題名:走れ!イデアツーリストのヤスノV



突然と舞い込んだkokoloの依頼、「七不思議の究明」。



やすのぶは教会で聞こえる歌声の正体は「眠傀の歌声」と解き明かす事ができた。



しかし、「謎の究明」というのは難しいものなのである。



調べ上げたときの状況でその原因が変わってしまうことがあるからだ・・・。




イデアの周辺には獰猛な魔物も多く存在するが「不可解な説明しにくい事象」は魔物の原因、

又は幽霊、妖怪が原因?などと一括りの表現で終わらさせてしまう事がある・・・。




世の中にはたくさんの不思議な事が・・・存在するのに・・・・





実際調べてみるとその正体は「大した事ではない」可能性が高いが・・・・

中にはとんでもない事件に繋がるモノも存在する・・・・。




依頼初日、事件を解決できたのはやすのぶのみであるが・・・



二日目に入った今日、イデアツーリストの強者が動き出す・・・・。



イデアツーリストの面々は残りの不思議事件を解決する事ができるのであろうか・・・?










第5話 「kokoloの依頼、イデア七不思議を究明せよ!」 〜〜〜中編〜〜〜











????「おい!!大丈夫か??やすのぶ!!!」


木刀を片手に、呆れ顔で青いマントを身につけた男が・・・目を回して倒れている小さな頃のやすのぶに声を掛ける・・・。



やすのぶ「ううぅ・・・めっちゃ強いわぁ・・・・」


頭にできたタンコブを撫でながら起き上がる少年やすのぶ・・・。

青いマントの男に「稽古」をつけて貰っていたのであろうか?


????「やすのぶ!!さっき何をやろうといたんだ!?全然意味がわからなかったが・・・・」


やすのぶ「えっ・・?「ヤスノブーム」の事・・? 兄ちゃんの「ソニックウインド」って技の真似やねん・・・。」


たんこぶを押さえながらも、にこにこしながら青いマントの男に話し掛けるやすのぶ・・・。

青いマントの男はやすのぶの「憧れのヒーロー」である。



????「あぁ・・・「やすのぶの兄ちゃん」の真似か・・・でも・全然ダメだったな・・・」



苦笑いしながら「天使の水」をやすのぶの頭に塗ってくれる青いマントの男・・・。

木刀を地面に置き、やすのぶを立ち上がらせる・・・。


????「とりあえず、毎日「剣の勉強」を怠るなよ!?スキルっていうのは「剣の練習」だけじゃ

会得はできないからな?」


やすのぶ「そうなん?うちの兄ちゃん・・・剣の練習とか勉強はしてへん言うてたで・・・?」


眉をしかめて口を尖らせるやすのぶ・・・。青いマントの男は笑いながらやすのぶの頭を撫でる。




????「はっはっは!!!人が見てないところで「努力」してるんだ!やすのぶも見習えよ!?」



やすのぶ「ふ〜〜〜ん・・・・そうなんかなぁ〜〜〜?」


木刀を握り締めて、疑い気にうつむくやすのぶ・・・。


昔・・・・そう・・・10年も昔の話である・・・・。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








???「おい!!大丈夫か!?おい!?」



やすのぶ「ふぁ・・?」



???「おいおい・・・頭にタンコブ作っちゃったな・・・悪い・・・・」



やすのぶ「あれ?社長??どうして・・・?」



おけな「いや?特訓中に俺の木刀が頭に当たって気絶しただろ?」




やすのぶは教会での事件を解き明かし、一晩明けた今、「草原の息吹」で社長おけなに剣の特訓を受けている・・・。


朝の会社が始まる前でなければ社長おけなに時間が無いからであろう・・・。


この2週間、社長は税金等の会計処理に手を追われている・・・・。




やすのぶ「あぁ・・・「ヤスノブーム」出なくて・・・おけなさんに一発貰ったんだ・・・。」


やすのぶの必殺技?「ヤスノブーム」は悲しい話・・・出たところを見た事がある者が一人もいない・・・。



最近ではもっぱら「存在しない技」として査定員、百絵に烙印を押されている・・・。




やすのぶ「おかしいなぁ?何で出ないんだろう?」


腕を組み、首を傾げるやすのぶ・・・。その姿を見て社長おけなは溜め息をつきながら答える・・・。



おけな「きっと「スキル」が不十分なんだろう・・・。もっと精進しなきゃな・・・。」



懐からタバコを取り出してゆっくりと火をつける社長おけな・・・。


悩んだ表情のやすのぶの肩を叩き、助言をくれる・・・。

おけな「ここ最近の特訓で「弱点を狙う技」と「命中率を上げる技」は完璧になったんだ・・・。

新しい技を一つ、伝授してあげるよ・・・」

やすのぶ「マジですか!?おけなさん!!!」

目を輝かせてやすのぶは社長に駆け寄る・・・・。

おけなは少し離れた湖のそばにある「5m程の巨大な岩」を見つけるとやすのぶの「大きなかばん」から

「ヤスノブレード」を拝借する・・・。


おけな「おぉ・・・俺の「戦士の剣」か?久しぶりだなぁ、コレを握るのは・・・」



「+6の3つの金ミスリル」が付いた特別製の「戦士の剣」・・・・。

その昔、社長おけなが使用していたものである・・・。

イデアツーリストの細工師「あおざる」により強力な細工が施されているその剣は・・・

現在やすのぶが勝手に名前を変えて「ヤスノブレード」として使用している・・・。


やすのぶ「へへへ・・・本当によく斬れますよ、その剣!とっても助かってます!」


おけな「あぁ・・・それは構わないが・・・ちゃんと「鍛冶屋」に持っていかないと壊れるぞ?」


切っ先をそっと撫でる社長おけな・・・。

社長おけなの見立てでは耐久力が少なくなっているようだ・・・。


やすのぶ「はい、また持っていくようにします!!!」


笑顔で答えるやすのぶ・・・。

社長おけなは右手で剣を数回素振りする・・・。


息を整えて「巨大な岩」に目掛けて剣を振り上げる・・・。



おけな「よく見ていろ!コレが「パワーブレイク」だ!!!」



やすのぶ「はい!!!」




















!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ドガ〜〜〜〜〜〜〜ン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

















やすのぶ「おッわあ・・・・ああ・あぁぁぁ・・・・?」


一瞬で振り下ろされたその技は岩を真っ二つどころか・・・・その威力がゆえ、岩を爆発させてしまう・・・・。

やすのぶは青ざめてその威力を目の当たりにしていた・・・。

おけな「こんなもんかなぁ?」



飄々とした雰囲気で背を向けたままのおけなは・・・やすのぶに問い掛ける・・・。



おけな「この「技」のスキル書はあげるよ・・・会得できそうか?」



やすのぶ「・・・・い、意地でも・・・会得します・・・・」



おけな「そうか・・・頑張れよ・・・・」



そう言うとやすのぶの方をゆっくり振り向く社長おけな・・・・。




おけな「この「技」・・・岩にするもんじゃないな・・・・」


爆発した岩の破片が体中にぶち当たり・・・額から血をダラダラと流す社長おけな・・・。



やすのぶ「だっ!!!大丈夫ですか!!!??血が・・・血がァァ!!!!!!」



おけな「・・・・あぁ・・・ちょ・・ちょっと痛いかなァ・・・?」



ちょっとと言うにはあまりに血が吹き出ている・・・。






この時・・・・・・・「(この技覚えるの・・・・ちょっとやめようかな・・・?)」




と、やすのぶの脳裏に走った事は言うまでも無い・・・・・。




おけな「じゃ、おれはそろそろ「市役所」に行ってくるけど・・・・今日は「会社で留守番」頼むぞ?」


「天使の水」を飲んで傷が回復した社長おけなが・・・脱いでいた背広を肩に掛けてやすのぶに話し掛ける・・・。



やすのぶ「はい!みんなが残りの事件を解決してくれるといいんですけど・・・・」


笑いながらみんなの心配をするやすのぶ・・・・。


おけな「はっはっは・・・・・・」

その言葉に思わず笑い出す社長おけな・・・。

実際、一番みんなをハラハラさせているのは「やすのぶ」である事は・・・

やすのぶ本人には自覚が無かった・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




日が沈みかけて夕方・・・・イデアツーリストの強者が動き出す・・・・。


上質の法衣を身につけたその女性がゆっくりとイデアツーリストのドアから出てきた・・・。

その後を追いかける様に・・・大きな魔法の杖を握った男の魔法使いがついていく・・・。




社長おけなに命じられ、朝からずっと留守番をしているやすのぶが二人に声を掛ける・・・。

やすのぶ「気を付けて下さいね!!かすみさん!!パンサーくん!!!」



かすみ「ふふふ、行ってくるわね・・・。」


パンサー「留守番、お願いします!!!」



イデアツーリストの二人の魔法使いがkokoloの依頼に挑む・・・。


かすみ「とりあえず二人で「二つの事件」を追い掛けましょう・・・。」


パンサー「えぇ、確かにその方が効率的ですね・・・。」


にこやかに答えるパンサー・・・。


パンサーは今回はじめての「よろずの仕事」である・・・。


少しうれしそうに杖を握り締めるパンサーはふと、遠くにひらめく「白く長い布」に気付く・・・。



パンサー「うわぁ!!!一反もめんだ!!!!マ、マジでいるのか!?(っていうか・・・会社出て20秒も経ってないのにッ!?)」

パンサーの声に導かれ、遠くを見るかすみ・・・。

かすみ「きゃぁ!!ほ、本当だわ!!!」


驚きを隠せないかすみとパンサー・・・。



図書館の「魔物事典」にも「一反もめん」などという魔物は載っていない・・・。




つまり、「新種の魔物」か「本当に幽霊や妖怪」の類となる・・・。




かすみ「なんてこと・・・!?って・・・・あれ・・・人影!???」


布の上部に乗る人影が見える・・・。


パンサー「うおわぁあぁ!!!本当だ!!妖術使いか!?」





かすみ「・・・・・ま・・まさか・・・・・」




少しずつ近づいてくるその「一反もめん」とそれに乗る「人影」に、かすみは・・・・

最もよく知る人物の事が脳裏に走る・・・。




パンサー「・・・・あれ?もしかしてあの人影・・・・ま・・ま・・まさか・・・」


汗を垂らすパンサー・・・。







かすみ「・・・・・・・・・・」


顔を赤くして・・・少し不機嫌そうなかすみ・・・



眠傀「お〜〜〜い!!かすみぃ〜〜!パンサーく〜〜ん!!!」



一反もめんから聞こえてくる人影はどうやら眠傀のようらしい・・・。

布はよく見ると杖の先端に付けられていてバサバサッとはためいていた・・・・。


遠くから見ると確かに「一反もめん」に見えるが・・・・近くで見ると・・・


杖の先端に長い布をつけた空飛ぶ杖に乗る眠傀・・・。


うれしそうにかすみの下に舞い降りてくる・・・。


そう・・・眠傀はイデアで唯一「杖に乗り、空を飛べる魔法使い」である・・・。




パンサー「眠傀会長ぉ・・・・」

涙を流して地面に手をつくパンサー・・・。

かなり「ガッカリ」している・・・。



かすみ「・・・・・・」


顔を赤くしてうつむいているかすみ・・・。

よく見ると肩を震わせている・・・。





近所の子供「うわぁ!一反もめんに魔法使いが乗ってる!?」


慌てる近所の子供・・・。





パッと見は・・・そう見えてもしょうがない・・・。

近所の子供もそう叫ぶや否や・・・家に駆け込んでいく・・・。



かすみ「・・・・・・・・・」


一反もめんの正体はどうやら・・・眠傀と考えても・・・良いかもしれない・・・。



眠傀「ただいま!!!かすみ!!!パンサーくん!!!!!!!」















かすみ「おまえかッ!!!!!」





( >o<)-○)Σ)゜o゜)/ バキッ!!







眠傀「ブフォッ?????」


かすみに殴られる眠傀・・・・当然といえば当然だろうか?


眠傀「な・・何するの?かすみ・・・」


悲しそうにかすみに問う眠傀・・・。




パンサー「眠傀さん・・・実は・・・・依頼で「一反もめん」をですね・・・」



眠傀「依頼?・・・一反もめん?」


パンサーが事の始めを眠傀に説明する・・・。







・・・・・・・・・・・・・・・・








パンサーに事情を聞いて手を叩く眠傀・・・。



眠傀「なるほど!きっとそれは俺だッ!!!!」






(>o<)-○)Σ)゜o゜)/ バキッ!!








かすみ「人様に迷惑掛けないでよッ!私が恥ずかしいじゃないッ!!!!」


泣きながら眠傀を殴るかすみ・・・。



自分の旦那が「一反もめん」と思われていたとは・・・確かに恥ずかしい。



手に作られたこぶしは・・・まだ眠傀を殴り足らなそうである・・・・。




眠傀「ま、まぁまぁ・・・「柚屋」の「柚クッキーせんべい」買ってきたから・・・みんなで食べよう!」





パンサー「(せんべいで・・・かすみさんの「ご機嫌」が取れるのかなぁ・・?)」




青い顔でオロオロ、ハラハラしているパンサー・・・。



たまらずにかすみを止めようとするが・・・しかし・・・・





かすみ「そ・・・それならしょうがないわね・・・」





少し嬉しそうに・・・そわそわするかすみ・・・。






「柚屋」の「柚クッキーせんべい」

それはドルロレで「三ツ星」と評価される「お菓子専門店」のお菓子である・・・。

ここの店のお菓子を食べたものは皆、「心が洗われるほどウマイ!」と太鼓判を押す・・・。


かすみもこの店の「柚クッキーせんべい」は大好物なのである・・・。


他の商品で「柚の里」という生菓子も存在するのだか・・弊社の査定員、百絵の大好物である事を付け加えておこう。





かすみ「眠傀ッ!後でお説教だからねぇ〜〜〜ッ!!!」


そう言いながらも嬉しそうに会社へ舞い戻るかすみ・・・。


確実にお菓子の魅力に負けているようだった・・・。




パンサー「よ、よかったですね・・・眠傀さん。」





眠傀「はっはっは、嬉しそうだったナァ・・・・」




笑いながら会社へと入ろうとする眠傀とパンサー・・・。




眠傀はドアの前でふっと立ち止まり・・・空を見上げて微笑む・・・・。





眠傀「・・・・・・・・」
























5日前・・・・・。























真っ暗の丑の刻前・・・・。




眠傀とクレスはイデアの街道を歩いている・・・。

クレスは「サンタ帽子と呪い」をこよなく愛するイデアツーリストの社員である。



月の明かりで多少、町中は照らされているが・・・とても暗い・・・。




町を歩くクレスの手には「神父の十字架」が二つ持たれていた・・・。





眠傀「はぁ・・・なんで俺が「ハンカチ作り」の材料探しを手伝わないといけないんだ・・・・。」




頭をかきながら・・・ため息をつく眠傀・・・。



どうやらクレスの「ハンカチ作り」の手伝いをさせられていたらしい・・・。





クレス「何!? 私みたいな可弱い女の子が・・・こんな深夜に一人っきりでいいと思ってるのォ〜〜〜!?」


十字架を両手で握り締め・・・ぶりっ子っぽく涙ぐむクレス・・・。



眠傀「いや・・・ぶっちゃけ・・・昼間じゃダメなのか・・・・?」


クレス「ダメなの!夜に取れたものじゃなきゃ「クォリティ〜〜」が下がるから・・・・」


眠傀「ああ・・・・サイですか・・・・・」



クレス「えぇ!サイなんです!!!」



クレスは10日ほど前・・・社長おけなに持っている「ハンカチ」をすべて捨てられてしまったのだ・・・。




もっとも、ハンカチといってもタダのハンカチではない・・・。




クレス特別製の「コックリさん用のハンカチ」である・・・。


ハンカチを作るのに「神父の十字架、二つ」と「頭蓋骨(何の頭蓋骨かは知らないが・・・)」が必要なのである・・・。




クレス「はぁ・・・あれがどれだけ価値のあるものか・・わかってくれてないから・・・」




眠傀「・・・・仕事中に「こっくりさん」してる方が悪いだろぉ・・・」
(第3話を参照ください(´▽`)/)


汗を垂らしつつも・・・クレスと月夜を歩く眠傀・・・。



人影はおろか・・・動物の影すら・・・一つも見えない・・・。





クレスの家に向かう途中・・・クレスが・・・突然立ち止まる・・・。






クレス「ムッ!!!!???」






鋭い眼差しのクレス・・・。




眠傀「どうした?クレス・・・?」





クレス「・・・・・・なんか・・・・いるッ・・・。」




「イデアツーリストの呪術師、クレス」が目を細めて辺りをうかがう・・・。





すると少しずつクレスの被っているサンタ帽子が動き出した・・・。










ビシッ!!!!!








なんと!! クレスのサンタ帽子のボンボリが・・・・町外れの海岸の方を差して激しく反応している・・・。





眠傀「おぉぉ!?そのサンタ帽子・・・何かの「アンテナ」なのか!??」





不可解に海岸を指すサンタ帽子に驚く眠傀・・・。




クレス「ふっふっふ・・・私のサンタ帽子は特別製なの・・・・」








この笑い方が・・・結構怖い・・・。






クレスはおもむろに「大きなカバン」から「宇宙の玉」を取り出すと・・・「宇宙の玉」に・・・こう話しかけた・・・・。















クレス「父さん・・・どうしましょう?」











クレスの裏声「うむ!突撃するのじゃ!くれしゅぅぅうう〜〜〜〜〜〜!!!!!」








一人でノリノリのクレス・・・。




クレスは「大きなカバン」に「父さん」をしまい込んで眠傀にこう言った・・・・。






クレス「というわけで、父さんの指示通り・・・突撃します!」






眠傀「Σ(´Д`||)マテ」






思わず、ツッ込む眠傀・・・。







眠傀「いつからクレスの「父さん」は目玉チックになったんだ?」





クレス「この瞬間だけでッす!」






茶目っ気バクレツに・・・堂々としているクレス・・・。

クレスには・・・・怖いものなど何も無い・・・・。








クレス「一丁、狩って来るかぁ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!」






楽しげに「大きなカバン」から「マスターボゥ」と「銀の矢」を取り出すクレス・・・。





眠傀「ちょ・・ちょっと待てよ!?おぉぉ〜〜〜〜いぃぃ〜〜〜〜!!!!!クレスゥゥウ〜〜〜〜!!」




眠傀も慌てて「大きなカバン」から杖を取り出す・・・。




爆走するクレスを追いかける為、眠傀は杖に乗ってクレスを追いかけた・・・。














・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






イデア、フェード海岸・・・・

美しく、澄んだ海水と熱帯魚が自慢のイデアの海岸・・・・。

昼間はたくさんの観光客や若者で賑わう場所であり、ヨットハーバーなどが設置されている高級マリーナも存在する。

歩いて5分の所に「イデアシーサイドホテル」という高級ホテルもある一大リゾート地だ・・・。

イデアの海岸にしかいない「草原がに」などの特産物もある・・・。




真っ暗の海に月が綺麗に映し出されている・・・。



その光景は見るものを魅了するのだが・・・時は丑の刻。


起きているものは一人もいない・・・。





その無人の海岸からうめき声が聞こえてくる・・・・。





誰もいない、その海岸・・・。





よく見ると・・・風景がボヤケて見えるところがある・・・。


透明に透けて・・・「向こう側」が見える物体・・・?いや・・物体かどうかもわからない・・・。





?????「ウウウゥゥゥウウゥウウゥ〜〜〜〜〜〜〜」




エコーの掛かったその声は・・・人間のものではない・・・。






?????「わたしは・・・一体・・・・誰・・・?」







?????「どうして・・・こんな事に・・・?」




その悲しげな「うめき声」に・・・一人のサンタ帽子を被った女の子が突っ込んでくる・・・。







?????「   ?   」








クレス「ウオォォ〜〜〜〜〜ッ!!!見つけたァ〜〜〜〜〜〜ッッ!!!!」






?????「な・・・なに・・・?」







クレス「スペクターッ!!射ってあげるわ〜〜〜ッ!!!!」






走りながら弓を引くクレス・・・。



クレスいわく・・・・正体は「スペクター」らしい・・・。






スペクター「ヒッ・・・ヒィィ〜〜〜〜ッ!!」





驚いて逃げ出すスペクター・・・。



後方から「銀の矢」が一発、また一発と飛んでくる・・・。




しかしクレスは弓に関しては何故か「初心者」同然の腕前である・・・。

格下の相手には時々、弓を使い「練習台」にするのだが・・・

はっきりいって・・・・どこに飛ぶかわからないので、迷惑な事この上ない・・・。


槍を使わせたらどんな敵でも薙ぎ倒すのであるが・・・なかなかスペクターにあてる事が出来なかった・・・。





クレス「止まれ〜〜〜〜!スペクターァ!!!」




クレスの声に怯えながらも立ち止まり・・・スペクターは悲しげに事情を説明しようとする・・・・。







スペクター「ちょ、ちょっと待ってください・・・私は・・・・」















バシュバシュバシュッ!!!!!












クレス「止まっても撃つけどねッッ!!!!!」







スペクター「ギャァ〜〜〜〜〜〜ッ!!!?????」





再度、慌てて逃げ惑うスペクター・・・。





クレス・・・矢を射るまでは撃つのを止めないつもりらしい・・・。






スペクター「な・・なんでこんな事に?どうして・・・追われる??」






訳も判らず逃げ惑うスペクターは近くの民家に逃げ込んでいく・・・。







クレス「逃がすかぁ〜〜〜〜〜ッ!!」





スペクターを追うクレス・・・。


街中にスペクターが存在する時点で民間人にとっては「脅威」である・・・。



クレスの取っている行動は当然なのであるが・・・このスペクター・・・



ただのスペクターとは・・・少し雰囲気が違うようだ・・・。






スペクター「ヒィィ〜〜〜〜ッ!!!!」


悲鳴を上げて民家の柵を乗り越えるスペクター・・・。




隣家の庭に入り込み走り出す・・・。





クレス「セイッ!!」




ピョンっと民家の柵を飛び越えるクレス・・・。





スペクターはクレスのスピードに逃げ惑うのに必死である。



それがゆえに周りが見えていない・・・。





バタバタッと走るスペクターが「夜通し干してあった洗濯物」に突っ込んでいく・・・。










ドガシャ〜〜ン!!!!






スペクター「ブルグホッ!!!!」





体中に洗濯物を引っ掛けて逃げ回るスペクター・・・。



Tシャツやら下着やら・・・たくさん引っかかっている・・・。

透明の体に引っかかった洗濯物が・・・妙に空中に浮いているように見える・・・。



クレス「まてぇイっッ!!!マテマテぇェぇ〜〜〜ィッ!!!!!!」



鬼ごっこでもしている様な雰囲気のクレス・・・。




その身のこなしは軽く、そして速く・・・・屋根伝いに跳んでスペクターを確認しながら追いかけている・・・。







体が無く、息が切れることの無いスペクターも又、一生懸命逃げながら、1枚、又1枚と洗濯物を落としていく・・・。



空は暗く・・・時刻は午前3時を回ろうとしていた・・・。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




カッちゃん「おかぁさん・・・・ごめんね・・・・」


イデアの「とある民家」・・・。


時刻 午前3時前、トイレに行きたくなって母親を起こしたカッちゃんこと、カツヤ・・・。



年齢は8〜9歳といった所か・・・。


まだまだ、暗闇が怖い年頃の少年である・・・・。




おかぁさん「ふふふ、カツヤはまだまだ「お兄ちゃん」にはなれないわね・・・。」



優しく微笑む母親・・・。トイレまでの道のりを手をつなぎながら歩いている・・・。



カツヤの家はトイレが離れにあるために一度、庭に出なくては「トイレ」に行く事は出来ないのだ・・・。


ある意味、不便な家である・・・。



丁度その時、高血圧で寝付く事が出来なかった祖父、アキラもドアを開けて二人に声をかける・・・。



アキラ「おはよう・・・ニーナさん・・・カツヤ・・・」




ニーナ「まぁまぁ・・お爺さんったら・・まだ3時ですよ・・・?」




カッちゃん「お爺ちゃんは、いつも夜でも「おはよう」って言うね・・・。」




アキラ「ふぉッふぉッふぉ・・・まぁ・・朝も夜もあんまり変わらんでの・・・」



年のせいか最近は「眠いときに寝る」祖父、アキラ・・・。



典型的に「痴呆」に入る前の症状である・・・。


朝は起きて、夜は寝る・・・。


出来れば心がけて欲しい・・・・。





ニーナ「お爺さんも「おトイレ」ですか?」


にこやかに笑い・・・問うニーナ・・・。


アキラ「そうじゃね・・・漏らしたらいかんし・・・行っておこうかのォ〜・・・」


3人揃って庭先の「トイレ」に向かっていく・・・。

時刻は午前3時を回ろうとしていた・・・。













ガバァ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!






丁度3人が庭に出ていたとき・・・体に「フンドシ一枚」だけが引っかかったスペクターが突進してきた・・・。

長いそのフンドシは・・・・6mはある・・・。

風になびかせて・・・一直線に庭を駆け抜けていく・・・・。



スペクター「ワァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!どいてどいてッ!!!!!!!」





ニーナ「イヤァ〜〜〜〜〜〜ッツ!!!!!!!???????」





カッちゃん「ブハぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!?」


アキラ「い、一反もめんじゃ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!一反もめんじゃヨョォオオオオ!!!!!!!!」



スペクター「うぅぅうう・・・・・(一反もめんって言われるなんて・・・・)」



辺りが暗く、スペクターを確認できない家族3人・・・。

目に「フンドシ」だけを焼き付けている・・・。



ガラガラガラ・・・・ガシャーーーン・・・・。

遠くで誰かが階段から落ちる音がする・・・。


誰かは判らないが「一反もめん」を目撃したショックで・・・ビックリして足を滑らしたらしい・・・。



クレス「チョイとごめんね・・・・」



3段飛びで横幅15mはある庭を一瞬で跳んでいくクレス・・・。



ニーナ「ヒィッ!?何?今の女の子!???」



カッちゃん「あわぁぁ・・・・・・・アッ!!!!・・・・」


思わず・・・・「漏らして」しまったカッちゃん・・・・。








アキラ「「もののけ」じゃよぉ〜〜〜ッ!!!「もののけ」のお姫様じゃよぉ〜〜〜〜〜ッ!!!!!・・・・アッ!!!!!!・・・」






カッちゃんに続いて「漏らして」しまった祖父、アキラ・・・。



思いがけない・・思い出の出来た「カッちゃん一家」であった・・・・。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



この後すぐ、祖父アキラは「漏らした」事がショックで・・・精神的に滅入ってしまい「頻尿」を繰り返すようになる。

仕方なくイデア国立総合病院へと入院・・・。


入院して「一反もめん」と「もののけのお姫様」の話を同室の患者達に話した祖父アキラ・・・。


サンタ帽子を被った身のこなしの軽い「もののけの様なお姫様」だったというと・・・


同室で入院していた闇慈に「イデアツーリストのクレス」という事を教えてもらう・・・。

( 闇慈 : 野うさぎになった百絵にかかと落としを喰らった会社の社員です。第3話を参照してください(´▽`)/ )



もしこの時、闇慈が入院していなかったら、「イデア8不思議を究明せよ!」になっていたかもしれない事を付け加えておこう・・・。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






クレス「なかなか、逃げるのがうまいじゃない・・・?」


民家の屋根の上から逃げ回るスペクターを確認するクレス・・・。


ニヤリと笑い・・・懐から「サイコロ」を取り出す・・・。


必殺技を使う前、「サイコロ」の目によって出す技を決めるのがクレスの戦闘スタイルである・・・。





クレス「これで終わりよッ!!!」



バシュッ!!



握った「サイコロ」を親指で弾き飛ばすクレス・・・。





ズガンッ!!!





スペクター「!!!!」




民家の屋根からスペクターの足元の・・・地面に「サイコロ」が突き刺さる・・・。



スペクター「あ・・ああぁ・・・・」



スペクターは声を落として・・・・死を覚悟した・・・・。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



眠傀「ったく・・・・何処に言ったんだ?クレスは?」



浜辺の民家が一望できる程、上空に舞い上がりクレスを探す眠傀・・・。



暗いためにクレスを確認するのが難しい・・・。




眠傀「ライトアップ使ったら・・・みんなの迷惑になりそうだしナァ・・・。」


上空から魔法「ライトアップ」を使うと・・・かなり明るくなってしまう・・・。


眠傀「 「ダメもと」でささ・・・入れてみるか・・・。」




懐から「ささ」を取り出す眠傀・・・。



ちょうどその時、クレスから「ささ」が入ってくる・・・。

早速、「ささ」に出る・・・。


眠傀「おう!今何処にいるんだ?クレス?」








クレス「ん〜〜〜〜?場所がよくわからんから「爆竹」使うね?」




眠傀「Σ(´Д`||)マテ」

ライトアップすら「迷惑」と考えて控えていた眠傀がそれを止める・・・。


クレス「ん〜〜〜〜?まぁいいや! とりあえず「スペクター」を捕獲したから「モニュメント前」で待っててくれる?」



眠傀「捕獲?倒さなかったのか?スペクター??」


不思議そうに問いかける眠傀に・・・クレスも不思議そうに答える・・・。

クレス「えと・・・・・このスペクター・・・「普通の魔物」じゃなさそうなのよ・・・・」


眠傀「???」




疑問を持ちつつ「モニュメント前」に急ぐ眠傀・・・。



20分程待っているとクレスと「おでこに「札」を貼られたスペクター」がやってきた・・・。







眠傀「おぉ・・・来たか・・?ってその札は?」







スペクターに貼られた札を引きちぎり・・・とぼけた顔で答えるクレス・・・。


クレス「なんとなく「雰囲気」を大事にしてみました・・・。」



眠傀「サイですか・・・・」




スペクター「あ・・あの・・・すいませんでした・・・」




オドロオドロしい声で謝るスペクター・・・。


このスペクター・・・・敵意も無ければ・・・殺気も出ていない・・・。




スペクターは魔物の一種である・・・。


大人しい時点で怪しくも感じるが・・・クレスは「退治」ではなく「捕獲」を選んだのだ・・・。


眠傀「んで・・・「殺さなかった理由」は何なんだ?」




胸を張り・・・誇らしげに答えるクレス・・・。



クレス「サイコロの目で「1」が出た!!」


額から汗を垂らす眠傀・・・。

眠傀「・・・・・・・で・・・??」





クレス「過去史上、サイコロの目で「1」が出た魔物を殺したら・・・必ず悪い事が起こるらしいのょ・・・。」




眠傀「・・・そ・・そうなのか?(らしいって・・・・なんなんだ?)」


クレス「うん!「サイコロ振り」は先祖代々受け継がれし「秘術」だもん!間違いないッ!!!」


ウインクしながらVサインを出すクレス・・・。






眠傀「・・・・・・ふぅ・・・・」



何の信憑性も無い「理由」にため息をつく眠傀・・・。



確かにこのスペクターは「悪意」が無さそうではあるが・・・国家法律上、魔物が街に発生した場合・・・


速やかに「排除」しなくてはいけない・・・。



眠傀「困ったナァ・・・・排除も出来なけりゃ・・・逃がす事も出来ないぞ・・・?」




クレス「う〜〜〜ん・・・ってかアナタの名前はなんていうのよ?スペクター・・・。」




なれなれしく肩?に腕を置くクレス・・・。


するとスペクターは困ったようにその回答を口にする・・・。





スペクター「実は・・・名前もわからないんです・・・・。」




眠傀「むむむ?・・・スペクターって言ったら「戦士や魔法使いの死ぬ間際の怨念」に何かしらの力が作用して誕生する魔物だよな?」



クレス「うんうん・・・普通は「死んだ人」とかの記憶が・・・わずかでも残るはずなのに・・・」




スペクター「えぇ・・・少しだけ思い出せることは・・・私は「甘いものが好きだったかも?」という事ぐらいで・・・・」




クレス「えっ!!!???甘い物好き!???」


目を輝かせてスペクターに問いかけるクレス・・・。


イデアツーリストのクレスも・・・甘いものには目が無い・・・。



眠傀「甘いものって言ったら・・・ドルロレのお菓子専門店「柚屋」だよな・・・?」



クレス「それもいいけど喫茶店の「バケツパフェ」だよ!!!」




二人が甘いもの談義をしていると・・・スペクターが屈み込んでいく・・・


スペクター「ぐぅぅ〜〜〜〜〜っッ!!!!」


眠傀「おいおい?大丈夫か?」



スペクター「なにか・・・その二つに・・・覚えがあるような・・・」



眠傀「「柚屋」と「バケツパフェ」にか???」


眉をしかめて・・・腕を組む眠傀・・・昔読んだ「魔物辞典」の内容を思い出す。


眠傀「確か・・・スペクターは自分の「欲」を満たしたら「自然消滅」するんだよな?」




クレス「よし!乗りかかった船だ!この「スペクター」の記憶を取り戻して・・・」



眠傀「成仏させるか・・・?」




クレス「うん!!眠傀さんは「ドルロレ」の「柚屋」にお菓子を買いに行ってください・・・」



キラキラした眼差しで指示するクレス・・・。

「柚屋」のお菓子は大人気なのである・・・。


めんどくさがりのクレスが・・・こうまで「やる気」を出しているのも「甘い物」が絡んでいるためであろう・・・。


眠傀「スペクターの分しか買わないぞ?」




クレス「はぅ!?会長ォ〜〜〜私の分も買ってきてェ〜〜〜〜〜(もちろん眠傀さんのお金で・・・・)」



スペクター「本当にすいません・・・・。私のせいで・・・・」



眠傀「いや・・・元々俺は「こういう仕事」を専門にしてるんだよ・・・。」


クレス「会社に寄り付かずに「ドルロレ」ばっかり行ってるんだよね?」




眠傀「まだまだ・・・「10年前の戦争の傷跡」が残ってるからな・・・・」


悲しそうに笑い・・・「杖」にまたがる眠傀・・・。






10年前の「ドルイ戦争」は・・ドルロレとイデアが戦った・・・たった4日間の戦争である・・・。

しかし・・・強力な「戦士」や「魔法使い」達の力は・・・たった4日間でも町や国、そして人々に深い傷をつけるには十分の時間であった・・・。

この話もまた・・・いずれ・・・する事になるだろう・・・・。






眠傀「んじゃ・・・朝一で買って帰るから・・・まぁすぐに戻れると思うよ・・・・」



クレス「私、「柚の里」がイイッ!!!」


スペクター「私もできればそれで・・・・」



眠傀「キミタチ遠慮って言葉を・・・思い出して欲しいよ・・・」


少し悲しそうに飛んでいく眠傀・・・。


夜はいつの間にか明けて・・・朝日が昇ろうとしていた・・・。




クレス「あっ!?あなた「朝日」大丈夫なの?」


スペクターに気を使うクレス・・・。


朝日を浴びて「蒸発」するかもしれないと思ったのか?


スペクター「はい・・・この2日間・・・朝も夜も活動できたので・・・大丈夫かと・・・」



クレス「じゃ・・・朝一番の開店を狙って・・・「バケツパフェ」を食べてみましょう・・・。」



クレスと名前もわからないスペクターは「喫茶店」を目指して歩いていった・・・。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







喫茶店「青い鳥」

数あるイデアの喫茶店でも「面白いメニュー」が豊富な喫茶店・・・。

その中でも目を見張るのが・・・やはり「バケツパフェ」である・・・。

喫茶店を経営する女店長「rarara」は、その昔ドルロレを旅して料理の腕を磨いた本格派のシェフ。

しかし、何故か今ではイデアで喫茶店を経営している・・・。

rararaが店を買い取る前、コーヒーショップであったらしく店の屋根にはコーヒーカップが掲げれている。



ガラガラガラガラガラガラッ・・・・・・・・






シャッターを開けるrarara・・・。




いつも通り、午前6時30分・・・喫茶店は「モーニングサービス」の為、朝早く開店する・・・。







rarara「ふぅ・・・今日もたくさんお客さん・・・来て欲しいナァ〜〜〜〜〜」



青い髪を帽子で隠して料理に向いた「白い服」を着ている・・・。

その姿は美しく「看板娘」としての役割も十分に果たしている・・・。

このお店に来る男性客の大半は「rarara」目当てとかなんとか・・・。

魔法使いとして覚えた魔法は料理を作るために使用する・・・美しい女性である・・・。



実際、6時半に店を開けるが、お客は7時以降になだれ込む・・・。


この30分はrararaにとって「アイドルタイム」である。

(アイドルタイム:お客のいない暇な時間のことです(´▽`)/)




そのアイドルタイムに・・・サンタ帽子を被った女の子が入ってくる・・・。





ガチャ!





クレス「おはよ〜、てんちょ!!」


元気よく挨拶するクレス・・・。

クレスはrararaを「てんちょ」と呼ぶようだ・・・。

この挨拶の仕方・・・この店の常連なのであろうか?


rarara「あら?いらっしゃい!クレスちゃんと・・・その・・・えっ・・・・・?」


何度か目をこするrarara・・・。


自分の目を疑っている・・・。


スペクター「あぁ・・・私のせいで大声でも出されたら・・・・」


おどおどするスペクター・・・。

確かに「国家警察」に通報でもされたらスペクターの命は危うい・・・。


しかし、同行しているクレスは実に堂々としながらこう言った・・・。








クレス「てんちょ・・・新しい「呪い」です。」





rarara「あぁ!そういうことね・・・だったら心配ないわ!!」



クレスの「呪い」という言葉に安心するrarara・・・。



クレスの「呪い」はrararaにとって「意味不明の絶対的な信頼」があるようだ・・・。



スペクター「えっ??どうして・・・・」



クレス「あはは・・・この店でよく「こっくりさん」するから・・・てんちょは慣れてるのよ・・・。」








・・・・・・・・・・・・・







悲しい慣れである・・・。








rarara「今日はクレスちゃん、何にするの?やっぱり「モーニングケーキセット」?」

スプーンを磨きながら笑顔でたずねるてんちょ・・・。


クレスは毎朝、この店で「モーニングケーキセット」を食べている・・・。



クレスの「朝ごはん」代わりなのであろう・・・。


しかし、今日のクレスはいつもと違うメニューを注文する・・・。








クレス「今日は・・・「バケツパフェ」をお願いするわ・・・・」



rarara「    !!!    」








カラーーーーーン・・・・・・・・・・・




目を大きく開けて・・・スプーンを落としてしまうrarara・・・。




rarara「クレスちゃん・・・本気なの・・・?」




バケツパフェ・・・アイスクリームを4リットルと生クリームを1リットル使用し、
ショートケーキが8個ものっかっている。
さらにフルーツの盛り合わせ5人前分がアイスクリームに埋め込まれている「バケモノパフェ」である・・・。
ちなみに金額は「80,000ドニア」もする「高級パフェ」・・・。




クレス「うん・・・「バケツパフェ」が欲しいの・・・」





rarara「あれは!!!8人で食べるものよ!?そっちの「呪い」はパフェなんて食べれないでしょ!!!?」


汗を垂らしながらスペクターに指を差すrarara・・・。



スペクター「はっ!!!そうだった!!!」


スペクターは「口」も「胃」も無いのに・・・rararaの言葉で今更気付く・・・。



クレス「あっ!?そういえば・・・・」




rarara「はぁ〜・・・悪い事は言わないわ・・・このメニューは貴女みたいな人が一人で食べるようなものじゃないの・・・・」

ため息をつきながら・・・・腕を組み、呆れた顔で・・・rararaはクレスに悟しかける・・・。

そのrararaの姿を見て、スペクターから「悲しみの声」が漏れてくる・・・。




スペクター「ううぅ・・・・記憶は・・・戻らないかもしれないですね・・・・」




クレス「・・・・・・・・・・」

悲しそうなスペクターに同情するクレス・・・。



クレスは意を決したかのように・・・rararaに言い放つ・・・。







クレス「やっぱり・・・「バケツパフェ」をもらうわ・・・・。」




rarara「なっ!?」



スペクター「クレスさん!?」




クレス「心配ないわ!私の「お菓子好き」は「バケツパフェ」には負けないから!」



目から「焔」があふれ出すクレス・・・。



そのクレスの目を見て・・・rararaは心を揺すぶられる・・・・。




rarara「そこまで言うなら・・・いいでしょう・・・私の自信作・・・「バケツパフェ」を出してあげるわ!!!」



腕を組みクレスにそう言い放つrarara・・・。


こうして、クレスの「フードバトル」の火蓋が切って落とされた・・・・。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



5分後・・・・rararaが色気もそっけもない「バケツ」を片手で運んでくる・・・。




中には当然・・・「パフェ」が入っていた・・・。

そして・・・一番上部には・・ショートケーキが8個入っている・・・。




クレス「(うわっ!!?初めて見るけど・・・すごい威圧感・・・!!!!・・・でも・・・・・・・)」

最初はびっくりしていたクレス・・・しかしその表情には「余裕」がある・・・。


スペクター「あの・・・無理はしないで下さいね??」



心配そうに見ているスペクター・・・。


rararaはクレスに問いかける・・・。




rarara「このパフェを食べる以上、「ルール」に則ってもらわなきゃ困るけど・・・大丈夫ね?」




店の張り紙には「バケツパフェご注文の方は「30分」以内で完食してください。また、「二人以下で15分以内」に食べた方は無料とします。」

と書かれている・・・。


バケツパフェを注文して「長居」をする客を拒む為だろう・・・。


クレスは自信ありげに・・・rararaに答える・・・。

クレス「大丈夫よ。これぐらい15分以内で完食するわ・・・。」




手に「店の銀のスプーン」を持ってケーキを少しずつ食べだす・・・。


そのペースはゆっくりとしたものだった・・・。


ケーキを味わっているのだろうか?


その時・・・スペクターは少しずつ昔を思い出していく・・・。








      「ねぇねぇ!!!あれ食べたいよ!!!!」







      「だめ!絶対食べれないから!!!」







      「お願い!ねぇ!お願いだよ!!!!僕、絶対食べきって見せるよ!!!」






スペクター「(うぅぅ・・・・これは・・・いったい?)」



少しうなり声を上げるスペクター・・・。



しかし、クレスは黙々とケーキを食べている・・・。これで6個目のケーキである・・・。





rarara「(確かに、自信ありげだっただけはあるわね・・・このペースなら・・・20分以内で食べちゃいそう・・・。)」




冷静に腕を組んでクレスを見つめるrarara・・・。


しかし、rararaは・・・元々このパフェは「食べきれないのが前提」で作った「対フードファイター」用のメニューである・・・。


名のある「フードファイター」が幾度となく、この「バケツパフェ」に挑み・・・敗れ去ってしまったのだ・・・。

理由は・・・この「バケツパフェ」の中に潜む・・・rararaの仕組んだ「ワナ」にある・・・。




クレス「ふぅ・・・ケーキは終了ね・・・」



余裕の顔つきでアイスクリームをすくうクレス・・・。


スペクター「・・・・・・・うぅぅ・・・」










    「このお店のアイスクリーム!スッゴイ美味しいね!!!」







    「「バケツパフェ」はダメだけど・・・これでも十分でしょう?」







    「うん!でも・・・大きくなったら・・・やっぱり食べてみたいよ・・・「バケツパフェ」・」








    「まぁ・・・私も確かに・・・食べてみたいわね・・・・・」


















スペクター「はぁ・・・はぁ・・・・・・」



何かに苦しめられるスペクター・・・。

しかしクレスはスペクターの苦しみには気付かない・・・。




クレス「このアイスは・・っと・・・・」






パクッ・・・・・・。






クレス「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」






ゴロゴロゴロゴロ・・・・・・




クレスの背景に暗雲が立ち込める・・・・。




眩しいほどの稲光が光るその暗雲から・・・・強烈なイナズマがクレスの頭に落ちてくるような気がした・・・・・。





クレス「こ・・・これはァァ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」


思わず大きな声を上げるクレス・・・・。



このアイスクリームこそが・・・rararaの唯一無二・・・最大の「ワナ」である・・・。



クレスの表情を・・・嬉しそうに見ているrarara・・・。


いや・・・・・ニヤリと笑っている・・・・。


rarara「悪いけど・・・このメニューだけは誰にも完食させるつもりはないの・・・・。」



クレス「 ! 」


さらに大きく目を開けるクレス・・・。



常連客のクレスにすら「完食」を許さないのは・・・rararaの意地なのであろうか?


このアイスクリームの正体をクレスが言い当てる・・・。


クレス「このアイスクリームの異常な甘さ・・・「テリィーアイスクリーム」ね!?」






テリィーアイスクリーム・・・・・


北の国・・・ドルロレの「食の鬼才」テリィ氏の考案で完成した「由緒正しきアイスクリーム」である。

牛乳はイデアの「モーツァルトの牛乳」(今では(も〜ゼの牛乳))を使用して作られる・・・。

しかし、「モーツァルトの牛乳」は非常に高価な上、入手が困難で手に入る量はとても少なかった・・・。

そこでテリィ氏はアイスクリームの中に「ナッツオイル」を入れ、更に「多量の脱脂粉乳」を入れることにより

少量でも満足できるアイスクリームを考案したのだ・・・。

少ない牛乳で、傷ついた多くの仲間を「食」で癒したい・・・その一念で考案されたのだ・・・。

少量であれば最高に美味しいのだが、このアイスクリームは油脂分が多い為・・・量を食べる事によってどんどん「胸焼け」がしてくるのだ・・・。

店側としては量を食べる事の出来ない上、材料が手に入りにくいアイスクリームなどは売ることが出来ず・・・次第にサビレていった・・・。

しかし「味」で、このアイスクリームの右に出るものは・・・いまだかつて存在しない・・・。

ある意味、「伝説となったアイスクリーム」なのである・・・。


        「 ドルドル出版社 「テリィ氏のこだわり100選」 著者:せきらく 」より抜粋・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


クレス「まさか・・・ここで「テリィーアイス」が出てくるなんて・・・・・」



rarara「ふふふ・・・ごめんなさいね・・・貴女は大事なお客様だけど・・・こればかりは譲れないの・・・」


少し色っぽく・・・てんちょ、rararaはクレスに微笑みかける・・・。

この微笑みは強者の愉悦であろうか?


テリィーアイスクリーム4リットル・・・胸焼けのレベルの量ではない・・・。


金額的には・・・これだけでも10万ドニアの値打ちはある・・・。




クレス「・・・・・・・・・・・」


少し眼差しが変わるクレス・・・。

銀のスプーンをテーブルの上にゆっくりと置いてしまう・・・。





rarara「ふふふ・・・・もう降参?」


クレス「てんちょ・・・マイスプーンを使うわ・・・。」


「大きなカバン」から布に包まれた何かを取り出す・・・。



その布をゆっくりと開いていくと・・・木のスプーンが出てきた・・・。




rarara「ふふふ・・・随分と古風なスプーンね・・・」




クレス「えぇ・・・お気に入りなの、これ。」



木のスプーンの柄の部分に「千」の文字がチラリと見える・・・。







rarara「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」







ゴロゴロゴロゴロ・・・・・・




rararaの背景に暗雲が立ち込める・・・・。




眩しいほどの稲光が立ち込めたその暗雲から・・・・強烈なイナズマがrararaの頭に落ちてくるような気がした・・・・・。






更には背景に「龍」と「虎」が猛々しく現れる・・・。



rarara「それは!幻の「聖スプーン」!?」


クレス「ご名答ォッ!!!」


rararaの体が小刻みに震える・・・。


rarara「あ・・あぁ・・・樹齢100年の「生命の木」を削って作られた・・・「皿の隅っこのご飯一粒すらモレ無く、すくう」と言われる・・・」





クレス「さすがに物知りね・・・・」





今度はクレスがrararaに向かって・・・にやりと笑う・・・。









rarara「別名、「千手観音」・・・・・ッ!!!!!!」




クレス「もれなく!!!!いただきます!!!!!」













・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







そこからのクレスの食べるスピードはまるで「ブラックホール」に吸い込まれていく程のスピードだった・・・。



アイスをすくう、そのスピードは神速!!

クレスの持つスプーンに無数の残像が見える・・・。

まるで「スプーンを持つ千の腕」にアイスがすくわれるようだ・・・。


バケツの中のパフェは・・・1cm、また1cmと減っていく・・・。



ちなみのこの現象は・・・スキルでも技でもなんでもない・・・。

ヤスノVの「ヤスノブラボー」に似ているが・・・ただ食べているだけである事を付け加えておこう・・・。



アイスの中に埋め込まれたりんごがメインの果物も・・・あっさりと・・・・食べていく・・・。






rarara「・・・ク・・クレスさん・・・恐ろしい人・・・私の「バケツパフェ」を・・・あ、あんなに早く・・・美味しそうに・・・」






青ざめた顔で白目を向き・・・・汗を垂らすrarara・・・。







rararaは 「ライバルに実力の差を見せ付けられた「少女漫画の主人公」のような表情」 になっていた・・・・・。
(参考として「ガラ○の仮面」「エースを○え」等がお勧めです(´▽`;)/)





忘れられがちのスペクターが・・・まだ苦しんでいる・・・。

いやいや!!!・・・本当はこっちの方が大事なのである・・・・。




スペクター「う〜〜〜〜ん・・・・」









    「はははっ・・・スッゴイ美味しかった!!また食べたいね!」







    「えぇ!今度は二人で普通のパフェを食べましょうか?」





   

    「え〜〜〜?それじゃ恋人同士みたいじゃないか?」







    「うふふ・・・「おかあさん」とじゃ・・・嫌かナァ??」








    「えへへ・・・いいよ!!食べようね!絶対に!おかあさん!!!!」







スペクター「  !  」



スペクター「私は・・・・「おかあさん」・・・・・?」


呆けた声で「記憶」を微かに思い出すスペクター・・・。


生前は・・・「母親」だったらしい・・・・。




その時・・・テーブルにスプーンを置く音がする・・・。






コトッ・・・






クレス「ごちそうさまでした・・・」




rarara「じゅ・・・12分・・・28秒・・・・???」


目を見開いて「懐中時計」の針を見るrarara・・・。



スペクター「えっ!?いつの間に!!!!????」



苦しんでいる途中に「バケツパフェ」が無くなっている事に驚くスペクター・・・。










rararaは微笑みながら・・・・クレスに拍手する・・・。




rarara「負けたわ・・・クレスちゃん・・・まさか「完食」するなんてね・・・・・」




クレス「ふふふ・・・本当に美味しかったわ・・・」



ゆっくりと席を立つクレス・・・。


その背中は実に雄雄しいものであった・・・。



rarara「また・・・明日も来てくれる?」



ドアの前で立ち止まり、クレスは微笑みながら・・・てんちょ、rararaにこう言う・・・。









クレス「ふふふ・・・当分・・・甘いものは必要ないかも・・・・・」







それは強敵「rarara」に対するクレスからの敬意の言葉であった・・・。






甘い物好きのクレスが「甘いものを当分必要としない」等とは決して口にはしない筈だからである・・・。







てんちょ、rararaの頬から一筋の涙がこぼれる・・・・。











rarara「ありがとう・・・クレスちゃん・・・」









ギイィ〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・パタン・・・・



ゆっくりと閉められるドアから音が鳴る・・・。









クレスとスペクターが店を出た後、空になったバケツを嬉しそうに運ぶrarara・・・。





完食されることは・・・作るものにとって本当は「嬉しい事」なのである・・・。



誰もいない喫茶店の中で・・・一人たたずむrarara・・・。


残り少ないアイドルタイムを・・・目を瞑って過ごしている・・・。



時間は・・・午前7時になろうとしていた・・・。




そして・・・又、いつもの常連のお客が「モーニングセット」を食べに・・・rararaの喫茶店「青い鳥」にやってくるのだった・・・・。



















バケツパフェフードバトル、一本勝負

○クレス vs ●rarara   ( 記録 : 12分28秒(公式新記録) )




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


















クレス「ふぅ・・・さすがにお腹イッパイ・・・・」


少し汗をかいてお腹をさするクレス・・・。


スペクター「大丈夫ですか?クレスさん?」


心配そうにクレスを見ているスペクター・・・。


クレス「えへへ、大丈夫・・・ところで記憶はどう?」



スペクター「えぇ・・・生前は・・「女」で「母親」だったみたいです・・・。」



クレス「おぉ!?すごい!!!前に進んだじゃん!!!」



スペクター「いえいえ・・・クレスさんのお陰です・・・」




嬉しそうな声・・・先ほどとは違い「声」に艶が出ているスペクター・・・。






クレス「ふふふふ・・・・・・・・ふっ?????」



クレスが少し顔を青くして・・・急にしゃがみ込む・・・・。





スペクター「どうしました?クレスさん???」




クレス「い・・・いや・・・・ちょっと・・・お腹が・・・・」



ちょっとと言うには・・・かなり青ざめているクレス・・・。



汗がにじみ始める・・・・。


スペクター「あぁ・・・・どうしましょう・・・・・????」



クレス「まさか・・・・まさか・・・・さっきのパフェ・・・・・・・????」





クレスはパフェに疑問を持つ・・・確かにアレだけの量を食べて・・・正常であるわけが無い・・・。












クレス「まさか・・・・腐ってたの!!!??????」





もっとも・・・クレス本人はパフェに対して・・・違う意味の疑問を持っていた・・・。






スペクター「えっ!?そうなんですか???」


パフェの内容物をあまり見ていないスペクター・・・。

クレスの言葉を信じている・・・。



クレス「くぅっ!! パフェに・・・腐ったものを使うなんて・・・・・」


悔しそうに涙をポタリポタリと落とすクレス・・・。





しかし・・・パフェに使われた物はすべて新鮮な食材である・・・・。



スペクター「あぁ・・・・私のせいで・・・私のせいで・・・・・ッ!!」


クレス「まずい・・・・これ・・・マジでまずいョ・・・・。」





スペクター「ク・・・クレスさ〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・・・!!!!!!!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






この後、クレスは「最期の力」を振り絞って「イデア国立総合病院」と「眠傀」へ電話する・・・。


クレスは救急魔法員によって・・・ユニコーンの馬車で運ばれていった・・・。


それを草葉の陰から悲しそうにスペクターは見守っていた・・・・。


この続きは・・・皆様知っての通り・・・・第5話の前編へと続いている・・・。











  









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




パカラッ・・・・パカラッ・・・パカラッ・・・パカラッ・・・・・・・



クレスを乗せたユニコーンの馬車がイデア国立総合病院へ向かって走っていく・・・。



スペクターは悲しそうに・・・クレスを草葉の陰から見送っていた・・・。




スペクター「うぅぅ・・・・私のせいで・・・迷惑をかけてしまったわ・・・・」


悲しそうにしているスペクター・・・。



そこへ「柚屋」の紙袋を持って空から飛んできた眠傀がスペクターに声をかける・・・。

帰ってきた時間が早かったのは「イデア移動術書」を使ったからである・・・。




眠傀「おいおい!クレス・・・病院に運ばれたんだって?」


ヒラリと飛び降り・・・焦ってスペクターに問いただす眠傀・・・。



スペクター「はい・・・物を食べれない・・・私の記憶を戻すために・・・「バケツパフェ」を一人で完食して・・・・・」








そうスペクターが言うと・・・眠傀は汗を垂らして・・・不思議そうにこう言った・・・。












眠傀「・・・・・・・・・・・別に「完食」する必要は・・・無かったんじゃないのか?」









スペクター「・・・・・・・・・・・・・」









眠傀「・・・・・・・・・・・・」









スペクター「・・・・・・・あっ!!!!!」


少し反応の遅いスペクター・・・。


確かに眠傀の言うとおり「完食」する必要は微塵も無い・・・。


バケツパフェの「完食」は・・・「クレスのプライド」だったのであろう・・・。




眠傀「まぁ、しょうがないか・・・スペクターも食べれないようだし・・・

後でこの「柚屋」のお菓子を・・・見舞い代わりに持って行くか・・・。」



頭をかきながら・・・眉をしかめる眠傀・・・。

スペクターは申し訳無さそうにしていた・・・。



時刻は7時30分過ぎ・・・街中は人で少しずつ賑わってきている・・・。



眠傀「・・・・・・このままだとマズイな・・・人目に付いてしまう・・・。」



スペクター「ううぅ・・・どうしましょう・・・・」



眠傀「しょうがない・・・移動するぞ・・・・。」


そういうと眠傀は目を閉じ・・・杖を振って・・・スペクターに魔法をかける・・・。




スペクター「えっ?  こ・・これは???」


スペクターは自分の周りに「甘い香り」のする魔法に戸惑う・・・。



眠傀「ははは・・・「スイートリキッド」っていう魔法だよ・・人にも魔物にも見えないはずだ。」


杖にまたがり・・・スペクターを眠傀の後に乗せる・・・。


スペクター「いま・・・「詠唱」されてませんよね?」



眠傀「あぁ・・・「詠唱」の必要がないんだよ・・・俺はね・・・」



得意そうに笑う眠傀・・・。



本来、魔法使いは「詠唱」によって「魔法を構築」する・・・。

つまりは「詠唱」しなければ魔法は使うことが出来ないのが常識である・・・。



上級の魔法使いほど「魔法発動までの時間の短縮」を追及する・・・。


修行の結果、眠傀は「詠唱不要」までに魔法を極めているのだ・・・。



ちなみに「kokolo」、「かすみ」、「闇慈」等もまた、「詠唱不要」の魔法使いである・・・。





スペクター「す・・すごいんですね?眠傀さんって?」





眠傀「はっはっは・・・ありがとう!」








スペクターを乗せて・・・街を一気に離れていく眠傀・・・。







イデアの「草原の街道」から・・・鳥の様にすばやく北東の方向へと飛んでいく・・・。



スペクター「あぁぁ・・・・・すごい・・・こんなに街が小さく・・・」



眠傀「はっはっは・・・さすがに「空を飛ぶ」のは初めてかナ?」



嬉しそうなスペクター・・・。





スペクター「(あれ!?この道のり・・・)」





道のりに覚えのあるスペクター・・・・その時・・・又も記憶の欠片が甦る・・・。













     「わぁ〜〜〜〜おかぁさん!!!見てあの鳥!!!」








     「ふふふ・・・可愛い鳥でしょう? 知ってる? あの鳥の名前・・?」








     「当然だよ!!!だって・・おかぁさんと同じ名前だもん!!!」













眠傀「どうした? 気分悪いのか・・・? 杖酔いか!!!???」




苦しみだすスペクターを乗り物酔いと勘違いする眠傀・・・。






スペクター「わ・・・わたし・・・・は・・・」










眠傀「ん?」







スペクター「私の名前は・・・・・・ルリです・・・・・。」








眠傀「   !!!!!    」








ルリ「そう・・・ルリ・・・これが・・・私の・・・・名前・・・」




目を大きく開けて・・・驚きを隠せない眠傀・・・。






漆黒の森近くまで飛んでいたが・・・急遽、地面へと降りる・・・。





街から離れると数多くの魔物がいるが・・・魔物に気配を悟られぬように再度「スイートリキッド」をかける・・・。




森の中に入り・・・岩陰に身を潜めてスペクターに問いかける・・・。




眠傀「何処まで記憶が戻ったんだ?」




ルリ「一児の母で・・・名前はルリ・・・「ルリツバメ」から名を取って付けられたんです・・間違いありません・・・。」



眠傀「・・・・・・・。」


黙り込む眠傀・・・。

少し汗を垂らしている・・・。




ルリ「確か・・・子供は「男の子」で・・・5歳から・・・6歳くらいの・・・あぁ・6歳です!!!」




眠傀「そうか・・・だとしたら・・・・・」


眉をしかめて悲しそうな表情の眠傀・・・。





ルリ「どうしました・・・?」






眠傀「息子の名前は・・・「イーグル」じゃないのか・・・?」




ルリ「  !!!!!!!!!!!!   」



   スペクター、ルリの記憶が渦巻くように甦る・・・。



   頭の中を・・・まるで手でかき混ぜられるような感覚がルリに襲い掛かる・・・・。








ルリ「・・・う・・・・あ・・・・あぁ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!!!!!!」















     「はははは・・・・おかあさん!!!!今日の晩御飯は・・・・な〜〜〜〜〜に??」








        「おとうさんが死んでも・・・・僕が守ってあげるからね・・・・・」









               「おかあさん、僕が運ぶから休んでて・・・・・・」









        「やめろ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!おかぁさんに手を出すなァ〜〜〜〜〜ッ!!!!!」










          「嫌だッ!!!嫌だよ!!!!おかぁさん・・・・・・・・・」
 












            「おかぁさ〜〜〜〜〜〜〜んッ!!!!!!!!」









ルリ「いやぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!!!!」








眠傀「おいっ!!しっかりしろ!!!」


大声を上げて苦しむルリ・・・。


ルリを抱きしめて落ち着かせる眠傀・・・。





ルリは震えながら・・・小さな声で話し出す・・・・。







ルリ「わ、私は・・・・そう・・・そうだったんですね・・・・」







眠傀「あぁ・・・残念だが・・・・」







ルリ「殺されたんですね・・・寿命や・・・病気で死んだのではなくて・・・・」






眠傀「・・・・・・・・・・」


目を瞑り・・・眉をしかめる眠傀・・・。




眠傀「3日前、噂で聞いたんだ・・・・狼系の魔物に襲われた家の事・・・詳しくは聞いてないんだけど・・・。」




ルリ「そうですか・・・確かに・・・「メイジウルフ」や「ワーウルフ」・・・それにたくさんの「黒おおかみ」に襲われました・・・。」





記憶を完全に取り戻したルリ・・・。





その時の状況を眠傀に話す・・・。










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










ルリ「いやぁ〜〜〜〜ッ・・・・」




イーグル「やめろ!!!!出て行けよ!!お前達!!!」




ルフ少尉「くくく・・・ガキが生意気に・・・・」





バキッ!!!!!!!








イーグル「うわぁ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」





ルリの家に入り込んだ・・・魔物の賊・・・賊とは言ってもメイジウルフ一匹にワーウルフ2匹、そして黒おおかみが15匹もいる・・・。



もはや、一つの「軍隊」と考える方が正しい・・・。


魔物同士も「上下関係」が出来ているようで階級を口にする・・・。




ワーウ少尉「メイジン大佐!この親子・・・いかが致しましょう?」



指揮鞭を持ち、ニタニタ笑いながらルリを見ているメイジン大佐・・・・。




ルフ少尉「食料として・・・八つ裂きに致しましょうか?」



黒おおかみ「ガウゥ〜〜〜・・・ガウゥ〜〜〜〜・・・・」




嬉しそうに吠える黒おおかみ達・・・・。



メイジン大佐「ふっ・・・まずは「子供」からバラしましょうか?」




イーグル「くそぉ!!!負けるもんか!!!!」



イーグルは床に落ちていた「牛乳瓶」を投げつける・・・。





パシッ・・・・・・。






ワーウ少尉「危ないじゃないか・・・ボウヤ・・・?」




余裕で瓶を掴み握力で瓶を割る・・・ニヤリと笑いながら睨み付けるワーウ少尉・・・・


目が黄色く・・・・よどんで光っている・・・。



イーグル「うぅぅ・・・・・」



恐怖で思うように体の動かないイーグル・・・。




ルリ「やめて!!!息子には・・・イーグルには・・・・手を出さないで!!!!!」




メイジン大佐「はっはっは・・・・「親子愛」というヤツか?  あっはっはっはっはっは・・・・・」




ワーウ少尉「くくく・・・・ばかばかしいですな・・・・・」



ルフ少尉「愚かしい・・・・・」




黒おおかみ「がうぅ〜〜〜〜〜〜・・・・・・・・」



魔物たちは非力な二人をあざ笑う・・・。







ルリの家は・・・草原の街道よりも北東に位置する・・・・。



人気の少ないその家は・・・魔物避けに「呪札」を地面に埋め込み・・・今まで魔物の進入を防いでいたのだ・・・。




銀鈴や漆黒の商店周辺に魔物が寄ってこないのはこの為である・・・。




しかし・・・呪札の効果が切れるまで、まだまだ日がある筈なのに・・・その家は襲撃されてしまった・・・。



ワーウ少尉「おらッ!!!クソガキ!!床でも舐めろ!!!」



ガンッ・・・・・




ワーウ少尉に頭を足蹴にされるイーグル・・・。





イーグル「ぐあっ・・・・・くそぉ・・・もっと・・・もっと僕が強かったら・・・・」




悔し涙を流しているイーグル・・・こすり付けるように頭を足蹴にされる・・・。



ワーウ少尉は剣を抜いてメイジン大佐の指示を待つ・・・。




ワーウ少尉「準備できました・・・メイジン大佐。」





ルリ「やめて!!!!その子の代わりに・・・私を殺して!!!!お願い!その子は・・・見逃して〜〜〜〜〜ッ!!!!!」





その言葉を聞いてニヤリと笑うメイジン大佐・・・。

ルリの方へとゆっくりと歩いていく・・・。



イーグル「やめろ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!おかぁさんに手を出すなァ〜〜〜〜〜ッ!!!!!」


母の危機を感じたイーグルが・・・大声を上げる・・・・。


しかし・・・メイジン大佐はイーグルを無視して話を進める・・・。


メイジン大佐「ほう?貴女が死ぬのですか?いいですよ?・・・そのかわり・・・・」





ボトッ・・・・・




ルリの目の前に「ナイフ」を落とすメイジン大佐・・・。




メイジン大佐「これで自分の「ノド」を切りなさい・・・。」



ルリ「な・・・」




青ざめるルリ・・・。




その時ワーウ少尉が・・・イーグルを足蹴にしている力を増していく・・・・。




ギリギリギリ・・・ギリ・・・・



イーグル「ウワ〜〜〜〜〜ァァ・・・・・ッ・・・グッ・・・・グゥゥ・・・・・・・」



必死で痛みを堪えるイーグル・・・・。




イーグル「僕は大丈夫だよ!!!おかぁさん!!!バカなことはやめて!!!!」




ワーウ少尉「ほぉ・・・・我慢強いな・・ボウヤ・・・・」




ギリギリギリ・・・ギリ・・・・

更に力を増すワーウ少尉・・・。




イーグル「グ・・・ッ・・・・・・・・・・」





ルリ「やめて!!!!やめてッ!!!!!」



ナイフを手に取り・・・・ノドに向けるルリ・・・・。

目からポロポロと涙をこぼして・・・イーグルを見つめる・・・。



イーグル「い・・・嫌・・・だッ!!!嫌だ・・・よ!!!!おかぁ・・さん・・・・・・・・・」






ルリ「イーグル・・・絶対に・・・強く生きていくのよ・・・お願いだからね・・・・・」










イーグル「おかぁさ〜〜〜〜〜〜ん!!!!!!!!」























ザシュッ・・・・・・・・・














・・・・・・・・・・・





眠傀「酷い・・・・・な・・・・・・」


聞くに堪えかねる話に眉をしかめる眠傀・・・。


ルリ「私の記憶は・・・ここまでです・・・・。」




眠傀「よもや・・・・狼系の魔物が乗り込んでくるなんてな・・・・・」


ルリ「あと50年は呪札の効果はあったはずなのに・・・・一体どうして・・・・・」


悲しそうに声を落とすルリ・・・。



眠傀「魔物の強さが上がっているんだろう・・・・。単純にそれしか考えられない・・・・。」





ルリ「うぅぅうぅう・・・・・今頃イーグルは・・・たった一人で・・・・生きているのね・・・・・」






眠傀「確か噂では・・・君の遺体は「イデア・聖・クラウディア・チャーチ」に埋葬される予定だったはずだ・・・。」





ルリ「えっ!?そうなんですか?」



黙ってうなずく眠傀・・・。



眠傀「もしも・・・生きているのならばそこにいると考えられるよ・・あそこは・・近くに孤児院もあるからな・・・。」




ルリ「生きているならば・・・ですか・・・・」





確かに眠傀の言う通り・・・魔物が「人間との約束」を守っているとは考えにくい・・・・。




わずかな望みを胸に・・・二人はイデア・聖・クラウディア・チャーチへと飛んでいった・・・・。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









夕方になり・・・墓場は薄暗くなっていこうとしていた・・・・・。



上空から墓場を見ている眠傀とルリ・・・。



新しい墓地の区画に・・・・一人の少年の姿を確認する・・・・。







眠傀「おぉ・・・!!?あれか!?」





悲しそうな表情でお墓の前で座り込んでいる少年。





ルリ「えぇ!!!間違いない!!!イーグルだわ!!!!私の愛しいイーグルッ・・・!!!!!!」





歓喜に声を震わせるルリ・・・・。








眠傀もホッと安心して息をつく・・・。








ルリ「よかった・・・あの子さえ生きていれば・・・よかった・・・・」










眠傀「本当によかった・・・・・・な・・・・?」















一瞬目を疑う眠傀・・・・。


















ルリ「どうしたんですか?眠傀さん・・?」







眠傀「・・・いや・・・・あの子の・・・・体・・・・」








イーグルの体を見つめるルリ・・・・。










ルリ「  ?  」













ルリ「  ??  」




















ルリ「!!!!!!!!!!!」









イーグルの体の異変に気付くルリ・・・。







眠傀「う・・・うそだろ・・・か・・体が・・・・透けてる・・・・・。」




ルリ「あ・・・あぁ・・・あああ・・・・・・・・アァアァッァッァアアアァアッ!!!!!!!!!!!!」



大声で嘆くルリ・・・・。




ルリの息子、イーグルは・・・スペクターではなく・・・「ドッペルケンガー」になっていたのだ・・・・。










あまりに・・・無慈悲で残酷な仕打ちであった・・・。











イーグル「!!??」




ルリの大声に気付くイーグル・・・。









こちらを見て・・・・微笑みだす・・・・。






眠傀「笑ってる・・・?なんで・・・・?」



イーグル「あかぁさ〜〜〜〜ん!!!!」




ルリ「!!!」




スペクターになってしまったルリ・・・・体もなければ・・・顔も確認できないはずなのに・・・・イーグルには

眠傀の背後に乗っているのがルリだと・・・気が付いたようだ・・・・。




ルリ「そんな・・・・私が・・・わかるの・・・?」





イーグル「降りてきてよ!!!おかぁさん!!!ずっと・・・ずっと待ってたんだよ!!!!!」




眠傀はイーグルの下へと降りていく・・・。









新しい墓には「ルリ」と「イーグル」の名前が刻まれている・・・・。


しかし・・・「ルリ」と「イーグル」二人の遺体は運び込まれた形跡は無かった・・・。


誰も「ルリ」の家に近寄ることなく・・・噂だけが流れてきていた・・・。


なぜ、二人の遺体は運ばれないのか・・・?


ルリの家にいるメイジン大佐を恐れてなのだろうか?


力ない二人の親子が襲撃を受けた・・・


本来であれば「国家警察」が一番に動かなければいけないのだが・・・


ここ最近の「国家警察」は怠慢が非常に目に付く・・・。







ルリ「あぁ・・・イーグル・・・死んでしまったのね・・・・」



悲しそうにイーグルにまとわりつくルリ・・・。



イーグル「お、おかぁさん・・・」




イーグルは唇を噛み締めて・・・ルリと眠傀に「ルリの死後」を話す・・・。











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









イーグル「ちきしょう!!ちきしょう!!!!」


ほくそ笑みながらイーグルを見つめるメイジン大佐・・・。




メイジン大佐「くっくっく・・・・・・長生きできそうだな?貴様・・・・」




イーグル「ふざけるな!!!貴様ら・・・いつか必ず・・・殺してやる!!!」



涙を流して・・・・メイジン大佐を睨み付けるイーグル・・・。



恐怖で体はうまく動かないものの・・・「闘争心」は消えてはいない・・・。



メイジン大佐「うっとぉしい!!!!「氷の呪縛に身を落とし・・・生ける者の魂をも凍らせよ!!!」」




イーグル「 うわっ!!??」


メイジンが魔法の「詠唱」を終えると・・・イーグルは動くことが出来なくなってしまった・・・。


その体は・・・薄い氷で包み込まれている・・・。


イーグル「  ぐぅぅ〜〜〜〜・・・・」

一生懸命逃れようとするが・・・まったく動けないイーグル・・・。


メイジン大佐は笑いながら黒おおかみたちにこう言う・・・・。










メイジン大佐「量は少ないが喰えッ!!!!」








黒おおかみ「がうぅぅ〜〜〜〜〜〜〜ッ☆☆☆」





嬉しそうにイーグルの足からかぶりついていく黒おおかみ達・・・・。







・・・・・・






・・・




最後まで書くべきなのであろうが・・・・私もメイジン大佐の愚行を詳しく書く事は・・・・出来ればしたくない・・・。








唯一つ・・・・イーグルに助けがあった部分を書くとすれば・・・・











体が凍っているために最期の最期まで・・・・・イーグルは痛みをあまり感じなかった・・・。







これだけ書いておこう・・・・・。











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












ルリ「うぅぅうぐうう〜〜〜〜〜ッ・・・・・・・・・」




怒りのうなり声を上げるルリ・・・。

表情はわからないが・・・声で感じ取る事が出来る・・・。


イーグル「おかぁさん・・・ごめんね・・・僕が弱かったから・・・・僕が守れなかったから・・・・」




眠傀「・・・・・・・・・」

黙って二人を見守る眠傀・・・・。




ルリ「許せない・・・許せないわ・・・・・」



自ら命を絶ってまで守ろうとした「命」を・・・あざ笑うかのように踏みにじったメイジン大佐達・・・。



確かに・・・許すことは出来ない・・・・。



その時・・・眠傀はルリに言い放つ・・・・。



眠傀「ルリ・・・その「怒り」・・・俺が・・・もらう・・・・。」



ルリ「えっ?・・・そ、それはどういう・・・?」



意味の判らないルリ・・・。



眠傀はスペクターのルリに手の平を付ける・・・。







ズズズズズズズ・・・・・・・・・





赤い煙のような・・・・ルリの「怒り」が、眠傀の手の平に吸収されていく・・・。




「怒り」が「魔法力」に変換されて眠傀に入っていったのだ・・・・。




「人の感情を吸い取り魔法力に変える」・・・




これは禁呪法ではあるが・・・スペクターのルリに使う分には問題は無いと判断した眠傀・・



ルリから「怒り」という感情を吸い取っていく・・・。




ルリ「えっ?ど、どういうこと????これは・・・・・」





今までスペクターとして「不安定だった体」が・・・怒りが抜けたせいか・・・息子イーグルのように「人間」の姿に変わっていく・・・・。



ルリの人間の姿は・・・・長い髪の美しい・・・・優しそうな顔立ちの女性だった・・・・・。



ルリ「あ・・・あぁぁ・・・?」


イーグル「お・・・おかぁさん!!!!!」



ルリに抱きつくイーグル・・・・。



ルリは形成された腕で・・・力強くイーグルを抱きしめる・・・・。



わずか、3日前に殺害されたのだが・・・・遠く長い月日を離れていたかの様に・・・抱きしめ合う・・・。




夕焼けの光がステンドグラスに反射して・・・・二人を包み込んでいく・・・・。




光に包まれた二人の体は・・・・少しずつ消えていき・・・・・天へと昇っていこうとした・・・・。



ルリの願いも・・・イーグルの願いも・・・叶ったからであろう・・・。





眠傀「後のことは任せろ・・・。ルリの「怒りの魔法力」・・・メイジン大佐に全部ぶつけてやる。」




ルリ「ま・・・まさか・・・倒してくれるのですか?」




イーグル「おじちゃんが倒してくれるの?」




眠傀「あぁ!「かっこいいお兄さん」が倒してあげよう!」


親指を立てて・・笑いながら額の血管を浮き立たせる眠傀・・・・。




イーグル「あ、ありがとう!「かっこいいお兄さん」ッ!!!!!」


イーグルに「何か」を強要しつつ・・・見送る眠傀・・・。


天に昇っていく二人は・・・・涙を流しつつも・・・笑っていた・・・・・。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



草原の街道、北東・・・・「ルリの家」




平屋の小さめの家・・・。

数日前までは人間が住んでいたこの家は・・・今ではメイジウルフに占領されている・・・。


イデアの草原の街道から遠く離れているために「国家警察」すらも「後回し」にしていた・・・。


黒おおかみ達が・・・我が物顔で家の周りをうろついている・・・。




その家の中に・・・明かりが灯っていた・・・・。

3つの影がある・・・。



メイジン大佐「うむ・・・・「剣士隊」とはまだ連絡がつかないのか?」



ワーウ少尉「はっ!まだ連絡が取れません!」


ルフ少尉「「剣士隊、隊長「ロウガ大佐」」は・・・まだ「草原の斜陽」付近と考えられます・・・・。」



メイジン大佐「まったく・・・「暗部」の連中も「剣士隊」の連中も何をしているのだ・・・?」



テーブルに座り・・・食事をしながら話しているメイジン大佐・・・。

最後の一カケラの肉を口に頬張り・・・ワーウ少尉に言い放つ・・・。



メイジン大佐「おい!「肉」が足りないぞ!!持ってこい!!」



ワーウ少尉「申し訳ありませんが・・・・」



メイジン大佐「ちっ・・・もう無いのか・・・・。」



不機嫌に眉をしかめるメイジン大佐・・・。



この数日で・・・この家のすべてを食べ尽くしたらしい・・・・。




その時・・・ゆっくりとドアを開ける人物の影が現れる・・・。









ルフ少尉「なんだ!?貴様はいった・・・」





剣を抜き・・・ルフ少尉が人影に走りだしたその瞬間・・・・・・





バシュッ!!!!!





問答無用に「雷」の魔法をルフ少尉にぶち当てる・・・・。





杖をバトンでも振るかのように鮮やかに振り回し・・・杖の先端をメイジン大佐達に向けて魔法使いの男が口を開く・・・。




眠傀「イデアは「豊饒の土地」だ・・・お前らのような奴らが居たら・・・「観光客」が来ないんだよ・・・」




怒りの「魔法力」を溢れかえらせて・・・眠傀がルリの家に入り込む・・・。




ワーウ少尉「バカな!?外には黒おおかみ達が居たはず!!」



焦るワーウ少尉・・・。剣を抜いてメイジン大佐の前に出る・・・。





眠傀「雑魚をいくら外に置いても・・・・無駄だ・・・・」





外には15匹の黒おおかみの死体が転がっている・・・。



何の抵抗も出来ないまま黒おおかみ達は死んだみたいだ・・・。




メイジン大佐「ほぉ・・・やるではないか・・・「詠唱無し」か?」





眠傀「懺悔する時間は・・・いるか?」


目が座っている眠傀・・・ルリやイーグルを思えば・・・まだまだ魔法力が溢れかえってくる・・・。



ワーウ少尉「時間を稼ぎます・・・魔法の詠唱をして下さい!!!!」




ワーウ少尉が剣で眠傀を襲う・・・。

素早い狼の動きで眠傀に魔法を撃たせないように牽制する・・・・。




眠傀「・・・・・・・・・・」





ワーウ少尉の剣に対して「杖」ですべてを受け流す眠傀・・・。




魔法をどうして出さないのであろうか?






メイジン大佐「「愚かなる人間の魂を裁く炎!炎!炎ッ!骨の髄までもを焼き尽くす炎!炎!炎ッ!・・・・・」



メイジン大佐の「時間をかけた詠唱」・・・・。

どうやら「大魔法」を使うつもりのようだ・・・・。





眠傀「ふんッ・・・!「メガファイア」か?」




杖を片手にワーウ少尉の剣を防ぐ眠傀・・・。



ワーウ少尉「ふん!気付いた所で、もう遅いわッ!!!!」



メイジン大佐「闇より来たれ!!!「メガファイアッ」!!!!」



メイジン大佐の指示鞭の先から大きな炎球が飛び出して・・・眠傀に襲い掛かる・・・。



ワーウ少尉は素早く眠傀を杖の上から蹴り・・・眠傀の体勢を崩す・・・・。


ワーウ少尉は蹴りの反動でメイジン大佐の背後に跳んだ・・・。



眠傀「・・・・・・・・・」








ドガァアアアアーーーーーーーッ・・・・・・








眠傀に向かって飛んだ炎球は・直撃・・・眠傀を包み込んで・・・・激しく燃え上がる・・・・。









「ぐわぁぁーーーーーーーーーーッ・・・・た・・・助けて・・・・・くれーーーーーーーッ・・・・・・」







悲痛な叫び声が家の中に響き渡る・・・。









メイジン大佐「はっはっは・・・・人間風情が私に勝てるものか!!!」




激しい炎で良くは確認できないが炎で苦しみ・・・もだえている姿だけが確認できる・・・。



その姿をメイジン大佐は嬉しそうに見ている・・・。



炎球は少しずつ・・・威力を無くしていき・・・最期には「誰かもわからない程」黒焦げになった死体を確認した・・・・。






メイジン大佐「くっくっく・・・ワーウ少尉・・死体を片付けろ・・・・」







背後のワーウ少尉の方を向くメイジン大佐・・・・。

しかし・・・メイジン大佐は目を大きく開けて、そこに立っている人物に驚く!








メイジン大佐「バカナァ〜〜〜〜〜ッ!!!!?? なっ!?なぜ・・・貴様が後ろに居る!!!!?」





眠傀「・・・・・さぁ?何故だと思う?・・」




首を傾げてニヤリと笑う眠傀・・・。



メイジン大佐は振り返り・・・もう一度「誰かもわからない程」黒焦げになった死体を確認する・・・。


「誰かもわからない程」黒焦げになった死体はワーウ少尉の剣を持っていた・・・。


メイジン大佐「バ、バカナ!?一体・・?」






困惑するメイジン大佐を蔑んだ目で見ながら眠傀が問う・・・。





眠傀「何故ルリやイーグルを殺した? 何故ここに居るんだ?貴様らは・・・?」




メイジン大佐「く・・くっくっく・・・な、何を言い出すかと思えば・・・・」



額の汗を拭い・・・動揺を隠そうとするメイジン大佐・・・。

息を整えて眠傀に・・・こう言った・・・。






メイジン大佐「人は我等にとって「食料」に過ぎない・・・。この家の親子もまた、われ等の「食料」となった。」




メイジン大佐「・・・・そ・・それだけの事よ・・・・。」


汗を拭っても・・・どんどん汗が溢れかえるメイジン大佐・・・。


眠傀「それだけ?違うな・・・俺は・・「この「家」に滞在していた理由」も聞いているんだ・・・。」




メイジン大佐「・・・・・・っ・・・くっ・・・・・・」


懐から「たくさんの爆竹」を取り出して眠傀に向けて放り投げるメイジン大佐・・・・。



メイジン大佐「喰らえ!!!今は逃亡するが・・・いつか貴様も我等の食料となるがいい!!!」




一瞬で窓を破り・・・逃げるメイジン大佐・・・。


家を出て10mは・・・離れた。









しかし・・・・・











ドンドンドンッ・・・・・・・・パパ〜〜〜〜〜ンッ!!!!!!!!!!!!!!







メイジン大佐「ゲホゲホエ・・・・ゴフゴフ・・・?????バカな・・・・何故私が・・・・「家」の中に・・・?」





メイジン大佐は家の外に逃れていたはずだが・・・・何故か家の中に戻ってしまっていた・・・・。





眠傀「喋りたくないならもういい・・・・。」


家の外から眠傀の声が聞こえる・・・。



爆竹が弾ける瞬間に何が起こったのかはわからないが・・・・眠傀がメイジン大佐の代わりに家の外に居た・・・・。




メイジン大佐「くそぉ・・・何故貴様が・・・外に居るんだ???」


窓から這い出るように外に出るメイジン大佐・・・。



爆竹のせいで・・・体中「ヤケド」だらけになっている・・・・。




眠傀「俺の「魔法」の一つだよ・・・。お前は絶対に逃がさない・・・・。」





そういうと眠傀は杖を宙に浮かべて・・・空を飛ぶ・・・・。




メイジン大佐「何!!?貴様・・・空を飛べるのか!?」




眠傀「 魔法「フライ・アウェイ」・・・。 」


一気に上空に浮かび上がりメイジン大佐を見下ろす眠傀・・・。



メイジン大佐「ち・・ちぃっッ・・・「吹き荒び、敵を喰らえ・・・狼の風!」 「ウルフウィンドッ!!!!!」」




メイジン大佐に呆れた顔をして眠傀がつぶやく・・・。




眠傀「まだ判らないみたいだな・・・・。」




真空の中から「風の狼」が現れて上空の眠傀に襲い掛かる・・・。







眠傀は「冷たい目」をしながらメイジン大佐に言い放つ・・・。



眠傀「そしてこれが・・・さっき使った・・・もう一つの「魔法」・・・。」



眠傀は「詠唱無し」で・・・さっと指を振る・・・。



眠傀「「ゴッド・キャスリング」だ!!!!!!!!」








!!!!!!!!!!!!!!!






眠傀が魔法を使った瞬間・・・眠傀とメイジン大佐の存在位置が交換される・・・。


眠傀はメイジン大佐の立っていた場所に・・・瞬間移動したのだ・・・・。



そして・・・・



メイジン大佐「何!?私が・・・・何故・・・空中に!?・・・」



当然・・「魔法効果」によりメイジン大佐は眠傀がいた・・・空中に移動している・・・。

メイジン大佐の放った「ウルフウィンド」が・・・・眠傀の居た場所に移動したメイジン大佐に襲い掛かる




ゴォォォ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!ズバズバズバァッ!!!!!!




メイジン大佐「ギャァァ〜〜〜〜ッ・・・まさか・・・これがさっきの・・・・」





そう、ワーウ少尉がメイジン大佐の「炎の魔法」で死んだのも


家に戻され爆竹を喰らったのも・・・


「ゴッド・キャスリング」の為である。




眠傀の「ゴッド・キャスリング」


それは眠傀謹製の「目に見える生物となら誰とでも、居場所を交換できる魔法」である・・・。







空が飛べないメイジン大佐・・・血を撒き散らしながら・・・急降下で地面に落ちていく・・・。


メイジン大佐「おのれ・・・おのれ・・・・これで・・・終わったと思うなよ・・・・」


メイジン大佐の強がりを・・・聞く耳持たない眠傀・・・。


サッと背を向けて・・・歩き出す・・・。



眠傀「うるさいよ・・・あの世でルリとイーグルに詫びてこい・・・。」




メイジン大佐「く・・・クソォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ・・・・・」





















ドガ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン・・・・・・ッ・・・・・・・・



















メイジン大佐は地面に激突して・・・惨めに即死した・・・・。







目に見えるギリギリの位置まで「フライ・アウェイ」で空へ上昇・・・。

そして「ゴッド・キャスリング」で敵と位置を交代・・・。

更には眠傀の「まだ見ぬ魔法」で「超ド級」の追加攻撃があるのだが・・・。

メイジン大佐を倒すには「二段階」で十分であった・・・。





イデアでも最強のクラスを誇る魔法使い・・・眠傀・・・。


その戦い方は・・他の魔法使いとは違い・・・異色である。





・・・・・











戦いの後、ルリとイーグルの遺体を見つけた眠傀。




その遺体、を「炎の魔法」で火葬する・・・。






火の煙と灰が暗い夜空へと舞い上がっていく・・・。




その先に二つの青白い星が・・・綺麗に強く輝いていた・・・・




ふっと星に語りかける眠傀・・・。















眠傀「見ていたか?ルリ・・・イーグル・・・・??」



敵を討った眠傀は一人寂しく・・・ルリとイーグルを思い出していた・・・・。












余談ではあるが、この後・・・眠傀が「国家警察」に喝を入れに行った事は言うまでもない・・・。












○眠傀vs●メイジン大佐、率いる「狼の軍隊」  決め技「ゴッド・キャスリング」 












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




空を見上げて微笑む眠傀・・・。




眠傀「(クレスと話して「スペクターの一反もめんは俺」という事にしたが・・・・・)」






苦笑いする眠傀・・・。


眠傀は「ルリのスペクター」の一件を無き物にしようと一芝居うった様だ・・・。

今更スペクターがどうこうと街の人たちに言って回るのも「恐怖」を与えるだけである・・・。

事実は、クレスと眠傀・・・二人の中に封じ込まれたのだ・・・。






眠傀「(・・・・良かったのか・・・悪かったのか・・・)」



会社の中からかすみの声が聞こえてくる・・・。






かすみ「ジュース作ったよ!早く入っておいでよ!!!」




パンサー「眠傀さ〜ん・・・どうしたんっすか〜?」



少し悲しげにうつむいた後・・・いつも通り、楽しげに会社へと入っていく・・・。





眠傀「悪い悪い・・・さぁさぁミンナで「柚クッキーせんべい」食べようナァ〜〜〜〜〜ッ!!!!!」










柚屋の紙袋を自慢げに開ける眠傀・・・。




やすのぶ「柚クッキーせんべいなんて・・・食べた事無いよ・・・・」





よだれ丸「゜・(ノД`)?・゜・゜」

美味しそうな匂いにつられて「大きなカバン」から顔を出すよだれ丸・・・。


やすのぶも留守番のため会社に居たが・・・少しツイている・・・。





眠傀「あれ?やすのぶくんも居たのか?まずいなぁ・・・クレスに1枚持っていくつもりだったから・・・」




かすみ「6枚ある?眠傀・・・?」



眠傀「ちと・・・数えよう・・・・。」



そういうと眠傀は不安げに・・・クッキーの枚数を数えていく・・・・。





眠傀「え〜〜〜っと・・・1ま〜〜〜〜い・・・2ま〜〜〜〜〜い・・・・・」




かすみ「 !!! 」

眠傀の「数える声」を聞いて・・・目を大きくして眠傀を見つめるかすみ・・・・・。


依頼内容の一つを思い出す・・・・・。


















「3.夜の「銀行周辺」で「皿を数える妖怪」の声がする・・・。」












パンサー「あぁ・・・・あぁぁあぁあ・・・・・・まさか・・・・・・」


涙を流すパンサー・・・・上を向いて手の平で顔を抑えている・・・。






眠傀「3ま〜〜〜〜〜い・・・・・4ま〜〜〜〜〜〜い」





やすのぶ「たしか・・・・銀行周辺って・・・・ここも入るよな?よだれ丸・・・・。」







よだれ丸「(゜-゜)(。。 )(゜-゜)(。。 )」




うなずく「よだれ丸」・・・。









眠傀「5ま〜〜〜〜〜〜い・・・・・・うわぁ〜〜〜〜ッ! 1まい足りな〜〜〜〜〜〜〜〜いッ!!!!!!!!!」



















かすみ「おまえか〜〜〜〜ッ!!!!!」





( >o<)-○)ΣΣ)゜o゜)/? バキッ!!




眠傀「な・・何するんだよッ!!!いきなりッ!!!」


今回ばかりは・・・本当に意味の判らない眠傀・・・。




かすみ「あなた一体・・・どれだけ「世間」に迷惑掛ければ気がすむのよッ!!!???」




パンサー「銀行周辺で・・・「皿」じゃなくって・・・「クッキー」数える声だったのか?」



手を地面について「やるせない表情」のパンサー・・・。





やすのぶ「ま、まぁまぁ・・・かすみさん・・怒らないで・・・」




涙を流す眠傀が・・・やすのぶの後に隠れる・・・。



眠傀も訳がわかっていないようだ・・・。





やすのぶ「確かに「教会の歌声」も眠傀さんでしたけど・・・そんなに怒らなくっても・・・。」






かすみ「 !!!!!! 」




やすのぶの口から「新事実」を聞くかすみ・・・。


どうやら・・・かすみは教会で聞こえる歌声の正体が眠傀とは・・・知らなかったらしい・・・。





眠傀「あ・・あ・・あぁ!・・・・余計な事をッッッ!!!!」





眠傀の表情は・・・これ以上なく青ざめている・・・。




7つの依頼内容の内・・・3つも眠傀が原因となれば・・・・かすみの怒り様も当然である・・・。





かすみ「久しぶりに「闘技場」で「お仕置き」が必要かしら・・・?」




にこやかに笑顔でいるが・・・かすみの顔は真っ赤になって・・・体が大きく震えている・・・。





















眠傀の命・・・ここまでであろうか・・・・?















その時、会社へと一人の男が入ってくる・・・・











おけな「ただいま・・・みんな・・・・」





パンサー「あぁ!!!いいところに!!!」



やすのぶ「しゃ・・社長!!!おかえりなさい!!!!!」




眠傀「お帰り!!!ぼくの救世主様ッ!!!!」





おけな「あぁ?どうしたんだ?」



かすみ「おかえりなさい・・・今・・・ジュース入れますね・・・」




闘気を溢れかえらせて・・・台所に入っていくかすみ・・・。





おけな「・・・・・・・・・」







おけな「また眠傀・・・なんかしたのか?」

汗をかいて小声で聞く社長おけな・・・。




眠傀「違うもん!クッキー数えただけだもん!!!!」




子供っぽく泣き出す眠傀・・・。

ある意味・・・情けなかった・・・・。




ため息を大きくつく社長おけな・・・。


おけな「ちょっと・・・「税金の金額」が合わなくってな・・・・後にしてくれ・・・・」




かなり疲れた顔でデスクに座る社長おけな・・・。




大きなカバンから「ドニア札」の束を取り出す・・・。




やすのぶ「おぉっ!?すごいお金いっぱい!!!!」

デスクの前で「ドニア」に釘付けのやすのぶ・・・・。

これだけの「ドニア」を見るのは初めてみたいだ・・・。


おけな「何回数えても間違えるんだよナァ・・・・。」




パンサー「お金を数えるのって大変ですもんね・・・。」



おけな「1・2・3・4・5・6・7・・・・と・・10ま〜〜〜〜〜い・・・・・。」












カラン・・・・カラ〜〜〜〜〜ン・・・・・












台所で何かが落ちる音がする・・・。





パンサー「お金を・・・・・数える???」





社長おけなは・・・ここ10日間・・・税金処理の為・・・夜遅くまで「ドニアの勘定」をしている・・・。




やすのぶ「確かに・・・数えてるね・・・・」






おけな「1・2・3・4・5・6・7・・・・と・・30ま〜〜〜〜〜い・・・・・。」




眠傀「まさか・・・・俺・・・殴られ損・・・・?」




頬を押さえて悲しそうな眠傀・・・。



その時・・・台所からゆっくりと・・・かすみが戻ってくる・・・。




ジュースをおけなのデスクの上にそっと置く・・・。







おけな「1・2・3・4・5・6・7・・・・と・・一枚・・・足りな〜〜〜〜いッ・・・・!!!!」





ドニアの勘定が合わない社長おけな・・・。



たまらずに大きな声を上げる・・・・。













かすみ「おまえか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!!!」





( >o<)-○)ΣΣ)To゜)/ バキぃ〜〜〜〜〜〜ッ!!







おけな「な・・な・・・・な・・・何するんだよッ!?」


いきなり殴られてびっくりする社長おけな・・・





かすみ「もぉ・・・・もぉいやだ・・・・うぅぅうぅわぁぁ〜〜〜〜ん・・・・・・・」



両手で顔を隠して台所へ駆け込むかすみ・・・・。


よだれ丸「Σ(´Д`||)ノシ・・・・ 」


よだれ丸が心配して後をついていく・・・・。




やすのぶ「あぁ・・・なんか・・・訳わからなくなってきましたね・・・・」



青ざめて斜め下を向くやすのぶ・・・。





パンサー「(俺・・・この会社入って・・・良かったのかなぁ・・・?)」


ふっと脳裏に過ぎるパンサー・・・。





眠傀「もぉ・・・なんとも言えないな・・・・・」






おけな「税金・・・・勘定してただけなのに・・・・・・」




少し悲しそうに再度、ドニアの勘定を始める社長おけな・・・・。





なんとも言えない・・・気まずい空気の流れるイデアツーリスト・・・。





そう・・・・謎はいつも・・・・究明するのは難しいものなのである・・・・・・・。











そして・・・謎という物は・・・また・・・謎を呼ぶもので・・・・





百絵は・・・ある「野うさぎ」と対峙していた・・・。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





夕日が沈みかけた鍛冶屋の「ルゥクの家」の裏には・・・弓を構えた百絵が・・・


屋根の上のサンバイザーを付けた野うさぎを狙っている・・・。





百絵は鍛冶屋に発生した野うさぎの集団の噂を聞きつけて・・・「ルゥクの家」に来ていた・・・。








屋根の下には「緑色の野うさぎ」が8匹倒れこんでいる・・・。



百絵が来たときにはすでに「緑色の野うさぎ、8匹」が倒されていて・・・



残り一匹、変わった容姿の野うさぎが屋根の上から百絵を見下ろしていた・・・。


不敵に笑うその野うさぎは・・・赤いマントに・・・「サンバイザー」を付けていた・・・。






百絵「喰らいなさいッ!百絵奥義!百発百中ッ!!」







バシュッ!!!





百絵の魔法力を込められた矢が「サンバイザーを付けた野うさぎ」に襲い掛かる・・・。



しかし・・・・




?????「フッ・・・・・」







バシュ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!






サンバイザーを付けた野うさぎは「百絵の矢」を肉球の付いた手の平から発射した光で・・・かき消してしまう・・・。




百絵「くっ・・・・なんてことなの?この野うさぎは・・・普通じゃない・・・?」




汗を滝のように流す百絵・・・。


強力な魔物ですら百絵の技の前では・・・無力と化す・・・。




しかし今は逆に・・・サンバイザーを付けた野うさぎの前に・・・無力と化す百絵・・・。



百絵「あなたは・・・一体何者なの?この緑の野うさぎを何故・・・倒したの・・・?」

動物の言葉を話すことが出来るイデアツーリスト社員・・・百絵・・・。





駆けつけた時には既に・・・サンバイザーを付けた野うさぎが「8匹の緑色の野うさぎ」を倒してしまっていた・・・。



地面に転がる「緑色の野うさぎ」の一匹が・・・最期の力を込めて百絵に語ろうとする・・・。







緑ウサギ「ぐぐぐ・・・・」




百絵「大丈夫?緑ウサギちゃん!!?」




サッと緑の野うさぎを抱き上げる百絵・・・。



小刻みに震える緑ウサギは・・・こう言った・・・。











緑ウサギ「ド・・・ドニアクレ・・・・」




百絵「あげないわよ・・・・」



ガンッ・・・・




眉をしかめて抱き上げた緑ウサギを頭から地面に落とす百絵・・・。




地面に落ちた緑ウサギは随分と目つきも悪い・・・。





サンバイザーを付けた野うさぎは・・・百絵に言い放つ・・・。







?????「人を襲う一連の「野うさぎ事件」はその「緑の野うさぎ」のせいなんだが・・・人間に気付かれたのはまずかったナァ・・・。」



百絵「野うさぎ事件・・・?どういうことなの?説明してッ!!!」




サンバイザーを付けた野うさぎに話しかける百絵・・・。




驚いた顔をしてサンバイザーを付けた野うさぎは・・・百絵と話を続ける・・・。





?????「ははは・・・。ウサギと喋れるなんて・・・君は「妖精」の力があるのか?」



鼻をこするサンバイザーを付けた野うさぎ・・・。

興味有りげに百絵をみつめる・・・。


百絵「この「緑の野うさぎ」は一体何者なの?そしてあなたは?」



弓を再度引いて・・・サンバイザーを付けた野うさぎを狙う百絵・・・。



サンバイザーを付けた野うさぎは困った顔をして話を進める・・・。




?????「今は詳しい事は話せないが・・・「悪の野ウサギ集団」が草原の街道を「ニンジン畑」にしようとしているらしい・・・。」




百絵「!??なんですって?」




予想外の返答に困惑する百絵・・・。



?????「俺はその・・・「悪の野ウサギ集団」と戦い続けているんだよ・・・。」




百絵「そんなこと!信じられると思う!?いい加減にしてッ!!」




?????「この家の「ルゥク」という青年は・・・優秀な植物学者だから「悪の野ウサギ集団」にその才能を狙われたんだ・・・。」





百絵「・・・・・なっ・・・・・」



微妙に話が繋がるサンバイザーを付けた野うさぎの話に・・・・とめどなく困惑する百絵・・・。

確かに、この家の青年ルゥクは「植物学者」である・・・。


サンバイザーを付けた野うさぎは百絵に微笑みながらこう言った・・・。



?????「君は・・・見たところ「悪いうさぎの掃討」に来たみたいだね?」




百絵「そ・・そうよ・・・・」





?????「「野うさぎの掃討」は完了済みだ・・・。手柄は君にあげるから見逃してくれ・・・。」








そう言った瞬間・・・屋根の上のサンバイザーを付けた野うさぎは・・・サッと消えてしまった・・・。







百絵「ああっ!?何処に行くの!?ちょっと!?」




?????「ふふふ・・・・・さよなら・・・」





百絵「に、逃がさないわよ!?」



指を口に入れて、指笛を吹く百絵・・・。


すると、空から一匹のフェイミンが飛んでくる・・・。




百絵「リンゼ!!サンバイザーを付けた野うさぎを追いかけるわよ!!」



リンゼ「あぁ!!わかったよ!百絵ちゃん!!」







夕日が沈み、暗くなっていく草原の街道・・・。






捜索には向かない時間になっているが百絵とリンゼはサンバイザーを付けた野うさぎを追いかけていった・・・。






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結局、百絵とリンゼは「サンバイザーを付けた野うさぎ」に逃げられてしまう・・・。

更に10日間の月日、サンバイザーを付けた野うさぎがイデアにいないか確かめるも発見する事は出来なかった・・・。

結局、サンバイザーを付けた野うさぎの言った通り・・・百絵は手柄をもらった結果となってしまう・・・。





「野うさぎの事件」も起こらなくなった事からサンバイザーを付けた野うさぎの言っていた事は真実であったのかもしれないが・・・

謎が謎を呼んだ「野うさぎ事件」は誰もが真実を得る事が無く・・・「闇」に葬られてしまう・・・





しかし、イデアツーリストの百絵にとって「恐怖を感じた野うさぎ」を放っておく事はできず・・・

この先、百絵は暇を見つけては「サンバイザーを付けた野うさぎ」を捜索するようになる・・・。




今はまだ正体がわからない野うさぎだが・・・この野うさぎが、まさか百絵とともに戦う仲間になるとは

百絵本人もまだ・・・知らなかった・・・。






○?????vs●百絵   (百絵、サンバイザーを付けた野うさぎに恐怖を感じた上、逃亡されてしまう・・・。)

















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さて2日目が終わり、七不思議のうち、5つを解決できたので下記にまとめておこう・・・。





   「1.老人の頭にヘコミを作る野うさぎの正体・・・。」
     >> イデアツーリスト、百絵。

   「2.夜の「草原の街道」に「一反もめん」が現れた・・・。」
     >> 眠傀のいたずら・・・。
         (本当はスペクターに洗濯物が引っかかった・・・。)

   「3.夜の「銀行周辺」で「皿を数える妖怪」の声がする・・・。」
     >> イデアツーリスト「社長おけな」のお金を数える声。

   「4.夜の「教会周辺」で「歌声」が聞こえてくる」
     >> イデアツーリスト、眠傀の歌声

   「5.「鍛冶屋の周辺」で野うさぎの集団が人を襲った・・・。」
     >> 8匹の緑色の野うさぎの所業らしい・・・。
        (「サンバイザーを付けた野うさぎ」が何かを知っている。)

   「6.「街道の西の草原」で「黒おおかみ」が発生して人が襲われたらしい・・・。」
     >> 未解決

   「7.最近「辻斬り」が増えているので、その原因の究明。」
     >> 未解決






なんとなく「イデアツーリストのメンバー」が多い様な気がするが・・・「茶目っ気」という事で許していただきたい・・・。




残りは「6」と「7」の依頼内容であるが・・・・


誤解のないように書いておくと、眠傀の倒した「狼の軍隊」は「6」の黒おおかみとは別物である・・・。
       (眠傀は北東にいた「狼の軍隊」を倒したのです(´▽`)/)




草原の街道の西を捜索する☆はな〜♪☆・・・。



黒おおかみを見つけることが出来ずに2日目を終わろうとしていた・・・。



深夜になり、慌てて誰もいないイデアツーリストの会社の中を物色する☆はな〜♪☆・・・。



何を探しているのだろうか?







☆はな〜♪☆「うぅぅ〜〜〜〜ッ・・・まさか、黒おおかみの捜索にこんなに時間が掛かるなんて・・・・」





ドルロレに出張に出ていた「旦那様」が明日には帰ってくる・・・。


そうなった場合、出向社員の☆はな〜♪☆は仕事をすることが出来ないため「後任の人物」を探す。


誰が適任か調べる為の書類を捜している様子だ・・・。





☆はな〜♪☆「百絵ちゃん・・・査定書・・・・どこにしまってるのッ???」





百絵のデスクを調べる☆はな〜♪☆・・・。



デスクマットの下に引いていた・・・ある査定書を見つける・・・。


暗がりでイマイチ・・・書類を見にくい☆はな〜♪☆



目を細めて査定書を見る・・・。




☆はな〜♪☆「えっと・・・ランク「S」・・・・いい感じじゃない?えっと・・・あぁ・・・やすのぶくんかぁ〜!!」




査定内容をロクに見もせずに・・・百絵のデスクの下に査定書をしまった☆はな〜♪☆・・・。




☆はな〜♪☆は「ささ」を取り出して・・・「やすのぶ」に連絡する・・・。









・・・・・・・・・・・・・・・


この査定書・・・実は第3話後編で百絵が「遊び半分で書いた査定書」である・・・。


内容は「半分デタラメ」で・・・やすのぶの任務遂行レベルのランクは「C+」である・・・。
         (Sとは天地ほどの差があります(´▽`;)/)






ピッ・・・・・



☆はな〜♪☆の「ささ」を切る音がする・・・。



どうやら交渉は終わった様子だ・・・・。








☆はな〜♪☆「よしッ!・・・やすのぶくんも了承してくれたし・・・帰って部屋の掃除しなきゃ〜〜〜〜・・・・」





嬉しそうに家に帰っていく☆はな〜♪☆・・・。





しかし、この査定書を百絵が捨てていなかったせいで・・・



やすのぶは「Sランク級の任務の重さ」を知ることになるのだった・・・。






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                    報告書
 氏名 : パンサー 

 ヒーロー名 : パンサー改

 依頼内容 : 夜の「草原の街道」に現れた「一反もめん」の討伐
        (結局、眠傀さんが原因だったようです。)

 今回の報酬 : 50,000ドニア

 月賦 : 18,000ドニア

 遂行可能ミッションレベル : A−

査定評価

 イデアツーリスト内ランク  ???(未測定)

 勤務期間  4日



備考

  ・ 現状、契約社員として登録中。

  ・ 才能、能力等は高い様子ですがその詳細は不明。

  ・ 火の属性であることのみ確認できています。

  ・ かすみさんの判断ではランクはA−との事ですのでランクのみ登録致します。

                                        査定員  百絵


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題名:走れ!イデアツーリストのヤスノV

第5話 「kokoloの依頼、イデア七不思議を究明せよ!」(kokolo編)〜〜〜中編〜〜〜  

  

                   〜〜〜END〜〜〜