作品名 : 走れ!イデアツーリストのヤスノV ようこそ!虹ヶ丘支店へ… 


プロローグ 「第1章から第2章の世界へ…」






























響くよ、響くよ…木槌の音が…トントンカンカン…トンカンカン…











波間を越えて…煌めく空へ…トントンカンカン…何処までも…





















????「うぅぅ…グスッ…この建物…波風を受けるのに木造だから傷みが酷いなぁ…」

















水都を眺める古びたお店…朝日が照らすよ…その丘を…















哀しい時には…波打ち際で…彼らが僕らを待っている…



















????「今の内に目一杯綺麗にしておかなきゃいけないのに…いくら修理してもキリがないよぉぉ…」










??「お〜〜〜い…やすのぶくん…お久しぶり〜〜〜」


やすのぶ「あっ!stallくんっ!!来てくれたんだね?」


stall「そりゃそうですよ?ドルロレで活動を始めるって聞いたからお祝いに来たんだけど…」


やすのぶ「そうなんだ…この海に面した虹ヶ丘の土地を格安で貸してくれるっていう神父さんが居てね…

     イデアへの観光客が増えてきたから水都、ナーレで支店を出す事になったのさ。」


stall「なるほど…イデアツーリスト、虹ヶ丘支店ってところですねぇ?
   
   で、肝心の店舗は何処ですか?
   
   物置小屋の修理に勤しんでいたみたいですけど…?」


やすのぶ「………」


stall「 ? 」





やすのぶ「………」


stall「 ??? 」





やすのぶ「………」


stall「 ッ!!! 」



やすのぶ「………」


stall「 ……… 」



stall「ず、随分と古風な建物ですけど…趣きがありますねぇ…」

やすのぶ「いいんだよ、stallくん…ハッキリとボロいって言って…」

百絵「こらっ!!ボロイってどういう事っ!?これから自分が勤める新しい職場になんて事言うのよ!?」

やすのぶ「あ、新しいって…本店よりも確実にボロくなってるじゃないですか、これ?

     百歩譲っても…現段階じゃstallくんの言うとおり、物置小屋にしか思えませんょ…」



stall「そ、そんな!私は決して『イルザーク家のウサギ小屋の方が大きいなぁ』とか思ってませんょ…?」


やすのぶ「だよね…ぶっちゃけstallくんの家のウサギ小屋の方が綺麗だよ…」


百絵「むむむ!?ふ、ふ〜〜〜ん…そんな事言うんだ?二人とも…」


stall「い、いえ違うんです!!や、やすのぶくん…早く謝ったほうが…」


やすのぶ「なんだよぉ…百絵さんだって…さっきまでブツクサ言いながら店内の掃除してたくせに…」


百絵「うっ…た、確かに思いのほか汚いから愚痴を零したけど…で、でもこれからは…」


やすのぶ「でもも何も!こんな「白蟻をバラ撒かれただけで潰れそうな建物」が
     
     支店なんて…ありえないっすよ!!」


百絵「ムカッ!ソコまで言うわけ!?会社でも一番弱いあなたが口に出すセリフとは思えないわね?

   そうまで言うなら精神も肉体も鍛えなおしてあげるわッ!!」



stall「うわっ!?百絵さん!待ってくださいッ!!」



やすのぶ「痛ッ!な、なんだよ、なんだよ!!一番弱いとか…言われたくないよ!!

     ボクがこんなに…ボクがこんなにまで弱体化して弱くなったのも…」


stall「 よ、弱く…? 」

やすのぶ「みんな…『アレ』が原因じゃないですか…」

百絵「 うっ…っ… 」

stall「 ? 」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・











・・・・・・・・・・・




そう、それは…


3ヶ月前…




イデアの観光会社…



イデアツーリストで起こった事件だった…




やすのぶ「はぁ〜〜今日はこれで仕事も完了だ…」



彼はこのお話の主人公、やすのぶという青年剣士。

悪戯好きなリンゴの魔物が存在する…不思議な世界の観光会社に身を置いて2年になる新米ナビゲータの19歳。

観光業務を行うことが主体であるイデアツーリストではあるが、

主人公やすのぶ自身…本業である旅人のサポート、保護の成功率が48%と低い達成率。

結果、失敗しても会社に影響が無い「よろず的」な仕事をどうしても任されてしまうことが多い頼りない青年である。

言うなれば「雑用」と言った立場に居る。

そんな彼に優しく微笑みかけるのは常にスーツ姿で接客営業を務める会社のトップ…

おけな「あぁ、お疲れ様だったね…やすのぶくん?」

やすのぶ「はい、お疲れ様です!」

イデアツーリストの代表取締役おけなが、やすのぶの肩を叩く



観光業務の仕事も軌道に乗り、毎日安定した客数を誇るようになったイデアツーリスト。

イデアツーリストの業務、その8割がたは常に他国のお客様の観光となっていた…

時折入ってくる副業「よろずの依頼」は極度に少なくなっているため、やすのぶが一人で担当しても無理なく運営されている。

そう、彼らの仕事は確実に増えていた…




やすのぶ「しっかし…今日のシフトは…☆はな〜♪☆さんが絶対に必要でしたよね〜〜」

おけな「ははは…そうだね?まさか飛び込み客が3組も入ってくるとは思わなかったからね。

    百絵ちゃんが帰ってきたら、店の灯りを消して帰ろうか。」

☆はな〜♪☆とは彼らの会社を寿退社した敏腕ナビゲータである。

現在の彼女の存在はアルバイト的だが、仕事が増えているイデアツーリストにとっては無くてはならない存在へと再度変わっていた。

事務処理を専門にしている課長、百絵も本来は案内業務を行う事は無いのだが

人員不足の中ではそうも言ってられない状態…

おけな「さて…人事も問題だが…今は少しばかり休養も取りたいものだ…」

書類処理を終えたイデアツーリストの代表取締役おけなが笑いながら社長椅子に腰をかけると懐からタバコを取り出して火をつける。

1日中観光案内をしていてか久々の煙を味わうようにゆっくりと目を閉じる…

仕事を終えた者にだけ与えられる安息。

その安息に割って入ってきた女性の声は待ちわびていた人のものだった。

百絵「お疲れ様です〜戻りました〜〜♪」

機嫌良さげに明るい声が店内に響くと店内で待っていた やすのぶとおけなは笑顔を向ける。

やすのぶ「おかえりなさい、百絵さん…」

おけな「ははは、待ってたぞ?さぁ、帰ろうか?」


これで今日の業務は完全に終了となる…



……………




筈だった…








???「…うッ…」

やすのぶ「 !? 」




店の外から鈍く響く物音…



ガタリと店の外から聞こえてきたが…想像もしていなかった人物の声がイデアツーリストの社員達に聞こえてきた…


???「ドアを…ドアを…開けて…」


百絵「えっ?まさか??クレスさんの声?」


やすのぶ「えっ?そんなまさか!!クレス部長が休みの日に会社に現れるなんてありませんよ?

     だってあの人…出勤の日でも午後から出社するような人なのに?」

おけな「しかし、ドアを開けてとは…どういうことだ?」


その場、全員が不思議の表情…

眉を歪めながらゆっくりと開いたドアの先に姿を現したのは…

確かにイデアツーリスト、部長取締役クレス…


しかし…


おけな「なっ!?」


やすのぶ「 うっ!? 」


百絵「 き、きゃぁ〜〜〜〜〜ッ!! 」


その姿はあまりにも悲惨にして無惨…

体中に打撲を負い、額から流れ出る血は止まる事を知らず…左の腕は完全に折れている…

わき腹を抱える右腕…百絵は涙を流しながら回復魔法であるキュアを掛けるが到底回復しきれるものではない重症であった。

おけな「バ、馬鹿な!?オマエが…オマエがここまで怪我を負うなんてッ?」

やすのぶ「そ、そうですよ!?会社でもバケモノみたいに強い百絵さんよりも…もっともっと強いのにッ!!」


百絵「 …………… 」


メキリと…やすのぶの頬から打撃音を響かせた後、百絵は再度クレスにキュアを掛ける…

やすのぶは「バケモノみたい」と表現したが、百絵、クレスの両人はその美しい容姿にもかかわらず

実力値は高いポテンシャルを秘めている。

槍の名手であるクレスは魔物ひしめく世界を木の槍1本でも十分に渡り歩く実力を持っているのだ。

そんな強者が瞳に涙を浮かべながら零した言葉は…あまりにも弱々しいものだった。


クレス「こ、怖いよぉ…た、助けて…こ…殺される…助けてッ…助けて…」



小さく震える彼女の肩は最早「槍の名手」ではなく、1人の女の子と呼ばざるをえない。


ドラゴンを相手にも笑みを浮かべて戦いを挑んだ過去を持つクレス…

そんな彼女の面影など、今は見る影も無い…


彼女を襲った強敵は…

想像を超える幻想種…?

指折りの特級賞金首…?


予想もしていなかった…夢にも思わなかった彼女の姿を見たやすのぶは…


痛めた頬を押さえながら…悲痛な表情を浮かべながらも大声で言った。


やすのぶ「クレスさんッ!大丈夫だ!オレが…オレ達がついてるじゃないか!?必ず、オレ達がクレスさんを助けて見せるよ!!」


おけな「そうだぞ…クレス。社員をここまで痛めつけられて…私も黙っていられるわけが無い…」


百絵「クレスさん…案内してくれますね?あなたを襲ったヤツのところに…」



クレス「み、みんなっ!あ…ありがとうッ…」

うつむいて…手のひらで涙を拭うクレスだが、重々しく開いた口から出た言葉はその場に居る全てに緊張感を走らせた…







クレス「うっ!この気配は!!もう…ドアの向こうまで…お、追いつかれているわッ!」


全員「ッ!!」


部長取締役クレスをここまで追い詰めた強敵。

巨体を誇る魔物をも想像させたが…

百絵「 ぜ、全然…魔物の気配なんて感じられませんよ?」

それは気配どころか無音…

おけな「 ……… 」

ただ一つ言えることは気配も殺気も無くイデアの中心部に位置するこの観光会社の前まで姿を現せるのは

並大抵の魔物ではない事を容易に推測させることができる。


やすのぶ「くそぉッ!こうなったらこっちから攻めてやるぞ!」

切迫した緊張感から、やすのぶが左腕に装着している変身用アイテム…ヤスノ・ブレスレットを天へと掲げる…

これにより、イデアツーリストの「やすのぶ」は正義の味方?「ヤスノV」へと変身できるのだ!




体には粉末アメジストを蒸着させた「碧の鎧、ヤスノ・ブレザー」

足には女王蜘蛛の糸で制動性能を高めた「銀の具足、ヤスノ・ブーツ」

胸元には剣聖の家系に伝わる指輪をブローチに加工しなおした「ヤスノ・ブローチ」

右腕には社長おけながヤスノVに託した「騎士の剣、ヤスノ・ブレード」

そして背に負うのは、かつて「蒼き英雄」と謳われた男が身につけていた「蒼いマント、ヤスノ・ブルー」



その他、ヤスノVの数多の装備品は総称して「ヤスノ・ブランド」と名づけられ、

状況に応じて装備することで大きくパワーアップすることができるのだ…




ヤスノV「よしっ!パワーアップしたオレの姿…(久々に画面の前のみんなに)見せ付けてやる!!」

クレス「気をつけてッ!そいつには物理的な力は通用しないわ!」

おけな「な?ど…どういうことだ?」

意気揚々と景気よく、会社のドアを開けて飛び出したヤスノV…


その先に見たものは…



???「ふぅ…随分と逃げまわりましたが…ここが終着でしたか?ボクから逃げることなんて叶うわけが無いのに…」


ヤスノV「な、何ッ!?に、人間だと?」

百絵「それも…この格好って…?」

おけな「し、神父だって?」

年の頃は20前半…

背格好は高めで品格ある面持ち…

左手は首から下げられている十字架が優しく持たれており、一見…どこの教会にでもいる神父がそこに居た…

百絵「し、神父さんですねぇ?」

ねぇる「夜分遅く、迷惑をおかけして申し訳ありません…ボクはドルロレ、ナーレの「虹ヶ丘」で教会を守っている神父…『ねぇる』と申します…」

ヤスノV「むむむ?や、優しそうな神父さんじゃないか?」

3人を見つめる神父の視線は優しさで溢れていたが、その奥…クレスの姿を確認した瞬間…


ねぇる「 ……… 」

おけな「ッ!!」


瞬時に粗悪な敵を見つめる眼に変わる!!

ねぇる「 さぁ、迷えるハイエナよ…天罰の時です… 」

同時に声色まで変わる神父は神の代行に相応しい低いトーンで重いプレッシャーを掛けてくる。

それは満身創痍のクレスにとって先ほどまでの惨劇を思い返させるには十分だった。

クレス「 いやぁッ!みんな助けてッ!!こ、殺されるッ!! 」

高まるクレスの心音が修羅場までの秒読みを告げていく…

青ざめるクレスの前に…イデアツーリストの3人が立ちはだかった…

ヤスノV「ま…まて!クレスさんに酷いことするな!!」

百絵「そうよッ!私たちの大切な上司に手を上げるって言うなら…いくら神父が相手でも容赦はしないわ!」

おけな「あぁ…如何に相手が神に仕える神父と言えども…な…随分ウチの若い者が世話になったようだ…」


ねぇる「ほぅ?あなた達がソコのハイエナに代わってくれるというのですか?」

おけな「ウチのクレスをハイエナ呼ばわりとは…」

百絵「許せない…絶対に許せないわ…」

ヤスノV「俺たち3人がクレスさんに代わって戦ってやる!!」


臨戦態勢に入った3人。


百絵は指輪を弓に換え、おけなは懐から武器代わりの名刺を用意…

そして月夜の下、ヤスノVのヤスノ・ブレードが美しく一閃する…


ねぇる「なるほど、そう言う態度ですか?では、ボクはこれを…」

3人「 ッ! 」

目を閉じながらゆっくりと懐へと手を忍ばせる…

ねぇるが取り出した物はあまりに簡素な紙…




びっしりと細かな字が書かれているが…最も重要となる内容に関しては

その場にいる全員が容易に見て取れる大きさで書かれている…









それの内容は…

















『 金 銭 貸 借 書 』











『 クレスティーナ・エンドロフィン は ねぇるに 』












『 20,000,000ドニアを借ります 』














ねぇる「 さて…誰が代わってくれるというのです? この金銭貸借は… 」



ヤスノV「えっ?こ、これって…なんですか? お、おけな社長…」


書類に書かれている内容をイマイチ理解できない自称、正義の味方…


「知識は身を助ける」とは、昔からよく言ったもので…


つい先ほどまで社長おけなが存在していた場所へと振り向いたが…



ヤスノV「 !? 」

ねぇる「 ……… 」


既にその場所には社長おけなの存在は無く…代わりに…



バタン!ガチャッ!

ヤスノV「 ッ!? 」


会社、正面入り口のドアが閉まり…鍵が掛かる音が響き…





パチパチパチッ…


ヤスノV「エッ?店の灯りが…?」


会社の灯火は全て消され…





バタン!ガチャッ!

ヤスノV「 ヘッ!? 」


裏口のドアが閉まり…鍵が掛かる音が響いた…



ねぇる「ふむ…一人は逃げましたか…」



ヤスノV「 お…おけな社長ォォ〜〜〜〜ッ!?」


そう…この場所において最も存在感があり、最も頼りになるはずの代表取締役は…あろう事か「いの一番」に逃げ出したのだッ!!


クレス「チィィッ!!会社だったら法人格だから簡単に借金を肩代わりしてもらえると思ったのにッ!!」


ヤスノV「な、何言ってるんです…クレスさん?ま、まさかあなた…この神父さんから借金したんですか?」


クレス「違うのよ!!私は毎日の食費(98%お菓子代)がキツイから…

    教会から「黙ってお金を拝借」して増やそうとしたのよっ!
    
    そして人知れずお金は返そうと思っていたのよ!!
    
    あそこでルーレットの玉が「4」に入るはずだったのにッ!!
    
    神父に見つかってハズレたのよッ!!」


ヤスノV「ふ…フザけんなぁぁ〜〜〜〜ッ!!それって普通に窃盗やんけッ!?」

ねぇる「 正直、ボクも困っているんですよ? 逃げざまにクレス嬢は暴れるし…

     やっとの思いで金銭貸借に判を押してもらって…それでもまだ逃げるんですから…」

ヤスノV「なにっ!?でもクレスさんがここまで怪我をしてるってことは…け、結果…オマエは暴力を振るったんだよな?」

ねぇる「まさかっ!!それはこの人が勝手に…」



クレス「逃げてる途中…馬車に5度も轢かれて大変でした…エヘッ☆」



ヤスノV「 …………… 」




戯けた話だった…




イデアツーリストの部長取締役クレスは、部類のお菓子好きだが…

それが高じて給料の全てに等しい額をスウィーツに投じていたのだ…

結果、教会の金庫に目を付けたクレス…

ある程度、クレスの生態系を知る社員であれば「金銭貸借」の文字を見れば容易に推測できる…


当然のことながらイデアツーリスト、課長の百絵も…


ヤスノV「ハッ?も…百絵さん…も…百絵さん……?」



ヤスノVも気付けど…時、既に遅し…


ねぇる「ふむ…白いリボンをつけた娘様も逃げましたか…」


ヤスノV「 そ、そんな?嘘だろ? さっきまで居たのに?今は『白いリボンを付けた野うさぎ』が居るだけだって?」

クレス「百絵ちゃん…アナタには迷惑を掛けたくなかったから…それでいいのよ…」



夜空の下、耳に白いリボンを付けた野うさぎが…そろりそろりと何事も無く…路地裏の方へと消えていったのだった…


ねぇる「さて?この場にはアナタしか居なくなったわけですが?どうするのです?」


ヤスノV「ど、どうって…そ、そんなの…」






ヤスノVは青ざめた…







今の今まで「剣で倒せる魔物」を想像していたヤスノVにとって、

目の前に居る敵?とも言えない敵はヤスノVの知識の領域を軽く超えている。

剣で攻撃などを加えれば、確実に王国に君臨するGM(ジェネラル・マスター)や

AS(エース・ストライカー)などの律法機関に拘束、拿捕される。







彼に残されている正しい選択は前の2人が使用した手段…逃走しかないのだ…







しかしそれも…





クレス「やすのぶくんっ!いいえッ…ヤスノVッ!」

ヤスノV「ッ!」

ヤスノVの足元にクレスがしがみ付き行動を封じ…







クレス「あなたは、私を見捨てないわよね?」

ヤスノV「そ…それは……」

言葉で心を締め付け…





クレス「正義の味方でしょ?私を見捨てないわよね?

    そうょ!連帯保証人のハンコを押すだけでいいのよッ!!」

ヤスノV「う…うわぁぁッ!!」


涙目の瞳にヤスノVが吸い込まれていく!!



ねぇる「アナタがクレス嬢の金銭を払ってくれるのですかッ!?」



2人に追い詰められる自称、正義の味方…

極限状態において…彼が導き出した答え…



ヤスノV「 オレの…こ、答えは……… 」









それは……





ヤスノV「 Noだッ…… 」

クレス「 ッ!? 」

ねぇる「 ……… 」




本が好きだったヤスノVは、かつて図書館で出会った司書、スピカに教えて貰った言葉を思い出していた。



スピカ『大切な人を無くしたくないなら…ダメなことはダメと言ってあげましょう…』



その言葉が妙に心に残っていたのだが、これは大切なことである。


ヤスノV「こ、この決断はクレスさんの事が嫌いだからじゃないですよ?

     大事だからなんですよ?分かってもらえます?
     
     大事だからですよッ?心からマジで大事だからですよぉぉ〜〜ッ?」


クレス「 ッ……… 」


ヤスノVの賢明な答えに…うつむき際、クレスの視線が影に消える。


瞬間…


ヤスノV「グブッ!?」

クレス、渾身のボディーブローがヤスノVの鎧、ヤスノ・ブレザーを貫通しつつ、クリーンヒット!!

想像だにしていなかった不意打ちにヤスノVは失神…若干、口から泡を吹き出している。

ねぇる「 ど、どうしました?その剣士…急にうなだれて? 」

クレス「いや、大丈夫ッ!ちょっと丁寧にお話しする必要があるから…」


と、会社の影へとヤスノVを引きずりながら移動する…



誰にも見られていない場所…



クレス「 ふふふふふ… くっくっく… あ〜〜っはっはっはっはっは… 」



闇の中、クレスの目尻に光が漏れた…









数分後…








満面の笑みのクレスと死んだ魚の目をしたヤスノVが神父ねぇるの前に姿を現した。

クレス「お待たせ〜☆話は付いたわッ☆」

ヤスノV「ネェルサン…ホントウニ…スイマセンデシタ…ボクガ…『連帯保証人』ノ…ハンコヲ…オシマス…」

クレスの左手には、あからさまに催眠術に使用したとしか思えない「糸付きの5ドニア通貨」が握りしめられている。


ねぇる「そうですか…わかりました…では、ここに力強くッ!!おもいっっっっきりッ!!親指を押しつけてッ!!!」

ヤスノV「ハイ、ワカリマシター…」




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やすのぶ「正直に言うとね…ボクはどうしてあの時…連帯保証人のハンコを押したのか…いまだに訳がわからないんだ…」


百絵「 …………… 」


これ以上なく、うつむきながら話を進める「被害者、やすのぶ」の姿に上司であるも百絵も流石に目を背ける。

stall「 (;ÅД°)ホロリ・・・ 」

やすのぶの親友であるstallも又、過剰なほどの滑稽な話に涙が止まらなく、ただただ聞くことしかできない。







やすのぶ「そして結局…」












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





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ヤスノV「ちょ、ちょっと待ってくださいよ?ク、クレスさん??「返す気がない」って

     どういう事ですかッ!?」



クレス「んっ?言った通りだょ?私はお金を返す気がないって言うこと☆

    やすのぶくんが連帯保証人になってくれたんだから、私がセコセコお金を返す意味なんて無いじゃない?」


ヤスノV「 ??? 」


催眠から醒めたヤスノVは混乱の中、自分の中にある常識すら信頼することができない状況に翻弄される。




ねぇる「いやはや…やすのぶさんでしたか?あなたは本当に変わり者ですねぇ…

    よりにもよってクレス嬢の連帯保証人の欄にハンコを気前よく押しちゃうなんて…」




ヤスノV「 えっ?な、何がどういう事? 」




クレス「ほむ〜〜…どうやら、やすのぶくんは意味がまったくわかってないみたい☆

    ナレーションの琴音さん!説明ヨロッ!!」





みなさま、ご無沙汰しておりました。

ナレーションを務めさせていただいております…作者兼ナレーションの黒山琴音です。

僭越ながら、イデアツーリストのクレスティーナ・エンドロフィンより指名を受けたので説明させていただきます。












連帯保証人とは…




債務者が金銭を返済しない場合に、債務者に代わって借金を返済することを約束させられている上、


催告・検索の抗弁権を排除されている人。


つまりは貸借人にお金が有っても「連帯保証人」と契約書に付帯されていれば、


抗弁権を排除されているため貸借人の代わりに文句の一つも言うことが許されず、延々とお金を払わないといけないのだ!!


もっと簡単に言えば「奴隷契約書」のようなものである…


これはリアルでも適用される話なので読んでくれている画面の前のお友達は気軽にハンコを押しちゃダメだぞ?









ヤスノV「ふ、ふざけんなぁ〜〜〜〜ッ!おれが借りたわけでもないのにッ!お、お金なんか返す気はないぞッ!!」

ねぇる「いやー…もう、キミにその気が有っても無くても…関係ないんだ…」


ヤスノV「な、なんだ?神父の持っている紙切れが光りだしたッ!?」



マナ(魔力)の込められた契約書は如何なる者であっても拒むことは許されず、

契りが成されるまで呪縛のように付きまとう…


それは連帯保証人たる、ヤスノVの血判が発動条件となる。



ヤスノVの血判によって…自称、正義の味方ヤスノVは…

イデアツーリスト、部長取締役クレスティーナ・エンドロフィンの金銭貸借を返済し尽さなければならないのだ…



ねぇる「 それでは儀式の始まりです… クレス嬢の金銭貸借、弁済を行いますね…」



やすのぶ「な、なんだ?お…オレの装備品が?す、全て神父の手元に?」


今まで給料の大半を注ぎ込んで強化させていった装備品、ヤスノ・ブランドが

次々とねぇるの手元へと吸い寄せられるように没収される。


自称、正義の味方ヤスノVの姿から強制的に「やすのぶ」へと戻され…

イデアツーリストに在籍して初めての経験に無力感と絶望の境地に陥った。



最早「ヤスノVの物」では無くなってしまう装備品…

ゆっくりと品定めを行う神父の前に、それを少しでも高値で買い取ってもらおうと悪魔が擦り寄る…


クレス「ねぇ?これなんてどう、神父ぅ〜?蜘蛛糸で細工してるシルバー・ブーツゥ〜〜…」


ねぇる「へぇ…コレは確かに上質だね?」


やすのぶ「や、やめろッ!それは俺が始めての給料で、『細工師、あおざる』さんに加工してもらったヤスノ・ブーツだぞ?」





今までの戦闘で最も多くの窮地を救ってくれた思い入れのある装備品、ヤスノ・ブーツ…



神父はそれを理解してか、優しい笑顔で金額を宣告した。




ねぇる「5ドニア…ですね…」



やすのぶ「な、ナニィィィィ〜〜〜〜ッ!?」


クレス「う〜〜〜ん…確かにクサイもんね…このブーツを履いてくれる人は居なさそう…」

やすのぶ「そ、そんな?クサイはずはないぞッ?3日に一度しか風呂に入れないから…

     臭いに気を使ってヤスノ・ブーツは履くたびにファブってるんだぞ?ほ、本当だぞ!?」



説得力の無い弁明は無視されて次の商品の品定めに入る…



ねぇる「では、次に…これは『左腕のガントレット』ですか?」


クレス「あれー?これは私も見たことが無いかも?」


やすのぶ「あぁっ!?それは昨日、あおざるさんに作ってもらったばかりの『新兵器、ヤスノ・ブレーン』ッ!!」


眉を歪めながら左手にそれを装着する神父ねぇるだったが、その「細工」の効果に眼を大きく丸める。


ねぇる「こ、これは…マナを調節して魔力の紐を射出できるんですか?」


クレス「へぇ?この紐で敵を捕縛できるんだ?」


やすのぶ「へへーん、それだけじゃないぞ?崖から落ちそうになったりしても、その紐を射出して引っ掛けることもできるのさッ!!」


クレス「なるほど〜…流石は稀代の細工師、あおざるくんだわ…いい仕事してるわよね〜〜〜…」


ねぇる「確かに…これは素晴らしいです…」


世にも出回っていない物珍しい、新品の装備品…














それらを踏まえて、神父ねぇるは破格の買取金額を提示した…
















ねぇる「12ドニア…ですね…」



やすのぶ「ちょ、ちょっと待てェェ〜〜ッ!?」


クレス「う〜〜〜ん……惜しいッ!!」


やすのぶ「なんやのんッッッ?一番古いヤスノ・ブーツが5ドニアで…一番の新品が12ドニアって…ケンカ売っとんのかッ!?
     
     ヤスノ・ブレーンってオマエッ!製作に255,000ドニアも掛かったんやぞ?
     
     オレの給料の…5か月分なんやぞッ!?」


興奮するやすのぶを相手にして、神父は子供に言うように笑顔で諭す…


ねぇる「いや、いくらボクに捲し上げられても中古は中古ですから…」

クレス「そうねぇ、要らない物は…ドコまでいっても要らないもんね☆」


やすのぶ「そ、そんな…ちょっと待ってくれ…た、頼むから『高額で買い取ってくれ』ェェ〜〜〜ッ!!」



やすのぶは当初の趣旨を既に忘却して、ヤスノ・ブランドの価値に躍起になるが、


結果、ヤスノVの装備品…ヤスノ・ブランドは以下の様に金額査定され、引き取られることになった。



ヤスノ・ブーツ(女王蜘蛛の糸で制動性能を高めたシルバー・ブーツ)      = 5ドニア

ヤスノ・ブレーン (自分の魔力を紐状に形成して射出可能なシルバーグローブ) =12ドニア

ヤスノ・ブレザー(魔力防御を増幅する粉末アメジストを蒸着させた碧の鎧)     = 7ドニア

ヤスノ・ブローチ(自身の戦闘力を高め、更に装備品の破損を危険音で報せるルビーリングの加工品
                   『公爵夫人tomimari様の頂き物』)   = 12,500ドニア

ヤスノ・ブースター(ヤスノVの移動速度を2倍に高める特殊ブーツ、羽靴×5足)   = 10ドニア/足

ヤスノ・ブレード(代表取締役おけなから借りた鍛錬を込めたレア度7の騎士の剣)  = 借り物のため、強制返却





クレス「へぇ?流石は公爵夫人からの頂き物、ヤスノ・ブローチ…高値だわ〜〜〜」


やすのぶ「ち、ちくしょう…ヤスノ・ブランドの総額が…12,574ドニア…?こ、こんな事って…」




心外な話だった…



今まで、2年近くにわたって大半の給料を注ぎ込んで来たヤスノ・ブランドが現在の1か月分の給料にも満たないのだ。

幾度と無く、ヤスノVに力を貸してくれていた装備品に金額を付けられるだけでも屈辱なのだが、

それ以上に金額が反映されず評価されないと思うと悲しみが込み上げてくる。




ねぇる「ふむ、だけど残りは19,987,425ドニア…まだ、装備品を売っていただく必要がありますねぇ…」




と、最後の査定に入る神父ねぇるがヤスノVの蒼いマントに手を伸ばす…

クレス「おぉ!本日一番のメイン・イベントッ!コレは見逃せないッ!!」

やすのぶ「う、うぉぉ〜〜〜ッ!!そ、それはッ!!『ヤスノ・ブルー』ッ!?」


ヤスノVの蒼いマント…

それはかつてドルロレを代表するといっても過言ではない英雄から托されたヤスノVの代名詞。

破邪の力を持つ、やすのぶの筆頭装備品…


やすのぶ「やめてくれ…コイツは…『ヤスノ・ブルー』はダメだ…こいつだけは売らないぞ?いや、金額も付けるなッ!!」


クレス「何?テンションさげさげ?一番美味しいところなのに〜〜〜っ!!」


やすのぶ「うるさいッ!!こいつ…こいつに金額をつけるならッ…ヤスノ・ブルーを持っていこうとするならッ!!!」






クレス「 ? 」






やすのぶ「ボクは、舌を噛み切って死ぬぞぉぉ〜〜〜〜ッ!!!」






ねぇる「 …………… 」








正義の味方とは…とてもではないが思えない言葉…




それだけ窮地に懸命なやすのぶの覚悟…





命を捨ててでも守り抜こうとする覚悟…





それを観ていた十字架を着ける神父に想いが届いたのか…

優しげな笑みで蒼いマントをやすのぶに羽織らせながら言った。





ねぇる「わかりましたよ、その覚悟…これからは、この蒼いマントを羽織り…戦い続けて下さい…」




ヤスノV「ね、ねぇる神父?」





クレス「やすのぶくん…よかったね?蒼いマントは返してくれるって…武士の情けならぬ、神父の情けってやつだね☆」



ヤスノV「あ、ありがとうございます…おれ、これからも頑張りますから…」



ねぇる「えぇ…ボクへの借金を返すために、頑張って下さいね…」







ヤスノV「はいっ!!頑張りますッ!!」





ねぇる「うん…迷える子羊よ…これからの運命に…幸あれッ…」








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やすのぶ「こうしてボクは気付いたらクレスさんの借金を完全に肩代わりしてて…」

百絵「 …………… 」

stall「 (;ÅД°)ホロリ・・・ 」

完全に陥れられたとしか言えない状況だが、あの後から…やすのぶの借金生活の日々が始まる。

20,000,000ドニア近い金額を返却するために、やすのぶは毎月50,000ドニアを返さなければいけないのだ!


百絵「わ、私もあの時に逃げたのは悪かったって思ってるわ…でも、どうしようも無かったのよ…」

あの惨劇を思い返し、罪悪感で直視できない百絵にジトッとしたやすのぶの目線…


stall「 ! 」


親友のstallは『弱体化の理由』を直感して質問した。


stall「やすのぶくん?それじゃ…今までの装備品は完全に使用できなくなったって言うことですか?」



やすのぶ「今まで集めてきた装備品は使用できないってことは無いけど……神父ねぇるに借金の形に取られて、実はね…」

と、左腕に付けられている変身用装備品、ヤスノ・ブレスレットをstallへと見せる。



蒼い宝石が嵌め込まれているブレスレットの淵には、今までは無かった小さな黄色の宝石が付けられている。

やすのぶは皮袋から100ドニアを取り出し、ゆっくりと黄色の宝石へと近づけた。

stall「えっ!?こ、これは?」


瞬く間に、やすのぶの右手に持たれていた100ドニアが黄色の宝石へと吸い込まれるように消えると無機質な音声が周囲に響く。


ブレスレット「100ドニアストック!ヤスノ・ブランド、レンタルタイム・トータル2ミニッツ・42セコンド」


やすのぶ「こうやって黄色の宝石にドニアを封入すれば…ヤスノ・ブランドを100ドニアで6秒レンタルできるんだ…」


百絵「100ドニアで6秒…」

stall「せ、1,000ドニアでようやく1分のレンタルッ!?」


やすのぶ「そうなんだ…しかも封入金額を越えてヤスノ・ブランドを使用したりしたら…全部、『質流れ』になっちゃうんだ…」



百絵「 …………… 」


stall「 (;ÅД°)ホロリ・・・ 」



使ったら使った分だけ首が絞まっていく最悪のシステム…


強い魔物が居る場所への観光客の観光など大きな仕事を受けたくても…装備品を使うだけで借金を返しづらくなってしまうのだ!!



やすのぶ「でもね、借金が掛からない装備品は調達済みさ…」


と、言って…


やすのぶは左腕に付けているヤスノ・ブレスレットを空へと掲げてヤスノVに変身するが…


stall「 ッ!? 」


百絵「 …………… 」



今までは煌々とした蒼い光をやすのぶに浴びせていたブレスレットだが、今は薄っすらとした光しか放たない…


その弱い光はヤスノVの本装備品の召喚ではない事を意味している…





現在のヤスノVの主力装備品は否応無く…





ヤスノV「アハハハハ…一般の商店で売られている…何の細工もしてない銅の剣が今のヤスノ・ブレードで…


     新品の皮の匂いが漂うこの鎧がヤスノ・ブレザーさ…





     コレが今のボクの精一杯なんだよ…


     コレッキリが今のボクの目一杯なんだよッ…





     でも、オレはヘッチャラだよ?全然ヘッチャラだよ?
     
     
     ヤスノ・ブランド TYPE エコロジーってトコロさッ!!
     
     
     
     
     
     これからの正義の味方は自然だけじゃなくって…財布にも優しくないとねッ!!
     
     
     自分の貯金も守れないなんて…最低だもんねッ!!!
     
     
     僅かな貯金も守れないなんて…最低だもんね〜〜〜〜ッ!!!」


百絵「 …………… 」


stall「 …………… 」




両目を片手で覆いながら…

何かが零れないように空を向いて…高々と笑うやすのぶ…




それでも…

その目じりから…



百絵「 …………… 」


stall「 ッ!! 」



透明な液体が垂れ落ちる…




百絵「 (;_ _)  」


stall「 ・゜・(つД`)・゜・。 」













聞くも涙、語るも涙の訳に…無言の哀愁が漂っていた…
















それでも…




物語は…時と共に進んでいくのだ…






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僅かな雨で…いつも虹が掛かるドルロレは水都、ナーレの丘の上…


社屋の掃除が完了し、stallが帰った後の夕日が沈む間際…



???「ふっふふふ〜〜〜ん…ドッルロレ〜〜〜ドッルロレ〜〜〜水の都ぉ〜〜で…チャラララ〜〜」

機嫌よく、古びた店から歌声が聞こえている…

それはドルロレ、ナーレの虹ヶ丘支店に支社長として抜擢された人物の歌声…




百絵「ふぅぅぅッ…少しは反省してくれてますかッ?クレス部長…」


クレス「んっ!?違う、違うぞな?百絵ちゃん…クレス部長じゃなくて『クレス支社長』でしょ?

    ん〜〜〜でも、私ってば『呪いが趣味』だし〜〜…「クレス死社長」とか言われたらキレそうだし〜〜☆
    
    『クレス社長』って呼んでくれていいよ?」


パンサー「役員会の決定で『ドルロレに支社を作る』ってのは良かったですけど…なんでクレスさんなんかが支社長に…」


やすのぶ「こ、このメンバーだけじゃ不安だ…ドルロレの地理は頭に入れてるけど…そういう問題じゃない…」


パンサー「トップにナニを言っても通用しそうにないですよね…」


クレス「みんな、掃除ゴクロウッ!「とにかく楽しく、トニカクだらだら…」が今日からの社訓だからね?

    とりあえずリンゴジュースとアップルパイ…更にテリィ・アイスクリームで景気付けよ!!」


百絵「うっ!!テリィ・アイスクリームッ?」

パンサー「これってドルロレでも極ウマって有名なヤツですよねッ!」


クレス「はいは〜い!!明日のことは明日考える!!今日は今日を楽しむのよ〜〜〜〜ッ!!」




やすのぶ「 …………… 」





やすのぶは焦った…



支社長の言葉に流されていく社員の姿…

自分の明日が見えない状況…



やすのぶ「ヤバイ…借金まみれな上に、この状況…

     おけな社長はすぐに『応援を送る』って言ってくれたけど…」




百絵「テリィ・アイスクリームッ…おいしい〜〜〜〜!!」

パンサー「やっぱり最高ですねッ!流石は「食の鬼才」の最高傑作だ!!」





やすのぶ「オレたちは…」


















やすのぶ「オレたちは…どうなっちゃうんだよぉ〜〜〜〜ッ!?」
















彼はまだ知らない…



これから起こるであろう出来事を…













やすのぶはまだ知らない…



これから出逢うであろう旅人の苦難を…

















ヤスノVはまだ知らない…



これから歩むであろう自分の道程を…

























自称、正義の味方はまだ知らない…






自分に課せられた運命を…



















彼らが旅人のために掛けていく虹の橋…








この話の続きは…









これからキミと紡がれていくのだ…


















響くよ、響くよ…木槌の音が…トントンカンカン…トンカンカン…






     波間を越えて…煌めく空へ…トントンカンカン…何処までも…








水都を眺める古びたお店…朝日が照らすよ…その丘を…






     哀しい時には…波打ち際で…彼らが僕らを待っている…








望んだ所へ…彼らは必ず…掛けてくれるよ…虹の橋…






     さぁさぁ、目指そう希望の空へ…輝く蒼と手を取って…








            走れ!イデアツーリストのヤスノV ようこそ!虹ヶ丘支店へ… 

                           プロローグ END     作者: 黒山 琴音


















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stall「ふぅ…よもや、アソコまで弱体化しているとは…」









??「どうした、stall…浮かない顔だな?例の友達に逢ったんじゃないのか?」





????「そうだよ?アンタが浮かない顔してちゃ『計画』まで心配になるじゃないか?」






stall「一馬にリューイか…大丈夫の筈だったんだが…

   『計画』には若干の修正が………いや、大幅な修正が必要になりそうだ…」







真宮司一馬「おいおい…まさか「ブルー」に覚醒していないとか言わないよな?」


リューイ「ちょっ…何のために『白銀の翼』が時間を作ったのか解ったもんじゃなくなるよ?」



stall「いや…ごめんね、一馬にリューイ…

   実はその「まさか」でね…

   もはや今の彼は「スターダスト」に目覚めているかも解らない…」



真宮司一馬「はぁぁぁ〜〜〜ッ?アイツもう19歳だろ?

      20歳までに「スターダスト」が無い様なら『戦士』ですら無いって事だろ?」




リューイ「stall…アタイ、アンタのことを疑うつもりはないけどさぁ…

     本当にアイツ…『蒼き英雄の遺志』を受け継いでいるのかい?」



stall「あぁ…それは間違いないさ…

   彼に覚醒して貰って…なんとしても食い止めないといけないからね…」



リューイ「そうだよ?アイツが覚醒しない限りは…

     『龍の支配者』や『銀鈴の狼』は、きっと止まらないよ?

     それに『狂剣の欲望』だって…」




真宮司一馬「ちっ…『狂剣の欲望』か…

      オレも「ドルイ交流戦」で人間の時のアイツを知っているが…厄介な剣士だった…」




リューイ「ったく…なんで『一回死んだヤツら』が再び特級賞金首に名を連ねて順位が上がっていくのさ…」





stall「かつて勇者テリィ様や剣聖クラージュ様…不確定ながらもヤスノVに滅してもらった特級賞金首…

   まだ何も起こっていないとはいえ、この脅威が存在している以上…急がねばならないのに…」



リューイ「あっ!!リストブックが反応してる!!また賞金首の順位に変動が!?」



真宮司一馬「 今度は2級賞金首までッ…?

       何も事件なんか起こらないのに…
       
       なんで賞金首のリストばかりが反応を起こしやがる… 」




stall「今は時期尚早だったのかもしれない…イデアのクラージュ様には国家上、応援は頼めない…

   なんとか行方不明のテリィ様やビート様を探し出して…

   新たな計画を練らなければ…」


真宮司一馬「英雄、『白銀の勇者』に『勝利の女神』…本当にどこに行きやがったんだ…?」



リューイ「まったくっ!!「自称」だか「自傷」だか知らないけど、のん気な正義の味方だね…

     あぁ〜〜〜もう、うるさいッ!!
     
     リストブックも…魔法仕掛けの声でアタイたちに指令なんか出すんじゃないよッ!!」


















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注意…注意……











現在、ランク変動確認中の…













特級賞金首…及び、2級賞金首…








以下、計4名…





















特級賞金首 No.19→No.17 狂剣の欲望 セルティック














特級賞金首 No.24→No.21 龍の支配者 マリアージュ













特級賞金首 No.28→No.26 銀鈴の狼 ランバート











二級賞金首 No.24→No.2 誘惑の吸魂魔 グラス







『ドルロレ国家、秘密裏特務機関…白銀の翼』は速やかに…























殲滅を遂行せよ…










      see you next stage…


        「   run! idea tourist's YasunoV  
                 Welcome to Rainbow hill branch!  
                      first stage : YasunoV visit agein!! 」