題名 : 走れ!イデアツーリストのヤスノV ようこそ!虹ヶ丘支店へ…








ドルロレの男爵、グロード・A・アルベルトは…その財力から、多くの店を経営している…



酒屋、食材屋…レストラン…その他に3店舗…


数ある店舗の中でも噴水広場近くの防具屋は特に大型である。





暑い日ざしが降り注ぐ真昼の一時…




いつもは熟練された戦士が疎らに集(つど)う 店前が、本日は戦闘に全く縁の無い民衆が多く集(たか)っていた…

普段、見ることは有り得ない野次が…事件の臭いを感じさせる…



イデアツーリストの社員、百絵とパンサーは野次を掻き分けて、興味深々に店内を覗き込む…



そこに居たのは当然ながら防具屋の数人の店員と…滅多な事では人前には出ない国家の安全を日々守るドルロレは公安管理局のトップの一人…


ジェネラル・マスター(将軍長:以下GM)と呼ばれる黄金の鎧を身につける騎士と防具屋の責任者が言葉を交わしていた…




GM16ビット「それで?最後に見た男爵の息女の安否は??」




ランナウェイ「わかりません…わかりませんよ!!こちらの区域が最後の消息と言われましても、

       我々も経営の方が忙しくて…よもやこのような事態になっているとは思いもしませんし…」



百絵「一体、どうしたのかしら?GMまでが出張ってくるなんて…」




パンサー「そうですね、AS(エース・ストライカー)を押しのけてGMが動くなんて…大事件の匂いがプンプンしますね?」





数人の部下を従えるGMは店内に控えている店員になにやら聴聞しているが、一向に内容が掴めない。


ただ、伝わってくるのは…一刻を争う彼らの焦燥感だけ…




パンサー「ちくしょう…これじゃ、何があったか分からないぞ?」



百絵「そうよねぇ?仕事の途中で抜け出してきたのに無駄足だったかな?」



小さな溜息をつく2人…



そんな中、誰が言ったかも分からない混雑の中で百絵、パンサーの両人に突如、声が届いた…



???「なんだよ?姉ちゃんら、知らないのかい?」



百絵「  エッ?  」





?「この店のオーナー、グロード・A・アルベルトの娘、kyomi・F・アルベルトが…」






パンサー「 kyomi・F・アルベルト ?」






? 「 突然、姿を消したんだよ… 」







第1話 ヤスノV、再び登場…  中編(´▽`)シ(kyomi編)




kyomi「ハァ…随分と歩きましたね?」



やすのぶ「あはは…頑張って!!あと10分も歩けば野生のアッピーが見られる場所に到着するよ?」





水都ナーレ、南西に掛けられる大橋を渡ると…小さな森の先に「ドルロレ平原」と呼ばれる広大な草原が広がる…


少し先、青空が広がる様に見える端には崖があるが…岩を削り、下へと降れる様に長い階段が人的整理を施されている。



やすのぶとkyomiは、今、数百メートルは続く長い階段を降っていた。



kyomi「アッピー…一体どのくらい居るのかしら?」


やすのぶ「そうだねぇ…野生ともなると、数十匹見られれば良い方に入るけど?」



kyomi「……………」



やすのぶ「……………」



黙々と階段を降る2人…




先頭を歩く やすのぶは依頼受諾した後の彼女の雰囲気に心配を募らせていた。



kyomi「……………」


少し無口になってしまったkyomi…


一歩を踏みしめるたびに、後ろを歩く彼女の雰囲気は重さを増し…只ならぬ気配がkyomiに帯びていく…



そんな彼女の雰囲気に楔を入れるべく やすのぶは軽い口調で振り返る。




しかし、そこで見たものは怪現象…


やすのぶ「あぁ〜〜…良かったら、隣においでよ?話でもしながらの方が気分も…弾んで…楽しい…よ?」


kyomi「 えっ…? い、いえ…」





やすのぶ「 (ッ!?な、なんだ??コノ子??)」



やすのぶも初めて見る怪現象…それはkyomiの周りを揺らめく青い…光?と言うか?霧?と言うか?謎のコーティング…




kyomi「そういう気分ではないので… 」

kyomi本人には見えていないのか?

彼女はただ、俯いて階段を下りてくる…



kyomiとの会話もソッチ退けで思いもよらず、「kyomiの体に揺らめく謎の青のモノ」を触ろうとするが、


やすのぶ「 ??? 」 


それは やすのぶの手に触れる事無く…簡単に素通り…


やすのぶ「 ま、真っ青じゃないか?」



人が魔法を使うときに溢れるマナ(魔力)とは違うソレを、

言葉で表現しようとkyomiに声を掛けるが、表現力の足りない やすのぶ…



kyomi「えっ?わ、私、顔色が悪いですか…? って、なんです?その動き?」



やすのぶ「 い、いや…違うよ?ソレ!体にまとわり付いてる!!ソレのことだよ?」




今までに見たことの無い「青いモノ」を表現しようとジェスチャーによる抽象的な表現が加わる。



やすのぶは身振り手振りで彼女の体の周りを一生懸命に表現しようとするが、



kyomi「 ??? こ、この辺りですか? 」





やすのぶ「い、いや…ち、違う!?違うよ!!そうじゃなくて…その…この辺りにさァ…何か見えない?」


kyomi「 ハ、ハァ??? 」


滑稽な踊りを披露しているに過ぎない粗末なボキャブラリーはkyomiを更に混乱させた。



しかし、そんな会話を続けていくうちに…



やすのぶ「 あ、あれれ? 」


「kyomiの体に揺らめく謎の青のモノ」は少しずつ、色を失って消えていった…



kyomi「 あの? な、何も見えませんけど…? 」



やすのぶ「 そうだね?今、消えたね?? 」



kyomi「 はぁ? 最初から、何も見えませんでしたけど…? 」




やすのぶ「……………(な、なんだったんだ?今の青いのは?)」



kyomi「……………」



不明づくしで…再度、迎えた沈黙…


しかし、口を尖らせて俯く やすのぶにkyomiは少し、明るい笑顔を見せて歩みを始めた。




kyomi「気を使わせてしまったみたいですね?ごめんなさい…」


やすのぶ「いや、そういう訳では…そうだ!kyomiちゃんって剣士なのかい?

     背中に背負っている剣、とっても綺麗だね?」


kyomiから話しかけられたチャンスを逃す手は無い…


話題を切り出して、アッピーの居る所までの旅路を会話で盛り上げる。


彼女はチラリと剣に目を向けると笑顔を浮かべた。




kyomi「はい、これはお爺様に頂いた『騎士の剣』ですが…まだ見習いのようなレベルです。

    一生懸命、剣士を目指していますが、いつもお父様には叱られて…」



やすのぶ「へぇ〜…お父さんが叱るのか?kyomiちゃんが剣士になる事には反対しているの?」


kyomi「はい。お父様は剣術が大嫌いなんです…昔、何度も「聖剣士」の試験を受けたのですが

    とうとう受からなかったと聞いています…

    でも、私のお爺様は私が剣士になることを賛成してくれています…

    お爺様はドルロレの騎士で、かつて「AS騎士団」にも剣術指南を行っていましたが…
    
    お父様には剣術の才能は無く、むしろ商才に溢れた人なんです。
    
    今ではドルロレに6店舗抱える「アルベルト・チェーン店」のオーナーなんですよ。」




やすのぶ「むむむ?アルベルト・チェーン…?

     もしかして、アノすッごい大きな防具屋の建物とかレストランとかあるヤツだよね…?」



kyomi「えぇ…そうです、そうです!!」



やすのぶ「 『さぁさ!魔物を狩って!♪魔物に勝って!!♪勝手に防具を買って〜〜〜♪♪いってェェよ〜〜♪』とか…
     
     魔導波放送で、よくCMの歌が鳴ってるヤツ?」



kyomi「あははは…そうです。ちょっとヘンテコな歌ですよね?

    でも、アノ歌が好評でお店の宣伝には…かなり役に立っているみたいで…」




やすのぶ「 !!!!! 」



やすのぶが初めて知る事実…



そう、やすのぶの目の前に居る女の子こそ、ドルロレの貴族 アルベルト男爵の次女 kyomi・F・アルベルトなのだ!


正真正銘…本物のお嬢様の姿に、全身まじまじと視線を送る!!


やすのぶ「(すごい!stallくんもドルロレの侯爵家の人だけど…男爵の家の人が、お客様第1号なんて!!)」


突如kyomiから告げられた事実に頬が高速で痙攣する やすのぶ…

接客対応として、貴族は初めての経験ではあるが平静を装って会話を続けた…


やすのぶ「そ、そうか〜…だとすると、野生のアッピーを探すのは『剣士の試験』の一環かい?」


kyomi「いいえ…違いますよ…」


やすのぶ「 ……………… 」


又もや曇った表情になり、俯くkyomiの姿に深い理由を感じた やすのぶ…



やすのぶ「 ……………… 」


話題を変えようと、防具屋の娘であるkyomiに感じた疑問を今度は問いかける。


やすのぶ「そっか…じゃ、ちょっと気になったんだけどさ?」



kyomi「は、はい?なんでしょう?」



やすのぶ「あのさ?なんでkyomiちゃんは『防具屋の娘さん』なのにさ…??」



kyomi「ッ!?ちょ、ちょっと待って!!やすのぶさん!!!」



岩を削って造られた階段を降りきると目の前に広がるのは何本も何十本も…何百本もリンゴの木があるリンゴ畑…


いくつもの小さなリンゴが大地に落ちているが、その中で一つのリンゴがフルフルと震えるように動くのに気付いたkyomi…



スラリと引き抜いたのは刀身が銀に輝く『騎士の剣』…


それが、太陽の光で一閃し…零れた光がアッピーに届く…



アッピー「 ? 」









やすのぶ「きょ、kyomiちゃん!?いきなり何をするんだッ!!?」



ただ、そこに居ただけのアッピーに………









kyomi「先ほど、私に問いかけましたね?お教え致しますッ!!

    私がアッピーを探す理由はッ!?
    
    『アッピーの心臓』を手に入れるためです!!!」




やすのぶ「な、なんだって!?」








kyomiの刃が…いま………アッピーに襲い掛かる!!!






















アッピー「gyu〜〜〜〜〜ッ!!?」




kyomi「 なッ!? 」




????「 ハァ…ハァ…… 」




kyomiの目に届いたのは大空をも思わせる眩いほどの蒼いマント…


それが今、kyomiの騎士の剣を防ぎ…後方のアッピーを守っている…



????「 ハァハァ… ま、間に合ったか… 」


kyomi「な、何をするのですか?やすのぶさん??

    アナタ…魔物のアッピーなんかを庇うなんて?一体、どういう おつもりですか?」



ヤスノV「やすのぶ じゃないよ… この姿になっているときは…『ヤスノV』って呼んで貰うよ?」



やすのぶの装備する「ヤスノ・ブレスレット」に僅かなマナ(魔力)を送り込むことによって

やすのぶは剣士用装備品、「ヤスノ・ブランド」を召喚できる。

それを やすのぶが装備した姿こそ、『自称、正義の味方 ヤスノV』なのだ!!


kyomi「ヤ、ヤスノV?」


もっとも、現在の装備状態は「本装備」ではなく… 一般商店で売られている「銅の剣」と「皮の鎧」と…


kyomi「どうして、その蒼いマントは穴が開いているの?」


ヤスノV「ううぅ…そ、そこは気にしちゃダメ…」


そう、「真ん中に穴が開いた蒼いマント」だけである。






ヤスノV「ってかさ、kyomiちゃん?何の罪も無いアッピーをイキナリ斬り付けるなんて

     いくらなんでも色々アウトだろ?
     
     魔物にだって悪い魔物も居れば、イイ魔物も居るんだ…
     
     見かけだけで判断しちゃダメだよ?」



kyomi「別に何でもかんでも斬っている訳じゃありません!!野生の魔物を相手に躊躇は死を意味しますよ?

    そのアッピーは倒します!!」


あくまでも臨戦態勢を止めないkyomiに、ヤスノVは笑いながらアッピーに手を伸ばして様子を見せる。



ヤスノV「ははは…kyomiちゃん。例え野性だって大丈夫だよ?こっちに敵意が無いと分かればアッピーから寄ってきてくれるんだ。

     見てごらん、一連の様子を見ても…このアッピーは逃げないだろう?」






と、アッピーに触ろうとした瞬間…





アッピー「gyuッ!!」


ヤスノV「痛ッ!!」


アッピーの三叉の槍がヤスノVの手に刺さる!








kyomi「いきなり拒否られているじゃないですか?

    そのアッピー…絶対に悪者ですよ?ヤスノVさん…目が節穴なんじゃないですか?」







ヤスノV「そ、そんな事無いよ?このアッピーは…」





アッピー「gyuッ!!」






と、今度はアッピーの三叉の槍がヤスノVの蒼いマントの穴を抜け、背中に刺さる!


kyomi「 ほら!!早くしないと死にますよ!? 」


ヤスノV「わ、悪い魔物って決まったわけじゃ…」



アッピー「gyuッ!!」

アッピーの三叉の槍がヤスノVの頭に刺さったところで!!!





kyomi「 アッピーの三叉の槍がメチャクチャ血で汚れているし、

     返り血まで浴びてるじゃないですか!! 」








ヤスノV「てめぇ、その態度は悪い魔物だっていうのかぁぁ!!??」





kyomi「ヤスノVさん…本気で目、節穴ですッ!!」




ヤスノVの体力が残り3分の2になったところで…やっと、アッピーとの戦いが勃発した!!!



ヤスノV「観光客のkyomiちゃんには怪我をさせられない!そこで見ててくれ!!オレの強さをッ!!」



と、ヤスノVは蒼いマントを翻してアッピーに戦いを挑む!!



アッピー「gyu〜〜〜〜ッ!!!」



あたかもヌンチャクでも振るうかのように槍を構え、アッピーも又…ヤスノVに襲い掛かる!



流れる目線に隙を伺う両者は、息を吐かぬ間…弾ける様に得物をぶつけ合った!!


お互いの攻防は渾身の応酬!!



kyomi「 …………… 」


しかし、kyomiの目に映るのは…




ヤスノV「喰らえッ!!アッピィィー!!」


アッピー「gyu〜〜!!」







kyomi「 …………… 」







ヤスノV「避けられたッ!?クソッ!!」


アッピー「gyu〜〜 gyu〜〜 gyu〜〜 gyu〜〜!!」





あまりに幼くも拙い…幼稚な攻防…



ヤスノV「これならどうだッ!?ヤスノォォ〜〜〜・ブレイクッ!!」


アッピー「gyu〜〜 gyu〜〜 gyu〜〜 gyu〜〜!!」






「LV1程度の剣士」と「子供程度の強さのアッピー」の微妙な小競り合い…



挙句の果ては…ダラダラと汗を垂らしながら…




ヤスノV「フッ…流石はアッピーだ…オマエはいつも…オレを体の芯から熱くさせるッ!!」


アッピー「gyuッ…」







大した剣戟が行われることも無く、滑稽な剣士とアッピーが息を荒げてお互いを褒めあう始末…


その様相は古くから、お互いを知りつつ…挨拶代わりの組み手を行うのに似ている…



kyomi「もう結構ですッ!!そのアッピーをやっつけるのも弱い者虐めみたいで気が引けて来ました!!」




ヤスノV「ふぅ…いい汗かいたョ…ヤッパリ、アッピーは強いね?」


と、笑顔でヤスノVがタオルをアッピーへと渡すと…


アッピー「gyu〜〜〜ッ!!!」


機嫌よく、それを受け取り…額から溢れた「リンゴ果汁」を拭い取る…


kyomiは呆れ顔で剣を鞘へと収めると溜息を吐いて近寄った。




kyomi「で、結局…そのアッピーは悪者ではないのですね?」



ヤスノV「あぁ?多分…ね?最初はボク達の事をヤッつけようと思っていたみたいだけど…

     こっちが悪者じゃないって分かってくれたみたいだよ?」


アッピー「gyu!」








先程まで敵意を露わにしていたアッピーも今ではヤスノVのズボンの裾を掴みながら歩き、攻撃する様子も無い。









しかし…




アッピー「gyu!?」



周囲一体から不気味に擦れる音が聞こえてきている…




kyomi「こ、これって一体…どういう状況でしょう?」




ヤスノV「 ッ!? 」




一連の攻防で周囲の気配に気付かなかったアッピーと人間2人…






アッピー?「gyu!」





アッピー??「gyu!」





アッピー???「gyu!」






アッピー?×4〜75「gyu!」





2人の周囲を75匹は超えよう…『アッピー?の様な魔物』が囲っていることには気付く間もなかった…













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百絵「…街中は大変なことになっていたわねぇ…」




パンサー「えぇ…これじゃ、広報活動(チラシ配り)なんてあったもんじゃないですよね…」




肩透かしに日差しが照りつける中…2人が崖の上をトボトボと歩く…


普段は海に面する崖の上で波音が静かなイデアツーリスト、虹ヶ丘支店がこの先にある…




百絵は白いポーチからハンカチを取り出して、汗を拭う。



ふと、店の方へ目を向けると…いつもならとっくに見えてくる木造の建物は…



百絵「 ? 」



パンサー「 ??? 」



未だに見えてこない?



代わりに見えているのは…思いもよらない『人集り』であった…


パンサー「す、すごい!!あれって、人が…20人は居るんじゃないですか?」


百絵「そ、そうね!?あれって…ウチに来てくれたお客様の行列って言うことッ!?」

虹ヶ丘支店に溢れるように集う人の群れ…



それは夢にも見た…望みに望んだ希望の光景…



百絵「や、やったわ、パンサーくん!!ついに…ついに私たちの苦労が報われる時がきたのよ!!!」



パンサー「そ、そうですね!!これはもう…トコトンまで旅行を受注しまくりましょう!!」



幻想にも近い感動的な光景は2人の足取りを『超!』軽くする…




近づくほど、驚愕の光景が…


驚くべき光景が目の当たりに!!!




それは、イデアツーリスト…本店を含めて初めての快挙ともいえるものだった…




パンサー「も、百絵さんッ!?映像放送局の人まで来ていますよ!?」



百絵「ッ!?ちょ、マジで??タ、タンマタンマッ!!

   …パ、パンサーくん?今の私って…汗で化粧が崩れてない??

   いやぁ〜〜〜ん!!映像放送局が取材に来てくれているのに…
   
   水都ナーレの人にこんな化粧が崩れた顔を映されたら…生きていけないわッ☆」



パンサー「えっ!?百絵さん??それって化粧していたんですか?

     ボクは てっきり『スッピン』だとばかり思っていましたよ?
     
     精々、化粧水を使っているぐらいかと…」



さり気なく…パンサーのお世辞が入る…




百絵「やっだ〜〜〜…私も20(ハタチ)過ぎてるし…そろそろお肌にも気をつけないといけないから…

   ファンデーションぐらいは付けているのよぉ〜〜☆」




と、『ぶりっ子、百絵』が身をクネらせながら、恥じらいを見せた…


白いポーチから取り出したコンパクトの鏡で「お肌」をチェ〜〜ックッ!!!


その真剣な眼差しは獲物を補足した猫の目…

ファンデーションを僅かにすくい…ミクロン単位で肌の補正に入る技術は最早、匠の域!!



♪♪♪これを読んでいるお姉さま方!!コンクリ職人の様に健気な百絵を是非、見習ってくださいネ♪♪♪



百絵「パンサーくん!!私、化粧に2〜3分は掛かりそうだから、先に行ってアノ混乱を治めて頂戴!!

   アソコには やすのぶくんだけしか居ない筈だから…場合によっては本店から仲間の救援を呼ばなきゃ…
   
   きっと☆はな〜♪☆さんに今の話をしたらブッ飛んできてくれるわ!!」


パンサー「そ、そうですね!!ボクも状況を見て百絵さんに、あえて無線連絡をして…

     さり気無く登場してもらえる状況を作ります!!

     も、もし国営放送だったら…本店に連絡してもらえますか?
     
     国中にウチの紹介をしてもらえるって知ったら…
     
     きっと会長も空をスッ飛んできてくれるかも知れませんしね!!」


百絵「うふふふ…流石はパンサーくん…解ってるわねぇぇ〜〜?」



パンサー「いえいえ…百絵さんの営業スキル…6割は理解しているつもりですから…」





狡猾な戦略会議の後…2人は握り締めた拳をぶつけ合い…無言の合図を贈り合う…






パンサーは人集りに全力で走り…今、前線へと向かう…




百絵はパンサーからの現状報告が有るまでの間…ミクロン単位でお肌と戦っていた…
















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………………………………………………………………




ところ変わって…ドルロレ平原、リンゴ畑の一角…




全力を賭し、戦う人間2人とアッピー1匹…



その相手…それは、75匹は超えよう「アッピーの様な魔物」…


しかしながら、その実力値はアッピーのソレとは大きく違い、たった1匹を討つのにも大きな時間が掛かっていた…


kyomi「な、なんという数ッ!!」



ヤスノV「い、いや…それよりも…この強さは一体なんなんだ!?

     とてもじゃないけどッ!!アッピーの強さとは思えない!!」


アッピー「 ッ!!!gyu〜〜〜ッ!!!」



弱気な2人とは違い、懸命に太刀廻るアッピー…


一般のアッピーとは思えないその動きは、あたかも『仇敵』を討つにも似た形相で槍を振るう!!



ヤスノV「ッ!?ま、また!?いや、こ、今度は『赤』だって??」


思いもよらず目を向けた先、仲良くなったアッピーの周囲を突然に包み込む『赤い光とも取れる霧のような物体』


それはアッピーの様な敵を攻撃するたびに増していく…


ヤスノV「こ、これは…?これはなんなんだ??」




今までヤスノVも見たことの無い現象…

不思議に包まれたソレに疑問を募らせるが、彼にそれを解決する時間の猶予はあるはずも無い…





kyomi「ヤスノVさん…このままじゃアッピーどころの騒ぎじゃありません…危ないですわ…」





ヤスノV「そ、そうだね…これはもう…『逃げる』しかない!!!」



アッピー?達「 gyuッ!?」





言って小さなウエストポーチから取り出したものはピンポン玉程度の黒色の玉…




説明しよう!!



これはかつて、本店を旅立つ前…イデアツーリスト、開発副局長である『あおざる』から渡されたマル秘消耗アイテム!





ヤスノV「 みんな注意しろ!!黒色の煙が一帯を覆うぞ!!これが、『ヤスノ・ブラック』だぁ〜〜〜〜!!!!」





アッピー?達「 gyu〜〜〜〜〜ッ!?」



ヤスノVが大地へヤスノ・ブラックを叩き付ける…


その瞬間に大きな爆音と共に黒い煙が湧き上がった!!!



大きな怒号は爆竹20本分の火薬が込められていることが明白な威力…





煙に紛れて、ヤスノV、kyomi、仲良くなったアッピーは離れの森に身を隠した…




アッピー?達「 gyu〜gyu〜gyu〜gyu〜〜〜ッ!?」




一帯が黒色の霧に包まれ、アッピー?の様な魔物達は煙に目を沁(し)みらせて混乱に陥る…



槍を捨て、懸命に目を擦るが痛みは一向に取れる気配は無い…





kyomi「よ、良かった…とりあえず隠れることができましたね…」

ヤスノV「あぁ…でも…アイツ等…何をしてるんだ?」






その時…






アッピー?達「 gyuッ!」



アッピー?達は、その顔を…リンゴの赤い皮で全体的に包み込む…



体をリンゴに収納し…見るからに「タダのリンゴ」へと変えていく…




その姿を見た、ヤスノVと共に隠れるアッピーは…





アッピー「ッ!〜〜〜ッ!!!」




ポロポロと涙を流した…


ヤスノV「 ッ!? 」


kyomi「な、なんで?」




悔しさを露わにしたその表情は、大切な何かを奪われた様に思わせるには十分…




アッピーが涙目で見つめる先…



そこにはタクサンのリンゴが転がるが…



不気味に蠢くリンゴに大きく息を呑み込む…




ヤスノV「な、なんだよ?なんだって言うんだ???あ、あんなの…見たことが無い!!!」




kyomi「うっ!!あのアッピー達…む、虫に巣食われているのッ!?」



そう!!リンゴの頭から顔を出したのは!!!


リンゴにとって…大敵である筈の虫!!!


その虫が我が物顔で360度を眺める…



そして更には…リンゴの中央から横へとヒビが入り…大きく割れた。


その割れ目から…獲物を探す両目が…黄色く光る!!!



ズルリと生えてきた手足は屈強なオトコの腕にも勝る太さ…




そう、あの魔物は…最早『アッピー』に非ず!!!



彼らの名前はもう『アッピー』に非ず!!!






????1「キキキキキ…馬鹿な人間が迷い込んだ…」



????2「そうだね、そうだね…弱そうな男に…弱そうな女…1匹ずつ…だけど、だけど!『アイツ』も一緒だったね?」





?????3「アイツはアッピーのクセに強いもんな…ボク達が壊しちゃおう…おろし器で「すりリンゴ」にしちゃおう…」



?????4「いやいや…鍋で煮て…リンゴソースを作るんだ…」




?????5「??? どうしてリンゴソースが要るんだい?何に掛けて食べるのさ?」



?????6「キキキキキ…決まっているじゃないか?」





?????7「キキキキキ…そうだね?決まっているよね?さっきの人間にソースを掛けなきゃ…」




ヤスノV「 (ッ!!) 」




kyomi「 (うぅぅ…) 」







?????8「キキキキキ…今晩のご飯はご馳走だ…」






?????9「そうだね!!ボク達、『バッピー』のご馳走は…人間だよ〜〜〜〜ッ!!!」







そう、彼らの名前は『バッピー』!!!




人語を解する知識高い魔物…




人間との共存を望む優しいアッピーに寄生することにより、


その意識を支配して人間を襲い、殺し、喰らう…新種の魔物………





国家ドルロレにおいても、駆逐優先対象として1体につき、


2,000ドニアという高額の懸賞金を掛けられる「賞金首」に位置する魔物の1種…






それが、75匹もヤスノV達の前に立ち塞がっているのだ!!






ヤスノV「な、なんてこった…こりゃ…全力で逃げるしか…」


kyomi「そんな…こ、これじゃ…間に…間に合わない…」


アッピー「 ? 」


ヤスノV「 えっ…?ど、どういう事だい?」



青ざめて吐露したkyomiの言葉にヤスノVが目を向ける…



kyomi「わ、私のお爺様の話をしましたね?

    今、私のお爺様は意識不明の重体で…
    
    万病に聞くといわれる『アッピーの心臓』が必要だったのです…」


ヤスノV「な、なんだって?そんな重要な依頼だったのかッ!?

     っていうか!!そんな状態なら、こんな所にkyomiちゃんが居るよりも
     
     お爺さんの傍に居てあげないとダメじゃないか!?」


kyomi「傍に居ても何もできない私です!!

    『私では誰も助けることが出来ない』のです!!
    
    だから私はこの身を賭けてアッピーの心臓を求めたんです!!」


kyomiが本心を告白する度、その身に青い光のような…霧のような物体が包み込んでいく…


ヤスノV「 ッ!(うっ!?また…kyomiちゃんの体が…青く包まれる??)」



アッピーの心臓を求め、青い光のような…霧のような物体に包み込まれるkyomi…


バッピーに憎しみの目を向け、赤い光のような…霧のような物体に包み込まれるアッピー…


そして現状に困惑し…あらゆる謎に包まれたヤスノV…




この怪現象を分析する間も無く…ヤスノVの左腕に付けられたブレスレットが仄かに光った…



ヤスノV「うぉッ!?な、なんだよ?こんな時に誰からの通信だ??」


kyomi「バッピーが居るこの状況で…会話できますの?」


ヤスノV「うっ…この色はかなりヤバイ通信を意味してるんだ…取らないと…減給モノでね…」

マナーモードにしていた為、音は鳴らず…バッピー達に気付かれることは無かったが、緊急通信を報せる赤い光に受信を強制させた。



ヤスノV「は、はい…こちらヤスノV…」



パンサー「あっ!?やすのぶさんですか??た、大変な状態ですよ!!ど、何処に居るんですか?」




ヤスノV「な、何が?コッチもかなりやばい状況なんだよ??あ、後で連絡するからさ…」


と、迷惑この上ない!といった口調でブレスレットの通信を切ろうとしたが…


パンサー「あ…あの…もしかして…もしかしてですよ??やすのぶさん、今…kyomiって人と一緒ですか??」

ヤスノV「 ? 」

焦燥感で溢れるパンサーの声は僅かに震えている…


kyomi「は、はい?私がkyomiですが…?一体どうされたのですか?」




パンサー「うぉぉッ!!kyomiさん、無事なんですね!!無事なんですねッ!!ほ、本当に良かったァァ〜〜〜ッ!!!」





ヤスノV「ちょ、声がデカイよ?一体なんだって言うんだよ!?」















kyomiの無事を知ったパンサーは震える声を整えるため…数度、大きく深呼吸…












彼から告げられた報告は一同にとっては心外な事、この上ないものであった…









パンサー「やすのぶさん…なんか、kyomiさんを誘拐した誘拐犯になっちゃってますよ?」




ヤスノV「ナニィィ〜〜〜〜〜〜ッ!?」

kyomi「ゆ、誘拐犯!?ど、どうしてそんな??」



パンサー「今、国営放送で凄いことになってるんです!!

     やすのぶさん…普通にこっち(ナーレ)に帰ってきたら!!
     
     GMとかASとかアルベルト男爵のお抱え兵士にボコボコにされますよ!?」



通話先のパンサーの言葉に、kyomiは焦りながらもポーチから「風の精霊」と呼ばれる宝玉を取り出して、それにマナを送り込む…


すると、宝玉に魔導波を伝って国営放送のLIVE中継が映し出された…





ヤスノV「うぉ!?に、虹ヶ丘支店が映ってるじゃないか?」




kyomi「な、なんだか特番のニュースになってますね??」













…………………………………………………
















…………………







せきらく「え〜…みなさん、こんにちは。緊急リポーターの 『せきらく』です。


     本日、放送予定だった「ナーレの美味しい昼ごはん」を中止して、急遽お送りしておりますのは…
     
     
     白昼堂々行われたという、ナーレはアルベルト男爵家の御息女、kyomi・F・アルベルト誘拐に関する速報です。
     
     
     街中での有力な情報からイデアツーリスト、虹ヶ丘支店で会社員をしている やすのぶ容疑者 19歳に
     
     
     拉致、監禁されている可能性が高いという事が判明しております。」


司会の人「えぇ〜…せきらくさん?現場に行ってくれているみたいですが、随分と騒然としてますね?」



せきらく「はい!水都ナーレで白昼堂々!これだけ大胆不敵な犯罪は過去にも例を見ませんからね?


     やすのぶ容疑者も逮捕されれば『死刑は確定』と思われます。」




司会の人「しかし、捕まれば死刑というのに…そんな無謀なことをするものでしょうか?」



せきらく「そうですね?しかしながら、私も取材の結果…分かった事があります。

     どうやら やすのぶ容疑者は20,000,000ドニア近い借金があったようなのです!!
     
     このことから容疑者は、かなりお金に困っていたことは明白!!
     
     虹ヶ丘支店の支社長に話をお伺いしましたが『う〜〜〜ん…やすのぶくんなら、やるかも…』と一言頂いております!!」



司会の人「えっ!?そ、そんなに多額な借金をしているんですか?」





せきらく「えぇ…一般人でもこれだけの借金を重ねるのは かなり負担が大きい筈です。

     アルベルト男爵の邸宅に一度、息女のkyomiさんから直接連絡があったようですが…
     
     『とにかく紳士的な対応でいる内にお金を用意して!!』と告げられたようです。」






司会の人「なるほど…kyomiさんの安否を報せると共に自分の声は相手に聞かせないという

     合理的な方法を取っている様子ですね?

     この様子では計画的な犯行とも取れますが…」





せきらく「はい、しかし計画的な犯行とは少し違う様子も伺えました。

     その理由として、こちらに やすのぶ容疑者の友人であり、
     
     更にイルザーク侯爵家、次男のstall様にお越し願っています。

     一般の身でありながら、失礼致します、stall様…」



stall「い、いえ…いいんですよ…」



せきらく「今回はご友人が容疑者になってしまうと言う最悪の事態になってしまいました…」



stall「えぇ…彼は正義を信じるイイ人だと思っていたのに…残念でなりません…」



せきらく「ちなみにstall様も やすのぶ容疑者が誘拐を実行したとお考えですか?」



stall「そうは信じたくはありませんが…正直に言うと彼とkyomiさんとの最初のアクセスの時に…ボクも傍に居たんです…」



せきらく「そうですね…先程もお伺いしましたが…申し訳ありません、そのお話を…もう少し詳しく!!」



stall「彼は…笑みを浮かべながら…友人であるボクの…このボクの『みぞおち』を殴り……気を失わせたんですよ…

   きっとあの一瞬で……魔が………魔が、さしたとしか思えないッ!!!!!」



司会の人「こ、これはもう…計画的ではなかったにしても…やすのぶ容疑者がkyomiさんを誘拐した線は濃厚ですね!!」



せきらく「そうですね…私もそう思います…」



stall「やすのぶくん!!この映像を見てますか?大丈夫ですよ!!ボクは全然怒ってませんよ??い、今ならまだ間に合います!!

   ボクとキミとの仲じゃないですか!!ほら、ボクの友人の中から…この最高ともいえる弁護士の『ミライ』さんも呼んでますから!!」



ミライ「任せてください、やすのぶさん。あなたの弁護は引き受けますからね?

     真実を包み隠さず、正直に言えば命だけは助かりますから!!
     
     監獄の中でも楽しく過ごす方法もお教えします!!だから無抵抗で出頭してください!!
     
     私はアナタの事を信じていますよ!?
     
     ほら、ご友人のstall様も心の底からアナタの事を心配しています!!!」





stall「やすのぶくん!!信じていますからね!!必ず、必ず罪を認めて!!無抵抗でねッ!!!」










stall「 信じてますからねェェ〜〜〜〜〜〜〜! 」











せきらく「以上、現場から せきらくがお伝え致しました…」











…………………………………………………
















…………………


一連の報道を見終えた一堂…



当然、一番最初に声を荒げたのは…



ヤスノV「ふざけるなぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!

     そ、そりゃ確かに…ゲ、ゲフンゲフン…(色々、魔がさしたかもしれないけど)!!!
     
     stallくん!!最初っから何も信じてないじゃないかぁ〜〜〜!!!」



kyomi「な、なんということ…爺やもよりによって…なんという勘違いを…」




最悪の状況下に困惑する2人…



水都ナーレは2人が知らない間に、大変な騒動となっていたのだ!!



しかし…





大変な状況は…





水都ナーレだけではなく…







バッピー1「キキキキキ…こんな所に居たよ♪」




バッピー2「キキキキキ…大きな声で居場所を教えてくれるなんて♪」





バッピー3「やっぱり人間って、お馬鹿だねぇ〜〜〜♪」





と、ヤスノVの周囲に既にバッピーが数十体も迫っていたのだ!!!




kyomi「キ、キャァーーーッ!!!」


ヤスノV「ギャァーーーッ!!!死亡フラグキターーーーーッ!!!」


アッピー「gyuッ!!」


どれだけの大声を出していたかも気付かなかった2人の周囲…


所狭しと集まってきたバッピーの目が、黄色く光る!!




パンサー「…??…!!!…!!!」


ヤスノ・ブレスレットからパンサーの声が途切れるように発せられるが、最早…会話の余裕などない!!



ヤスノV「ク…ソッ!!こ、この状況下じゃ『アッピーの心臓』どころじゃない!!

     kyomiちゃん!!君は逃げるんだ!!その時間はオレが稼ぐから!!」


と、ヤスノVは右手に携えた市販の銅の剣…ヤスノ・ブレードをバッピーに向けて臨戦態勢を取る!!!






kyomi「そ、そんな?ヤスノVさんッ!!私だけ逃げるなんて!!!」


ヤスノV「へへへ…大丈夫!!オレには『奥の手』があるのさッ!!」


kyomi「お、奥の手??」


ヤスノVは依頼者であるkyomiのため…



アッピー「gyuッ!?」



活路を見出すべく…




kyomi「ヤ、ヤスノVさんッ!!?」





左腕に付けているヤスノ・ブレスレットをもう一度、空へと掲げた!!!





ヤスノV「行くぞ!!これがオレの!!ヤスノ・ブランド TYPE−V だぁ〜〜〜〜ッ!!!」





自称、正義の味方…ヤスノVのマナが左腕のブレスレットへと伝わっていく…





バッピー「ウオオォ〜〜〜!?」





しかし!!!







ヤスノV「 ??? 」



kyomi「 ??? 」












しかし、TYPE−Vへと移行するための宝玉が!ヤスノ・ブレスレットに装着されてはいないのだ!!





ヤスノV「なッ!?なんで何の反応もないのんっ!?!?」




と、敵から目を反らし…ブレスレットに目を向けたのが悪かった…



間際に居たバッピーの大振りパンチがヤスノVに襲いくる!!






バッピー「なんだょ?何も起こらないじゃないか!!!ブッ飛んじゃえ〜〜〜〜ッ!!」


ヤスノV「イッ!?」



kyomi「!!」





バッピー2「あははははは〜〜〜♪お馬鹿さ〜〜〜ん♪」



ヤスノV「グボォッ!?」


kyomi「キャァ〜〜ッ!!」


アッピー「gyu gyu gyuッ!!!」




バッピーの大振りパンチはクリーンヒット!!!

ヤスノVの皮の鎧、ヤスノ・ブレザーを抉りながら…

まるで弾丸のようにヤスノVを岩山まで吹き飛ばす!!




そして!!!




『 『 『 『 『 ! !! !!!ドガァァ〜〜〜〜〜〜ン!!! !! ! 』 』 』 』 』







岩山の奥底まで吹き飛ばされた挙句に…岩山は崩落…


あたかも崩れた岩で封じ込められた様に…闇で覆い被されていった…



バッピー1「何も起こらなかったけど…ビックリした〜〜☆」




バッピー3「怖かったね!!怖かったね!!」



バッピー2「でも、装備品も弱そうな剣士だったから…簡単に倒せたよ♪」



バッピー5「そうだよねぇ〜〜〜♪ さぁ、それじゃ…残りの人間とイヤなアッピーを倒して〜〜〜☆」




バッピー4「そうだね、そうだね!!」








勝利の余韻に愉悦のバッピー…




kyomi「そ、そんな…ヤスノVさん?

    活路も何も一瞬で倒されてしまうなんてッ!!

    わ、私は……ど、どうすれば…ッ!?」




アッピー「gyuッ!!」




困難な旅路をナビゲートする者が…一瞬で倒された絶望の渦中…





kyomiは無力感に息を呑むしかなかった…









……………………………………………………………………………………………………………………v











………………………………………………………………………









パンサー「ク、クソッ!!戦闘中なのか??通信が途絶えたぞ?」


百絵「ハァァ〜〜〜…また、やすのぶくんは私たちに迷惑が掛かる厄介事に手を出しているのね…」




報道陣の目を盗み、物陰から「風の精霊」の通信を切る。



やすのぶの上司、百絵は頭を抱えながら大きな溜息を吐いて首を横に振った…





パンサー「で、でも百絵さん?やすのぶさんは誘拐犯じゃなかったみたいですよ!!

     それだけが分かっただけでも、本当に良かったですよッ!!!」





百絵「当たり前よッ!!いくら貧困を極めていても犯罪なんて、この私が許さないわよッ!!!

   誰かに捕まって殺されるまでも無くッ、私がブッ殺すところだわ!!!」


憤りが止まらない百絵に苦笑いを見せるパンサーが遠めに見える虹ヶ丘支店を見守る。






パンサー「まぁ、この状況を心の底から喜んでいる人も居ますがね…」





百絵「 ………………… 」








遠めに見える虹ヶ丘支店の前は報道陣が一列に並ぶ姿…



その報道陣が並ぶ一番前には「紙切れ」を渡すサンタ帽子を被った女性の姿があった…







クレス「はいはい!!並んで、並んで〜〜〜♪

    ちょっと、そこ!!順番は守ってねッ!!?急がなくても全員分用意してるよ〜〜?
    
    これが容疑者やすのぶくんの個人情報満載のデータシート!!1枚50,000ドニアよぉ〜〜〜!?」




混沌に紛れて…商売に精を出す支社長という名の悪魔の姿…





パンサー「どうにもこうにも…アレが社長じゃ頼れないですよ…」



百絵「そうね、もうアレは頼らない方向で…」


暗い表情に落ち込む2人…


しかし、現状では社員やすのぶは あくまでも容疑者やすのぶ…


このまま やすのぶが逮捕でもされれば弁明の余地も無く『死刑』、あるいは『牢獄行き』は間違いない…



百絵「お金にもならないのに動くなんて…すっごくイヤだけど…やすのぶくんは『無実』みたいだから…」



パンサー「はいっ!!なんとか報道の隙間を縫って、やすのぶさんの為にも…それを証明しましょう!!」



やすのぶの為に血気盛んに燃えるパンサーと重い腰を上げた課長、百絵…



その会話を聞いていた一人の魔法使いが、割り込むように彼らに話しかけてきた…



????「ちょ、ちょっと待ってください?そ、その話は…本当なのですか??

     やすのぶくんは…やすのぶくんは、本当は『無実』なんですか?」





パンサー「あん??なんだよお前??」


百絵「あら〜?stallくん?さっきは映像に映ってゴキゲンだったわね?」


stall「な、なにもゴキゲンな事なんてありませんよ??」


百絵「そう?でも、カメラ越しに凄く目立っていたわよ〜?友人を思う親友って感じで??」


パンサー「そうですかねぇ〜〜…??

     やすのぶさんの親友の割には『全然信じてない!』って発言だったぜ?エリート魔法使いさんよぉ?」


stall「う、うぅぅ…わ、私だって信じたかったですけど…いきなりミゾオチにボディーブローですよ?

   た、多少の疑惑が生じても仕方が無いじゃないですか…?」





じとっとした眼差しを向ける2人に申し訳なさそうにstallは目線を反らす…



やすのぶの容疑者疑惑に一枚絡んでしまった侯爵家、次男stallの発言は、確かにドルロレ国では重く扱われる。


しかし、stallの反省の態度でも機嫌を完全に損なっている2人の表情は変わることは無い…


それどころか、ふいっ…と背を向けてstallと目を合わせようともせず…歩みを始める…


stall「うぅぅ…そ、そこまで怒らなくっても…

   そ、そうだ!!ボクも協力しますから!!どうか、そんな顔をしないで下さいよ?

   今回ばかりは私にも責任がありそうですし!!も、もちろん…もちろん「依頼」という事で代金はお支払いいたしますから!!」



パンサー「ッ!!」



百絵「!!!」



「支払」の言葉が出た辺りで、2人の歩みがピタリと止まる…


パンサー「でもなぁ〜〜やすのぶさんの今の状況って…分からないことも多いし〜〜〜」



stall「あ、あの…通常の2倍の料金が掛かっても…構いませんので…」



2人の後ろでオロオロと焦りを見せているstallも、背に腹はかえられない…


百絵「事務処理専門の…この私までが……「依頼」に狩り出されちゃうんだものね〜〜〜…」




stall「ぐぅぅッ!!わ、分かりました!!分かりましたよ!!3倍です!!通常料金の3倍でッ!!

   『やすのぶくんとkyomiさんの…真実へと案内してください』!!」



百絵「 …………… 」



パンサー「 …………… 」







イデアツーリスト、虹ヶ丘支店は観光会社である…








美しい自然のある「場所」…



屈強な魔物のはびこる「場所」…







あらゆる「場所」へと導くことを生業としている…観光会社…



パンサー「ふぅ…気合…入ってきたゾ〜〜〜3倍かぁ〜〜〜…」



しかし…彼らが案内できるのは…決して、『場所』だけではない…



百絵「よし!…やすのぶくんが間違ってないなら…当然、行き着く『真実』は決まってるものね…」






stall「お願いいたしますよ?彼らを…やすのぶくんとkyomiさんを助けてください…」





パンサー「へへへ…任せろよ!!」





依頼者の純真な心に応え…望む「ところ」に、彼らは必ず導いてくれるのだ…



百絵「その依頼…引き受けさせてもらうわ!!」






今、イデアツーリスト…虹ヶ丘支店の課長、百絵と社員パンサーがヤスノVの元へと向かう…



















美しき水の都…ナーレに轟いた大騒動…


kyomi・F・アルベルト…誘拐事件…





その実態は未だに謎で包まれて…誰もが翻弄の波に押し返される…








バッピー「さぁ、大人しくしろ〜〜〜♪」



kyomi「こ、来ないでッ!!来ないでよッ!!」



バッピー達に追い込まれ…命の危険が迫るkyomi…








アッピー「……………」





バッピー達に特別な感情をもって、強い眼差しを向けるアッピー…











ヤスノV「 ………………… 」




完全に打ちのめされ…闇の中、沈黙するヤスノV…












クレス「な〜〜〜っはっはっは…儲かった、もうかった〜〜〜☆」


更には混沌?に陥った虹ヶ丘支店を舞台に…



パンサー「さぁ〜ッて!!!」




次回…




百絵「行ッくわよ〜〜〜〜〜ッ!!!」








イデアツーリスト、虹ヶ丘支店が…


駆け巡る!!!





  次回へ続く(*゚▽゚)b


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                   依頼受諾報告書




 担当者名 : 百絵 パンサー




 依頼内容 : ヤスノVの拿捕、kyomi・F・アルベルトの救出




 報酬請求 : 900,000ドニア (+ α)予定  ※備考記載




 仕事の難易度 : B




備考

※ イルザーク侯爵家、stall氏より3倍で依頼受諾☆
※ 消耗アイテムは諸経費という事で『別料金』を請求予定☆
※※ ☆☆☆☆☆超!頑張りまっす☆☆☆☆☆
                       記入者  百絵
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