手を振って走る事5分・・・。
銀行の横の細道を抜け、俺の勤める会社『イデアツーリスト』に到着した・・・。
会社から溢れる雰囲気はいつも通りで、少しばかり寂しげにお客を待っている・・・。
まぁ、最近は会社も儲かってきているし・・・そんな心配はナッスィングだよぁ〜〜〜・・・
等と思いながら、元気よく会社のドアを開いた!!
やすのぶ「おはようございます!!」
????「やぁ!!やすのぶくん!おはよう〜〜〜・・・」
白衣を着た男性が少しボーっとした眼差しで手を俺に向ける。
一人、のほほんと受付に座っていた・・・。
体はどちらかというと「小柄」で、如何にも「マッタリ型」が代名詞・・・。
しかしながらその頭脳は非常に優秀で、会社のイベント事で使われる機材や観光客を守る社員の為に
「超強力な武器、防具」の開発等を一手に引き受けてくれる『マッドサイエンティスト』!!
(マッドサイエンティストの意味はよく知らない。)
その名も『あおざる』さんだ!!
この人には本当にいつも感謝してもしきれない。
俺の持っている「戦士装備品」の約8割は、この人の作品なのだ!!
でも、造った「アイテム」の目立たない所に、「青い猿」のマークを付けるのはやめて欲しい・・・。
とか、思ったりもする・・・。
あおざる「ははは・・・今日は留守番しててくれってことで・・・受付やってます。」
やすのぶ「そうだったんですか〜〜〜!でもなんだか『ひさしぶり』な感じがしますね!!」
あおざる「そうかい??昨日もあった筈だけど・・・?」
・・・・・・・・・・・
なんとなく『第5話』以降、会っていない様な・・・
い、いやいや!!ちゃんと昨日会いましたよね!!
そうだ!!昨日、あおざるさんに「剣」を渡しておいたんだった!!
今持っている「ヤスノブレード」は「スペア」で強度が若干弱い物・・・。
なんか「改造してあげるZE!!」とか、テンションを上げながら奪い取られたんだ!!
やすのぶ「あおざるさん!!僕の『ヤスノブレード』はどうなりましたか!?」
と、スペアの剣を渡しながら問いかける。
あおざる「 !!! 」
おっ!?あおざるさんの『瞳』がキラキラと輝きだしたぞ!?
やすのぶ「やっぱり・・・思いもしない様な「何か」が僕を待っているのでしょうか??」
あおざる「ふふ・・・・ふふふふふふふ・・・・・・・・」
すげぇ含み笑いが出た!!こ、これは『自分でも全然、想像もしていなかった成果』を出した時のあおざるさんの瞳ッ!!!
あおざる「はっはっはッ!!俺はヤッちまったZE!?やすのぶくんッ!!もう、太陽よりも今の俺は眩しいZE!!!」
異様な程テンションを上げながら「大きなかばん」に手を突っ込む!!
取り出したのは当然!!俺が昨日、あおざるさんに渡した「ヤスノブレード」だ!!
おっ!?なんだか剣のグリップ部分に宝玉が付いてるぞ!?
やすのぶ「あ、あおざるさん・・・こ、これはいったい・・・何ですか??」
ごくりと生唾を飲みながら質問・・・。
無知な俺はいつも、あおざるさんの開発品に驚く事が多い・・・。
前回は戦いの途中に剣をどっかに飛ばす事があっても『自動的に手元に戻ってくる』という仕掛けを施してくれた。
他にも体重を2分の1に軽減して『早く走れる様になる靴』。
もう言い出すとキリがない程、素晴らしいアイデアの数々を実現してくれている。
きっと今回も凄い「新機能」が追加装備されているはず!!!
あおざる「聞きたいかい??この『新機能』を聞きたいかい??」
やすのぶ「はいッ!!聞きたいですよ!!聞きまくりたいですよッ!!!」
コホンと小さな咳払いをしてあおざるさんは「ヤスノブレード」を抜き出した・・・・。
両手で高々と剣を構える姿は、俺が必殺技を放つ構え・・・「ヤスノ・ブーム」に似ている!!
手に力を込めて、少しばかりの魔力を宝石に送った・・・?
グリップの青い宝玉が仄かに光ってる・・・?
い、一体何が起こるんだ!?!?
あおざる「ふっふっふ・・・みてごらん・・・。この『奇跡』WOッ!!!」
言ってあおざるさんが両手を対称的になる様に離していった!!
俺は目を疑った事は言うまでもない!!!
1本しかなかったはずの「剣」を、今、目の前で「左右対称」になるように・・・『2本』に分けたんだ!!
今、あおざるさんは左手に1本のヤスノブレード、右手に1本のヤスノブレード・・・。
合計、2本のヤスノブレードを持っているッ!!!
やすのぶ「ば、ばかな・・・?ありえないよ!?1本の剣が・・・」
!!
言って少し考えてみるが、俺の必殺技に「ヤスノブラボー」と言う技がある・・・。
この必殺技は「剣を一振りする瞬間に『剣の分身』を発生させて、命中率を上げる必殺技」だ。
もしかして、あおざるさんは・・・・
やすのぶ「は・・・ははは・・・あおざるさん!!その剣、どっちかが『分身』なんでしょう!?」
自信満々にファイナル・アンサー!!
さっきのスペアの剣には宝玉が付いてなかったから、それを出したとは思わないしね!
絶対正解だよ!!
やれやれ、もう少しで騙される所だった・・・。
いくらなんでも『金属精製されている剣を分裂させる』なんて出来る訳がない!!
と、安堵しているのも束の間!!
ポイッとあおざるさんが左手の剣を俺に投げ渡したッ!!!!
あおざる「ノンッ!ノンッ!ノンッ!ノンッ!!馬鹿にして貰っちゃ困るYO?俺は『P・E・T・E・N』じゃないんだZEッ!?」
い、今になって思うが何故、語尾がアルファベットになるんだろう?
この人、ヒップホップが好きなのか?等と思いながら剣を手に取る・・・。
あおざる「そらっ!もう一本DAッ!!」
言って、右手の剣も手渡した!?
す、すごい!!本当に剣が2本になってるッ!?
あおざる「分子レベルでの分裂を可能にしちまうなんて俺って天才・・・いや、K・A・M・Iだな・・・。」
やすのぶ「あ・・あわわわ・・・・・」
これはもう、出せる言葉は驚き以外に無いッ!!
ほ、本当に剣が2本になっている・・・・。
手にとって、剣同士を叩き合わせるが高い金属音が鳴り響く・・・。
やすのぶ「あおざるさんッ!!あんた神だよっ!!界王だよッ!!海賊王だよ〜〜〜〜ッ!!!」
すげぇ!!感動のあまり涙を流しながら抱きついちまう!!!
こんな・・・こんな天才がウチみたいな貧乏な会社にいるなんてっ!!
絶対どこかの研究室に入った方が良いと思う!!
これ、『特許申請』出して会社辞めた方があおざるさんは儲かるんじゃないのかッ!?
あおざる「はっはっは・・・俺は『界王』かい?『海賊王』かい?」
やすのぶ「はいっ!!『花王』も『バイク王』もみんな、あおざるさんには敵いませんッ!!」
テンションが高くなり、鼻を高く身を仰け反らせるッ!!!
声も高らかに腕を振りながら叫んだ!!!
あおざる「これが今回の発明品ッ!!その名も『ヤスノ・ブレイズ』だぁぁァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!」
やすのぶ「ありがとうッ!!!ありがとう!!あおざるさんッ!!!」
こうして、会社にはこの日『お客様』は来なかったが実に充実した日を送る事が出来た・・・。
これで俺の装備品は更にパワーアップを果たした・・・。
しかし、この細工は決して普通の細工師では可能にはならない・・・。
常に弛まない努力を惜しまなかった者だけが手に入れる事ができる秘術なのだ・・・。
俺の心から尊敬する『細工師』・・・その名は「あおざる」・・・。
あおざるさんは俺が尊敬する世界でもトップレベルの細工師である。
・・・・・・・・・・・・
だが・・・・
あおざるさんがお酒を飲んでいた時に言っていた・・・。
世界には驚く様な「細工師」が存在するらしい・・・。
その身を削り、血ですら惜しむことなく『細工』に命を賭け・・・身を投じる者・・・。
無知な俺はよく知らないが今では無くなってしまった「古の禁術」を使う細工師の存在・・・。
一度だけ聞いた事のあるその名は・・・・
『禁断の細工師、アレム』・・・。
自らの武器や防具だけではなく・・・行き着いた果てに、その『体』までをも細工しているという男・・・。
正義なのか、悪なのか・・・俺には全く見当も付かない・・・・。
どれだけ強いのかも全く解らない・・・。
それでも・・・
一度会って、『あおざるさんが造ったヤスノブレード』で勝負してみたいなどと思う事もある・・・。
NORMAL END 『 やすのぶと細工師な一日 』