題名 : 壊れた時間の先に・・・
最終話 : 壊れた時間の先に・・・
コーカサス「さ、最後の希望が・・・」
☆miyabin☆「潰えた・・・か・・・」
hidechi「も、もう・・・逃げるしかないのか?」
落胆と共に届く絶望。私の胸を貫く痛み・・・
それは凶刃とは違う無形の刃・・・
マリアージュ「あハははハハハ・・・憎いバケモノも最期に少しは役に立ったわ!!大切なビートさんを守ってくれた!!!」
絶望を上塗るマリアージュの言葉。そっと龍喰いさんの体を抱こうとするが、それは黒い棘に覆われて私を寄せ付けようとはしない。
まるで「私を置いて逃げなさい。」と言わんばかりに私を拒絶する。
マリアージュ「さぁ、無駄な足掻きは人を醜くするわ。早く私の血を飲みなさい!!」
愉悦の表情に見下された私達・・・僅かに震えるhidechiさん達の体に最早、勝利は届かないものと誰しもが思う。
何故、こんな事になるの?何故、私達はこんな目に合うの・・・?何故、勝利を掴めないの?
答えは視得ている。
至極、簡単な答えだ・・・
それは・・・
この場に・・・
テリィが居ないからだ。
彼が居てくれたら、何の障害も無い・・・
彼が居てくれたら、何も恐れることは無い・・・
彼が居てくれたら、どんな困難も打ち破れる・・・
ドラゴンフライが何なの?彼はそれに素手でも勝てるわ!!
たとえドラゴンでも彼は10頭を前に怯みもしないわ!!!
ルーンドラゴンにだって・・・
カオスドラゴンにだって・・・
三大龍にだって・・・
彼に掛かれば簡単に倒してくれるの!!!!
負けるなんてないのよッ!!!!
絶対に!!!絶対に負けるわけがないッ!!!!!
マリアージュ「ホントに嫌ね・・・その目・・・」
爬虫類が牙を剥き出して毒炎を吹き出しながら見下している。
それに対して今、私ができることは皆無に思える・・・
涙を流してそれを睨むしかないように思えてくる・・・
でも、『義務』が発生している私はそれでは済まされない。
てりりは命を掛けて魔剣に手を延ばし龍喰いさんになって私を守ってくれた。今、逃げる事を選ぶのは、諦める事を選ぶのは許されない。
マリアージュ「何・・・?まだやるの?」
誰に許されないか?それは他の誰にでもなく、他の何者にでもなく・・・
☆miyabin☆「な、なんて人だ・・・」
コーカサス「まだ・・・あ、諦めないのか?」
私が私を許せない・・・
hidechi「ビ、B10・・・」
みんなが私の覚悟に気付き・・・歯を食いしばり、再度立ち上がる・・・
今の私にできる事・・・
攻撃魔法・・・?
最強の攻撃魔法が通じなかった時点で活路は既に有り得ない。
今の私にできる事・・・
それは・・・
回復魔法だ・・・
回復魔法で龍喰いさんを復活させる事だけだ・・・
マリアージュ「うふふ・・・最期の足掻きね?私が全部受け止めてアゲル・・・」
ジリジリと歩み寄る不快な声・・・
魔力を高めて両手を組む私に対して身を屈め、体を向けるマリアージュは攻撃と防御のどちらもできる態勢でいる。
悔しいけど・・・私が貴女を攻撃する事はできない・・・無意味に残りの魔力を使うことはできないの・・・
目を閉じ、一意に集中力を高めた・・・
普通に考えれば細胞を活性させるキュアでは龍喰いさんを助ける事はできない・・・
でも・・・だったら・・・
だったら・・・原則を変えればいいんだ・・・
体の底に眠る僅かな魔力を引き出して呼吸を整えて・・・
マリアージュ「こ、これは!!?」
かつて王宮の図書館で「魔導禁術録」という本を見つけたことがある。
その中に書いていった一節の回復魔法の原則・・・
この『原則』は際立って魔力は必要とはしない。
魔力を媒体に人体の細胞組織を活性化させるキュアとは全く違う原則・・・
hidechi「な、なんだ?B10の体が紅く・・・?」
☆miyabin☆「こ、これは・・・この光は魔力とは違う・・・?」
コーカサス「き、綺麗だ・・・」
マリアージュ「バ、馬鹿なッ!!それはッ!!」
魔力に縁遠い戦士のみんなは気づかなかった様子だが、元が魔法使いのマリアージュには気づかれた様だ・・・
そう、魔力の源であるマナは本来『青白い光』を放つのが基本・・・
でも、私が今、放っている光は紅色である・・・これは私の中にある生命エネルギーを使っている証でもあるのだ・・・
でも、それだけではこの原則はまだ足りない・・・ただ生命エネルギーを魔法構築の儀式に使用しただけに過ぎない・・・
私が導き出した原則・・・その答えを知らせる様に金色の波動で私と龍喰いさんを包み込んだ・・・
☆miyabin☆「うっ!うわぁ〜〜〜ッ!」
hidechi「ッ!?ビ、B10ッ!?」
マリアージュ「止めなさいィィ〜〜〜〜〜ッ!!!」
僅かに震える大気の中、轟音を立てながらの突進。その巨体に似付かわしくない速度で私に腕を伸ばすが・・・
マリアージュ「クッ!?や、ヤッパリこれは!!」
コーカサス「な、なんだ!?二人の体が」
マリアージュは私の原則を打ち砕こうと何度も攻撃を仕掛ける・・・
でも、その全てがことごとく私たちの体をすり抜け肌に触れる事も出来ない。
今、私たちを包み込んでいる金色の波動は物理原則を超越した「時空の壁」・・・
時間を支配して空間を歪ませる事によりマリアージュの攻撃は全て時空の彼方へと消えているのだ・・・
でもこれは「回復魔法の前段階」に過ぎない。
何故、これが「回復魔法」と成り得るのか?何故、龍喰いさんを助ける事が出来るのか?
私の見つけた原則・・・
龍喰いさんはこの戦いで体を失ったが、失った体の部分だけ時間を押し戻すという時空返還理論。
B10「これが私の見つけた『答え』よッ!!マリアージュッ!!」
マリアージュ「な、何故なのB10さん!?今更その化物を回復させた所で既に敗北している!!
活路は無いでしょうッ!!
結局は命を削り無駄に死ぬだけなのよ!?」
B10「何を言っているの、マリアージュ?決して無駄なんかじゃないわ・・・私には解るのよ!!必ずアイツが来てくれるって・・・」
コーカサス「?」
hidechi「B10・・・お、お前まさか・・・?」
B10「私には解るのよ・・・あなたは死んだと言ったけど・・・ここに来て、何度も絶望に打ち拉がれたけど・・・私には感じるのよ・・・」
私の答えを理解できないマリアージュは何度も何度も時空の彼方の私たちに抵抗し攻撃を加える。
マリアージュ「いったい・・・何を〜〜〜ッ・・・?」
B10「マリアージュ、あなたはアイツに絶対敵わない。私がここまで命を賭けてアイツが放っている訳がないのよ・・・
アイツが来るまでの時間・・・万全な状態の龍喰いさんなら、必ずその時間を作ってくれる・・・」
マリアージュ「グゥゥ〜〜〜〜〜ッ!!!そ、そこまで・・・アノ男を・・・?」
生命エネルギーを魔法構築儀式に使用・・・
理論的にはその後に寿命が媒体になる読みだけはあるけど実際にはこの魔法を使ったら私自身、どうなるか解らない。
でも、私の寿命という時間を使う事で確実に助かる人と希望が生まれる。
何も考える必要はない。あとは・・・あとは・・・
B10「私の時間を貴女に託すわ・・・龍喰いさんッ!!
絶対に駆けつけてよッ!!テリィッ!!!」
hidechi「B10ッ!!やめろッ!!」
コーカサス「!!!」
B10「時空返還回復魔法ッ!!『リキュア』ッ!!」
マリアージュ「う、うわぁ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
魔法を使用した瞬間、体に伸びるゾクリとした寒気。
金の波動を打ち放ち、暖かく思える外観とは裏腹に私の中から何かが消えていく・・・
B10「・・・それでも・・・・私は・・・必ず貴女を助けるから・・・」
強い信念・・・そうだ龍喰いさんさえ復活してくれれば・・・必ずみんな助かる・・・
揺るぎない確信に満ちて回復促進の為、魔法をどんどん加速させる。
hidechi「 !! !!!!!」
マリアージュ「 !!!!!!! 」
波動の外ではマリアージュやhidechiさんが叫びを上げているが音が時空を超える事はない。
金の波動の中から見る限り・・・他のみんなはゆっくりと動いているように見える・・・
どうやらこの波動内では時間が外界よりも早く進むようだ・・・
あくまでも私と龍喰いさんの時間だけで支配される空間は魔法の速さが増すたびに波動の壁に隔たれ、世界が完全に孤立していく。・・・
波動による時空の歪みでみんなの姿すらも確認しづらくなった時、龍喰いさんの体に異変が・・・!!
B10「よし!!腕が時空を超えて戻ってきた!!!」
この調子でいけばあっという間に完全回復だ・・・
龍喰い「グ・・・グァ・・・」
身体の回復と共に取り戻される龍喰いさんの意識・・・
でも、体に伴っている傷みの為か先程まで聞かせてくれていた美しい女性の声ではなかった・・・
あたかも苦痛に耐える男性の唸り声に聞こえる・・・
頑張ってね・・・龍喰いさん。絶対に貴女は私が助けてみせるから・・・
そうすれば・・・必ず・・・アイツが・・・・
『 ・・・・?・・・・ 』
あ、あれ・・・?アイツ・・・?アイツって・・・・?
なんだろう・・・?
私は・・・一体・・・誰に何を期待しているんだろう?
龍喰いさんを回復した後・・・どうすればいいんだっけ??
確か一緒にもう一度マリアージュに挑むんだっけ??
い、いやいや・・・何を混乱しているのよ!!龍喰いさんを助けるのに何の意味も要らないじゃない!!
龍喰い「あ・・・アァァ・・・・」
下腹部に継いで食いちぎられた足も回復していく・・・
でも・・・なんだろう?この不安は?
私は龍喰いさんに復活して貰って・・・
龍喰いさんにどうして貰えばいいの?
私たちの戦力じゃ龍喰いさんの足を引っ張る事ぐらいしかできない・・・
なのに何故?私は龍喰いさんに?何を頑張って貰おうと思ったの?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
hidechi「な、なんだ?B10の様子がおかしい?」
☆miyabin☆「目が虚ろになって・・・混乱しているみたいだ!!」
マリアージュ「やっぱり・・・こうなったわね・・・」
コーカサス「ど、どういう事だ!?」
マリアージュ「B10さんは超えては行けない領域に踏み込んだのよ・・・」
hidechi「 !? 」
マリアージュ「命を削り、尚『他の物』を媒体に時空を超えるなら・・・それに相応する「自分の時間」を魔法成功の為に捧げなければならない。」
コーカサス「!!!ま、まさか!?寿命を・・・?」
マリアージュ「ダメね・・・それだけじゃ「足りない」わ・・・あの様子じゃ・・・きっと・・・」
☆miyabin☆「・・・・・?」
マリアージュ「ふん・・・B10さん・・・貴女は魔法成功の為に寿命だけでなく『記憶』までをも犠牲にしたわね・・・」
hidechi「な、なんだと!!?」
コーカサス「だ・・・ダメだ・・・時空の歪みで中が見えなくなるッ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
命を削り、時空を超え、体を取り戻す時空返還回復魔法リキュア。
思いの外、体に負担の掛からなかった魔法。
この魔法を使い・・・もうすぐ目の前にいる人らしき生物の体が回復する・・・でも、私は何故この魔法を使ったのだろう?
何故、こんなに・・・おどろしい生物の回復を望んだの?
私は何故、この魔法を使ったの?
理由が解らない。
「はぁ・・・ぐっ・・・はぐぅ・・・」
体が回復してようやく声が出る様になった生物が紅い目をこちらに向ける。
刃を思わせる黒い外殻が気持ち悪い・・・
どうしてもこの生物に対して畏怖と嫌悪が混じった感覚を持ってしまう。どうしてもそれは拭い去れない。
B10「あなたは・・・一体何者なの?」
「ビ、ビート・・・」
B10「 ? 」
私の名前を呼ぶ生物。
B10「何故あなたは私を知っているの?私はあなたの回復の果てに・・・何を望んだの?」
「 !!? 」
驚嘆したのか?僅かに大きく開く紅い目。
「グ・・・ァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
でもそれは私の言葉に対する驚きではなかった。
ゆっくりと身を屈めていき動きが止まった瞬間・・・
B10「ッ!!」
黒い生物の背中から大きな身を裂く音と共に大量の血が弾け上がり血の雨を降らせた!!
地に落ちた朱は無数の弾音を発し私の畏怖を仰ぎたて・・・更には・・・
「ガァアアアアアァァ・・・ァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
B10「!!」
追い討ちを掛けるように背に刻まれた2つの古傷さえも身を裂き始め、血を舞い上がらせた!!
「グァァッ・・・ア、アイアンシェフ・・・これが・・・3度目の・・・傷というのか・・・!?」
B10「!?」
猛々しく上がる男の叫声。苦しみに耐えながら私から少し身を遠ざけるが激痛で思う様に体を動かせない。
蟲を思わせる外殻の外観。それが無様に這いずり、回復したにもかかわらず正に虫の息・・・
魔法を使ったこと自体が無意味に思える・・・
「ク・・・グァ・・・」
でも、この声は・・・どこかしら記憶の奥をくすぐる様で頭痛が伴う・・・
自分の中の何かに違和感が生じている。傷つき背を向ける生物に眉を歪ませながら手を伸ばそうとしたが・・・
ちょうどその時、黒い生物の外殻が霧の様に消失し、人間の男の姿が現われた。
B10「 えっ? 」
これは、何・・・?どうして私の中にこの人の背中が・・・この人の後姿が残っているの?
この背中は・・・この後姿は・・・!!かつて私の前から消えた?
B10「知っている?この感覚は・・・?知っているっていうの!?」
「はぁ・・・はぁ・・・」
!!
間違いない!!
こ、この男の人は私が・・・私が一番逢いたかった・・・
「ビ、ビート・・・」
B10「 !!! 」
「逃げろ・・・ビート・・・」
B10「 ・・・・・ 」
「腕や体を回復してくれても・・・俺は魔剣に呪われているんだ・・・だからもう・・・命が・・・」
この世で一番逢いたかった人・・・
ずっと・・・ずっと逢いたかった人・・・
その人のためにもう一度、リキュアを掛けた。
この魔法であれば時空が返還されるから背中に付いた3つの大きな呪いの傷でさえ消す事も可能だからだ。
この魔法を使う限り、私の前から消える命は何一つない。
たとえ私の中から全てが消えて無くなったとしてもこの男だけは絶対に救わなければならない。
私の奥底・・・僅かに残る何かが、そう告げている。
「ビート、お・・・お前・・・この魔法・・・?俺の呪いまで消せるのか・・・?」
驚嘆と喜びを混じらせた笑顔が私の心を奥底から満たしてくれる。私が心の底から望んだ笑顔・・・
ビート「ねぇ・・・」
「ど、どうした・・・?」
少し照れながら優しくはにかむ。そうだよね、あなたは昔、私が回復魔法を掛けてあげる度にその笑顔をくれた。
だけど、そのひとに私はこの質問を投げかけなければならない。
きっとこれが『リキュアを使った代償』なのだろう・・・
許される事ならもう一度・・・魔法を使う前に戻れるなら・・・どれだけ幸せだろう・・・
どれだけ歓喜の涙を流すのだろう・・・
B10「ねぇ・・・あなたは・・・」
「 ? 」
B10「・・・・・・」
「 ? 」
B10「・・・いったい・・・誰?」
「 !!! 」
B10「教えて・・・あなたの名前・・・」
テリィ「ビート?何を冗談を?俺だよ!!テリィだよ!!」
テリィ・・・その名前をすぐに思い出せない・・・
記憶の全てを辿ってみよう。記憶を探るのは難解な迷路を進むのに似ていたはず・・・
なのに・・・
あまりにも少ない情報量の為に瞬時に終了する。
その名前はやっぱり私の記憶の何処にも無かった・・・
でも、私の中に居たことは間違いない男・・・テリィ・・・
B10「そう・・・テリィ。逢いたかったわ。」
テリィ「 ・・・?・・・ 」
テリィが困惑気味に私の頬へと手を伸ばす。僅かに震えているのが解る。
テリィの事を何も知らないのに「逢いたかった」という言葉は決して嘘じゃない・・・
この言葉は決して嘘じゃない・・・
私の何処にも存在しない時間なのにテリィを見つめれば見つめる程に涙が溢れかえってくる。
何が涙を流させるのか?
彼に会えた事・・・
彼を救えた事・・・
彼を知らない事・・・
私は思う。私のこの涙の意味はその全てなのではないだろうか?
B10「ごめんね・・・テリィ。私、あなたに逢いたかったの・・・でもね・・・でも・・・私はあなたの事が解らないのよ・・・
変だよね・・・私、あなたに一番逢いたかったのに・・・一番逢いたかったはずなのに・・・あなたの事が解らないのッ!!!」
テリィ「ビ、ビートッ!?」
B10「お願い、テリィ。もっと私の名前を呼んで!!私は・・・あなたに名前で呼んで欲しかったの・・・
もっと・・・もっと私の名前を・・・大きな声で・・・」
テリィ「ビートッ!!大丈夫なのか?ビートッ!!」
B10「・・・ごめんね、テリィ。あなたの事を知らない私を許して・・・あなたの事を知らないなんて・・・解らないなんて・・・
私はあなたの・・・うぅ・・・あなたのことが・・・」
テリィ「おい!!しっかりしろ!!ビート!!頼むから・・・しっかりしてくれ!!」
テリィを知らない・・・
知っているのに知らない・・・?
違う!!!
この感覚は知っているものが少しずつ消えていく・・・?
苦しい・・・
胸が潰れるほど、呼吸ができないほど苦しい。テリィの声でこの胸の締め付けられる強さが一層増していく。
失いたくないこれ以上・・・
無くすのは嫌だ・・・
もう奪わないで・・・
お願いだから・・・
もう、これ以上・・・
私の時間を・・・
壊さないで・・・
ビート「私の記憶が・・・私の時間が壊れていく・・・いやだ・・・
このままじゃきっと・・・きっとこの気持ちまで消えちゃうよ・・・
これじゃぁ・・・これじゃぁ死ぬほうが・・・死ぬほうがずっと楽だよ・・・」
テリィ「ビ・・・・ビートーーーッ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
<<敗北・・・>>
砕かれた・・・
木端微塵とはこの事だろう・・・
彼女の壊れた時間の先に、悲壮な無力感・・・
何が故に俺だけが、今・・・立っているのだ?
<<許せない・・・>>
抱き上げた最愛の彼女は眠る様に瞳を閉じる。
彼女の頬に残る涙の痕が俺の心を震わせる。
<<空虚にして無価値>>
彼女は言う・・・
死んだ方がマシだと・・・涙を流しながら・・・
彼女は震える・・・
無くしていく時間・・・その恐怖に・・・
彼女は消える・・・
先の見えない末路・・・その闇に・・・
無限地獄を思わせる記憶の消失は彼女を絶望させた・・・
それを前に無力の俺は何もしてやる事が出来ず・・・ただ、泣くだけだった。
『 白銀の勇者 』
その二つ名に幾分の価値があるのだろうか?
何も出来ない俺に与えられた無価値の象徴・・・
<<人を守り、救う英雄・・・>>
それは虚言に色塗られた空想・・・
その正体は結局の所ただ、対象を抹殺するだけで・・・
『奪う事』しかできない・・・
<<人を守り、救う彼女・・・>>
それは実現された崇高なる現実・・・
取り戻された俺の体躯・・・
俺と彼女の差・・・
俺は奪う事しか出来ず、彼女は本当の意味で『守り救う』事ができたのだ・・・
<<彼女が残した俺の世界>>
最愛の中から消えた俺との記憶・・・
ただ彼女はまだ生きている・・・
俺と彼女との時間は壊されたが彼女の未来は紡がれていく。
記憶が消えているのであれば、彼女の笑顔は必ず戻る・・・
<<その彼女の時間の中に、たとえ俺が居なくても・・・>>
彼女と俺にとって命を超える程大切だった・・・
その時間を壊した対象だけは・・・
どんなことがあっても・・・
この俺が・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
マリアージュ「ハァ・・・ビートさんたちは波動の彼方に消えたか・・・さぁ・・・アンタ達とりあえず死んどく?」
コーカサス「グッ!!!とりあえず俺たちの事を忘れてスルーしてくれる事を祈っていたのにッ!!」
☆miyabin☆「コーカサスッ!?そ、それはあまりにも不甲斐ないでしょう??」
hidechi「武器がないからと逃げる訳にも行かない・・・せめて龍喰い様が戻られるまでは耐えきってみせるッ!!」
マリアージュ「あはははは・・・耐えきって??ウジ虫3匹、3秒で十分よォ〜〜〜〜ッ!!!」
『 『 『 !!!ミシッ!!! 』 』 』
☆miyabin☆「!?」
コーカサス「な、何の音だ!?この軋む音は!!?」
hidechi「!!」
???「・・・・・・」
マリアージュ「ふぅ・・・早いお帰りね・・・B10さん・・・そして龍喰い・・・
振り出しに戻された感じだけど本当に無駄なことをしたわよね?私の勝利は揺るがないのに・・・
どれだけの『記憶』が消えているかは解らないけど、それでも私のお友達だものね☆
今度こそ私の血をタップリ飲ませて私と同じにしてあげるわ〜〜〜☆」
☆miyabin☆「??」
コーカサス「な、なんだか闘気が・・・いや・・・雰囲気じたいが?」
hidechi「違うッ!!?」
☆miyabin☆「これは・・・??この空気を裂く様な気配は・・・?何だ・・・?」
聞こえてくる・・・
苛立ちの根源が・・・
俺たちから大切なものを奪った諸悪の根源が・・・
煩わしい・・・
爬虫類の喚声・・・
マリアージュ「あっ!! ビートさん・・・気を失っているのね☆ ちょうど良いわ☆ 私の血を飲ませてアゲルのに好都合☆
でも本当にビートさんって凄いわぁ〜〜〜☆ 熟練された魔界の魔導師ですら時空返還なんてしたら軽く死んじゃうのに!!
気を失う程度で済むあたりが本当に人間離れした才能の持ち主よ☆」
消したい(うざい)・・・
消したい(うるさい)・・・
マリアージュ「あぁ!!そっかッ!!ビートさんて「人間離れ」してるんじゃなくて「そもそも人間じゃない」のかし・・!!!!!!!!?」
☆miyabin☆「まさかッ!!!」
コーカサス「!!?」
hidechi「えッ!?」
マリアージュ「 ??? 」
狂うに余る不快なノイズ・・・
今のオレに渦巻くのは『白銀』とは対照的な「黒鉄(くろがね)」の混濁・・・
マリアージュ「ギャァァ〜〜〜〜〜ッ!!」
亡骸のように爛れる(ただれる)彼女を両腕に抱き、思いのままに繰り出した一撃・・・渾身の蹴り・・・
その抉る一撃はt(d)を軽く超えよう巨龍の喉下に突き刺さり遠く離れる壁まで吹き飛ばした・・・
コーカサス「な、な・・・なな・・・何者?」
☆miyabin☆「ハ・・ハァ・・・ハァ・・・」
階位の低い二人の剣士がオレを凝視する。
何者・・・そう言った答えを口にするのも仕方のない事だろう・・・
あまりに「英雄」とは掛け離れた今の形相(かお)は誰しも魔物を想像するだろう・・・
hidechi「テ・・・テリィ・・・!!」
それでも・・・その場にいた一人の男だけはオレの形相(かお)に怯みもせずに近寄った・・・
テリィ「逃げろ・・・頼む・・・」
言って俺は両腕に抱える彼女を任せる。昔から・・・ガキの頃からお互いを知り尽くしているhidechiだからこそ許されるコンタクト・・・
hidechi「 !! わ、解った・・・任せろ・・・!!」
3秒も無い・・・それだけでhidechiは彼女を両腕に抱きしめ龍深の洞窟に背を向ける・・・
☆miyabin☆「ひ、hidechiさんッ!?」
hidechi「何をしている!?早くこの洞窟を退避するぞッ!!」
コーカサス「なっ!?で、でもッ!!」
hidechi「やかましいッ!!死にたければ残れッ!!「白銀の勇者の命令」だッ!!」
コーカサス「 !! ナッ!?」
☆miyabin☆「ッッ!!!」
二人の若い剣士の息を呑む音が聞こえる・・・
hidechi「・・・・・・・・」
コーカサス「・・・・・・・・・」
☆miyabin☆「・・・・・・・・・・・」
無言に退却の一手に望んだ3人・・・
沈むように足音を闇の向こうへと消していった・・・
テリィ「・・・・・・」
マリアージュ「どういう理屈かわからないけど・・・龍喰いと思いきや・・・・
う・・・ふふ・・・そう・・・だったの・・・あなたが・・・アノ・・・」
グラリとうねり、闇がひるがえる。大きな闇は影と同化し洞窟一体を黒で支配する。
マリアージュ「貴様がアノ・・・ビートさんが言っていた・・・アノッ・・・!!!」
剥き出された殺意の牙・・・無意識下に滴る(したたる)重い涎・・・
下に堕ちて・・・地面に着けば毒煙が吹き荒れる・・・
マリアージュ「貴様がッ!!!テリィかぁあぁぁぁあぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
咆哮と共に痺れ上がる洞窟・・・その音撃は容易に龍深の洞窟の崩壊を手助けた・・・
天井から降り注ぐ無数の巨岩は洞窟が尽きる時間を告げている・・・
目前の対象の破壊は「生き残るのが前提」であれば、不可能に近い・・・
今すぐ逃走を選べば、あるいは延命できるのかもしれない・・・
だが・・・
テリィ「・・・・・・」
マリアージュ「・・・・・・・・」
テリィ「・・・・・・・・・」
マリアージュ「ふ〜〜〜ん・・・・そう・・・一歩も退かないんだ・・・」
刻々・・・一歩、又一歩、マリアージュへと歩み寄る・・・
今、こいつを放っておけばビートの意志も全て無に帰すことになる・・・
マリアージュ「あなた・・・バカ・・・?この条件下、無装備で私に挑むの?」
愉悦に輝くマリアージュの汚れた瞳・・・
カオスドラゴンとルーンドラゴンの双方選りすぐりの肉体を得たマリアージュであれば完全に崩落した龍深の洞窟からでも無傷で生存が可能だろう。
マリアージュのように鋼鉄を凌ぐ皮膚もそれを討ち斬る爪も無い俺はこの場で簡単に沈むように思うのだろう・・・
テリィ「・・・・・・・・」
実際・・・今のオレには何も無い・・・
身を守る鎧、威力を防ぐ盾・・・
あげくは敵に一矢報いる剣も無い・・・
だが、それでも・・・オレは退く気にはならない・・・
大切なものを嘲り奪われた・・・・
許さない・・・絶対に許さない・・・
貴様だけは・・・・
テリィ「貴様だけは・・・絶対に許さんッ!!!マリアージュ〜〜〜〜ッ!!!!」
マリアージュ「死ねェ〜〜〜〜ッ!!!このカスがぁぁ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
『 『 !! 』 』
崩落の巨岩に身を隠しつつ、敵の脅威を退け進む・・・
極みに届く致死濃度の息吹・・・
一息つけば毒で意識が飛ぶのは必至・・・
息を止め、気概を抜けながら一点に狙い澄ました。
今のオレに選択できる戦闘手段はただ一つ・・・
有効な手立ては巨龍マリアージュの背に隠れる「逆鱗」をむしり取るだけだった・・・
これをむしり取れば龍の神経は剥き出しになり、自身の纏う鱗で身を傷つけていく
致命傷にまでは至らないが、それでも回復までには数年は掛かりそれまでの間は気が狂うほどの激痛が奴を襲う・・・
マリアージュ「ッ!!ちょこまかとッ!!」
気概を縫うのは接近戦を苦手とする龍には・・・いや、龍となったもののレベルの低いマリアージュには容易だった・・・
殺す息吹も抉る爪も・・・噛み砕く牙でさえも迅疾の前には無力・・・
これでマリアージュを激痛のどん底に落とせる・・・
これで・・・ビートの無念に一矢・・・報いれる・・・
マリアージュ「ん・・・ふふふ・・・・」
テリィ「・・・?」
マリアージュ「あははははは・・・・」
テリィ「 !!! 」
マリアージュ「残念〜〜〜〜ッ!!!逆鱗狙いだったみたいね!!テリィッ!!そんなもの私には『無い』わょ〜〜〜〜ぉッ!!!!」
テリィ「ば・・・馬鹿なッ!!!・・?ッ!!!グッ!!グ・・・ァァッ!!!ガハッ!!!」
瞬間、マリアージュの巨大な尻尾が弧を描いて俺を目掛けた・・・僅かに直撃を避けたが、痛烈な一撃が全身を襲う!!
驚嘆・・・同時に思わず周囲の空気を僅かに呑み込んでしまった!!
本来であれば全ての龍に存在するべき弱点である『逆鱗』がマリアージュには背の何処を探しても無かったのだ。
マリアージュ「バカね、テリィ!!龍の支配者(ドラゴン・マスター)と言われた私が逆鱗を知らないと思う?」
テリィ「な、何だと・・・?」
マリアージュ「単純な話でしょう?他の龍と違い知性を持つ私が弱点を晒したままな訳がないって言うこと☆」
テリィ「ッ!!」
マリアージュ「私の意志一つで他の鱗の奥底に隠すことができるのよ!!馬鹿な野生の龍と同じに思ったのは最大の敗因ね!!!」
テリィ「グッ!!」
言われて迂闊だった・・・確かに今まで相手にしてきた龍は全てが本能で暴れる類ばかり・・・
だが、だからと言って逆鱗は隠せるものではないと思っていた・・・
マリアージュ「詰めが甘かったわね☆ さよなら!!「ビートさんの壊れた時間の人」!!!」
!!!
マリアージュ「時間と共に・・・壊れなさい・・・」
テリィ「マリアージュッ!!!貴様ッ!!!貴様ァァァ〜〜〜〜〜ッ!!!!」
血流が一度に逆流する挑発・・・それを前に全身で抵抗しようとした・・・
マリアージュ「!!!?」
その瞬間(とき)・・・・・
テリィ「!?」
高い金属音に耳を奪われた・・・
マリアージュ「な・・・何・・・ィ・・・・?・・・ィィイ・・・!!イギャァァァァァッ!!!!」
マリアージュの疑問詞に終止符を打つ間も無く、龍の鱗を斬り裂く斬戟・・・
俺の前に姿を現したのは・・・・蔓延する毒を喰らいながら禍々しく闇を纏う『魔剣』だった・・・
『汝、我を求めるか・・・?』
テリィ「ッ!!」
マリアージュ「イだいッ!!痛・・・イッ!!何ッ!!?何の声ッ!?」
『汝、力を求めるか・・・?』
テリィ「・・・・・・・・・・・」
マリアージュ「こ、これは・・・りゅ、龍喰い!?龍喰いの声ッ!?」
テリィ「・・・あぁ・・・・欲しい・・・」
久しい・・・あの時の台詞・・・
だが、以前とは違う・・・美しい女の声が響く・・・
『汝、幾つの怨敵の命を欲する・・・?』
唯一つ言える・・・
テリィ「俺が望む命は・・・『大切なものを奪う闇の命』・・・」
『我、汝の命を貪る魔剣・・・それでも尚、その身に我を望むのか・・・?』
テリィ「・・・・あぁ・・・欲しい・・・」
マリアージュ「け、剣んん〜〜〜〜ッ!?そ、そんなものッ!!!そんな小道具で・・・何が出来るかァァ〜〜〜〜ッ!!」
激昂するマリアージュ・・・破壊の意志に腕が振るわれ、ただ一点に魔剣を襲う・・・しかし・・・
マリアージュ「ひぎっ!?ヒガァァっ〜〜〜ッ!?」
それを一切として受け付けず、白い光が魔性の体躯を逆襲した・・・!!
『汝・・・かつて我を聖剣と呼んだな?』
テリィ「・・・あぁ・・・」
『他者の魂を貪り、自身の昇天を願い続けた我を未だ・・・そう思うのか・・・?』
テリィ「・・・言ったはずだ・・・お前がどんなに人から魔剣と呼ばれようとも・・・俺にとっては聖剣だったと・・・」
『・・・・・』
テリィ「お前無くしては・・・今のオレは無かった・・・」
マリアージュ「ふ、ふざけるな・・・いまさら・・!!・洞窟が朽ち果てて・・・私の前に立てるはずが無いッ!!」
『・・・・・・・・・・』
テリィ「・・・・・・・・・・・」
『ありがとう・・・テリィ・・・幾年月、咎人の命を望み・・・人の心を忘れかけた私を聖剣と呼んでくれて・・・』
テリィ「アイアン・シェフ・・・?」
『私は他者の命を得て・・・逝く事を諦める・・・私はあなたの傍にいる・・・』
テリィ「 !? 」
『魔剣である私を聖剣と呼んでくれた貴方の為に・・・私は貴方の為・・・聖剣となりましょう・・・』
テリィ「 !! 」
マリアージュ「ま、眩しいッ!!」
過去三度、闇を集め轟き続けた魔剣の脅威とは相反して、白い光が俺を包み込む。
剣を持つ時、背筋を通った凍寒の極みは全く無く・・・遠退いていくはずの意識もハッキリとしている!?
体に降り注いだ光が少しずつ薄れていくと白銀に輝く鎧が全身を包み込んでいた。
マリアージュ「な、何故そんな姿に!?何故!?何故、こんな男が「破邪の鎧」を身につけられる!?そ、それに・・・!!」
光の根源・・・俺の目の前で強く輝くそれも光が薄れていく・・・
かつて俺が手にした闇の剣、アイアン・シェフとは比べようもなく美しい刀身・・・
白銀に輝くそれは全ての強大な悪意を斬り裂いてくれると絶対的な確信を持てる。
『さぁ、テリィ・・・戦って・・・あなたの運命を斬り開きなさい・・・』
テリィ01「ありがとうッ!!アイアン・シェフ!!!」
マリアージュ「今更、『龍喰い』でもない貴様が・・・私に勝てると思うなァァッ!!!」
言って黒炎を吐き出し、俺に襲いかかる・・・
アイアン・シェフを手にした瞬間、馴染む感触が加速を始め・・・一気に身体の一部へと変わる。
眼前に迫る灼熱は俺の足だけの跳躍では回避が間に合わない・・・
ずるりと身を屈め・・・
マリアージュ「 !! 」
左腕を含め『三本足』で黒炎を飛び退けた。
マリアージュ「何故貴様がッ!?何故『龍喰い』の動きをッ!?い、いや・・・「それ」よりも!?」
渾身で動く今の俺にマリアージュの焦点は合っていない・・・
喫驚・・・慌て気味に瞳孔を開く・・・
それは俺自身もマリアージュと同じで、心の中は困惑で包まれていた。
あまりに軽い・・・肉体が驚く程・・・軽い・・・?
マリアージュ「何処に!?何処に消えた!?テリィ〜〜〜〜〜ィッ!!」
テリィ01「馬鹿が・・・」
マリアージュ「 !! 」
疾走する俺に動作は疎か確認も追いつかず、消えたと表現したマリアージュだが俺は既に到着していたのだ!!!
マリアージュ「し、下ッ!?」
マリアージュの土手っ腹に・・・・
マリアージュ「ギャアァァァ〜〜〜〜〜ッ!!!」
! ! !! 一 閃 !! ! !
鋼鉄に勝る硬度の龍鱗だが、斬った感触があまりに少ないその斬れ味はあまり余る攻撃力を意味している・・・
聖剣アイアン・シェフに斬れない物は皆無に思えた二刀目・・・・
マリアージュ「ル、ルーン・エフェクトッ!!!」
テリィ01「ッ!!」
アイアン・シェフの斬撃を弾く金属音が、崩れる洞窟の轟音を無視して高鳴る!!
ルーンドラゴンの持つ魔力でシールドを張り物理攻撃を緩和したのか・・・?
だが、それでも「絶大」には程遠い・・・
マリアージュの龍鱗は裂け目を露わとし悲痛に表情が歪んでいた・・・
マリアージュ「テリィ・・・アンタ、いったい何者なのよ!?龍喰いと同じ動きをするなんて・・・いえ、それ以上の実力を持っているなんて!?」
龍喰い・・・それはきっと俺が過去三度・・・アイアン・シェフを持った時の姿の事だろう・・・
だが、それ以上の実力というのがマリアージュ同様・・・自分でも理解できない・・・
あの動きは俺が一番理解しているが・・・確かにルーンドラゴンやカオスドラゴンと戦った時は今程の動きができていない・・・
『馬鹿ね・・・マリアージュ』
マリアージュ「こ、この声・・・?ま、また・・・龍喰いッ!?」
『テリィは私の動きをちゃんと理解してモノにしていった・・・傷の呪縛を受けた体で修練を積み重ねた・・・』
テリィ01「・・・・・」
『その呪縛が消えた今、何がテリィを束縛しているというのかしら・・・?』
テリィ01「 !! 」
そうだ!!今の俺には「背中の傷」は無くなっている!!
漲ってくる力も・・・全ての神経が研ぎ澄まされているのも・・・呪縛が消えたからだ!!!
マリアージュ「ま、まだよッ!!まだ終わらないわッ!!!龍喰い以上の実力を持っているアンタでも・・・必ずくびり殺してやるッ!!」
テリィ01「油断はしない!!貴様をここで・・・捌き斬るっ!!」
マリアージュ「ちょ・・・調子にィィ〜〜〜〜〜・・・・」
テリィ01「 !!!! 」
マリアージュ「 「 「 ! ! ! 調子に乗るなァァ〜〜〜〜〜〜アッ ! ! ! 」 」 」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
☆miyabin☆「はぁ・・・はぁ・・・」
コーカサス「ど、洞窟を抜けて一目散に離れたけど・・・地震がドンドン強くなっていくな・・・?」
hidechi「この森には魔物はおろか小動物さえも姿を見せない・・・やはりマリアージュの存在が原因なのか?」
コーカサス「と、とにかく早く応援を呼ぼうぜ!!ビートさんを抱きかかえていた剣士がいくら『白銀の勇者』でも
剣無しじゃマリアージュに倒されるのも時間の問題だ!!」
hidechi「・・・・・」
☆miyabin☆「そ、その通りです!!この宝玉でドルロレの騎士団に応援を・・・」
『 『 『 『 『 『 !!!!!ドーーーーン!!!!! 』 』 』 』 』 』
☆miyabin☆「う、うわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
hidechi「な、何が爆発したんだ!?」
コーカサス「混乱するなッ! みんな落ち着け!! こういう時こそクールに・・・冷静になるんだッ!!」
hidechi「ちっ!!なんで岩石が降り注いで来やがる!!?」
☆miyabin☆「hidechiさんッ!!ビートさんを抱きかかえたままじゃ危険です!!僕の後ろに廻って下さいッ!!剣撃で岩を凌ぎます!!」
コーカサス「そうだ!!あんた達は俺たちが守ってみせ・・・」
『 『 『 ガンッ!! 』 』 』
コーカサス「ぶぐわ〜〜〜〜ッ!!!」
☆miyabin☆「コーカサス〜〜〜〜ッ!?」
hidechi「お、おい!?大丈夫かッ!?」
コーカサス「ふっ・・・だ、大丈夫ですよ・・・高だか岩石の一つや二つでこのオレが・・・」
『 『 『 ガンッ!! 』 』 』
☆miyabin☆「 ま、また・・・コ、コーカサスッ!!!! 」
コーカサス「ぐっ・・・グゥゥ・・・・」
『 『 『 ガンッ!! ガンッ!! 』 』 』
hidechi「お、おい!!無茶はよせッ!!剣で防げないならせめて避けろッ!!!」
コーカサス「ムギィィ・・・だ、大丈夫ですよッ!!これくらいッ!!こ、これっくらいッッ!!!!!!」
『 『 『 ガンッ!! 』 』 』
『 『 『 ガンッ!!ガンッ!! 』 』 』
『 『 『 ガンッ!!ガンッ!! 』 』 』 『 『 『 ガンッ!! 』 』 』
『 『 『 ガンッ!! 』 』 』 『 『 『 ガンッ!!ガンッ!! 』 』 』
『 『 『 ガンッ!! 』 』 』 『 『 『 ガンッ!! 』 』 』
『 『 『 ガンッ!! 』 』 』 『 『 『 ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!! 』 』 』
『 『 『 ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!! 』 』 』 『 『 『 ガンッ!! 』 』 』
『 『 『 ガンッ!! 』 』 』 『 『 『 ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!! 』 』 』
コーカサス「・・・・・・・・・・・・・ッ・・・・・ぅぅぅ・・・ぐぅぅ・・・」
☆miyabin☆「コーカサスッ!!!きみはなんで岩石を全部喰らうんだ!?」
hidechi「お、お前ッ!!それは明らかに『レベル』低すぎだろッ!?」
コーカサス「ち、チクショウッ!!なんだってンだよ!!!オレたちは死ぬのかッ!?こ、ここで死ぬのかッ!?」
☆miyabin☆「お、落ち着いてッ!!コーカサスッ!!!とりあえず涙を拭ってッ!!!」
コーカサス「ウエェェェ〜〜〜〜〜ンッ!!!どうせみんな死ぬならオレがお前らみんな殺してやる〜〜〜ッ!!!」
hidechi「お前が一番混乱してるじゃねェか〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
☆miyabin☆「最悪の答えを導き出すなァァ〜〜〜〜〜ッ!!」
『 『 『 ドガンッ!! 』 』 』
コーカサス「ンガッ!!!」
☆miyabin☆「うわっ!?今までよりも無駄に大きな岩石がッ!?」
hidechi「い、いや!!それより!!!あれを見ろッ!!!!」
☆miyabin☆「く、空中にッ!!?あれはマリアージュと・・・テリィ様が!? 戦っているッ!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
マリアージュ「ガァァァーーーッ!!!焼け死ね!!焦げ死ねッ!!!私の前から・・・消えろッ!!」
テリィ01「ふんッ!!炎程度で今更死ぬかよッ!!」
マリアージュ「くぅぅ〜〜〜ッ!!あれだけの力を解放したのにッ!!コレだけの威力なのにッ!!貴様は一体、何故死なないッ!?」
最強の生物・・・2つの巨大な魂を取り込んだ龍となりつつも、敵として対峙しているのが脆弱と信じ続けた人間・・・
それを相手にし続けるという状況に混乱し、殺せないもどかしさに焦燥を知る。
ルーンドラゴンの魔力とカオスドラゴンの闇の力を一気に解放して崩壊しつつあった洞窟ごとオレを消し飛ばそうとしたマリアージュだったが
今、オレが身につけている白銀に輝く破邪の鎧はそれを許さず、聖なる力で死を免れる事が出来た。
岩山の洞窟一つを吹き飛ばす凄まじい威力・・・
正直なところはもう一度あれを喰らえば・・・かなり不味い状況ではある。
テリィ01「貴様を捌くまで死ぬわけねぇだろうが!!」
マリアージュ「こ、これが『白銀の勇者』!?人間の英雄とはこれ程までに・・・これ程までに・・・」
テリィ01「ふんッ!!ドルロレには俺の他にも英雄が居るぜ!!」
マリアージュ「き、貴様たちは我等以上の化物なのかッ!?」
地面に向かって落下しつつもお互い、必死に至ろう連撃の応酬・・・
こちらは一撃として直撃は貰うわけには行かない・・・
オレと同時に宙へと舞った無数の巨岩を足場にして前後上下左右に跳躍回避!!マリアージュを撹乱しつつ攻撃する!!
マリアージュ「こ、小賢しい・・・小煩い・・・ッ!!!」
テリィ01「 !!! 」
再三に渡り大振りの攻撃を仕掛けてきたマリアージュが地面を目前に一転して防御に入る!!
鋭い眼光・・・震える大気・・・
間違いない!!
こいつ・・・また、ルーンドラゴンの魔力とカオスドラゴンの闇の力を解放するつもりだ!!
俺の見たところではマリアージュに内包されている力は残り少ない・・・この攻撃が・・・本当に最期になる・・・
無駄な攻撃を一切止めて・・・最期の賭けに出やがった・・・
テリィ01「なら・・・俺は秘剣で応えよう・・・」
マリアージュ「・・・・・・・・」
握る聖剣にありったけの闘気を込める・・・
俺の秘剣は剣に込めた闘気を龍の神経に突き立て送り込む・・・龍の神経細胞内で闘気が超振動を発生させて最終的に逆鱗を破壊・・・
猛毒を貯蔵する肉体は一気に崩壊を始め、骨だけを残し肉体の全てを腐敗させ地に落とす・・・対龍戦、専用奥義!!
『 『 『 秘剣、画龍点睛 』 』 』
コレを決める事が出来るなら・・・一瞬でも早く地に着き、マリアージュの懐に移動する事が出来れば・・・勝てるッ!!
マリアージュが防御に入って刹那の間・・・戦略を巡らせて最期に望む!!
落下する岩を蹴って俺は地面に向かって一気に舞い降りた!!
しかし・・・
テリィ01「な、ナニッ!?」
よりによって・・・・
hidechi「テ、テリィッ!!」
☆miyabin☆「あ・・あああ・・・」
お、俺の着地点のすぐ傍らが・・・逃走するhidechiたちのすぐそばだとッ!?
hidechiがビートを両腕に抱いている!!頭から血を流して気を失っている剣士まで居る!!
マリアージュ「アハァ〜〜〜〜〜・・・私ってば最期の最期に・・・勝つ様になってるのねェェ〜〜〜☆」
テリィ01「ッ!!!」
ヤバイっ!!ヤバすぎる!!
俺が着地した瞬間、マリアージュの懐に向かって跳び上がり・・・俺の技を叩き込む予定だったのにッ・・・
明らかにヤツはビート達の方へと全開の威力を込めた口腔を向けやがったッ!!
今、おれがマリアージュに跳べば・・・ヤツは確実にビート達に向かって、あのエネルギーを放出する!!!
マリアージュ「・・・・・・・・」
テリィ01「 ッ!! 」
無言の落下・・・
口腔をビート達に向けつつ、細く大きく開いた瞳孔は常に俺を凝視!!
伝わる威圧が俺の全身に重くのし掛かる!!
マリアージュから突きつけられた唯一の手段に・・・俺はみんなのところへと跳んだ。
hidechi「テ、テリィッ!!」
テリィ01「ッ!!」
俺の迎撃ポイントへの到達・・・
マリアージュの着地・・・
轟音と大振動の中、全てのものが刹那に決まり・・・そして・・・
マリアージュ「すべて消え失せろッ!!D2・イレイザーァァーーーーッ!!!」
テリィ01「クソォッ!!」
先程は全方向に向かって放出した脅威のエネルギーを、俺たちの居る前方に集中して放射!!
マリアージュがビート達に向かってそれを発した瞬間、俺の迎撃・・・いや、突撃の火蓋が切られる・・・
完全に後手に回された俺の攻撃は「D2・イレイザー」を「破邪の鎧」の威力だけで防ぎきった後でなければ届かない・・・
テリィ01「ッ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
破邪の鎧は邪な威力を退けようと前方にシールドを張り巡らせるがヒシリ・・・ヒシリと小さな悲鳴を上げながら少しずつ崩れていく・・・
あたかも風を受けて崩れる砂の城の様にマリアージュの威力が俺に向かって浸食してきた・・・
あと、たった十数メートルがあまりに遠い・・・
聖剣に込めた俺の全力の闘気・・・そのたった一刺しまでがあまりにも長い・・・
マリアージュのD2・イレイザーは衰えを知らず、とうとう破邪の鎧は急速な崩壊を始めた・・・
マリアージュ「やったッ!!!!」
テリィ01「く、くそぉ〜〜〜〜〜〜ッ!!」
☆miyabin☆「うわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
hidechi「ッ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『あきらめないで・・・』
テリィ「 !? 」
『だいじょうぶだよ・・・テリィ・・・』
!!!!!!!!!!!!!!
この・・・声・・・・・・
マリアージュ「!!!!!!!!」
☆miyabin☆「そ、そんなッ!?」
hidechi「えっ!?な、なんで・・・?」
俺の体から抜けるように現われた細い金色の風・・・
それが集まりしなやかな白色の光へと変化して俺を照らしてゆく・・・
マリアージュのエネルギーを阻みながら・・・具現されていくのは金色のドレスを纏った美しい乙女・・・
両腕を広げ、少しうつむきながら目を閉じるその姿は・・・間違いなく、俺の後ろにいる最愛と同等の姿をしている・・・
『あなたはもう・・・きずつけさせない・・・』
優しい声は同等を同一へと認識を変えさせ、不意に涙が溢れていく・・・
テリィ01「ビ、ビートッ!!」
金色に輝く美しい乙女が・・・ゆっくりと瞼をあけると優しく俺に微笑む・・・
神秘を想像させる姿が・・・
彼女に完全な好意を抱いた時の言葉を甦らせた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
ビート「ねぇ?テリィ・・・あなたこの騎士団の傭兵になる前は名の知れた英雄だったって本当・・・?」
テリィ「えっ!?「だった」っていうか・・・今でも「白銀の勇者」って呼ばれる英雄なんですけど・・・?」
ビート「嘘でしょ?」
テリィ「嘘じゃねぇよ!!!」
ビート「ふむ?だったら「白銀の勇者」って割には生傷がいつも耐えないのはなんで?」
テリィ「グッ!? あ、あはははは・・・・な、何故でしょうねぇ〜〜〜!!?
(本当はみんなに内緒で昨日もドラゴン倒したとは言えないんだょなぁ・・・)」
ビート「それにドルロレには他に英雄がいるけど・・・もっと品があるというか?お金を持ってると言うか・・・?傭兵なんてやらないわよ?」
テリィ「それは個人の勝手だろぅ・・・お金は直ぐに使っちゃう派なんだょ・・・
(ドラゴンの襲撃を受けた人たちの復興のためとかに使ってるんだけどなぁ・・・)」
ビート「まぁ、今日からは仲間になったことですし貧乏な英雄だろうと貧乏な傭兵だろうと関係ないわ☆」
テリィ「あ、あはは・・・ヨロシクな、お嬢ちゃん。」
ビート「・・・・・・・・・・」
ビート「ねぇ・・・」
テリィ「あ、あんだよ、お嬢ちゃん?」
ビート「もしもアンタが傷ついたら・・・」
テリィ「・・・?」
ビート「絶対に私が治してアゲルからね♪」
テリィ「 !! 」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
優しく笑む横顔・・・何気ない会話の中で知ることができたビートの心・・・
癒すことで誰かを守りたいと思う心・・・
時が経つほど確実に実現されていった・・・
人に英雄と・・・「白銀の勇者」と呼ばれた俺ですら洩れる事無く幾度も救ってくれた・・・
マリアージュ「あ、ありえないッ!!
何故!?何故シールドが『復元』されていくの?
どうして鎧が『修復』されていくのッ?
なんでテリィの傷が・・・『回復』されていくのよォォ〜〜〜ッ!!」
すべてを失い、自分の時間を失ってもなお・・・俺の体を守ってくれている・・・
リキュアを使ったビートが俺の中に注ぎ込んだ記憶・・・それが具現されたのだろう・・・
最悪の戦局の中・・・金色の衣を纏い・・・俺に微笑み輝く女神・・・
自信を持って言おう・・・
最早、この戦いで・・・負けることは絶対に無い!!!!
なぜなら・・・
マリアージュ「どうして!?ビートさんッ!!?どうして私に背を向けるの!!?どうして私の方を向いてくれないのよーーッ!!?」
テリィ01「さらばだ、マリアージュッ!!!俺の勝ちだ!!!」
マリアージュ「ふ、ふざけないで!!まだ・・・まだ私は負けてないィィーーーーッ!!!」
テリィ01「まだ解らないのか!?」
マリアージュ「う・・・うぅぅッ!!!」
テリィ01「 !! ! 『勝利の女神』は、俺に微笑んだッ ! !! 」
マリアージュ「う・・・うわぁァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
『 『 ・・・・・ 』 』
マリアージュの懐へと食入る様に斬り込む・・・
ルーン・エフェクトによるシールドが消え失せたマリアージュの龍鱗は聖剣アイアン・シェフの前には無硬度に等しく
斬音は起たない・・・
辺りが静寂のまま僅かに時間を過ごし・・・
力尽きたマリアージュが地に堕ちる・・・
その大きな衝撃は地平線まで届いたか?と思う程と響いていた・・・
遅れて着地した俺に残された脅威は何もない・・・
最早マリアージュに目を向ける事もなく・・・ただ、歩いた。
マリアージュ「ヒ・・・ヒガ・・・・ヒ・・・ヒ・・」
神経反射で不気味に「音」を出すマリアージュ・・・
この秘剣の前には漏れることなく・・・全ての龍は同じ末路を辿る・・・
マリアージュの神経に送り込んだ俺の闘気が全身へと巡り行く・・・
その仮定に置いて痙攣したまま白目をむいていく・・・
完全に神経細胞が機能停止・・・
龍鱗、奥に隠された逆鱗が白く輝く頃・・・
予想通り・・・
マリアージュ「やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!やだやだ!!」
肉体崩壊前、一時だけ戻る意識の中・・・心底から湧きあがる恐怖に断末魔を上げた・・・・
マリアージュ「あ・・・いや・・・だ・・・死ぬのは・・・・いや・・・・やだ・・・やだよぉぉ〜〜〜〜」
ズルリ・・・ズルリと身を地に這いずらせる・・・
視点は合わず、虚ろのままにビートの方へと顔を向けると僅かに甘い声で言った。
マリアージュ「ビ、ビートさん・・・お・・・お願い・・・私に・・・私にも『キュア』を・・・キュアを掛けて・・・」
hidechi「こ、こいつ・・・」
☆miyabin☆「い、今更何を・・・?」
マリアージュ「ねぇ・・・・私は・・・私とビートさんは『お友達』じゃない・・・?私は・・・何度も、何度も・・・ビートさんを助けてあげたでしょ?」
マリアージュの激痛は最早、致命傷・・・
キュアでは到底、助かるものではない・・・
そんなことはマリアージュ自身も十分に理解している筈だが・・・尚、その言葉を吐き出している・・・
そこにあるのはただ一つ・・・
醜くも・・・
自身の『延命』のためだけ・・・
マリアージュ「ねぇ〜〜〜〜・・・大こうもりをたくさん・・・倒してあげたじゃない?ジ・・・ジーンのバカも・・・殺したでしょう・・・?
わ・・・・私が言ったとおり・・・・テリィにも・・・逢えたじゃない・・・?ねぇ・・・あなたばかり『幸せ』なのは・・・
ズルイと思わないの・・・?は・・・ぐ・・・がぁ・・・ッ!!!は、早く・・・早くッ!!キュ・・・キュアをッ!!!」
当然ながらマリアージュの言葉は気を失っているビートに届くはずは無い・・・
それでも無言で目を閉じ続けるビートに向かって、懸命に懇願を続けている・・・
その姿は一言で言うならば・・・・『無様』以外の何物でもない・・・
マリアージュ「ビ、ビートさん・・・なんで・・・なんで・・・ナニモ・・・何もイッテ・・・くれないぃのょぉぉ・・・?」
終始無言のビート・・・それに向かってマリアージュはとうとう本性をあらわにした・・・
マリアージュ「ご、ごのッ!!ヂょ・・・調子に・・・・ノッデンじゃないわょおおおおぉぉぉ〜〜〜〜〜ッ!!!
誰のおかげで龍深の洞窟の最深部まで生きて・・・イギデ進めたど・・・おもっでんのッ!!!?
私の・・・おがげでじょぅッ!!!私の・・・私がいながったらッッッッッ!!!あんだなんで・・・あんたなんで・・・
い・・・一瞬で・・・死んでたくぜにぃぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
hidechi「ッ!!!こ、このやろうッ!!!」
☆miyabin☆「こうまで・・・こうまで魔物とは醜いものなのか・・・?」
挙句に放ったマリアージュの言葉はそれを聴いた者の心には嫌悪しか抱けない・・・
マリアージュ「ねぇ・・・いいこだがら・・・いいごだから・・・・私にキュアを『掛けなさい』!!!
あなたの大事なものを・・・無くしたぐないのなら・・・私の言うとおりに『しなさい』!!!
あなたは大事なお友達だがら・・・私の希望を『叶えなさい』ょぉぉ〜〜〜〜〜ッ!!!!」
あまりに身勝手であまりに醜い言葉の連続・・・
友達と言う言葉を使用するにはあまりに稚拙な思考回路・・・
きっとマリアージュには、何を言っても理解は不能だろう・・・・
が・・・それでも、俺はマリアージュの最後に言葉を掛けずにはいられなかった・・・
テリィ01「うるせぇよ、マリアージュ・・・もう黙れ・・・」
マリアージュ「デ・デリィッ・・・ッ!!!あんだも・・・ビートさんに好かれているがらって・・・調子に・・・乗って・・・」
テリィ01「・・・・・」
マリアージュ「私のほうガッ!!!私の方が・・・ビートざんを理解してるのにッ!!!ビートさんの・・・『価値』を解っているのにッ!!!」
テリィ01「・・・・・・」
救えねぇ・・・・
お前は決定的に『違う』・・・
俺たち人間と・・・貴様のような魔物との決定的な差なんだろうが・・・・
貴様のは違うょ・・・・
テリィ01「お前はビートに何を見たんだ・・・?」
マリアージュ「な、何を・・・?決まってる!!!アノ人間離れした『回復魔法能力』!!!
それ以外にッ!!!それ以外にッ!!何があるっで言うのぃょぉぉ〜〜〜〜ッ!!!
ビートさんが私のお友達になっでくれだなら・・・わだしは・・・もっと強くなれだ・・・
なのに・・・だのに・・・私が特級賞金首ってわかって私の気持ちを開放した瞬間・・・
いきなり掌を返して・・・・ひどいわょぉぉおおッ!!!」
テリィ01「そうか・・・貴様の意見は理解した・・・
それが故にビートも貴様を敵視したんだ・・・」
マリアージュ「ッ!?」
テリィ01「ビートの一番いい所が『回復能力』・・・?
貴様の野望に手を貸さないから友達じゃない・・・?
人をあざ笑いながら殺して・・・それを理解しないから悪い・・・?
当然の心を貴様は微塵も知らないじゃないか・・・?
貴様は『人の心』なんて・・・これっぽっちも理解しない最低なヤツじゃないか・・・」
マリアージュ「ひ・・・人の心・・・?」
テリィ01「死ぬがいい・・・『特級賞金首・ドラゴンマスター・マリアージュ』
ビートは貴様のようなヤツには・・・決して微笑まない・・・
貴様に・・・貴様に奇跡は起こらないッ!!!!!!!」
マリアージュ「グ・・・グゥ・・・・ガァァァァッ!!!????????」
秘剣の効果が最終部へと到達した・・・
これで完全な終局だ・・・・
これが俺の対龍戦・・・専用奥義・・・・
テリィ01「秘剣ッ!!!『画竜点睛』ェェッ!!!!!」
マリアージュ「クフゥゥゥッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!??????」
高輝度に光放つ竜鱗が爆音を立てて爆発を起こす・・・
打ち放たれた閃光は一瞬、夜を昼へと変えるぐらいの光だったが・・・
最後の最後までマリアージュの闇は深く黒いものだった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
1年後・・・ドルロレ
なんということはない・・・
金曜日のドルロレの噴水広場前・・・・
たくさんの露店、騒ぐ子供達・・・
買い物かごに日傘を持った奥様たちが井戸端会議をしている・・・
それをボンヤリと見つめながら私、ビートは一人で何かを待っていた・・・
いつもは病院で仕事をしているが、今日は「休暇」を取ってぼんやりと公園で何かを待っている・・・
いや・・・今日もと言った方が正確だろう・・・
「1年前のアノ日から・・・」
私は金曜日になるたびにこの公園で待ち続けている・・・
何を・・・?
それは私自身もわからない何か・・・
1年前・・・記憶を喪失した私は見ず知らずの剣士hidechiさんに面倒を見てもらいながら生活をしていた。
数ヶ月前になって、ようやく医療技術を思い出した私は元々もっていた医師免許を使い『医師』として働いている・・・
ビート「・・・・・・・・」
それにしても暑い・・・
夏も終わりかけているというのに、この暑さ・・・
「あぁ・・・せめて屋根のある所に行きたいなぁ・・・」
言って当然・・・
天候は快晴 気温37度 湿度54% にも関わらず 無風・・・
空には雲一つ無い・・・
頭に掛かる日差しは白い帽子を突き抜けて茹だる様な暑さが襲いかかってくる。
目の前の風景は石畳に反射した日差しのせいで、うざったくなるほど陽炎が発生・・・
お気に入りの「白いワンピース」を着ているけど、汗を流しながら私は「何か」を待ち続けている・・・
私が住む街・・・
その中央にある噴水のある公園・・・
記憶を無くした後でも・・・わたしは金曜日になるたびにこの公園に足を向けずにはいられなかった・・・
ビート「帰りたいはずなのに・・・なんで私は・・・」
夏の終わりの日差しは容赦なく私を攻め立てる。
ふと気付くといつの間に来たのか知らないが、この広場によく顔を見せる男が汗を流して立っていた。
私の横で「そのよく顔を見せる男」が声を掛けてくる・・・
「やぁ・・・また、奇遇だね・・・」
また、奇遇だね?
この男の言う事はおかしくはないだろうか・・・?
私が金曜日にこの広場に現れるようになって5ヶ月以上は経過している。
そして金曜日になるたびに私はこの男にあっているのだから奇遇ではない。
むしろこの男は私に逢いに来ている節が非常に強いので「必然」が正しい表現でしょ・・・?
ビート「何が奇遇なもんですか・・・私は忙しいんで何処かに行って下さい・・・」
???「相変わらず冷たいねぇ・・・毎週会ってるのに、いい加減に仲良くしようよ〜〜」
ビート「いやよ・・・・」
???「なんだょ!忙しいって言っても座ってるだけじゃん!!退屈でしょ?」
ビート「退屈じゃありません、ご心配なく・・・」
???「いや〜〜〜そうは見えないよ?」
ビート「見えるも見えないも・・・・」
???「だからそうじゃなくて・・・・」
ビート「もう、いつもいつも・・・・」
???「あはははは・・・だからさ〜〜〜」
・・・・・・・・・・・
うざい・・・
正直に言ってこの男はうざい・・・
頼みもしていないのにやたら話しかけてくるし、私の近くに座ろうとするし、以前は私の隙を着いて体に触ろうとしたこともある・・・
ある意味「軽いノリのストーカー」と言っても過言ではない。
私は女の子なので自分の顔を鏡で見ることが多いけど・・・正直に言って、それは相当な美人よ?
でもね?こんなノリの軽い男に惚れるようなバカじゃないのよね?
???「なぁ?こんなに暑いところで帽子一つじゃキツイだろう?ほら!!あのオープンテラスのあるカフェで何か飲もうよ?」
ビート「いりません・・・」
???「うっ・・・じゃ、じゃあ俺が作ったアイスクリームを持ってこようか?
それとも石割がにの姿蒸しがいいかな???
俺特製のオムライスを作ってあげてもいいけど???」
ビート「結構です!!」
この男の素性を詳しくは知らないが過去の話を総合するとどうやら「料理が趣味」の様らしく、家には作る料理別に3つも台所があるらしい・・・
話の節々において「食べ物」で釣ろうとするのだ・・・
実際に私が金曜日に公園にいる間、数度食べ物を持ってきたことがあったが知らない人の持ってきた食べ物を食べるほど奇特な女じゃございません!!!
???「なぁ〜〜〜俺と一緒に夜明けのコーヒー飲もうよ〜〜〜〜」
ビート「アホかッ!!もう帰れ!!!毎度毎度、しつこいのよ!!」
いい加減にうんざりして・・・ふと、懐中時計を見つめてみる・・・
時間は不思議なことに早く流れ・・・気がつけば正午間近・・・登っていた太陽が頂点に達そうとしていた。
ビート「本当に毎度ながら・・・ありえない・・・」
???「どうしたんだい???」
この男と過ごす時間といつもの日常を過ごす時間を比較してみたけど・・・いつもながらに思うのは「有り得なさ過ぎる」と言うこと・・・
この男と過ごしている時の私の時間はいつもより『短く感じてしまう』のだ・・・
時間は残り3分・・・
それであの太陽が頂点を越える。
私は俯き気に目を瞑り、「ポーチ」からハンカチを取り出して白い帽子を脱いで汗を拭った・・・
「ふぅ・・・今日も本当に暑った・・・」
溜め息を付いて再度、街を見渡す。
先程までいた日傘を差した奥様達はとっくに家に帰った様で、人が疎ら(まばら)になっている。
その時ふと、建物の影が延びるこの風景に一匹の「シーポン」が砂漠を漂う様に浮遊しているのを見つけた。
シーポン「 ヾ(´Д`;=;´Д`)つ 」
キョロキョロと辺りを窺いながら浮遊するシーポン。
時たま男性の方へと近づいていくが男性は知らぬ顔で離れていく・・・
その様子は誰かを探しているようで行き交う「男性」を見つめては近づき、ショゲながら離れていく。
ビート「ちょっと・・・?あれ・・・」
???「あっ!!!お〜〜〜〜い、こっちですょ〜〜〜」
シーポン「 Σ(´Д`;)!! 」
シーポンがこちらに気付いた様だ。
この事から解かったがこのシーポンはこの男のペットのようだ。
でも、何故にペットに対して敬語・・・?
シーポン「ガシ!!!・゚・(mД`)m・゚・。」
ビート「あんたのトコのペットって飼い主の顔を覚えられないの?」
???「い、いや・・・ウチのししょ・・・じゃない・・・てりりは結構男好きなもんで・・・
ちょっと!!ナンパ失敗したからって泣かないで下さい!!」
てりり「 ・゜・(つД`)・゜・。 」
ビート「・・・・・・・」
さっきまでのは「ナンパ」かょ・・・ッ!!!
でもでも・・・てりりの性別は女の子だったんだ・・・
????
なんだろう・・・?変な違和感・・・?
てりりって名前だったら男でも女でもどっちでもいい感じなのに・・・・
妙に「男のイメージ」が強く感じるのは何故・・・?
てりり『 『 『 『 !!!!Σ(*´▽`*)シ!!!! 』 』 』 』
!!!
てりりが若くてかっこ良さ気な男の人を発見した!!
瞬時、てりりは一目散にそちらへと飛んでいった・・・
???「げっ!?し、ししょ・・・い、いやいや・・・てりりぃ〜〜〜〜遊ぶのはいいけど早く帰ってきて下さいよ!!!」
てりり「 〜〜〜〜〜 ヾ(*´Д`)シ」
と、男の言葉には耳も貸さず、てりりと呼ばれるシーポンはイケメンに向かって飛んでいった・・・
その光景の後、再度懐中時計に手を伸ばす。
時刻は正午を10分もオーバーしていた。
???「正午・・・過ぎちゃったね?」
ビート「そうね・・・でも、あなたには関係の無い話じゃなくって?私はこれで帰りますから・・・」
金曜日に何かを正午まで待つ・・・
私の意味不明な週一回の儀式がこうして終了する。
でも、私は何故ここに来たくなるのか・・・
わかった気がする・・・
いや、気付いているのだ・・・
ここにいる度に少しずつ・・・少しずつ昔の記憶を取り戻せるような気がするから・・・
ひとえに記憶を取り戻したい・・・そんな願望が私の体をここへと導いているような気がする・・・
もっとも・・・
???「なぁ・・・この後、家に帰るだけだろう?どうだろう?いい加減に喉が渇いてきたしカフェに・・・」
この男がいなければもっと有意義に「長い時間」を過ごしているはずなのだ・・・
???「あっ!!暑いならアイスクリームはどうだ?すげぇ美味いんだぞ!!あのカフェのヤツッ!!!」
こいつがいなければ・・・もっと早く「記憶」を取り戻せるはずなのに・・・・
???「大丈夫!!勘定は俺が出すッ!!!奢るからッ!!!」
こいつがいなければ・・・もっと早く「時間」を取り戻せるはずなのに・・・・
???「なぁ?いいだろう・・・?・・・『お嬢ちゃん』・・・?」
ビート「 !!! 」
『お嬢ちゃん』ッ!!?
よりにもよってファーストレディーの私に向かって・・・『お嬢ちゃん』ですってッ!!?
ビート「その台詞ッ!!あんたにだけは・・・言われたくないのよ〜〜〜〜〜ッ!!」
???「 ッ!!! 」
ズド〜〜〜〜〜〜〜ン・・・・
と・・・思いっきり「グー」で殴りつつ、男の顔面に全体重を載せる・・・
ビート「???」
載せた瞬間・・・
ビート「!!!」
私の中にたくさんの「モノ」が・・・私の脳にたくさんの「記憶」が流れ込む!!!
???「あい・・・だだ・・・また・・・殴られた・・・」
と、男が私の手を掴みながら鼻血を垂らして微笑を見せた・・・
ビート「 あっ!! ま、また・・・やっちゃったわね・・・私・・・」
???「う〜〜〜ん・・・どうもお嬢ちゃんという言葉は地雷らしいと言うことが今日はわかった・・・」
ビート「うっ!それはダメよ!!そもそもあなたに名前で呼んで欲しかった原因なのにッ!!」
???「うぐぅ・・・前にも言われていたのにクセが抜けないな・・・
とりあえず今回もダメだった・・・どうすれば俺は『俺を知らないビート』に好かれるんだろう?」
ビート「とりあえず地道に頑張ってね・・・性格は基本的に今の私と同じだから・・・テリィ」
テリィ「はい・・・善処します・・・」
と、申し訳なさ気に私の手を握りながら笑う男・・・
その名はテリィ・・・
テリィ「はぁ・・・こうやってビートと体を触れ合わせていれば俺のことを思い出してくれるのに・・・
なんで離した瞬間コロッと記憶がなくなるのか・・・」
ビート「だから・・・「私の記憶はテリィの体になっちゃった」んだからしょうがないじゃない・・・」
1年前・・・超時空回復魔法リキュアを使った後から、私はテリィとの記憶を無くしてしまった・・・
でも、実際には無くなったわけではなくテリィの体の一部としてその媒体は継承され、どういう理論か全く理解できないが
テリィと触れることによって私の記憶が一時的に回復するのだ・・・
それに気付いたのは、たまたまテリィが私の体に触れたことがキッカケだった・・・
テリィ「体に触れてて記憶のある状態のビートは俺のこと好きでいてくれたのがわかって・・・とても嬉しかったのに・・・
なんで体から離れると触れてる時の記憶までがサックリ消えるんだよぉぉぉ・・・」
ビート「きっとテリィの体の一部に今の記憶は しまい込まれちゃうのね。触れたら今日までのこと、全部思い出せるもん・・・」
テリィ「どうせなら「俺のことが好きなビートの記憶」じゃなくて「6連続でアイスが当たった記憶」とかを俺の体にしてくれたら良かったのに・・・」
ビート「確かに6連続で当たった事が有るけど・・・
そんなしょうもない記憶で体に返還できたら世話は無かったわよ・・・
私の中にあるテリィとの大事な記憶ほど・・・む・・むぅ・・・」
テリィ「えっ!?なになに!?何て言った?いまッ!?」
ビート「あ〜〜〜!もう!!うるさいッ!!・・・っていうか、さっさと「テリィを知らない私」を惚れさせなさいよ!!
これじゃ結婚しても朝起きた時不法侵入罪やら恥ずかしい罪やらで警察を呼びかねないわッ!!!」
ブツクサと愚痴を零しながら・・・私たちは腕を組み・・・カフェへと向かう・・・
幸せなことに私たちは体を触れ合わせている時だけは昔のことを思い出し、時間をつむぎあわせていく事ができている・・・
お互いに苦労はあるが、これを乗り越えればきっと、もっともっと幸せになれる・・・
そんな予感で胸を躍らせながら・・・時間を忘れて生きていくことができる・・・
ビート「と・に・か・く・・・プロポーズしたのはテリィ、あなたなんだから!!!グチグチ言わずに惚れさせろ〜〜〜〜ッ!!!」
テリィ「わ、わかってるよ!!身分も何も明かさずに一人の男として俺を知らないビートを惚れさせて・・・」
ビート「惚れさせて・・・?」
テリィ「・・・・・・」
ビート「・・・・・・」
テリィ「 自主規制しときます・・・」
ビート「 バカ・・・ 」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つくづく思う・・・
時間は本当に不思議だ・・・
つまらない時ほど、苦しい時ほど、それは遅く進み・・・
焦る時ほど、楽しい時ほど、それは早く進む・・・
この世界で生きている人の時間と言うものは、みな「平等」なのだろうか?
そんな疑問を抱いてしまうほどに・・・
でも、一つだけ平等なことってあると思うの。
それはね・・・
私たちの時間は決して止まらないということ・・・
私の場合・・・テリィと一緒にいる時、時間が早く進みはじめる・・・
一緒にいれば一緒にいるほど時間は早く進み、きっと一生すらも短く感じてしまうのだろう・・・
テリィを待って一人でいたあの日・・・
一日を長く長く感じて生きていたあの時とはとてもではないけど比較するのも恐ろしいスピードで・・・
それでも私は・・・私が愛した男と一緒にいたいと思う・・・
それは今、隣にいるテリィも同じように思ってくれているはず・・・
私たちの時間が壊れて・・・
たとえその時間が光の速さで過ぎ去っていったとしても・・・この人と一緒に年老いていけるのならば・・・
こんなに素晴らしいことはないのではないだろうか・・・?
きっと私は心の底から幸福を得ることができるのではないだろうか・・・?
私はそう思う・・・
私は決して時の早さを恐れない・・・
私は腕を組みながら一緒に歩いてくれるこの人と進んでいくのだ・・・
そう・・・そんな誰もが羨む様な・・・
壊れた時間の先に・・・
『 壊れた時間の先に・・・ 』 END 作者 : 黒山 琴音
エピローグ・・・
へ移行しますが『走れ!イデアツーリストのヤスノV』の話へと混在していきます・・・
一つのお話としてはここで完結ですが、「まだ続く内容」としてのエピローグです・・・
先を読まれる方はご注意の上、宜しくお願い致します・・・
テリィ「というわけで・・・・」
????「ふむふむ・・・・」
テリィ「俺は難敵、特級賞金首マリアージュを討伐し、ビートのハートを射止めたわけだよ?解るかね?せきらくくん?」
せきらく「いやはや・・・テリィさんを取材のターゲットにして本当に勉強になります!!時代の裏側にはそんな過去が隠されていたわけですね?」
テリィ「そう!!5年前のあの日!!リストブックからマリアージュの名前がいきなりNo.9からNo.6に昇格しつつも!!
一瞬で消えたのはそういう訳があるのだよ!!!」
といいつつ、脇に置かれたワイングラスに手を伸ばし笑みを見せる・・・
昨日、俺の家にやってきた「せきらく」という男は時代の裏側に対して調査取材を続けていると聞く・・・
妙なことだがマリアージュとの戦いに興味を示したらしく焦点を絞った結果、俺に行き着いたらしい・・・
ドニアを支払うと言うので・・・いやいや、どうしても探究心を満たしたいと言うせきらくくんの言葉に感涙し
俺はあの時の一件を話してやることにした・・・
せきらく「でも・・・わからないことが一つあるんですが・・・?」
テリィ「なんだね?話して見なさい・・・?」
と、余裕で笑いながら足を組みかえる・・・
みんな!みんな!!今の俺ってちょっとカッコ良くねぇ・・・?
せきらく「どうして・・・?どうしてマリアージュを倒した後『てりり』は生きていたんですか?そもそもあなたじゃないんですか?てりりって・・・?」
ふむ!なかなか鋭い質問を投げかけるな?この男!!
確かに、その問いには答えてなかったような気がする・・・
テリィ「あぁ・・・そのことか・・・実はね・・・」
てりり「 〜〜〜〜(つД`)・゜・。」
と、その時に話題のてりりが寝起きながら横を通り過ぎた!!
テリィ「師匠!!おはようございます!!」
てりり「 (*´▽`)ノシ 」
せきらく「師匠・・・?」
テリィ「そうだ!!彼女は今こそ小翼竜シーポンの姿をしているが元は俺に力を与え続けてくれた麗人、龍喰いの人・・・その人なんだ!!」
せきらく「 !!! えっ!?話の中に出てきた魔剣の人ですか!?」
てりり「 (´Д`;≡;´Д`)? 」
師匠は話の流れを掴めないらしく俺達の顔色を伺っているが・・・
あの時の話を詳しくするとマリアージュを倒した瞬間、実は『ルーンドラゴンの呪い』を再度放たれてしまっていたのだ!!
『ルーンドラゴンの呪い』はその場にいる命ある誰か一人をシーポンにしてしまう・・・
命ある聖剣として生まれ変わった師匠はその呪いを一身に受け、俺たちを守ってくれたのだ・・・
せきらく「なるほど・・・では、てりりさんは・・・ずっと皆さんを助けてくれているんですね?」
テリィ「まぁ、そういう事になる・・・」
てりり「 (*´▽`)? 」
訳も解らず、笑顔で俺の頭の上に乗る師匠・・・てりり・・・
昔の名前は本人も覚えていないらしく、今は小翼竜シーポン、てりりとしてイケメンを追いかける日々を過ごしている・・・
曰く、「引き篭もり」だった頃の自分と決別する為に社交性溢れる性格になるためだとか何とか・・・
せきらく「今回の取材・・・本当に有意義でした・・・またの機会に違うお話も宜しくお願い致します・・・」
テリィ「あぁ・・・白銀の勇者の二つ名を捨てて・・・民間人として生きている俺をいつか取材してくれ!!」
せきらく「えぇ・・・機会があれば・・・いつか・・・」
むっ!?少し苦笑い・・・?
確かに「英雄の称号」を手に入れつつも・・・料理を極めんとそれを捨てた俺には興味は無いかもしれないが・・・
俺はいつか・・・「食」で「みんなを癒す」と決めたんだ・・・
ビートを見習った結果・・・魔法が使えない俺にはコレしかないのだ!!
せきらくくん・・・そんな態度だとそれが成功した暁は・・・取材させてくれって言っても受けてやらないぞ??
近日、俺のプロデュースしたオムライスの店がオープンするって知らないだろう?この男はッ!!!
ビート「あら・・・?もうお帰りですか?せきらくさん・・・?」
せきらく「あぁ、奥様!!えぇ、ありがとうございました!!本当にいいお話が聞けました・・・今日はこれでお暇しますが・・・
いつか又、違うお話をお伺いに来るかもしれません・・・」
ビート「えぇ・・・いつでも待っているわ。」
取材に来たせきらくくんがドアに手を伸ばした時、奥の部屋から最愛の妻が顔を出す・・・
見ての通り・・・俺は長い年月を経て・・・ようやくビートを妻にすることができた・・・
「俺との過去の記憶」は復活してはいないが、やっと・・・やっと俺のことを好きになってくれたのだ!!
それこそ血の滲む様な・・・地獄を味わうような日々であったが「俺との過去を知るビート」が元気付けてくれたため実現された!!
ちなみに新婚5ヶ月目である・・・
お前ら・・・邪魔すんなよ・・・?
ビート「この人の話は若干フェイントが入ってるから十分に気をつけて記録してね?せきらくくん?」
せきらく「ぶっ!!そ、それは注意しながら過去の文献と照合しないといけないですね・・・」
テリィ「おいおい!おいおい!!!俺は嘘は言ってないぞ!!!」
茶化された空気の中、せきらくくんは笑って帰っていったが、俺は今・・・本当に幸せの胸中に満たされている。
できることなら、ビートの記憶を戻してやれればと思うが・・・
今の技術では・・・いや、今の俺ではそれは不可能だ・・・
俺はビートと共に同じ時を過ごせるが・・・「もう一人のビートを救い出すこと」によってこの物語は完成されるのだと自覚している。
それが・・・
平和になりつつあるこの世で・・・
『白銀の勇者』としての・・・
最後の仕事になるのだろう・・・
まぁ、それはおいおい頑張るとして・・・
テリィ「む〜〜〜そろそろ次のお客かな〜〜〜?」
ビート「次のお客?」
テリィ「そう!言ってなかったか?俺の一番弟子、クレスっていう大食い美食家がな・・・
やすのぶという青年を『フードファイター』にして欲しいっていうんだ!!!」
ビート「また訳の解らない依頼を・・・」
テリィ「まぁまぁ・・・何事もみんなで楽しくが一番なんだから!!」
陽気に笑う俺・・・
そうだ・・・俺はまだまだ『俺の望む場所』には行き着いていない・・・
必ず、俺は全てを満たして・・・俺の世界を満足できるものにして見せるんだ・・・
ビートと一緒に・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・
深夜25:20・・・
ドルロレ、イデア・・・境界線・・・
??????「ぐぅ・・・はぁ・・・ハァ・・・」
ジョーカー「やれやれ・・・カタチを失ってヘドロみたいな姿になって・・・今まで蠢いていたんだ?スペクター、マリアージュ・・・?」
マリアージュ「ぎ・・・キサマ・・・ハ・・・?」
ジョーカー「大英雄、邪騎士クロノス様に支配される者にして・・・同時に「邪なる魂」を支配するもの・・・」
マリアージュ「ヨコシマ・・・しはい・・・?」
ジョーカー「今回はドルロレの隣国イデアに用事があってコッチに来たんだけど・・・君に逢えてチョット大収穫かもww」
マリアージュ「キ、キサマ・・・ハ・・・」
ジョーカー「大丈夫!大丈夫!!!君に「新しい体」を用意してあげる!!
そんなカラダになっても生きてたんだもん!!!相当の恨みがあるんでしょ?誰かさんにww」
マリアージュ「クレルノカ・・・?アタラシイ・・・カラダヲ・・・?」
ジョーカー「うん!!君にだったらあげてもいいよ〜〜〜クロノス様も賛成してくれると思うし〜〜〜〜〜」
マリアージュ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ジョーカー「 ☆〜〜〜〜〜〜 」
マリアージュ「ワカッタ・・・ワ・・・アナタニ・・・シタガイマショウ・・・」
ジョーカー「えへへ・・・穢れた魂一つゲット!!!これからキミの『思いのままの行動』を約束するよ!!!」
マリアージュ「・・・・・・・・」
ナガカッタ・・・・
カタチヲウシナッタ・・・アノヒカラ・・・
アノトキハ・・・・
スベテノ・・・・
全ての力を失ったけど・・・・
もう・・・同じ轍は踏まない・・・
私を裏切った・・・『勝利の女神、ビート』・・・
私の全てを奪った・・・『白銀の勇者、テリィ』・・・
私は断言する・・・
もう一度・・・・
もう一度・・・・
キサマたちの・・・
キサマたちの前に・・・
! ! ! 立 ち は だ か る ・ ・ ・ ! ! !
See you next stage 「run! idea tourist’s YasunoV」