない。
ビート「最深部までそんなに遠くないわ!!急いで向かいましょう!みんな!!」
コクンと無言で頷いて最深部へと向かう!!
言った様に・・・もはや「一刻の猶予」もない。
最深部にテリィが傷つき倒れているかもしれない・・・。
でも・・・
テリィが・・・生きている確証はまったく無い。
まるでドラゴンに街を襲われた『あの時』を思い出してしまう・・・。
急げば急ぐほど『時間』は早く進んで、私たちを追い越して何もかもが手遅れになりそうな不安・・・。
締め付けられる心は今、限界にまで達している。
逸る気持ちを抑えながら私たちは洞窟の最深部に向かった。
お願い・・・・テリィ・・・・・・
お願いだから・・・・
無事に生きていて・・・・・・・・
第10話に続く・・・