いきなり外へ出てしまうのは何だか少し勿体ない気がする。
抜け穴の近辺を少し散歩すると、むむむ???
今度は「執事姿」のイカツイ兄貴が草むしりをしているのを見つけた。
どうやらこちらには気づいていない様子・・・。
GEIZU「くそぉ・・・何度刈ってもすぐに生えてきやがる・・・。」
イカツイ兄貴、GEIZUはこの「クラージュ公爵家の執事」。
この屋敷の主人クラージュは「騎士」として、その称号を確固たる物にしているのだが、このGEIZUという男は騎士を目指して
クラージュ家の執事をしている。
実はコイツ!!俺が一番苦手とする男である!!
クラージュが作った「剣団衆」という強者の集まりの中でも1,2の実力の持ち主というが、はっきり言って俺はそうは思わない・・・。
人がいる場所では控えているが、俺を見つけると・・・・
GEIZU「あっ!!フェイトちゃん?」
フェイト「 !! 」
目が輝いてる!!
やばいッ!!俺に気づいた!!!
この場合!!100%の確率でッ!!!
GEIZU「うぉぉ〜〜〜〜〜!!!今日こそは抱かせてくれ!!!そのモワモワの毛に顔を埋めさせてくれ〜〜〜〜〜ッ!!!!」
こ、断るッ!!
俺は基本的にヤスノブくん以外に抱かれるのは嫌なんだッ!!
ぜ、絶対に捕まるもんかッ!!
・・・・・・・・・・・
と、2分程追い駆けっこしたが今日の俺は少し調子が悪いのか??
屋敷の庭の隅へと追い込まれ、少しずつGEIZUがにじり寄ってくる!!
くんなよッ!!俺を抱いて良いのはヤスノブくんだけなんだっ!!!
首をフルフルと横に振りながら後ずさっているとGEIZUの後ろから近寄ってくるドレスを着た女の人の影!!
人間の大人っぽい女性の代表ともいえるこの風貌!!
最近はやりの「せれぶ」とはこの人のことを言うのだろう!!
腕には「ヤスノブくん」を抱いている!!
そう!!あ、あれはッ!!
tomimari「GEIZU?何をしているのです?もう草むしりは終わったのですか??」
GEIZU「んッッ!!?ギクッ!!!こ、この声は??」
タッタッタと飛び跳ねるようにtomimariさんの足下へと擦り寄る俺ッ!!
流石、ヤスノブくんのお母さんだ!!俺のピンチに現れてくれるなんて、俺にとってもあなたはお母さんだよ!!
ふわりとスカートを靡かせながら屈み込んで笑顔を見せるtomimariさん。
tomimari「フェイト、もしかしてGEIZUに虐められていたんじゃないの?」
フェイト「 ! 」
コクンと頷く俺!!
GEIZU「えっ!?ち、違いますよ??俺はただ・・・」
tomimari「ただ・・・何?」
GEIZU「い、いえ・・・あの・・・その・・・・」
横目でGEIZUをにらみつけるこの表情!!
怖えぇ・・・。
ダウンタウンの浜田ですら、今のtomimariさんには敵いそうもない表情だ!!
ヤスノブ「だぁ!!だぁ!!!」
赤ん坊のヤスノブくんが俺の頭をポンポンと叩いてくる。
嬉しい!!とてつもなく嬉しい!!!
1年前、この屋敷の執事だった男「セルティック」の凶刃の前に一度は殺されてしまったが、
神様が起こしてくれた奇跡か?無事にヤスノブくんは赤ん坊として「転生」してきたのだ!!
すごく綺麗な心を持っていたので神様がtomimariさんや俺の下へとヤスノブくんを返してくれたんだと確信している。
赤ん坊ながらに体から溢れ出る波動は前のヤスノブくんと遜色ないし、なにより・・・
ヤスノブ「だぁ!!!」
親指と人差し指と小指を立てて挨拶するのだ!!
これは昔からのヤスノブくん流の挨拶!!!
一説には「小指がヤスノブ君」、「人差し指がtomimariさん」で「親指が俺」らしい。
(正しくは「親指、クラージュ」さんです。)
tomimari「GEIZU、私がいいっていうまで正座してなさい・・・。」
GEIZU「そ、そんな奥様!?俺は・・・俺は無実ですッ!!お、奥様〜〜〜〜〜ッ!!!」
むなしく、GEIZUの声が大きな庭に響き渡る!!
俺はヤスノブくんと一緒にtomimariさんの腕に抱かれながら「クラージュの屋敷」に入る事が出来たのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
屋敷の中へ・・・