題名:走れ!イデアツーリストのヤスノV




剣を持つ者の「卑劣な行為の一つ」として相手の背中への攻撃が上げられる。




更に剣を抜いていない相手に対しての抜刀は最も卑劣な行為・・・。




許される行為ではない。






また、逆に「剣を持つ者が背中に攻撃を受ける」という事は「敵前逃亡をした」とか「油断をしていた」と見なされ


騎士としての「精神」を問われる事がある。






だが、すべての騎士が常に背中を警戒して戦っている訳ではない。


ある時は「信頼する人物」に背中を預けて敵に立ち向かう。








そうする事により騎士は「背中」を気にする事無く、存分に剣を振るえるのだ。








しかし、「背中を預けた最も信頼する仲間」が裏切った場合・・・




それはその騎士の「確実な死」を意味する。












今回のお話で「辻斬り」にあった少年「ヤスノブ」・・・。






前回のwashinkoの活躍により「ヤスノブの顔見知り」が犯人である事が判明した。








彼は「信頼する人物」と共に行動をして「手に掛けられた」のだが・・・




一体誰が「少年ヤスノブ」を殺害したのだろうか?












第6話「秘剣、クラージュ」(クラージュ & tomimari編)     〜〜〜中後編〜〜〜 




やすのぶがクラージュに修行を受けて7日目。




晴れた草原の息吹・・・


今日もwashinkoは「少年ヤスノブの殺害された現場」の切り株に座って俯き気に何かを考えている・・・。




Washinko「・・・(入院していた一般人にあって辻斬りにあった時の状況を聞いたが・・・)」




不機嫌そうな顔付きで目を閉じるwashinko・・・。




一般人から得られた情報は「気が付いたら倒れてた。」とか「目が覚めたら病院だった」などの回答ばかりで


役に立つ情報の一切が得られる事は無かった・・・。




斬られるまで「何の気配」もなく、斬り付ける辻斬り魔・・・。




達人級の剣士である事は間違いが無いだろうが、それだけでは犯人を特定する事は出来ない・・・。




Washinko「やはり「眠傀に集めてもらっている資料」がキーポイントになるのだろうか・・・?」




Washinkoはゆっくりと立ち上がると「地面に引かれた線」の方を見つめる・・・。






キラッ・・・・






washinko「ん?」






「引かれた線」の中、埋まるように何かが黄色く光るのを見つけるwashinko・・・。






Washinko「何かが光ったようだが・・・?」




ゆっくりと「線」を壊さないように「黄色く光る何か」を取り上げる・・・






土に埋もれていたのは「親指大の黄色く光る宝石」・・・それは「黄色く光る琥珀」である・・・。




Washinko「何故・・・こんなところに宝石が・・・?」




クイっとメガネのずれを直すwashinko・・・。




丁寧に「大きなかばん」からハンカチを取り出すとそれを包み込み、しまいこむ・・・。




Washinko「まったく・・・不可解な事が多いな・・・この事件は・・・」




不機嫌そうに「殺害現場」を立ち去っていくwashinko・・・。






今日は「眠傀が集めた資料」を見る為に待ち合わせをしているようだ・・・。




顎に手をやり・・・考えながらドルロレの市役所へと向かっていくwashinko・・・・。






プロフェッサーwashinkoの推理は・・・まだまだ終わらない・・・。














・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










燦燦と太陽の光が降り注ぐ・・・少しばかり暖かくなり始めた「草原の斜陽」・・・。


春の匂いを風に乗せながら二人の男女が「追いかけっこ」をしているようだ。










☆はな〜♪☆「うふふふふふ・・・・どうしたの?こっちよーーー?」






パンサー「・・・・・・」




可愛らしい声を上げてパンサーに手招きをする☆はな〜♪☆。




しかし、パンサーはその手招きに眉をしかめて走っている。








☆はな〜♪☆「くすくすくす・・・まだ私に「触れる事」もできていないわよ?だっらしなーーーい!!」


小悪魔っぽくパンサーに向かって微笑む。




その微笑はこの男にとって痛烈に心を傷つけるもの・・・。


パンサー「・・・・・・・・」


パンサーの修行は「第一段階、MP配分」をクリアーして現在、第二段階である・・・。


それは「スピードアップを図る」というものだったのだが・・・






パンサーはゆっくりと走るのを止めて屈む様に両膝に手を置き、息を荒げている。


目一杯に息を整え、歯を食いしばるが☆はな〜♪☆はとてもではないが捕まえられる距離にはいない。










☆はな〜♪☆「うふふ・・・これじゃ貴方が手も足も出なかった「ワーウルフ」の方が強いかもーーー!!」


パンサー「!」


☆はな〜♪☆の挑発とも取れる「声」にパンサーは厳しい目線を向ける!






☆はな〜♪☆は笑いながら、両手を口に押し付けてピョンピョン飛び跳ねた。






その姿を見て、いい加減腹が立ったパンサーが怒鳴り上げて火の魔法の詠唱を始めた!!!




パンサー「待ちやがれーーーーーッ!!!!こんにゃろーーーーッッ!!!!」






怒髪を上げて両手に「炎」を作り出すパンサー。








一気に大声を張り上げてそれを☆はな〜♪☆に向かって投げつける!!




パンサー「炎と我に・・・以下省略×8ィーーーッ!!」








八方から以前と比較して「パワーアップ」した火の魔法が☆はな〜♪☆に襲い掛かる!!




しかし「パンサー同様火属性」の☆はな〜♪☆は燃え盛る「パンサーの炎」を涼しげに笑いながら見つめると


持っていた「長刀」を片手でクルクルっと振り回す。








円を描いた線は「面」となり、鏡の様な「光の壁」を作り出す。








☆はな〜♪☆「咲きかえれっ!万華鏡ッ!!!」




☆はな〜♪☆の特殊能力は「光に質量」を持たせる。




☆はな〜♪☆の「光り輝く闘気の壁」に触れた「パンサーの炎」を硬質化させて8個の「炎」を勢いよく跳ね返した!!








パンサー「ッ!!ま、またッ!!?」










ドドドドドドドドーーーーーーーンッ!!!!












☆はな〜♪☆「懲りない男・・・ってか学習能力がナイぞー?パンサーくん?」


遠くの方から大きな声でパンサーに声を掛ける☆はな〜♪☆だが、真っ黒こげになったパンサーは無残に目を回している。


☆はな〜♪☆「はぁ・・・やれやれ。」




ため息を居つきながら倒れこむパンサーに近寄ると「魔法の詠唱」をしながらサッと指を振る。








・・・・・・・








☆はな〜♪☆「どう?目が覚めた?」






パンサー「ぐぐぐ・・・ち、ちきしょう・・・なんで・・こうまで・・・いい様に・・・。」


炎の魔法に対して「絶対の自信」を持つパンサーにとって「受け入れがたい現実」に悔しさがこみ上がる。


攻撃力に関して「大して差がない相手」・・・いや、むしろパンサーの方が攻撃力では強いにも関わらず「ボロボロ」に負けた事に両手をダンと地面に叩きつけた。








☆はな〜♪☆はパンサーの前に立ち、宥める様に優しく声をかける。




☆はな〜♪☆「MP配分もできる様になって確かにマシになった・・・。
          パンサーくん?ハッキリ言って貴方は弱くは無いわょ?
            でもね・・・現状で強いのは「攻撃力」だけなのよ。」


パンサー「・・・・・・」


☆はな〜♪☆の発言を俯きながら黙って聞くパンサー。








☆はな〜♪☆「「防御力」と「スピード」に関しては・・・言っちゃなんだけど「やすのぶくん」よりもずっと低い。魔法使いだから「防御力」はいいとして「スピード」が無いのは致命的だわ・・・。」






☆はな〜♪☆の解説を聞き終える間もなくスクッと立ち上がるパンサー。




パンサーは「淡々」と話し続ける☆はな〜♪☆に大きな声で言い放つ。








いや、怒鳴り上げると言う表現の方がこの場合は正しいであろうか?






パンサー「言われなくっても解ってますよ!!だからこの修行をずっと・・・ずっと続けているんです!
       でもね、☆はな〜♪☆さんっ!!魔法使いの俺が「探検家」の☆はな〜♪☆さんなんかに
          追いつけるわけ無いじゃないですか!?」








目を大きく開けてパンサーを見つめる☆はな〜♪☆。




しかしすぐさま☆はな〜♪☆は腕を組み、顔を斜め下に向けながら大きなため息を付いてパンサーの問いかけに返答した。








☆はな〜♪☆「はぁーーー、だから貴方は何時まで経っても「私に追いつけない」のよ?そんなんじゃ憧れの「かすみさん」に追いつくのはまだまだ先ね・・・。」


パンサー「な、なんだとっ!?契約社員のあんたにそんな事言われ・・・」








☆はな〜♪☆の返答に言い返そうとするがキッと睨み返してパンサーの発言を潰す。








☆ はな〜♪☆「契約社員って言うけど私は会社を辞めるまでは「次長」だったのよ?はぁ・・・まったく・・・ダメダメねぇ。追いつけないなら「追いつく方法」を考えなさいッ!!追いつく方法すら「人に聞かなければ理解できない」の?貴方はッ!?」
「次長 : 部長の次に偉い人です(´▽`)/」








パンサー「ぐっ・・・ぐぐぐ・・・・」


歯を食いしばって涙目を浮かべるパンサー・・・。






☆はな〜♪☆「さぁ、おしゃべりはお仕舞い。悔しかったら早く私を捕まえることね?」








ダンッ!!








舌を出して突如、大きくパンサーから間合いを開ける☆はな〜♪☆。


その大きな間合いは「10m以上」の距離・・・。








確かに魔法使いのパンサーにとって「たった一歩」で10mの距離を跳ぶ☆はな〜♪☆を捕まえる事は難しい。








しかしパンサーの心の中は今、「怒りの炎」で燃え盛っている。


パンサー「待ちやがれ!!こんちくしょーーーーッ!!!」












汗をダクダクと流しながらも☆はな〜♪☆を追いかけるパンサー。














パンサーの修行「火達磨悶絶地獄」も又、まだまだ終わりそうにない。












・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一方その頃、「町外れの牧場」。








薄いピンクのペンキに塗られたその「牧場」は今日もいつもと変わらない「昼時」を迎えていた。


牧場の二階・・・






ドアに掛けられた木で出来たネームプレート・・・・。






赤い文字で書かれているネームは「アリッサ」・・・。














そう!!久しぶりに出番がまわって来た「アリッサ」の部屋がある。










アリッサ「うふふふふ・・・・やっと届いたわ!!」


アリッサの両手には大きな「茶色い包み」が持たれている。


その茶色い包みには「りんご魔法急便」と書かれているので「届け物」であろう。








アリッサは自室に入り込むと嬉しそうに包みを広げていく。


中身の物を取り出す時間も惜しいのか?無造作にビリビリと包みの包装を破るアリッサは正に子供の様だ。


一体何が彼女の元に届いたのであろうか?










アリッサ「うふふふふ・・・これこれ・・・これが欲しかったのよね〜〜。」










目尻を下げて取り出した物は装飾の施された美しい「鏡」である。


新品のその「鏡」はアリッサの顔を綺麗に映し出している。


女性の必需品である「鏡」であるが、流石にアリッサも女の子。


ブロンドの髪を砥ぐのに鏡を買ったのであろう・・・。






アリッサ「ふふふふふふふふふ・・・・・・・」












アリッサ「あ・・・あは・・・あはははははははは・・・・・」


しかし、何故かその美しい鏡を前にしてアリッサは・・・不適な笑みを浮かべていく・・・。




この笑い方・・・誰かに似ていて「結構怖い」・・・。












アリッサ「これで・・・これで誰にも気付かれず・・・」












アリッサ「おけな様を見守っていられるわッ!!」








!!!?




アリッサ「紹介するわ!この鏡は「追跡の鏡」と言って「ターゲットとなる一人だけを随時ッ!!映し出してくれるアイテム」なの!!!」




誰かに向かって突如「アイテムの説明」を始めるアリッサ・・・。


アリッサはまさか・・・まさかこのアイテムを使用して・・・




アリッサ「そうッ!!今までは「イデアツーリストの会社の影」とかでおけな様を見守っていたけど・・・これで「愛しのおけな様」を何時でも見守れるわッ!!!」








・・・・・・・・・












・・・・・・・
















恋する乙女を通り越して・・・100%ストーカー行為だよッッッ ??Σ(つд`||)!!??










アリッサ「ふふふ・・・誰になんと言われようとッ!おけな様を見守るのは私の役目よッ!!さぁ鏡ッ!!愛しい愛しいおけな様を映し出して頂戴なッ!!!」










グニャグニャグニャ〜〜〜〜〜・・・・










アリッサの姿を映し出していた鏡が歪んでいき・・・少しずつ「街の風景」を映し出していく。


アリッサは赤い顔をして胸をドキドキさせている。




アリッサ「ッッ!!?」




目を大きく開け、鏡に両手を付く。










ギリギリギリギリ・・・・・












少しずつ汗を垂らしたかと思うと・・・急に歯軋りをして怒鳴りだした・・・!!!




アリッサ「い・・いったい・・いったい・その女は・・・誰だって言うのよッ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」






・・・・・・・・・・・・








鏡に映し出された「草原の街道の病院」の前・・・。




確かに「社長おけな」が映っているが「ピンクの鎧」を身に付けた見知らぬ女性が社長おけなの前に立っている。






その見知らぬ女性は「おけなの奥様」でもなければイデアツーリストの社員でもない。






二人は嬉しそうに笑顔を浮かべて向かい合っている。














アリッサ「ふ、ふざけるんじゃないわよッ!!私のおけな様に勝手に近寄るんじゃないわよっ!?」


バンバンと鏡を叩くが二人にはこちらの声は聞こえない。












そしてやはり「鏡」は「映し出すだけ」の用途のもの・・・。


おけな達の声がアリッサに聞こえる事は無い。












おけな「悪かったね・・・。ドルロレで普通に暮らしていたのに「こっち」に呼ぶ事になって・・・。」








????「何言ってるんですか?私とおけな隊長・・・じゃなかった!!おけな社長の仲は「兄妹」みたいなモノじゃないですか?」








久しぶりの再開に満面の笑顔の女性・・・年の頃は20前半と言ったところか?






しかし「暖かくなりだしている春の陽気」にも関わらず・・・平和な「草原の街道」で「鎧に盾」を持つと言う重装備・・・。


一体おけなとはどういう関係の女性なのであろうか?










おけな「でも、ジェイツがイデアに来てくれるなんて思ってなかったなぁ・・・。姉さんは元気なのかい?」




ジェイツ「えっへんッ!!姉さんはティモーレに行っちゃってますけど、私の「経理能力とお掃除能力」は姉さんの上を爆進中ですーーー。イデアツーリストの経理と掃除は私に任せて下さいッ!!」


明るい笑顔でVサインを出すジェイツ。どうやら「姉もいる」様子。


明るい笑顔の彼女、ジェイツはイデアツーリストの新入社員のようだ・・・。








明るい笑顔の彼女、ジェイツは社長おけなが召喚したイデアツーリストの新入社員である。
常に「姉」のお下がりの「暗黒の鎧」を身に付けているが、「10年前」のドルイ戦争の時からの一品である。
弊社、社長おけなとの「過去の繋がり」は明らかではないが「経理と掃除」に関しては「検定一級」の腕前を持つ
力強い味方である。少し物事に対して「忘れっぽいところがある事」をあえて付け加えておこう・・・。





ジェイツ「でもでも・・・イデアって言ったら「イデア国立総合病院」ぐらいしか知らなくって・・・迎えに来ていただいて本当にありがとうですーーー。」




嬉しそうにおけなの右手に両手で握手してお礼をいうジェイツ。










しかし・・・










その明るい笑顔を鏡越しで見ている「犯罪スレスレの少女」の表情は闇に満ちている・・・。






アリッサ「ぐぁーーーーーッ!!あたしのおけな様の手に触れやがったーーーーッ!!!」






ガリガリガリガリ・・・・・・




ジェイツの「あまりにも羨ましい行為」に・・・ものっそい爪を立てて新品の鏡に傷を付けるアリッサ。




不快なノイズ音がアリッサの部屋中に響き渡る・・・。






・・・・・・・・・








おけな「はっはっは・・・・お安い御用さ?これから一生懸命働いてくれるんだからね。」


ジェイツ「はいッ!「イデアツーリスト」は楽しい人が多いってお話ですから・・・とっても楽しみにしてました。」


ほんのり赤く染まった頬を両手で冷やすジェイツ。








新たな環境に期待を膨らませているようだ・・・。








ジェイツ「隊長・・・じゃなくって社長。この近くが会社なんですか?」


おけな「あ・・・?あぁ・・・歩いて10分ぐらいだから今から一緒に会社に行こうか?ジェイツは結構「方向オンチ」な所があるからなぁ?」


ジェイツ「はいッ!!ぜひぜひお願い致しますーーーー。」


そっとジェイツの肩に手を置いて優しく語り掛ける社長おけな・・・。


ジェイツの事を「妹」の様に大事にしている事が良く解る・・・。












しかし・・・・










おけながジェイツの肩に手を乗せたのを・・・見事なまでに勘違いしている「嫉妬爆裂の少女」の表情は般若のように変わり、殺意に満ちている・・・。












アリッサ「ガァーーーーーッ!!そんな「ヨロイ女」のどこがイイって言うのよッ!!おけな様ッッ!!私のおけな様が・・・私だけのおけな様がぁーーーーーッ!!!」




額には驚くほどの数の血管が浮かび上がり奇声にも似た叫び声を上げるアリッサ・・・。


















しばらく見ない間にアリッサは本当に「ダメ」になっていた・・・。




















アリッサ「ち、ちきしょう・・・この女・・・この女ァァーーッ・・・・」








ガチャ・・・・






マリー「お、お姉ちゃんッ?今ッ!!変な「ケダモノの声」が聞こえなかった!!!!?」




アリッサ「キャァーーーッ!!!い、いきなり部屋のドアを開けちゃダメでしょ?マリーッ!!!お姉ちゃん、そんな事すると怒っちゃうぞ!?」




言葉使いがおかしくなりながらも、慌ててマリーの方を振り向いて鏡を隠すアリッサ・・・。




引きつった笑顔で突然入室したマリーに駆け寄る。


アリッサ「牧場の仕事は3時まで無いからお部屋でゆっくり休んでいるのよ?分かったわね?」




マリー「う、うん・・・わかった・・・おねえちゃん・・・。」




少し汗を垂らして姉、アリッサを見上げるマリー・・・。




部屋に戻って行った事を確認すると一目散に鏡の前に戻り、再度おけな達の様子を探り出す。




・・・・・・・・・






ぐぅーーーーーーー・・・・・






ジェイツ「あっ!!」


顔を赤くしておけなを見上げるジェイツ。




おけな「んっ?もしかして・・・今のジェイツか?」




ジェイツ「は・・・はぅーーーー・・・スイマセンです・・・。ドルロレを出てから何も食べて無くって・・・。」




恥ずかしそうにお腹を撫でながら社長おけなを見上げるジェイツ・・・。




おけな「はっはっは・・・ジェイツは相変わらずだなぁーー?」




お腹の音は思いの外、大きめで照れて顔を背ける。
















しかし・・・・










ジェイツが「病院の前でお腹を撫でて恥ずかしそうにしている光景」に・・・見事なまでに勘違いをしてしまう「狂気爆裂の少女」!!
両目の瞳孔を開き、慌てふためき自我を失うッ。






アリッサ「ちょっとッ!?あなたそれッッ!!い、一体・・・・一体なんの「ジェスチャー」ッッ!!??
なんの「ジェスチャー」だって言うのよーーーーーーッッッッッッ!!??
ま、まさか・・・そのおなかの中には・・・おけな様の・・・おけな様の・・・!!??」




あり得ない勘違いをしながら、鏡を両手で強く握り締めるアリッサ・・・。




瞳孔を開いて放心気味に凝視する・・・・。














おけなは優しげな笑顔を浮かべてジェイツに答えた。




おけな「よしッ!!入社祝いにイデア料理を奢ってやろう!!」




ジェイツ「ほ、本当ですかーーーーーッ!?やったぁーーーーッ!!おけな社長大好きですーーーーッ!!!」




おけな「お、おいおい?あんまり引っ付くなよ?(鎧が「熱」を持ってて、熱いんだから・・・。)」






ジェイツはおけなの右腕に抱きついて街を歩いていった・・・。
















・・・・・・・・


















・・・・・・
















・・・・






ビシッ!!!






両手で強く鏡を握っていたアリッサ・・・。








どうやら握力で鏡を割ってしまった様子らしい・・・。






プツッとスイッチが切れたテレビのように鏡に映し出された「おけな達の映像」が消える・・・。






・・・・・・・・・・・・・・・・・








・・・・・・・・・・






・・・・・・・








くっくっくっくっくっく・・・・・・


















あの女・・・ヌッッコロスッッ・・・






































変なところで・・・「変な殺意」が芽生えていた・・・・。








・・・・・・・・・・・・










イデアシーサイドホテルのレストラン、海を眺めながら食事を取る二人。


イデア自慢の海鮮パスタを食べながらジェイツが口を開く。








ジェイツ「もぐもぐ・・・ふぅ・・・お料理は美味しいけど・・・食べるの疲れる・・・。」








少し眉をしかめてのんびり食事を取るジェイツ・・・。




かなりしんどそうに食事を取っているジェイツを苦笑いしながら見つめている。




ジェイツ「な・・・なんでいっつも・・・「ご飯を食べるだけ」で疲れるんだろうなぁ・・・?」




汗をハンカチで拭うジェイツだが、おけなはタバコに火を付けながらツッコミを入れる。




おけな「き、きっと「鎧」を付けながら食事を取っているからだろう?」




先程から「ピンクの鎧」を付けたまま行動しているジェイツ。


鎧の総重量は50kgを超えている。








ジェイツは戦士としても「有能」であるが流石に「常時、鎧での行動」には限界が来ているのか?


料理を食べながらもかなり汗をかいている。






しかしジェイツはおけなに向かって口を尖らせてこう言った。




ジェイツ「この鎧はおねえちゃんのお下がりです。邪険には扱えませんよぉーー。」


おけな「・・・・・(こんな海風のキツいイデアで鎧を常に着ていたら・・・あっという間にサビるだろうけどな・・・。)」






重要なツッコミはあえて心に伏せて、おけなは灰皿にタバコの灰を捨てる。








ジェイツ「ところでおけな社長?私が来た時・・・病院から出てきましたよね?」




おけな「あ?あぁ。社員が二人入院しててな・・・。」


社員たけやすと闇慈が入院しているイデア国立総合病院。


ジェイツを待っている間、おけなは二人の見舞いをしていたようだ。


しかし、おけなは暗い顔は見せずに灰皿に置いていたタバコをスッと取り上げる。


海を見渡しながら少しニヤリと笑みを浮かべて話し続ける。




おけな「もう、「算段」は付いたけどな・・・。」


ジェイツ「?? 算段?ですか・・・?」


ジェイツはムール貝をフォークで取りながらおけなの話を聞いている。


ジェイツはおけなの表情の理由を深くは知らない。


頬にトマトケチャップを付けたまま、明るい笑顔で社長おけなに言い放った。


ジェイツ「「隊長」の「算段」は完璧ですもんね・・・昔っから・・・」




おけな「いやいや・・・完璧かは解らないけど・・・いい方向に向かっているよ・・・。」




社長おけなの脳裏に何が巡っているのか?


今は解らないが社長おけなの表情は以前とは変わり、少し穏やかになっていた。




おけな「・・・あとは・・・「辻斬り魔の捕獲」と「自称、正義の味方」の修行の行方なんだが・・・」




おけなはタバコの煙をスッと肺に吸い込んで海岸沿いを見つめる。




その海岸沿いの先には「剣聖クラージュ」の屋敷が見えていた。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・






・・・・・・・・・・・・・












やすのぶ「でぇーーーーりゃーーーぁーーーッ!!!」






ブンッ・・・!!


パシャ・・・パシャ・・・




GEIZU「フンッ!!」


やすのぶの素早い一撃を紙一重で交わすGEIZU。


スレスレで避けた為、頬に赤い擦り傷が浮かび上がる。




クラージュ邸の敷地内にある剣闘場にはクラージュ、セルティック、GEIZU、モカ、やすのぶの5人が居るのだが・・・


今、GEIZUとやすのぶが「一騎打ち」の真っ只中のようだ。


やすのぶ「やるなッ!?GEIZUくんッ!!」


GEIZU「今度はこちらの番だッ!」




ブンッ!!!


パシャパシャ・・・




やすのぶはGEIZUの必殺ともいえる鋭い木刀の一撃を大きく仰け反り、避けている。


その大きな間合いの取り方にクラージュが怒鳴りあげる。




クラージュ「馬鹿者ッ!!それでは反撃できないだろう!!」


パシャパシャ・・・




GEIZU「フッ・・・。」




GEIZUが笑みを浮かべたと思いきや一気に間合いを詰める!!


やすのぶの脇腹にキツイ一撃が襲い掛かったッ!!




パシャパシャパシャ・・・・パシャパシャ・・・






ガンッ!!!




やすのぶ「グ・・・ァ・・・」


あまりに威力のあるGEIZUの攻撃に思わず屈み込むやすのぶ・・・。


ガランと木刀を地面に落として不甲斐なく地面に額を付ける。




パシャパシャパシャパシャパシャパシャ・・・パシャパシャ・・・・






GEIZU「どうだッ!?これが俺の力だッ!!」




やすのぶ「ぐぐぐ・・・・さ、流石・・・GEIZUくんだよ・・・」




誇らしげに木刀をやすのぶに向けて笑顔を見せるGEIZU。


やすのぶは眉をしかめ、脇腹を押さえながらGEIZUに答える。




パシャパシャパシャパシャパシャ・・・・






セルティック「・・・・・・・」


モカ「・・・・くすくす・・」


クラージュの後ろで見学していたセルティック・・・何も言わずに悲しそうな瞳でずっと斜め下を向いている。


そしてモカはというと、両手で口を押さえて笑いを堪えている・・・。




クラージュはGEIZUとやすのぶの方へとゆっくりと歩いていくと腕を組み、GEIZUに大きな声で怒鳴りあげる。




GEIZUに不備な点でもあったのであろうか・・・?




クラージュ「GEIZUッ!!!」


GEIZU「は・・・ハイッ!!クラージュさまッ!??」




クラージュ「・・・・・・・・」






クラージュはやすのぶにスッと手を差し出してやすのぶを立たせる。




そしてゆっくりとGEIZUの方を向いてこう言った。








クラージュ「やすのぶたん相手にムキになっちゃダメだろうッ!!いやッ!!むしろ勝っちゃダメッ!!!」






GEIZU「エェーーーーーッ!!??」


やすのぶ「ちょ?そ、それじゃ修行にならないじゃないですかッ!?クラージュさんッ!?」




剣を教える者とは思えない言葉に愕然として反論するやすのぶ。


GEIZUの攻撃は非の打ち所はまったく無く、芸術的な攻撃だったが逆にそれがクラージュにとって不満だった様だ・・・。




クラージュ「はぁ・・・やすのぶたんのカッコイイ所・・・撮ってあげたかったのに・・・。」


クラージュは悲しげに右手に隠し持っていた「カメラつき携帯」の画像を見つめだす・・・。






GEIZU「ク、クラージュ様ッ・・・い、今は稽古中ですよッ・・・?」










セルティック「は、果てしなく、公爵家の面目・・・ま・・丸潰れ・・・・・」


泣き声で裏返った声を上げつつ・・・両手で顔を覆いボロボロ泣き出すセルティック・・・。






やすのぶ「さ、さっきっからパシャパシャパシャパシャいってたのは・・・携帯のカメラの音だったんですか・・・?」


汗を垂らしてクラージュに苦笑いするやすのぶ・・・。








モカ「もうクラージュ様・・・エッチィチィすぎですーーーー(*ノ▽ノ)」


やすのぶ「・・・やっと・・・ちゃんと「修行」出来ると思ったのに・・・」




流石に悲しげなやすのぶ。




確かに・・・・


「師匠」がこれではあまりに弟子は報われない・・・。




クラージュ「むっ!!み、みんなしてそんな事言うなよッ・・・。」


弟子たちの白い目に慌ててクラージュは腕を組んで全員にかっこよく?優しい声で語り掛ける。




クラージュ「このSSで撮った剣を振ってるやすのぶくんを見て・・・何処をどう直したらいいのかを指示してあげようと思ったんだ!!」




フッと笑みを浮かべて、真剣な眼差しのクラージュ。


しかしセルティックは悲しげに斜め下を向きながらクラージュに力強く口を開く。






セルティック「だったら「やすのぶくんのSSを「ハートの枠」で・・・デコらないで下さいッ!!」」
(デコる=デコレーションするの略です(;´▽`)ノ)




モカ「後ろから見てて・・・エッチィチィですーーーー(*ノ▽ノ)」






クラージュ「だ、だって・・・カワイイんだもんッ!!!しょうがないじゃないかッ!!!しょうがないじゃないかッ!!!」








GEIZU「いい加減ツッコミますけどッッ!!!・・・クラージュ様「ダメな人」になりすぎですッ!!!」


( ※注意 本物のクラージュさんは変な人ではありません。ちゃんと良識の有るカッコイイ人です(;´▽`)ノ)












パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ・・・・・












開き直ったのか解らないが、弟子達からの一斉のブーイングにも怯まず! やすのぶのSSを撮りまくるクラージュ・・・。




しかし、クラージュの行為もここまでのようだ・・・。










ガンッ!!!










クラージュ「ゴォッ!??」




tomimari「まったく・・・何をやっているのよ・・・クラージュ・・・。」






いつの間にか剣闘場に入ってきたtomimari。


ドレス姿のまま、呆れた顔で両手を腰に据えている。


気付かれないように背後に回り・・・殴ってクラージュを止めたようだ・・・。








最早、クラージュ相手にツッコミをできる人物はtomimariを置いて他にはいない・・・。


セルティック「お、奥様・・・ありがとうございます。我々ではクラージュ様を止める事は困難を極めまして・・・。」


tomimari「いいのよ・・・っていうか本当に迷惑掛けるわね・・・みんな・・・。」




頭を押さえるクラージュを無視して、ため息を付きながらセルティックに話しかける。


tomimari「クラージュ・・・もうすぐ3時半よ?修行はここまでね?」




眉をしかめつつ懐中時計の針をクラージュに見せるtomimari。






モカ「あぁ!もうそんな時間ですか?「お料理」作らないと!!」




GEIZU「あ!?今日は俺が「屋敷の掃除当番」だったか?」




セルティック「あぁ・・・。私は「庭の手入れ」だったな。」




やすのぶ「僕は「買い物」だ!!」




ここからの時間は「使用人」として働かなくてはいけないようだ。




クラージュは悲しそうな瞳で皆に言い放つ。


クラージュ「はぁ・・・じゃぁ皆(特にやすのぶたん)と離れるのは辛いけど・・・お仕事頑張るんだよ・・・。」




みんな「は、はい・・・!!」




汗を垂らしつつもそれぞれが使用する「木刀」を剣闘場の壁へと掛ける。


上からセルティック、GEIZU、モカ、やすのぶと順番に木刀を丁寧に置くと「使用人としての仕事」の持ち場に走っていった。




やすのぶは2日目からクラージュの屋敷で「使用人扱い」されている。


stallも2日目に「ドルロレ」に帰り、今回の「辻斬り事件」を解決する為に「一働き」しようと考えているようだ。




クラージュは悲しそうに座り込み、ボソッと口を開く。


クラージュ「はぁ・・・仕事なんてほっといて俺と「お話し」して欲しいのに・・・」


tomimari「ダメッ!!やすのぶくんを「特別扱い」しちゃダメって言ったでしょう?お客様扱いを何時までも出来るわけ無いじゃない・・・。」


クラージュ「あぁ・・・わかってるが・・・でも、やすのぶくんはおけなの所の社員だから・・・いろいろ思い返してしまってなぁ・・・。」




剣闘場の床に座り込み、あぐらをかいてにこやかにtomimariに話しかけるクラージュ。




tomimari「もう!!やすのぶくんが来てから何回も聞いてるわ・・・。また時間がある時にすればいいでしょう?」




子供を宥めるようにニコッと笑うとtomimariはクラージュを起き上がらせる。




クラージュ「あ、あぁ・・・そうだな・・・tomimari。」










クラージュはtomimariの手を引いて、壁にかけてあった木刀の前まで移動する。


全員が使用していた木刀の棚・・・。




クラージュ「・・・見てごらん・・・tomimari・・」




「一番下のやすのぶの木刀」を手に取り、それをtomimariに渡す。


渡された一番下の木刀の「柄」・・・。


それは異常なまでに「血」で汚れている。












tomimari「!!(うっ・・・!!)」








目に突き刺さる「赤い血」にむせ返るtomimari










最近「血の気」の物を見ると吐き気を催すのだが・・・


クラージュに悟られない様に笑顔で話しかける。










tomimari「あ・・・あらあら・・・これは・・・・すごいわね・・・・・・?」




セルティック達の木刀の柄にも「血」が付いて汚れてはいるが、それは「時間を掛けて滲ませた物」である。


やすのぶは「セルティック達」に追いつこうと必死の様だ。


夜はクラージュと共に「夜行」を行っている為に「木刀の柄」が血で汚れるのも無理は無い。




馬鹿なことばかりをしている様に見えて、実はちゃんとクラージュはやすのぶに修行をつけていた。




クラージュ「まぁ、修行も確実に進んでいるから心配しなくていいよ?tomimari。」




tomimari「当たり前です。これでやすのぶくんが強くなってなかったらクラージュを疑います・・・。」




クラージュ「はっはっは・・・」








tomimariの言葉に笑顔を見せるクラージュ。






クラージュ「・・・・・」






しかしその笑顔もいつもより元気がなく、少し俯いて悲しげな表情を見せていく。


クラージュ「・・・・・・」




tomimari「?」










クラージュの表情が気になるtomimariはクラージュに問いかける。




tomimari「どうしたの?クラージュ??急に塞ぎ込んで・・・?」




クラージュ「いや・・・最低だな・・・おれ・・・って思ってたんだ・・・。」




tomimari「な・・・何を急に?」




クラージュの突然の「反省の発言」に目を大きく開けて驚くtomimari。


一生懸命クラージュを元気つけようとする。








tomimari「そ、そんな事、今更言わなくっても大丈夫よ?私とクラージュとは夫婦じゃない?そんな事はわかってるから大丈夫!!」








クラージュに向かって、笑顔を見せながら勢い良く親指を立てるtomimari。


フォローと言うよりは「追い討ち」に似た発言・・・。








クラージュ「い、いや・・・そういう事じゃなくてだな・・・(tomimariは俺の事、普段どう思ってるんだ・・・?)」


クラージュは悲しげに俯いてtomimariに心中を露わにする。










クラージュ「一番大事にしたかった・・・いや大事にしなければいけなかった「ヤスノブ」を大事にする事が出来なかったと思って・・・。」










tomimari「ク、クラージュ・・・?」










クラージュ「ヤスノブの事は心の中ではいつも大事に思っていた。誰よりも強く愛し・・・誰よりも強くしてやりたいと・・・。」












tomimari「・・・・・・・」




クラージュはtomimariに顔を見せないようにと背を向ける。


わずかに震えるクラージュの声に悲しみの色を強く感じる。




クラージュ「やすのぶくんには確かに修行を付けてはいるが・・・ヤスノブ程厳しいものでは無い・・・。」


tomimari「・・・・・・・」


クラージュは目を閉じてヤスノブとの修行を思い出していく。












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




誰もいない筈の夜の剣闘場・・・。




大きな影と小さな影、二つの影が、目にも止まらない疾さでぶつかり合う・・・。


木刀で戦っているようだがその迫力は「修行」というよりも「殺し合い」に近い物を発していた。


敵に向かって走るその足音はあくまでも小さく、無駄がまったく無い。


小さな影は大きな影に何度も向かっていくが、その度に大きな音をたてて弾き返される。






ヤスノブ「ッ!!」






ガクンと足元がふら付き、一瞬の隙を生じさせてしまう小さな影、少年ヤスノブ。




クラージュ「愚か者ーーーッ!!!」




大きな影、クラージュから放たれる一閃に悲鳴を上げる。




ヤスノブ「ウッ!!ウワーーーーッ!!!」






ドガーーンッ!!!






クラージュの木刀の一撃が息子ヤスノブに情け容赦なく打ち込まれると一気に壁際まで吹っ飛ぶ。


少年ヤスノブは体を強く打ち付け、激痛に表情を歪めるが・・・クラージュから向けられたヤスノブへの言葉は罵声であった。


クラージュ「馬鹿者!!それでも私の息子か!!?今の一撃くらい避けれなくてどうするッ!!??」


クラージュの目は血走り、とてもではないが「息子を見る目」とは思えない。


そのあまりに「厳しさ」に満ちた目は最早「鬼」とも思える程の鋭い視線・・・。




ヤスノブ「ご、ごめんなさい・・・パパ・・・。」




クラージュ「謝る暇があったら少しでも強くなれ!!こうしている内にも及びも付かない悪が忍び寄っているかもしれんのだぞッ!!」


ヤスノブ「は・・はい!!」




激痛に耐えながら必死に体を起こすヤスノブだが・・・最早限界なのか?


剣で構えを取る余力すら残っていない。




クラージュ「何をしている?ヤスノブ・・・。」




ヤスノブ「・・・・・ハァ・・・ハァ・・・・」






クラージュ「剣も構えずにッ・・・この私を倒せるわけが無いだろうがぁーーーッ!!!」




バキーーッ!!!




クラージュの握ったコブシが息子ヤスノブの顔面に痛烈にヒットする。




ヤスノブはクラージュの威力あるコブシにとうとう「白目」を向いて倒れこんでしまった・・・。








ドガーーーーンッ!!!!




tomimari「ク、クラージュッ!!ヤスノブはまだ7歳になったばかりなのよ?こんな修行・・・ヤスノブには厳し過ぎますッ!!」




ヤスノブの修行を心配して影から見守っていたtomimariだったが、あまりにも過酷な修行に我慢できず飛び出してくる。


tomimariは涙を浮かべて息子ヤスノブを両手で抱きしめるとハンカチを取り出してヤスノブの口元の血を拭う。




ヤスノブは完全に気を失っている為、tomimariに倒れこむ様に身を委ねているが・・・クラージュはヤスノブの服を掴みあげて


平手で意識を戻そうとする。




バシッ!!バシッ!!




クラージュ「起きろ!!ヤスノブッ!!まだ修行は終わっていないぞッ!!!」




tomimari「や、止めてクラージュッ!!お願いだから止めてーーーッ!!!」




クラージュ「tomimariッ!!邪魔をするなら失せろッ!!今は修行中だぞッ!!」




tomimari「ーーーッ!!!」




この後、意識を戻したヤスノブは更に2時間・・・修行を行う・・・。




その2時間の間に17回・・・意識を失っては平手で起こされるという「反復」が続いた。






・・・・・・・・・・・・・






tomimari「う・・うぅぅぅ・・・・・」


修行の時間が終わり、ヤスノブの姿に涙を零すtomimari・・・たまらずにヤスノブを抱きしめる。


ヤスノブは体中がアザだらけになり、顔色は完全に血の気が引いている。


普通では考えられない位の打撲で体がどんどん腫れていく・・・。


クラージュ「今日はここまででいいだろう・・・。」




スッと目を閉じると息子ヤスノブを抱きしめるtomimariの方へと向かっていくクラージュ。




クラージュの所業に「ヤスノブへの気遣い」を感じ取る事ができないtomimariは大きな声でクラージュに言った。


tomimari「クラージュ・・・ひどいわッ・・・とてもではないけど「息子への仕打ち」とは思えないわッ!!」




クラージュ「なんとでも言え。俺は「俺の息子」だからこそ・・・と思ってやっているのだがな・・・?」




クラージュは涙を零すtomimariに「天使の涙」を手渡す。


tomimariは青ざめた表情で息子ヤスノブに「天使の涙」を急いで飲ませようとした。




クラージュ「それさえ飲めば「元気」になるんだ・・・。もっとも・・・そんなモノ必要じゃなくなって欲しいんだが・・・。」




tomimari「・・・ッ・・・・・・」






クラージュは優しい言葉を二人にかける事無く・・・剣闘場を後にする・・・。




そんな日が・・・連日連夜、2年近くも続いた。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






クラージュ「・・・・・きっと「ヤスノブ」は俺の事を憎み・・・恨んでいるだろうな・・・。」




tomimari「・・・・・・・」




クラージュ「どうして・・どうしてもっと・・・優しく接してやれなかったんだろう・・・。」


後悔の念に歯を食いしばるクラージュ。


過酷な修行に不満を一切、口にせず、必死にクラージュに付いてきた息子ヤスノブを思い返して大きく肩を震わせる。






tomimari「・・・・・・」


クラージュの心中に心を締め付けられるtomimari。


クラージュの背中にそっと抱きついて・・・優しく囁く。


それはクラージュのまったく知らなかった事・・・。




tomimari「ヤスノブは・・・あなたを恨んでなんかいないわ・・・。」








クラージュ「・・・な、なにっ・・・?」








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




tomimari「うぅぅ・・・ヤスノブッ・・・ヤスノブッ・・・・!!!」




涙を流してヤスノブに「天使の涙」を飲ませるtomimari。


ヤスノブは気を失っている為にすぐに飲ませる事が出来ないが・・・ゆっくりゆっくりとそれを口に注いでいく。




ヤスノブ「う・・・うう・・ん・・・・」


青白かった顔色に血の気が戻り、意識を取り戻すヤスノブ。




「天使の涙」の効果で体中の傷がふさがり、腫れが引いていく。




ヤスノブ「あ、ありがとう・・・ママ。また、「天使の涙」を飲ませてくれたんだね?」




嬉しそうに、恥ずかしそうに母親tomimariの腕に抱かれているヤスノブ。


tomimariはヤスノブのその声に思わず力一杯抱きしめる。




tomimari「ごめんなさいね、ヤスノブッ!!私たちの息子じゃないのなら・・・こんな思いをしなくてもいいかもしれないのに・・・。」




ヤスノブ「マ、ママ・・・?」




tomimari「ヤスノブも無理はしなくっていいのよ!!こんな修行なんて・・・辞めてしまってもいいのよッ!!」




両目から零れ落ちる涙は息子ヤスノブを心底から溺愛し、心配している事が感じ取れる。




しかし、息子ヤスノブはtomimariのその涙に笑顔で答えた。




ヤスノブ「ダ、ダメだよ!パパは僕の事を思って修行してくれてるんだよ?」




tomimari「だけどッ!!だけどッッ!!」




ヤスノブ「パパはとっても強い「正義の騎士」だから僕も早くパパみたいになりたいんだ・・・。
ママは知らないかもしれないけど・・・修行が終わった後の「パパの目」は・・・
とってもとっても・・・僕の事を心配した目をしてくれるんだよ?」




tomimari「ヤ、ヤスノブ・・・。」




悲しみの表情を露わにするtomimariに向かって「親指、人差し指、小指」を立てて・・・笑顔でtomimariと会話を続ける。




ヤスノブ「えへへ・・・大丈夫だよ!僕はパパの息子だし、ママの息子だからね!こんな修行ヘッチャラさッ!!早くパパより強くなってパパとママを・・・僕が守ってあげるからね!!!」




・・・・・・・・・・・・






・・・・・・・








tomimari「・・・・・って・・・言っていたのよ?あの子は・・・。」




クラージュ「・・・・グ・・・ゥゥ・・・」


tomimariの話に・・・これまで堪えていた涙をボロボロと流すクラージュ。


息子ヤスノブの心中を始めてtomimariに聞き、心に溢れかえる「何か」を感じていく。


クラージュは両手をグッと握り締め、ただただ俯いて顔を上げる事が出来ない。




tomimari「ねぇ、クラージュ?ヤスノブがよく・・・「親指、人差し指、小指」を立てて私たちに見せていたでしょう?」




クラージュ「・・・・・・・・」




tomimari「あれは「親指がクラージュ」、「人差し指が私」、「小指がヤスノブ」を意味しているらしいわ・・・。」






クラージュ「ッ!!・・・・・」




涙で濡れた顔を拭いもせずにtomimariの方を驚いた顔で振り向くクラージュ。










tomimariは女神の様な表情でクラージュを見上げてこう言った。








tomimari「「いつも三人一緒」って言う事よ・・・。クラージュ・・・ヤスノブは貴方の事、恨んでなんかいないわ・・・。」






クラージュ「・・・・・・・・・」




tomimariの言葉にクラージュは何も言えない・・・。




しかし、力強く両目を擦り、涙を拭うとtomimariにいつもの笑顔を見せる。


その笑顔はいつもよりも明るい・・・何かが吹っ切れたような笑顔・・・。




クラージュ「ありがとう、tomimari。本当に・・・・君が私の伴侶で・・・・本当に良かった。」




tomimari「・・・ふふふ・・・・」




tomimariをギュッと抱きしめた後、tomimariの肩を抱きながら「剣闘場」を後にする。




剣闘場の外に出ると太陽は赤みを帯びた「夕日」に変わっており、クラージュ邸の広大な庭を美しく照らしていた。


海に面し、潮風が吹き込むクラージュ邸。


西の水平線に沈んでいこうとする夕日が本当に美しい。


その美しい光がクラージュとtomimariを優しく包み込んでいく。




tomimari「日は沈んでも又、昇る・・・。私達も何時までも落ち込んでいてはいけないのかもしれないわね・・・。」




クラージュ「そうだ・・・。ヤスノブの事を忘れる事は決して無いけれど・・・強く生きて行かなければいけない・・・。」




クラージュは目を閉じて、かつて剣の教えを受けた「青いマントの男」を思い出す。




「青いマントの男」も・・・・かつて、tomimariと同じ事を口にしていた。




・・・・・・・・




クラージュ「tomimari、そろそろ「ヤスノブの献花」が枯れ始める頃だから花を買ってくるよ・・・。」


tomimariに笑顔で答えるとクラージュは屋敷の方へと戻っていく。


tomimari「ええ・・・。でもヤスノブのお花を買うのにクラージュはいつも夜に行くのね?」




クラージュ「ははは・・・「鬼の公爵」と言われる俺が真っ昼間に「花」を買いに行くわけにはいかないからな・・・。」




少し汗を垂らして頬をポリポリとかくクラージュ。


クラージュ「イデアの辺境だが・・・俺の知り合いの店が「いい花」を多く揃えている。夜に行っても歓迎してくれるから有難いよ。」


tomimari「わかったわ・・・。気をつけて行ってきてね・・・。」




クラージュ「あぁ、さて・・・今日は『誰』を一緒に連れて行こうかな・・・。」




やすのぶを一緒に連れて行きたかった様だが買い物に出ている。


クラージュは花を買いにいくのにあたり、誰を連れて行こうか迷いながら屋敷へと戻って行った。










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




時間が戻り、1時間前。


やすのぶは庭で遊んでいたよだれ丸とフェイトに声をかける。


やすのぶ「おぉーーーーい!!よだれ丸ッ!!!フェイトちゃーんッ!!」


よだれ丸「====(´▽`)/」


フェイト「εεεε(=゚▽゚)/」




仲良く遊んでいたよだれ丸とフェイトがやすのぶに気付いて急いでやって来る。


GEIZU「良く出来たペットだ・・・本当に忠実だな・・・。」


モカ「・・・ふふふ・・・」


セルティック「うむ、なかなか出来たペットだ。」




やすのぶ「えへへ・・・ありがとうみんな。」




よだれ丸とフェイトを抱きながら嬉しそうにGEIZUの方を向くやすのぶ。




やすのぶはこの屋敷に来てからセルティック達と随分と仲が良くなっている。




今ではみんなと屋敷の仕事を分担してお互いに信頼できる間柄になっていた。




モカ「でも・・・やすのぶくんの強さで、よだれ丸ちゃんが懐いてくれるなんて本当はありえないんだけど・・・」


GEIZU「あぁ・・・俺もペットは飼いたいとは思うけど・・・問題が多いから飼わないんだよな・・・。」






よだれ丸をワシワシっと撫でるGEIZU。溜息を付いて「自分の仕事の持ち場」へと歩いていった。




やすのぶ「・・・・・・・」




そのGEIZUの「元気の無い後姿」を見てやすのぶはモカに問いかける。




やすのぶ「ねぇ、モカさん?GEIZUくん・・・なんで元気が無くなったんだろ?」




モカに問いかけたやすのぶだったが、その問いにセルティックが答える。




セルティック「きっと君がペットのドランを飼えるからだろう。ドランは攻撃のサポートだけでなく近くに居てくれるだけで攻撃力までをもアップしてくれるからね・・・。」




やすのぶ「??そ、それは知らなかったけど・・・それがGEIZUくんが落ち込む理由に何か関係あるの・・・?」




セルティックの答えに疑問が晴れないやすのぶだが、モカがフォローする様にそれに答える。




モカ「GEIZUは人一倍「強くなりたい」っていう意思が強いの・・・。よだれ丸ちゃんが側に居てくれるからやすのぶくんが羨ましいのよ・・・。」


セルティック「あぁ・・・ペットを飼うにも「ドニア」が掛かるし・・・GEIZUには厳しいだろうな・・・。」




よだれ丸「(*´▽`)」




やすのぶ「んー・・・(でもそれって・・・ペットが羨ましいっていうよりも・・・)」


















『強さを求めた結果・・・ドランに行き着いた。』
















やすのぶ「・・・・・・・」




脳裏に過ぎった答えに眉をしかめるやすのぶ・・・。






少し俯きながらもセルティック、モカと共に屋敷へと入って行った。








・・・・・・・・・・・・・・・・






屋敷の台所、モカが買うものをメモに書き記している。


モカはやすのぶに笑顔で「買い物のメモ」を渡す。


モカ「じゃ、ここに書いてある通り『リンゴ』と『牛乳』と『豆腐』を買ってきてね?」


やすのぶ「あいょ!わかりました!モカさんッ!!行くぞ!よだれ丸ッ!!」




よだれ丸「 ヾ(*´▽`)シ 」


フェイト「 ヾ(=*゚▽゚)シ 」




よだれ丸に続いてフェイトも付いていこうとするがモカがそれをヒョイと拾い上げる。




フェイト「Σ(=゚Д゚)つ!?」


モカ「ダメよ?フェイトちゃんはお屋敷にちゃんと居なきゃダメッ!お留守番よッ!!」




やすのぶ「ははは・・・フェイトちゃんは留守番してるんだよーー。」




よだれ丸「 ===(´▽`)シ 」




フェイト「ΣΣΣ(=TДT)つ 」




泣きながらやすのぶに肉球の付いた手を伸ばすフェイトだが、やすのぶは振り向かずに走って行く為にフェイトの表情は見てくれない。




モカはフェイトに噛まれない様に両手で胴を持ち、うさぎ小屋へと向かっていく。






モカ「ごめんね?フェイトちゃん・・・。でもあなた・・・外に出たら必ず『人参』をネダルでしょう・・・?」




フェイト「(檻→)VVVV□VVVV ジタバタジタバタ ヾ(TДT=)ノシ」






ガシャーーーン・・・・・




檻を閉じる音が無情に鳴り響く・・・。




モカに窘められ、フェイトは残念ながら「ウサギ小屋」に閉じこめられてしまった・・・。








・・・・・・・・・・・・・・・・・




やすのぶ「よっし!!今日も快調ッ!!走るスピードもバッチリかッ!!」


広い屋敷の中を出口に向かって勢い良く走るやすのぶ。


よだれ丸「・・・・(つ´▽`)つ」


よだれ丸も久しぶりにやすのぶと外に出られるので事の他、機嫌がいい。




出口に出るために大きなドアを開けて外へ出た・・・。
















その時!!!












よだれ丸「!!!ヾ(`д´)シ」






何かに気付くよだれ丸!!!






表情が厳しくなる!!!!










そして・・・・






よだれ丸「ドンッ!!!(つ`д´)つ Σ(((」






やすのぶ「うわーーーっ!!!」




よだれ丸がやすのぶを思いっきり突き飛ばした!!!


















ガチャーーーンッ!!!




なんと空から大きな「植木鉢」が落ちてきたのだ!




もしもやすのぶがあのまま走っていたらきっと「植木鉢」に直撃していただろう・・・。




よだれ丸「(´Д`;=;´Д`) !?」


やすのぶを心配して急いで飛び寄るよだれ丸。


そして、周囲を見渡す。




やすのぶ「くそッ!?一体なんだって言うんだ?」




植木鉢が落ちてきたと思われる窓を見上げるやすのぶ。


しかし、その窓には誰の気配も無い。




やすのぶ「な、なんか・・・この屋敷に来てからこういうことが多いよな・・・」




よだれ丸「 (´Д`;)(。。;)(´Д`;)(。。;) 」




やすのぶはこの屋敷に住まう様になって7日間。毎日、最低一度は危ない目にあっている。






やすのぶ「まさか・・・誰かが俺を狙っているのか・・・?」




植木が落ちてきた以外にも何故か大きな木がやすのぶに向かって倒れてきたり、階段を下りる時、足を滑らせたり・・・。


そのいつもに「人の気配」は無く、誰がしたものか解らなかった。






やすのぶ「お肉を食べ過ぎた次の日にお腹が痛くなるのも・・・そいつの原因・・・?」




よだれ丸「 (´Д`;=;´Д`)つ 」




それは違うとやすのぶの服を掴んで首を横に振る。




やすのぶ「まぁ、よく偶然が続くだけだろうなーー。この屋敷の人、いい人ばっかりだもん!!」




よだれ丸「 (*´▽`*)」




脳天気なやすのぶは両腕を上げて背伸びをした後、再度駆け出していく。




中庭を越えて「門」を勢いよく出て行った・・・。












・・・・・・・・・・・・・










やすのぶが門を出た後、窓際に黒い影がチラリと見える・・・。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










・・・・・・・・・・・・・・・・・


















『ちっ・・・・』






















『つくづく・・・運の良い奴め・・・。』












・・・・・・・・・・・・・・・・・


















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


やすのぶが買い物に出かけた後、クラージュ邸。


やすのぶが出かけて時間は2時間を越えたところ・・・。




屋敷に入るとちょうど、セルティックが長靴と鎌を持って倉庫へと向かおうとしていた。




「庭の掃除」を終えて屋敷に入ったばかりである。


セルティック「クラージュ様、tomimari様。庭の手入れ、終わりました。」


サワヤカな笑顔でクラージュ達に話しかけるセルティック。




クラージュ「あぁ、ありがとう。」


tomimari「ふふふ・・・ご苦労様、セルティック。」


手が空いたばかりのセルティックにクラージュは手を叩き、思い立ったように言った。




クラージュ「ちょうどいい!セルティック、「買い物」に付き合ってくれ!」


セルティック「わ、私が「買い物」にですか?私などが同伴でよろしいのですか・・・?」


驚いた表情のセルティックは汗を拭ってクラージュに問いかける。


tomimari「何言っているの?セルティックが一緒ならクラージュに心配は無用よ。」




クラージュ「あぁ、是非頼むよ、セルティック。」




笑顔でセルティックに言うクラージュ。


セルティックは涙を流し、腕でそれを隠しながら感激に落ちる。




セルティック「く、くぅーーーッ!!感激至極に御座いますッ!!


このセルティックッ!!クラージュ様に何処までも着いていきますッ!!」




セルティックの表情に笑顔のクラージュ。


tomimariも「ヤスノブの死後」・・・最近まで元気のなかったセルティックに安堵の表情を見せる。




セルティック「でわッ!!汗の付いた服は脱ぎ捨てて・・・早速「買い物」に参りましょうぞッ!!!」




ビリビリビリッ!!!




いきなりッ!!意味も無く、クラージュの前で「上半身、半裸」になるセルティック・・・。


この漢もまた・・・ある意味、クラージュを凌駕しているのかもしれない・・・。




クラージュ「はっはっは・・・早く着替えてこいッ!!!ていうか・・・服、勿体無いから・・・。」


tomimari「セルティックもこの「癖」が無ければ・・・。」




セルティック「20秒で着替えて参りますーーーーッ!!!」




クラージュ「あぁ、ユニコーンの馬車を用意してくれよ?」




そういうとセルティックは嬉しそうに「更衣室」へと走っていった・・・。












GEIZU「・・・・・・・」








それを、階段の上から見ていたGEIZU・・・。






あくまで無言に「階段の手すり」を拭いている・・・。




















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
















・・・・・・・・・・・












くっくっく・・・・・
















チャンスだ・・・・・
















・・・・・・・・・・・・






















・・・・・・・・・・・・・・・・・・






夕日が沈みかけ、草原の街道にも人があまり見えなくなっていく。




食事の用意をしているのだろうか?


ほとんどの民家の煙突から白い煙が吹き出ている。




料理の為に出た煙であろう。


やすのぶはモカに言われた通りにリンゴと牛乳と豆腐を買って「クラージュ邸」を目指している。




やすのぶ「えへへ・・・商店のおばちゃんが「5ドニア」負けてくれたからちょっと嬉しいや・・・。」






よだれ丸「 (*´▽`*)」




笑顔でクラージュ邸を目指すやすのぶ。


最近の子供も流石に「5ドニア」では喜ばないが、やすのぶは嬉しそうに走っていく。






クラージュの邸宅に居候していても『やすのぶ』はやっぱり『やすのぶ』。








貧乏である・・・。








やすのぶ「よーーし!門が見えてきた!!あそこまで競争だ!よだれ丸ッ!!」






よだれ丸「 =====ヾ(*´▽`)シ」






負けないぞ!と言った表情でやすのぶに手を振る・・・。






しかし、門に近づくに連れて子供の影が見えてくる。






やすのぶ「ん!?誰だろう?門の前に立って・・・?」






やすのぶが門の前まで駆け寄るとそこに居たのは8〜9歳くらいの少年。




やすのぶは笑顔で声をかけた。




やすのぶ「ねぇ?君・・・?このお屋敷に用事があるの・・・?」




??「ビクッ!!!」




少年は肩を大きく震わせて2歩、後退りをする。


容姿は皮で作られた普通の服を着ているが、子供にしては大き目の「槍」を持っている。


もっとも「槍」といっても「本物」ではない。


金属では出来ているが、刃先が尖っていない「おもちゃの槍」。




??「・・・は・・はぅ・・・」




やすのぶ「・・・・・ははは・・・」




よだれ丸「 (´▽`) 」




何かを言いた気だが少し怯えている様に見える。やすのぶは笑顔で少年に自己紹介をする。




やすのぶ「始めまして!俺はここで修行をさせてもらっている『やすのぶ』っていうんだ!!こっちのドランはよだれ丸ッ!!      君のお名前を教えてくれるかな?」




??「Σ ッ!!!」




目を大きく開けて、驚いた表情を見せる少年。


少年の表情はいかにも「?」な顔をしているが、少しずつ俯いていく。




??「や、やすのぶって言う名前・・・なんですか?」




やすのぶ「そう!イデアツーリストの『やすのぶ』っていうんだ!!」


よだれ丸「にぱッ(*´▽`)/」




にこやかに話しかけるやすのぶだが、少年は涙を浮かべてやすのぶに怒鳴り上げる!!






??「嘘ですッ!!ヤスノブくんは大人じゃないのですッ!!僕と同い年ですッ!!」






ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!ブンッ!!




よだれ丸「Σ(;゚Д゚)つ」




泣きながら「やすのぶ」に向かって「おもちゃの槍」を何度も振り回す少年・・・。


どうやらこの少年は「ヤスノブ」を知っている為に『やすのぶ』のいう事を嘘だと思っているようだ。




やすのぶ「うっ!!うわっ!!危ないよ!!やめてくれ!!少年ッ!!」




ゑゐ「うるさいですッ!!この『ゑゐ』くんが「ヤスノブくんの偽者」を退治してあげるのですッッ!!!」




やすのぶ「ちょ・・・なんかこれって・・前と一緒ちゃうんッッ!!!」






GEIZUやモカ達と初めて会った時を思い返すやすのぶ。




少年ゑゐを宥めるのに5分の時間を要した。








・・・・・・・・・・・・・




ゑゐ「・・・・そ、それじゃ・・・本当に『やすのぶ』っていうお名前なのですか・・・?」




やすのぶ「・・・ひぃ・・ひぃ・・・そ、そうだよ。ヤスノブくんとは同名なんだ・・・。」


ゑゐの俊敏な槍を避け続けたやすのぶはヘタバリながらゑゐと話す。




よだれ丸「(;´Д`)ハァハァ」




よだれ丸も少し息を切らせている。


子供を相手に「手を上げる」訳にも行かず、よだれ丸も汗を垂らしていた。




やすのぶ「ゑゐくんと言ったか? このお屋敷に何の用事だったんだい?」




ゑゐ「あい・・・お友達のヤスノブくんが居なくなってしまって、とっても悲しくて「お家」で泣いていたのです。」




やすのぶ「・・・・・」




よだれ丸「・゚・(つД`)・゚・。」




悲しげな表情のゑゐにやすのぶは黙って話を聞き続ける。






ゑゐ「そしたら・・・お母さんに「ちゃんとお別れしてきなさい」って言われてここに来たのです・・・。でも・・・でも、ここに着たら何も出来なくなって・・・ジッと立っていたのです」




やすのぶ「そうだったのか・・・。」




ゑゐ「もう二度と会えないって思うと悲しくて悲しくて・・・涙が止まらないのですッ!!ずっと側に居て欲しかったです!!」




やすのぶ「・・・・・・」




涙をポロポロと零すゑゐに目を瞑り、近寄るやすのぶ。




涙を流すゑゐにやすのぶも目頭を熱くさせるがゑゐの肩にソッと手を置いて優しく語り掛ける。










やすのぶ「ゑゐくん、ヤスノブくんはいつでもゑゐくんの側にいるよ?」




ゑゐ「えっ!?」






やすのぶ「ヤスノブくんは居なくなった訳じゃない・・・今でも『意志』を持ってゑゐくんの心の中にいる・・・。だから・・・」




優しく語り掛けるやすのぶにコブシを作るゑゐ。


やすのぶの言葉を「気休め」と思い、怒鳴りあげる。




ゑゐ「うるさいですッ!!知ってるですッ!!死んだら二度と会えないですッ!!!ヤスノブくんにはッ!!もうッ!!もうッ!!!」






よだれ丸「・゚・(つД`)・゚・。」




ゑゐの友達・・・ヤスノブに「二度と会えない現実」・・・。




ゑゐには少年ながらにそれが理解できている・・・。






やすのぶ「・・・・・・・」


 
やすのぶはゑゐの表情に眉をしかめて・・・目に涙を浮かべる・・・。






それはゑゐの発言に込められた思いに対しての悲しみの涙・・・。








やすのぶはゑゐにこう言った。




やすのぶ「ゑゐくん・・・君がヤスノブくんを死んだなんて言っちゃダメだよ・・・。
君が死んだと言ってしまったら、『ゑゐくんの中のヤスノブくん』は本当に死んでしまうんだよ・・・?」




ゑゐ「〜〜ッ!!」




やすのぶの言葉でゑゐの瞳から零れていた涙がより多く流れていく・・・。






やすのぶ「心の中で問いかけてごらんょ・・・?ヤスノブくんに・・・。」




ゑゐ「う、うぅぅ・・・」






やすのぶ「きっとヤスノブくんは『死んでない』っていうよ。ゑゐくん。」




ゑゐ「う・・・う・・・・うぇ・・うぇーーーーんッ!!!!」




やすのぶの言葉で大きな声を上げて泣き出してしまうゑゐ。










死者を死者と思わない事・・・




それはタダの現実逃避かもしれない・・・




『この世に魂が残る』、『心の中に住んでいる』


その全ては「虚」で、「実」は救いなど無いのかもしれない・・・






しかし、「生き残った者」にとってそれは身を切り裂かれる程の苦痛・・・


幼いゑゐにとって・・・『死別』という悲しい現実を受け入れるにはあまりに、辛く厳しい。




いや、例えゑゐが大人であったとしてもその辛さは変わらないであろう。




ゑゐ「やすのぶさんの言っている事は・・・ウソなのです・・・。」




やすのぶ「本当だよ?」






ゑゐ「ウソなのですッ!!!」








やすのぶ「本当だッ!!!」








ぽふっ!!


ゑゐの両肩にやすのぶは再度、両手を乗せる!






ゑゐ「・・・・・・・」




やすのぶの乗せた両手に肩をビクッとさせる。


ゑゐは涙を拭う事無く、やすのぶを見上げる・・・








ゑゐがそこで見たモノは・・・














ゑゐ「 !! 」


















自信に満ちた・・・満面の笑顔・・・。






とても優しい笑顔があった・・・。






ゑゐ「うぅぅぅーーーー・・・・・・・」




やすのぶ「本当に・・・ヤスノブくんはゑゐくんの中で生きているよ?俺は『正義の味方』だからウソは言わないさ・・・。」












ゑゐ「・・・・・・・」


















ゑゐ「・・・・・・・」


















ゑゐ「・・・・・・ッッ・・・!!!」




やすのぶの優しい声に無言で頷くゑゐ・・・。












『自称、正義の味方の言葉と笑顔』ではあるが・・・ゑゐにとってそれは『信じていたい笑顔』だった・・・。












ゑゐは目を充血させながらも、やすのぶに向かい笑って言う。


ゑゐ「信じるです・・・。やすのぶさんの言う事、僕も信じるですッ!!!」




やすのぶ「あぁ!ありがとう!!ゑゐくん!!!」


よだれ丸「(*´▽`)」




やすのぶは笑ってゑゐの頭を撫でると元気に話しかける。






やすのぶ「じゃ、お屋敷の中に入ろうか?ヤスノブくんに会いに行こう!!」




ゑゐ「はいですッ!!」




ゑゐはやすのぶに連れられてクラージュの屋敷へと入っていった・・・。








・・・・・・・・・・・・・・・








屋敷の中に入ると不機嫌そうな顔つきでモカがロビーで、やすのぶの帰りを「まだか?まだか?」と待っていた。




口を尖らせて、怒った様にやすのぶに問いかける。




モカ「もうッ!!何処で「油」を売っていたんですか?お料理に間に合わないじゃないですかッ!!」






やすのぶ「ごめん、ごめん!モカさんッ!!ちょっと路頭に迷ってて・・・」






モカ「それを言うなら「道」に迷ってですッ!!これ以上「路頭」に迷わないで下さい!!」




やすのぶ「こ、これ以上って・・・」






「路頭」に迷うのは、貧乏なやすのぶの「専売特許」ではあるがモカのツッコミに「ぐう」の音も出なかった。




モカ「あら・・・?あなたは確かヤスノブ様のお友達の・・・?」




やすのぶの後ろに立っていたゑゐの存在に気付くモカ。


ゑゐ「は、はいッ!!僕はゑゐくんと言うのです!!こんばんはですッ!!」




手を挙げてモカに挨拶すると少し恥ずかしそうにやすのぶの後ろに隠れる。




すると廊下の方からtomimariもロビーへとやって来た。




ゑゐの姿に笑顔を見せて微笑みかける。


tomimari「あらあら?ゑゐくん、いらっしゃい。」


ゑゐ「あっ!!ヤスノブくんのママですッ!!こんばんはですッ!!」




やすのぶ「ゑゐくん・・・ヤスノブくんに会いに来たんですって。暖炉の方に案内してきますね?」


よだれ丸「(´▽`)シ」




tomimari「あら、そうだったの?ありがとうね、ゑゐくん。」


ゑゐの「訪問」に笑顔で喜ぶtomimari。


モカも笑顔でゑゐを見つめる。




モカ「じゃ、やすのぶさん。ゑゐくんの案内お願いしますね?」


tomimari「えぇ、そうね・・・。そうだわ、ゑゐくん。今晩はここで「晩ご飯」を食べてお行きなさい。私が腕によりを掛けて、ゑゐくんの為にご飯を作ってあげるわ・・・。」




ゑゐ「えっ!?い、いいですか??」




目を大きく開けて喜ぶゑゐ。


tomimari「もちろんよ、ヤスノブのお話もしたいし・・・一緒にご飯を食べましょう。」




ゑゐ「は、はいですーーーー!!」




ゑゐは喜んで両手を振り上げてピョンピョン飛び跳ねる。




台所へと向かうtomimariとモカに手を振り、やすのぶ達は「ヤスノブのSS」のある暖炉へと向かっていった。








・・・・・・・・・・・








ゑゐ「えーーと・・・って・・・?あれ?フェイトちゃんですッ!!」




フェイト「カリカリカリ・・・・(つ=TοT)つ VVVV (←檻)」






小屋に閉じこめられたままのフェイトが泣きながら「小屋の檻」をカリカリしている・・・。








やすのぶ「あぁ・・・モ、モカさんに閉じこめられたままだったんだ・・・。」




よだれ丸「・゚・(つД`)・゚・。」


フェイトの哀れな姿に涙するよだれ丸・・・。




やすのぶは「フェイトの小屋の檻」を開けるとフェイトに手招きをする。






やすのぶ「さぁ、おいでフェイトちゃん・・・。」




フェイト「・゚・εεεε(つ=TДT)つ・゚・。」




泣きながらやすのぶに抱きつくフェイト。


やすのぶの胸に思いっきり顔を埋めている。


よほど寂しかったのであろう。






よだれ丸「Σ(;´Д`)つ」


フェイトがやすのぶに抱きつき、よだれ丸も焦ってやすのぶへと抱き付いてくる。


なんだかんだで、よだれ丸も甘えん坊である。




ゑゐ「フェイトちゃんもよだれ丸ちゃんもかわいいです。」


よだれ丸とフェイトを撫でるゑゐ。




全員で笑いながら暖炉の前に行き着くとゑゐは「ヤスノブのSS」に手を合わせて「心の中」でヤスノブに話しかける。




たくさん話したい事があったのだろう。




ゑゐは一生懸命手を合わせて・・・時折、涙を浮かべながらヤスノブと話を続ける。






やすのぶ「・・・・・・・・」




ゑゐのその表情に手を握りしめるやすのぶ・・・。




やすのぶの心中では「友、たけやす」の事が過ぎっている・・・。








やすのぶ「(たけやす・・・お前をあんな目に遭わせて・・・ヤスノブくんまで辻斬った犯人・・・。絶対に捕まえてやるからな。)」










・・・・・・・・・・・・










ゑゐ「ふぅ・・・いっぱいいっぱい・・・しゃべりましたです。」






俯いて厳しい表情を見せていたやすのぶだったが、ゑゐが目を開けた為、顔を上げて笑顔を見せる。




しかし、ゑゐは「ヤスノブのSS」の周りにおいてある花のあたりをキョロキョロと見ている。




やすのぶ「・・・?」




ゑゐ「ない・・・です・・・。」




よだれ丸「?(´▽`)」


やすのぶ「何を探しているんだい?ゑゐくん・・・。」


フェイト「?(=゚▽゚)」




ゑゐはやすのぶを見上げて手でジェスチャーをしながら説明した。




ゑゐ「僕がヤスノブくんにあげた『デビル因幡』の人形がないのです!
ヤスノブくんがとってもとっても気に入っていたので、すぐに飾って欲しいです!!」






やすのぶ「『デビル因幡』の人形ッ!?そ、そんなのがあるのか??」




よだれ丸「Σ(ノ゚o゚)ノ」




フェイト「 (="▽"=)テレッ・・・ 」




過去、『デビル因幡(本当は百絵)』で痛い目にあっているやすのぶは苦笑いをしてゑゐに話しかける。




ゑゐ「やすのぶさん・・・ヤスノブくんのお部屋にある机の一番上の引出しに入っている筈なのです!!取りに行きたいです!!」




やすのぶ「そ、そうなのかい・・・?tomimariさんに確認してから行きたいけど・・・今、お料理中だし・・・・。」


よだれ丸「(;´Д`)」




ゑゐの提案に腕を組んで困った表情になる。






ゑゐ「大丈夫です!!ヤスノブくんのお部屋なら知っているのです!取ってくるです!!」






ダダダダダダーーーーーッ!!




しかしなんと、やすのぶが悩んでいる間もなく、ゑゐが階段を駆け上がっていってしまった!!!




やすのぶ「ちょっ!!ま、待ってッ!!!ゑゐくんッ!!!」






よだれ丸「Σ(ノ゚o゚)ノ」




フェイト「(つ=゚▽゚)つ」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ゑゐ「あったですッ!!これです!!」




ゑゐの手には可愛らしい「デビル因幡の人形」が取り上げられている。




結局、やすのぶ達は「ヤスノブの部屋」へと入り込み、部屋を物色していた。




やすのぶ「はぁ、ゑゐくん・・・勝手に入っちゃマズいんだよ?」




溜息をついてゑゐの頭を撫でるやすのぶ。


しかし、ゑゐはやすのぶに謝る間もなく、机の上の「白紙の日記帳」に目を止める。




ゑゐ「や、やすのぶさんッ!?これ、何ですかですッ!!」




やすのぶ「ん?・・・あぁ、「クラージュ」さんに聞いた話では「ヤスノブくんの持ち物」らしいんだ・・・。
でも、中には何も書いてなくって「白紙」なんだって・・・。」




ヤスノブが辻斬りにあった後、「犯人の手がかり」になる物がないかとクラージュが個人的にヤスノブの部屋を探していた。


その時に見つけたのが、この「白紙の日記帳」だった。


世間一般でよく使われるもので「魔法の筆」というものがある。


これは「魔力を持つ魔法使い、又は探検家」が使用する代物で字を書いた後、『特定の波長の魔力』を紙に注ぐ事により字を浮かべたり、消したりする事が出来る。


しかし、このペンは大変貴重な物で余程の「お金持ち」しか持つ事は出来ない。




逆に言うと、貴族のお金持ちであれば「必須のアイテム」であるが「魔力を持たない剣士」にとっては毎回字を浮かび上がらせるのに「魔力を持つ者」が必要になる為、使い勝手の悪い代物である。




クラージュもあり得ないとは思いつつも「魔法使い」を屋敷へと呼び、『あらゆる波長の魔力』を紙に掛け続けたが「何も浮かばなかった」らしい。










・・・・・・・・・・・








やすのぶ「結局、ただの「新品の日記帳」だったらしいょ・・・。」






ゑゐ「・・・・・・・」




よだれ丸「 (´▽`) 」




内容を聞き終えると、ゑゐは「白紙の日記帳」を手にとってパラパラとめくり始める。














ゑゐ「・・・・・・・・・・」


















ゑゐ「・・・・・・・・・!!!」












するとゑゐは何かに気付いたのか?












あるページを開けたまま、目を大きく開ける!!










ゑゐ「やすのぶさんッ!!この日記帳ッ!!!」






やすのぶ「ど、どうしたんだい!?な、何かあったのかい!!?」






ゑゐ「使ってるですッ!!ちゃんと捲ったシワがあるですッ!!!」






よだれ丸「 (;´Д`)」






ゑゐの言葉に少し汗を垂らすやすのぶ達。












やすのぶ「・・・・そ、そりゃ調べる為に僕達もページをめくってるから・・・」




単純な答えをゑゐに言おうとするが、ゑゐの発言は止まらない。






ゑゐ「違うです!!この途中のページまではちゃんと「シワ」が出来ているのにッ・・・このページ以降はシワが少ないです!!つまり、ここまではヤスノブくんは日記を付けていたのですッッ!!」






やすのぶ「 !!!? 」






ゑゐの発言に慌てて「白紙の日記帳」を取り上げるやすのぶ。




すると確かにゑゐの言う通り、ページの途中までは強いシワが出来ている。




やすのぶ「で、でも魔力を込めても字が浮かび上がってこなかったのに・・・」




よだれ丸「 ?(;´Д`) 」




フェイト「(゚д゚=)?」




全員が全員、首を傾げる。








やすのぶ「・・・・・・」




一生懸命考えても出ない答え。






やすのぶはよだれ丸に問いかける。


やすのぶ「よだれ丸・・・どう思う・・・?」




よだれ丸「Σ(´Д`;)!!」




まさか「言葉を喋らない」自分に質問が来るとは思っていなかったよだれ丸。




慌てて「白紙の日記帳」を見つめる・・・。






よだれ丸「・・・・・(;´Д`)つ[日記帳]」






するとッ!!








事もあろうか、よだれ丸は・・・・・!!!!
















よだれ丸「・゚・(つ`o´)<<<≪≪≪≪≪≪≪≪≪ ビチャーー!![白紙の日記帳]」




やすのぶ「ウッ!!ウワーーーーーッ!!!!何するんだよッッ!!!よだれ丸ーーーーーーッ!!!!」




ゑゐ「び、びちゃびちゃですーーーーーーッ!!!」




フェイト「Σ(ノ=゚o゚)ノ」




なんとッ!!MAPの時と同様、「白紙の日記帳」に向かって水を吐きかけてしまったのだッ!!






大切な「証拠になりうる可能性」のある「白紙の日記帳」は無残にもビショ濡れになってしまった・・・。




たまらず、よだれ丸に怒鳴り上げるやすのぶ。




やすのぶ「よ、よだれ丸ッ!!お前、これMAPじゃないんだぞッ!!?なんて事するんだよッ!!」




よだれ丸「・゚・(つД`)・゚・。」


やすのぶに怒鳴られて涙を流すよだれ丸・・・。




主人に問いかけられて「イイ所」を見せたかったのであろうが、今回は流石に水は関係なさそうだ・・・。




ゑゐ「これじゃ、ヤスノブくんのパパやママに怒られるです・・・。」




涙を目に浮かべていくゑゐ・・・。




やすのぶもボトッと「白紙の日記帳」を床に落として地面に手を付く・・・。






フェイト「・・・・・(白紙の日記帳→) _(。。=)」




落ちた「白紙の日記帳」をジッと見つめるフェイト。


するとフェイトは「白紙の日記帳」に指をさしつつ、やすのぶに向かって手招きをする・・・




フェイト「 _φ(=゚▽゚)ノシ」




やすのぶ「フェ、フェイトちゃん?ど、どうしたの・・・?」




やり切れない思いに涙を拭いつつ「白紙の日記帳」を覗き込む。




やすのぶ「!!」


するとやすのぶは急に目を大きくして「白紙の日記帳」を取り上げると座り込みながらページを捲りだした。




やすのぶ「な、なんで・・・?」


汗を垂らしてボソっと言うが次々にページを捲っていく。




やすのぶの行動に眉をしかめてゑゐも攣られる様に「白紙の日記帳」を覗き込んだ。




ゑゐ「やすのぶさん?どうしたですか・・・?って・・・えっ!!?これ、も、文字ですッ!!」




なんと、理由はわからないが「青い文字」が浮かび上がり日記が読めるようになったのだ!


大きな文字がいかにも『子供らしい』のでヤスノブが書いた事は間違い無い。




フェイト「d(゚▽゚=)」


よだれ丸に向かって肉球の付いた指を立てるフェイト・・・。


よだれ丸「(´ー`)b」


妙に得意げな顔になるよだれ丸・・・。




文字は大きめであるが毎日ちゃんと日記を付けている。


やすのぶ「しかし、何故日記に文字が浮かんできたんだ・・・?」


よだれ丸「(´Д`;=;´Д`)」


よだれ丸は首を傾げて汗を垂らす。


どうやらよだれ丸の『特殊能力』ではないようだ。


ゑゐは『白紙の日記帳』に書かれている文字のインクをマジマジと見ると何かに気付いたようにやすのぶに言った。








ゑゐ「こ、これはきっと・・・きっと『アレ』ですーーーッ!!!!」






やすのぶ「ア、アレっ??」








ゑゐ「はいっ!!『メモ因幡の不思議ペン』で書いた文字ですッ!!!」




よだれ丸「Σ(ノ゚o゚)ノ」




やすのぶ「メ、『メモ因幡の不思議ペン』となッッッ!?????」














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『メモ因幡の不思議ペン』




この度は「赤楽玩具株式会社」の幼児用玩具、『メモ因幡の不思議ペン』をお買い上げ頂き、誠にありがとうございます。


本製品は『戦え!ウサギの国のデビル因幡』のキャラクター、


『メモ因幡』の使用する『不思議ペン』を模したお子様用の玩具です。






用途と致しまして「白い紙」に本製品『メモ因幡の不思議ペン』で


文字、絵等をお描きになられた後、水で塗らすと書かれた物が浮かび上がります。






但し、成分に使用している薬品の中で『これ、人体に入ったらヤバイんとちゃう?』と言う様な成分が入っておりますので


分別の付かないお子様の前には絶対に放置しない様にして下さいませ。


当方では責任の一切を御伺い致しません。


万が一、お子様が飲んだ場合、適当な最寄のお医者様に・・・・・




以下省略・・・・


『戦え!ウサギの国のデビル因幡』玩具シリーズ第4弾、『メモ因幡の不思議ペン』取扱説明書より抜粋


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




やすのぶ「そ、そんな「アイテム」があったのか!?」




「アイテム」と『メモ因幡』の存在に汗を垂らすやすのぶ・・・。






子供の間で人気になっているシャウト放送局の『デビル因幡』だが・・・


最早、実在するのか?物語なのか?分からない状態になっている。


ゑゐは誇らしげな顔でやすのぶに言い放つ。






ゑゐ「デビル因幡は『正義の野うさぎ』なのです。」


やすのぶ「(俺は襲われたとはゑゐくんには言えないなぁ・・・。)」


フェイト「(="▽"=)ノテレテレ」


同属(野うさぎ)が褒められて嬉しそうな顔をするフェイト。


しかし、今、重要なのはそれではない・・・。




あくまで「白紙の日記帳」の内容が「重要」なのである。




やすのぶ「と、とにかく「日記の内容」を読もう!!」




ゑゐ「そ、そうでしたッ!!読むですッ!!」






そう言うとやすのぶ達は急いで日記帳を読み始めた・・・。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


○月○日 晴れ


きょうもパパといっしょにしゅぎょうをした・・・。


さいきん、パパは「てかげん」をしてくれているのかな?


あんまりケガをしなくなってきた。


―――――――――――――――
○月▽日 曇り


さいきんまちで、「つじきり」にあったひとがいるらしい。


これいじょう、ひがいがでないように「パパ」がみまわりにでかけた。


すこししんぱい。




―――――――――――――――
○月■日


きょう、やっと「ひっさつわざ」が!かんせいした!


うれしいけどパパやママにはないしょ。




―――――――――――――――
○月△日


はやくおとなのひとと、いっしょのけんをふれるようになりたい。


ぼくの「けん」はみじかいから、つかいにくいとさいきんおもった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――










やすのぶ「うーーん?関係ないのかな・・・?この辺り・・・?」








ペラペラと「白紙の日記帳」を捲るやすのぶだが、これと言って重要な手がかりは見えてこない。


ゑゐはもどかしいのか?両手をブンブン振ってやすのぶに言い放つ。








ゑゐ「やすのぶさんッ!!最後のページを読んで欲しいですッ!!」








やすのぶ「よし!わ、わかった!!」








最後のページ、やすのぶが辻斬りにあった前日の日付のページを捲る・・・。














その内容は・・・


















―――――――――――――――
△月○日


すごくうれしい。パパは「つじきりのはんにん」の「みまわり」にでかけるけど


ぼくもおでかけするのをゆるしてくれたらしい。


それに!あした、あの「おおきなけん」をかしてくれることになった。


そとでするはじめての「しゅぎょう」。


がんばって「『せいきし』のテスト」にごうかくするぞ!


―――――――――――――――






















ゑゐ「こ、これが最後ですか・・・?」




やすのぶ「・・・・・・・」




最後のページを読み終わり、再度ページを戻し、読み返すやすのぶ。


疑問を持った顔で「白紙の日記帳」・・・いや、「ヤスノブの日記帳」を読み返している。


顎に手をやり、無言で考える。










やすのぶ「(2行目の「許してくれたらしい」っていうのは『誰かに了承してもらうのを頼んだ』って事だよな?)」


やすのぶは『誰か』の名前が書かれていないか日記を読み返すが『人物の名前』は一切載っていない。






ゑゐ「むぅーー・・・一体誰が犯人でしょー・・・?」




腕を組んで頭を捻るゑゐ。


よだれ丸「(´Д`;)」


フェイト「(゚Д゚=;)」




心配そうな顔でやすのぶの顔を覗き込む・・・。




しかしやすのぶは両肩を震わせながら沈黙する。












震わせたその両肩は『思いも寄らない事実』に気付いたことを意味している・・・。
















そう! やすのぶは『3行目』の『おおきなけん』に犯人を推測したのだ!!
















やすのぶ「こ、この屋敷で「大きな剣」って言ったら・・・一人しか居ないじゃないかッッ!!!」






大きな声を張り上げると勢いよく立ち上がるやすのぶ!!!




ゑゐはびっくりした表情でやすのぶを見上げて問いかける。




ゑゐ「だ、誰が犯人なんですか??」






両手を握り締めて問いかけるゑゐの腕を掴み、急いで部屋を出て廊下を走り、階段を駆け下りるやすのぶ。




よだれ丸「====Σ(;´Д`)つ」


フェイト「εεεεε(=゚Д゚)つ」




ゑゐ「や、やすのぶさん・・・?」




やすのぶに引っ張られて、まるで軽いものを持っているかの様に宙に浮かぶ「ゑゐ」が再度、やすのぶに問いかける・・・。




















やすのぶはゑゐの問いに走りながら・・・大声で答えた・・・。
























やすのぶ「は、犯人は・・・・・」




























やすのぶ「犯人は・・・GEIZUくん・・・いやッ・・・・!!!GEIZUだァーーーッ!!!!」








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


同時刻、ドルロレ・・・。


夕日が沈みかけたドルロレの市役所の一室に二人の影が見える。




washinko「ふむ・・・これで「門下生全員の資料」は調べ終えた・・・。」




眠傀「ヒィ・・・ヒィ・・・総勢48人の資料を「三国」飛びまわって探すのはキツイなぁ・・・。」


Washinkoと眠傀は合流してから「辻斬り魔」と推測する門下生の資料を集め、犯人の検証をしていた・・・。




机の上に散らばった「資料」の他に「被害者のカルテ」も置いてある。




資料には名前、性別、住所は勿論の事・・・現在の「職業」、「使用する武器」、「剣士の階級」までも記載されている。






眠傀もwashinkoの指示でずっと「イデア、ドルロレ、ティモーレ」を飛びまわり資料を集めていた様だが・・・


流石に疲れきったのか?


washinkoの目の前で机に前のめりになってヘタれている。




Washinko「文句を言うなッ、眠傀ッ!ヤスノブ少年が生きていた時の門下生の資料しか、まだ集めていないじゃないか!?
過去の門下生を入れたら200名を超えるのだぞ!?」




眠傀「そ、そんな事言うけど・・・。」


「大きなかばん」にしまっていた「マナの水」を取り出すと悲しそうにwashinkoを見つめて飲んでいく。


Washinkoは先程からメガネのズレをクイクイ直しながら資料に目を通している。




Washinko「ふむ・・・今でも屋敷に居るのは「GEIZU、セルティック、モカ」の三名か・・・。」




眠傀「あぁ・・・。そうみたいだな。んで、犯人の目星は付いたかぃ?プロフェッサーwashinko。」




期待に胸を膨らませてwashinkoに問いかける眠傀だが、washinkoは怪訝そうな顔で眠傀を睨み、言い放つ。




Washinko「ドアホゥ・・・こんな資料だけで犯人が解る訳が無いであろう・・・?それでなくても「解らない事」が消えなくて苛立っているというのに・・・。」




眠傀「そ、そりゃ失礼を・・・(マ、マジで切れそうじゃないか・・・?)」




washinkoの表情に恐れを抱いた眠傀はスススっとwashinkoから距離を置く。




Washinkoは「イデア国立総合病院」から受け取った「たけやすの傷」のカルテを見ながら目を瞑って考え出した。








Washinko「ふむぅ・・・・・・」












Washinko「・・・・・・・(やはり・・・・・)」
















Washinko「(眠傀には悪いが・・・やはり「辻斬り魔」は今も屋敷に居る「3人」が最も怪しいな・・・。)」




眠傀にとって「やるせなくなる結論」を出すwashinko・・・。




7日間掛けて集めきった資料の内、「GEIZU、セルティック、モカ」の資料以外は役に立たないと判断した様だ・・・。




眠傀から目を背けると、手に顎を乗せ溜息を付く・・・。






眠傀「えっ・・・?な、何・・・お、俺ッ、なんかした・・・?」


ドキドキしながらwashinkoの雰囲気を気にする眠傀・・・。






今のwashinkoの心中を知ったら一番溜息をつきたいのは眠傀であると思うが・・・








washinkoの推理は続いていく・・・。








Washinko「(この3人の内・・・)」
















消去法で「1名」・・・犯人の枠から人物を消す・・・。


















Washinko「「モカ」は犯人ではないな・・・。」










理由を付けるのにカルテを右手に・・・資料を左手に持って推測する。






Washinko「(被害者たけやすは両手足を「切断」且つ胸に打撃痕とある・・・。モカの武器は「レイピア」とあるので切断をするのは無理があるだろう・・・。ヤスノブ少年も同様、背中に付けられた傷は「深い切断」とある・・・。)」






確かに「突き専用」とも言うべき「レイピア」では人体を切断するのは無理がある。




Washinkoの推理は確信を得ている。




Washinkoは髪の毛をかきあげて窓の外を見る・・・。




ゆっくりと顔を出してきている満月を見つめると資料を整理して「大きなかばん」にしまい込んだ・・・。






眠傀「おっ?もうここから出るのか・・・?」






眠傀の問いかけに答える事無く考えながら「市役所」から出ていくwashinko・・・。




眠傀は気を使いながらwashinkoの後をついていく・・・。




Washinko「(犯人は残り二人の内どちらかだろう・・・。
二人共・・・人格は良いとは資料にあってもそんなモノはアテにはならない・・・。
それに結論を出し切るのには・・・「解けきれない謎」がどうも引っかかる・・・。)」






眉をしかめて歯を軋ませるwashinko。




街の交差点に差し掛かり、それを右に曲がると一般商店が見えてくる・・・。


薄暗くなった為にまわりの民家の部屋に灯りが付き始めている・・・。


Washinko「この分だとGEIZUが犯人・・・というのが有力・・・。」






眠傀「おっ!?やっぱりプロフェッサーwashinkoもそう思う??俺も実は・・・」








笑いながらwashinkoに話しかける眠傀だが・・・washinkoは無言で振り向いて眠傀に「ガン」を飛ばす・・・。












Washinko「・・・・・・・・」










眠傀「わ、わかったよぉーーーー・・・もう話しかけないよぉーーーー・・・なんなんだよぉーーーー・・・」








悲しそうに涙声になる眠傀・・・。






少し、哀れである。








しかし、washinkoも推理をやめる訳にはいかない・・・。








Washinko「(少年ヤスノブは「辻斬り行為」に反応できなかった訳が無い・・・。
GEIZUは「バスターソード」が得物という事だが、あんなデカイ剣で少年ヤスノブを襲えば気配でわかるはず・・・
それに「一般人の被害者」は全員、「命がある」・・・。
バスターソード等という「斧」みたいな剣では、カルテに乗っている「繊細な斬り方」は「物理的」に不可能だ・・・。
派生する「衝撃波」で、まず間違いなく骨ごと粉砕してしまうだろう・・・。
この結論だと、犯人はセルティックになるが・・・そうなると「両手足の切断」の説明が付かなくなる・・・。)」






眠傀「・・・・・・・」




washinko「(私個人として犯人と思えるのはGEIZU・・・。
たけやすの「防具」は「あおざる」が作ったもの・・・。
その防御力を考えれば・・・まず、「マスターブレイド」では切断までは出来ない・・・。」




washinkoは市役所へと行く途中、図書館で調べた「マスターブレイド」の知識を思い返す・・・。






Washinko「(「マスターブレイド」は本来、「装飾用の宝剣」で世界に3本しかないという貴重な剣・・・。
資料によるとセルティックは元々、今は亡き「ルードリッヒ男爵の嫡男」・・・。
セルティックが持っている理由もその時の遺産なのだろうが・・・
綺麗に磨き上げられて「切れ味」が良さそうに見えて・・・実際は「切れ味」は最悪・・・。
宝石を散りばめた・・・本当に「魅せる為だけの剣」と言っていい・・・。)」




小さく溜息を付いて頭を抱えるwashinko・・・。








Washinko 「両手足の切断」を考えれば・・・2m近い「バスターソード」でなければ不可能・・・。
聖剣士レベルの剣技で「マスターブレード」による切断は無理・・・。
・・・、GEIZUを犯人と決めつけるには「ネタ」が少なすぎるのだが・・・。)」








washinkoの切羽詰った表情に眉を落とす眠傀・・・。




何を言うわけでもなくwashinkoに付いていっているが眠傀とて、心中はwashinkoと同じ・・・。




犯人を見つけたい一心である。














ホワァーーーーーーン・・・・・・・














眠傀「おっ??」




その時、遠くから漂う「美味しそうな匂い」に気付く。




香ばしい香りが眠傀の食欲をそそる・・・。




眠傀「なぁ、プロフェッサーwashinko!腹ごしらえするぞ!!行こうッ!!」




washinkoに手招きしつつ眠傀は美味しそうな匂いのする方へと歩いていく・・・。






Washinko「眠傀ッ・・・・さっきっからッ・・・・!!」






Washinkoは眠傀の手招きに大きな声で反論しようとした・・・。






しかし・・・














グゥーーーーーーーーー・・・・・








washinko「・・・・・・なっ・!?」




顔を赤くしてお腹の辺りを見つめるwashinko。


今日は朝から二人共何も食べていない・・・。




それだけ必死だったのだ・・・。






眠傀「おぉ?やっぱり腹減ってるんじゃないか?」








washinko「馬、馬鹿者ッ!!今のは断じて私ではないッ!!私は・・・私はァーーーッ!!!」








腹の虫に反論しようとするwashinko・・・。










グゥーーーーーーーーー・・・・・








しかし無常にも、2度目の鳴き声が響き渡る・・・。








Washinko「うぅぅぅぅ・・・・・」




歯を食いしばって手を握り締めるが「食欲」には勝てない。


Washinkoは大きな溜息を付いて観念した・・・。






Washinko「わかった・・・食べに行こう・・・。私の負けだ・・眠傀・・・。
この香り・・・。「テリィーオムライス」の店からだな・・・。」




最近流行の「テリィー氏監修のオムライスの店」・・・。連日、大盛況の店である。




眠傀「そうそう、人間「正直」が一番ッ!!景気付けに奢ってやるから元気出していこうぜ?」






washinko「うるさいッ!私はいつも正直だッ!!言っておくが「ミルクリームオムライス」を注文するからなッ!!」




眠傀「はいはいッ!!任せろよ!かすみに「小遣い」貰ってホクホクなんだッ!!」






ニヤリと笑って「テリィーオムライス」の店に向かう眠傀達・・・。








Washinko「・・・・・・・」






Washinkoはフッと笑みを浮かべながらも・・・「引っかかる疑問」を解けずにいる自分がもどかしく感じていた・・・。












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


同時刻、クラージュ邸宅1F






tomimariとモカに「白紙の日記帳」から字が浮かび上がったことを伝えていた・・・。




tomimari、モカの両者とも「やすのぶの出した答え」に驚きを隠せていない・・・。






tomimari「そ、そんなッ!?GEIZUが・・・GEIZUが犯人だったなんて・・・。」




モカ「恐ろしいです・・・。GEIZUは確かに「強さ」に貪欲でしたけど・・・ヤスノブ様を殺すなんて・・・」




やすのぶ「でも・・・この日記帳はヤスノブくんが書いた物・・・。十中八九間違いは無いでしょう・・・。」




ゑゐ「ひどいですッ!ヤスノブくんはGEIZUさんの事・・・お兄ちゃんみたいに尊敬してたですッ!!」




よだれ丸「・・゚・(つД`)・゚・。」




フェイト「(T-T=)」






やすのぶ「あぁーーーーッ!!」




よだれ丸「Σ(ノ゚o゚)ノ??」






突然の真実の提示に全員が慌てているが・・・やすのぶは思い立ったようにtomimariに問いかける!!




tomimari「ど、どうしたの?やすのぶくん?」




やすのぶ「どうしたじゃなくって!!クラージュさんは何処ですか?これを・・・教えないと!!」




tomimari「そ、それが・・・セルティックと「買い物」に出かけていて・・・」














モカ「ちょ・・・ちょっとまって!!それよりもッ!!!」














tomimariがやすのぶの問いに答える途中・・・モカが慌てて全員に気付いた事を問いかける・・・。














それは真実の提示で「冷静さ」を失っていたと心底思わせる問いかけ・・・。












モカ「か、肝心のGEIZUは・・・何処にいるんですか・・・?」










全員「!!!」






モカの問いかけに全員で「屋敷」を探したが・・・GEIZUの姿は一向に見えることは無い!!










なんと!いつの間にかGEIZUは屋敷から消えてしまっていたのだ!!!










やすのぶ「ちきしょうっ!!!やっぱりアイツがッ!!!」




ゑゐ「ど、何処にもいないですッ!!!」




よだれ丸「!!(´Д`;=;´Д`)!!」




tomimari「どうやら・・・そう考えてもいいみたいね・・・。」






tomimariの表情にいつもの「優しさ」が消える・・・。






tomimari「GEIZU・・・」










モカ「お、奥様・・・。」










ゴァーーーーーーーーッ!!!!!






やすのぶ「!!!(こ、これはッ!?)」




よだれ丸「Σ(;゚o゚)つ 」




やすのぶが「ヤスノブの部屋」で感じたクラージュの殺気に酷似したものを感じる。






モカやよだれ丸・・・フェイトもその「殺気」に体を動かせなくなる!!!






普段見せている眼差しとは打って変わり・・・


その目は・・・まるで「雛鳥を食い殺され、復讐に燃える荒鷲」の目・・・。






感情に身を任せて・・・全てを滅してしまいそうな危険な眼差しになっている・・・。






やすのぶ「・・・・・・・」








しかし、やすのぶはtomimariのその殺気・・・眼差しに臆する事無く・・・tomimariに近寄っていく・・・。








やすのぶ「tomimariさん・・・。」






tomimari「おどきなさい・・・やすのぶくん。これから武器庫に参ります・・・。」






やすのぶ「冷静に・・・なって下さい・・・。」




ニコッと笑顔を浮かべてtomimariにそう言う。しかし、やすのぶの言葉で止まるわけが無い・・・。




子供を殺された母親の気持ち・・・。








17歳という年齢のやすのぶに・・・解る訳が無い!












そう思うとtomimariはやすのぶを腕で押しのけようとする!!




グッ・・・!!!






やすのぶ「・・・・・・・」






しかし、やすのぶは微笑んでtomimariに「道」を譲らない・・・。




あくまでもtomimariの前に立ち、行く手を阻む!








tomimari「いいかげんになさいッ!!やすのぶくんといえども邪魔は許しませんッ!!」




tomimariの怒鳴り上げた声が屋敷中に響き渡る!!








よだれ丸「Σ(;ToT)ノ」




ゑゐ「う・・うぅぅェェェェッーーーーッ!!!」


あまりの迫力に泣き出してしまうゑゐ。


モカ「ーーーーッッッ!!!!」


















しかし、やすのぶは逸る気持ちのtomimariに優しく問いかける。








その問い掛けは「時間を止める」様な問い掛け・・・。










やすのぶ「tomimariさん・・・。お肉、食べれませんよね?」










tomimari「?」




モカ「な・・・こんな時に何を言ってるのッ??」




よだれ丸「??(´Д`;)」








いきなり訳の分からないやすのぶの発言に戸惑う。






しかし、やすのぶはtomimariに話し続ける。






やすのぶ「お肉だけじゃない・・・。少しでも・・・血の気の物を見ると吐き気がするんじゃないんですか・・・?」


ゑゐ「??」


tomimari「ッ!!!!」




目を大きく開けてやすのぶの問い掛けに驚くtomimari。


モカも目を大きく開けてtomimariを見つめる!!






やすのぶ「この7日間、ずっとtomimariさんの事・・・見てたんです。


「赤い色の物を見た時」とか「少しでもお肉を食べた時」・・・いつもトイレで吐き出していましたよね?」






tomimari「な、なんでやすのぶくんがそんな事を・・・?」




モカ「(し、知らなかった・・・。)」






やすのぶの言う通り、息子ヤスノブが死んでからというもの「赤」や「血の気」のものを見る度にひどい吐き気を催している。


正確にはヤスノブが死ぬ前からその傾向はあったのではあるが「ヤスノブの死」の直後から、それは急激にひどさを増している・・・。










やすのぶ「そんなtomimariさんを外に出す訳にはいきません・・・。」






やすのぶは笑顔でtomimariの手を取り、体を案じてソファーへと連れていこうとする・・・。






しかしtomimariも、一歩も退こうとはしない・・・。








やすのぶの手を振り払う!!






やすのぶ「む、無理はしないで下さい・・・tomimariさん!!」




tomimari「お黙りなさいッ!!あ、あなたに・・・あなたに何がわかるというのですか!!」






涙を浮かべて再度怒鳴り上げるtomimari・・・。




たかぶる心を抑えきれずにやすのぶに向かって感情をぶつける。








しかしやすのぶもtomimariに向かって言い返した・・・。
















やすのぶ「少なくともッ!!ヤスノブくんが生きていたら、ヤスノブくんは僕と同じ事を言うでしょうッ!!!」




ゑゐ「!!!」




やすのぶの言葉に涙を浮かべるゑゐはゆっくりと顔を下へ向けていく・・・。




tomimari「そ、それでも・・・・・ウッ!!!???」






突如、毎日おこる発作とも言うべき「吐き気」に見舞われるtomimari・・・。




青ざめた顔で黒いドレスの裾を踏みしめ、半膝をつく!!








モカ「奥様ッ!!お気を確かにッ!!大丈夫ですか!!?」


よだれ丸「ヾ(;´Д`)つ」


tomimariの状態によだれ丸も慌てふためく。


ゑゐ「だ、大丈夫ですか??ヤスノブくんのママさんッ!!!」






tomimari「うぅぅ・・・ヤ、ヤスノブの仇が解っているのに、体が言う事を聞いてくれないなんて・・・・う・・うぅぅ・・・」








やるせなく、顔を両手で覆い・・・泣き崩れていく・・・。


その涙はあまりにも心を締め付ける・・・悲しくなる涙。






やすのぶは屈み込むtomimariの体を起こして、ソファーへと連れていく・・・。




モカはtomimariの体調を案じて「飲み物」を台所へと取りに行った。








モカ「お、奥様・・・お水でいいですか?」


tomimari「え、えぇ・・・ありがとう・・・。」


トレイで運んできた氷水をtomimariに手渡すモカ・・・。




tomimariはそれを受け取ると僅かだが口に含む・・・。




衰えない吐き気を堪えつつも、冷静にモカへと指示を出す・・・。




tomimari「モカ!!セルティックに「ささ」を入れて頂戴!情報をクラージュに伝えるのよ!!」


やすのぶ「そうだっ!!クラージュさんにも知らせないと!!」


モカ「は、はいッ!!そうですねッ!!」




モカは「ささ」を取り出すとセルティックに連絡を入れる・・・。










・・・・・・・・・・・・










トルルルゥーー・・・・トルルルゥーー・・・・






セルティック「はい・・・セルテ・・クです。」




モカ「あっ!!セルティック様ッ!?モカですッ!!!」




セルティック「えっ・・・?誰・・か・・・?もう・度・・・・ます。」










都合良く「ささ」に出てくれたセルティック・・・。










しかし、セルティックの背後から大きな「ユニコーンの蹄の音」が鳴り響き、こちらに声が届かない・・・。




オマケにどうやら電波状態が悪く、こちらの声も聞き取れない様だ・・・。




途切れ途切れの会話が続いていく・・・。






モカ「セルティック様ッ!!ヤスノブ様を殺した犯人が分かったんですッ!!!」




セルティック「えっ?・・・・って?よく聞き・・・んで・・・ど?」






モカ「GEIZUなのッ!!GEIZUッ!!」






セルティック「えっ?・ゲ・・・って??」








モカ「だからッ!!GEIZUが・・・GEIZUが犯人で・・・」








セルティック「ゲイ・・の・・ゲェイ・・?えっ・・・何を・・・・言って・・・?」






モカ「ウガーーーーーッ!!!ゲイじゃないッ!!!GEIZUがッッ!!GEIZUが犯人なのよッ!!GEIZUがッ!!!!」












セルティック「・・・・・・?芸の?・・・ゲイの半分が・・・・・・エイズッ・・・?」








プッ・・・・ツーーーー・・・ツーーーー・・・ツーーーー・・・ツーーーー










モカ「・・・・・・・・・・」






「でたらめなHIV感染情報」しか伝えられないまま・・・電波の届かない所に言ってしまったセルティック達・・・




嫌な空気がクラージュ邸宅に充満していく・・・。






やすのぶ「な、何か変な事しか伝わってない様な・・・?」




tomimari「ちょっと・・・イタダケナイわね・・・。」


よだれ丸「(;´Д`)」


フェイト「(゚Д゚=;)」




ゑゐ「ゲ、ゲイってなんですか・・・?」




槍を持ってオロオロする幼気いけな少年に「教えてはいけない言葉」だけが伝わってしまった・・・。


(ゑゐくん・・・君はそんな言葉は知らなくっていいです・・・・゚・(つД`)シ・゚・。)








モカ「しくしくしくしく・・・」




やるせなく泣き出してしまうモカ・・・。












やすのぶは地面に手をついて泣いているモカを尻目に・・・tomimariに向かって言った。




やすのぶ「tomimariさん・・・僕に「GEIZUの捕獲」を依頼してくれませんか?」






tomimari「えっ?」






やすのぶ「僕も友達を傷つけられて悔しい思いをしている・・・。tomimariさんの悲しみには敵わないかも知れませんけど・・・。」






tomimari「や、やすのぶくん・・・。」




tomimariの脳裏に「やすのぶの友、たけやす」の話を思い返す。


やすのぶが、手の平を「血」で滲む程・・・握りしめていた事を思い返す・・・。




スッと目を閉じて息を整えるtomimari・・・。




まだ治まりきらない「吐き気」を封じ込め、やすのぶに悲哀の表情を見せ、こう言った・・・。






tomimari「わかったわ・・・やすのぶくん・・・。GEIZUの一件、依頼してもいいかしら・・・?」




よだれ丸「・゚・(つД`)・゚・。」




やすのぶ「勿論ですッ!tomimariさんッ!!その依頼、引き受けさせて貰います!!」




やすのぶは真剣な目でtomimariを見つめる。




tomimariからの依頼・・・それは「少年ヤスノブとたけやすの仇」の捕獲・・・。




何の不安を感じないと言えば嘘になるであろう・・・。




やすのぶ「安心して、お屋敷で待っていて下さいね?tomimariさん!!」




tomimari「えぇ、お願いね・・・やすのぶくん・・・。


でも、まずはクラージュに報告をお願いしたいわ・・・。その後にGEIZUの捕獲をして頂戴・・・。」








やすのぶ「ク、クラージュさんにですか??」








tomimari「えぇ、イデアの辺境、漆黒の森の「花屋」に向かっているから合流して・・・」








やすのぶ一人では流石に心配のtomimariはクラージュ、セルティックの同行をやすのぶに提示する。








やすのぶ「はいッ!解りました!!!モカさんッ!!tomimariさんの容態、お願いしますね?」




モカ「わ、わかったわ!!やすのぶくんも気をつけるのよ!?」


依頼を成立させてやすのぶはフェイトの方を向く・・・。






フェイト「Σ!! σ(=゚▽゚)??」




やすのぶに何かを期待して貰えているのか?と思って目を輝かせるフェイト・・・。










すると・・・














やすのぶはフェイトに噛まれない様に両手で胴を持ち、うさぎ小屋へと向かっていく。






フェイト「 (=゚▽゚)???」




何をしようとしているか解らないフェイトは大人しくやすのぶに抱かれている・・・。












しかし、やすのぶの口から出てきた言葉はフェイトを落ち込ませる一言であった・・・。














やすのぶ「ごめんな?フェイトちゃん・・・。危険だから小屋の中で待っててね?」






フェイト「ΣΣ(=TДT)!!!」






フェイト「(檻→)VVVV□VVVV ジタバタジタバタ ヾ(TДT=)ノシ」






ガシャーーーン・・・・・




檻を閉じる音が無情に鳴り響く・・・。




やすのぶはフェイトを小屋に閉じこめた後、ロビーを後にした・・・。














・・・・・・・・・・・・・・・・・






・・・・・・・・・





屋敷の門の前・・・




やすのぶとよだれ丸が士気を上げる!


やすのぶ「よしッ!!漆黒の花屋に向かうぞ!よだれ丸ッ!!」



よだれ丸「(´▽`)シ」

元気に手を振るよだれ丸・・・。



そして・・・



ゑゐ「はいッ!!僕も頑張るのですッ!!やすのぶさんッ!!!」



やすのぶ「・・・・・・・・」



走り出そうとするのを止めて、フッとゑゐの方を振り返り・・・向かい合うやすのぶ・・・。

目を大きくしてゑゐに汗を垂らしつつも言った。


やすのぶ「ゑ、ゑゐくん?今回のミッションは命がけなんだ・・・。ゑゐくんはお屋敷に居ててくれないと・・・」

よだれ丸「(´Д`;)(。。;)(´Д`;)(。。;)」

ゑゐ「だ、大丈夫ですッ!!」


困った表情のやすのぶを尻目に槍をクルクルっと振り回して笑顔でやすのぶに言い放つ。


ゑゐ「ヤスノブくんの仇を取りたいのは僕も同じなのです!!捕まえて「警察」に連れて行くのです!!」


やすのぶはゑゐの発言を耳にして目を瞑り、眉をしかめる。

ゑゐと向かい合うため、しゃがみ込み・・・キッとゑゐを睨みつける。




やすのぶ「俺は・・・君は連れて行けない・・・。ゑゐくんは自分の事を「子供」だって自覚するんだ!!」


ゑゐ「嫌ですッ!!子供だからなんて言わないで欲しいです!!ヤスノブくんの・・・ヤスノブくんの為に僕は・・・僕は・・・」

両目からポロポロと涙を零してやすのぶに食って掛かるゑゐ・・・。

そのゑゐの表情を無言で見つめる・・・。


やすのぶ「・・・・・・」


ゑゐ「僕も・・・僕も連れて行ってですッ!!!」

よだれ丸「(;´Д`)」



やすのぶ「(こ・・・これは・・・)」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



虚ろに・・・・





思い出す・・・・






忘れてしまいたい・・・・






あの日・・・・







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



やすのぶ「兄ちゃんッ!!嫌やッ!!俺も一緒にいく!!!」



ふっきい「ダメだ!!お前はまだ子供だろッ!!」



やすのぶの家、ドアの前・・・。


ドルイ戦争が始まって2日目の事・・・。


ドルロレの兵士がイデアの領地、漆黒の森へと進行してきたのを始まりとして、戦争が拡大していた。


元々「新興国」のイデアは兵士の数に悩まされ、劣勢を強いられていたが・・・


あらゆる「村々」で戦いが起こり、死者は「時間を追う毎」に増えていく・・・。


果ては「イデア、第3皇女アカリア姫」を敵にさらわれてしまうと言った「醜態」を晒している・・・。


それ以外にも「敗北したイデアの村」からは「女、子供」が「ドルロレ兵」に連れ去られ、捕虜となっているらしい・・・。


そして、なんとふっきいの話ではやすのぶの友達?の「あかり」までも、さらわれてしまったという。


やる気十分のやすのぶは「木刀」と「鍋の蓋」を持ち、「現状の最強装備」で身を固めている・・・。


兄、ふっきいがドルロレへと「一人」で赴くという事実を知り、やすのぶはふっきいに着いて行こうとしていた・・・。



ふっきい「やすのぶ・・・さっきも言った通り「あかり」が「ドルロレの兵士」に連れ去られたんだ・・・。お前は避難所で待っていてくれ。」


やすのぶ「そんなん嫌やッ!!兄ちゃん一人で行かせるなんて・・・嫌やもんッ!!
それに、おれも「あかりお姉ちゃん」を救うもんッ!!」


右手の木刀をギュッと握り締めて涙を零すやすのぶだが・・・ふっきいの眼差しは常に厳しい・・・。

子供ながらに「戦う」事を選んだやすのぶだが・・・ふっきいはやすのぶの身を案じている・・・。


ふっきい「・・・・・・」


ふっきいは「あかり」を心配するやすのぶの心中に笑顔を浮かべてやすのぶに優しく言った。


ふっきい「心配するな!あかりは俺が必ず連れ戻すから・・・。あかりは俺の古くからの友達・・・「旧友」だからな・・・。」


やすのぶの頭をクシャクシャと撫でるふっきい・・・。

外は初日に進行してきた「ドルロレ兵」に恐れる多くの一般国民が「我先に」と城へ「避難」しようとしている・・・。


騒がしい街の外・・・その雰囲気は騒然としている・・・。

やすのぶは俯いて涙を拭い、ふっきいに言った・・・。


やすのぶ「どうしても俺を連れて行ってくれへんねんやったら・・・せめて・・・」



ふっきい「!!!」



やすのぶが「続きの言葉」に何を言おうとしたか一瞬で理解する。



ふっきいはやすのぶに大きな声で怒鳴りあげた!!!




ふっきい「馬鹿野郎ッ!!「あいつ」の事は口にするなッ!!!」


ビクッとしてふっきいを見上げるやすのぶの目に・・・再度、涙が浮かんでくる・・・。






やすのぶの「心から頼れる正義の味方」・・・。



その名前すら口に出す事を許さないふっきい・・・。






・・・・「あいつ」・・・・・・・。





それは勿論・・・・





「青いマントの男」・・・・・。





・・・・・・



ふっきい「やすのぶッ!あいつは「ドルロレの騎士」なんだぞッ!?まだアイツを信用しているのか!!?」




やすのぶ「う・・うぅ・・・うえぇぇーーーーーッ!!!」




戦争に陥り、「青いマントの男」はイデアに姿を見せていない・・・。


日々、人々の平和を願い・・・自らの剣技を磨き続けた「正義の味方」・・・。


その姿はもう・・・イデアの何処にも見当たる事は無かった・・・。


やすのぶはふっきいの怒鳴り声に反論するように大声を上げる。


やすのぶ「そやけど!おれが兄ちゃんに怒られた次の日ッ!!
イデアの強い人達に「自分の剣技」を全部教えてくれたんやろ!?悪者な訳無いやんッ!!」


精一杯、「青いマントの男」を擁護するやすのぶ・・・。


しかし、ふっきいは目を瞑ってやすのぶに背を向ける・・・。


腰に手を当て、大きく溜息を付き・・・ドアノブにもう片方の手を掛ける。


ふっきい「やすのぶ・・・それこそ、油断させる為の「エサ」だったんだよ・・・。あの男の事は・・・もう忘れろ・・・。」



やすのぶ「嫌やッ!!兄ちゃんッ!!行かんといてッ!!!兄ちゃーーーんッ!!!!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








・・・・・・・・・・・・・・・








・・・・・・・・・・





ゑゐ「ひっく・・・ふっく・・・えぐ・・・・」



やすのぶ「・・・・・・・」


両目から溢れ出る涙を服の袖で拭うゑゐ・・・。





そのゑゐの姿に、10年前の「自分」を重ねる・・・。





何度、嘆いても・・・後悔しても・・・戻れない10年前のあの日・・・。





心に傷を負い、何度も涙を流した10年間・・・。





もしも・・・








あの時、自分が兄に着いて行っていれば・・・






何も変わらない可能性は非常に高いが・・・






もしかしたら・・・・






兄、ふっきいは「家に帰って来れた」かもしれない・・・。




・・・・・・・・・






・・・・・・






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


やすのぶ「やれやれ・・・。」


よだれ丸「(;´Д`)」


涙を拭い、やすのぶの服を離そうとしないゑゐ・・・。

その姿はあまりにも「昔のやすのぶ」にダブってしまう・・・。


やすのぶはゑゐの肩に手を置いて、笑顔で言い放った。


やすのぶ「まさか「一晩に二つ」の依頼を受けるとは思わなかった・・・。」



ゑゐ「えっ・・・?」


やすのぶの真意を理解できないゑゐはやすのぶに向かって疑問の表情を見せる・・・。


しかし、すぐにゑゐは期待を込めて、やすのぶに問いかけた。


ゑゐ「つ、連れて行ってくれるですか!?」


充血した大きな目を開けてやすのぶにしがみ付く・・・。


やすのぶ「あぁ、連れて行くよ・・・。それがゑゐくんからの「依頼」だもんね・・・。」



ゑゐを連れて行く事は「デメリット」以外、何も無い。


10歳にも満たない小さな子供は街から少し離れた草原に出てくる「アッピー」ですら強敵なのだ・・・。


目的地の「漆黒の森」は「並々ならぬ強い魔物」が存在し、やすのぶでも「命の保証」は無い・・・。


しかし、やすのぶは「その魔物」からも「ゑゐ」を守り抜き、GEIZUを捕獲しようと考えている・・・。





やすのぶ「・・・・・・(これでいいんですよね?)」



心の中で「青いマントの男」に問いかけるヤスノV・・・。









『あぁ!!!そうだ!!!!やすのぶッ!!!!ヒーローはどんな時でも!!笑って依頼を受けるもんだッ!!!!!』






やすのぶ「・・・・・・・・」







やすのぶは「青いマントの男」の声が聞こえた様な気がしてフッと苦笑う・・・・。








無謀とも言えるやすのぶの考えだが・・・やすのぶは「命を懸ける覚悟」をして満面の笑顔で「ゑゐ」に言い放った。



やすのぶ「ゑゐくんッ!君のその依頼・・・引き受けさせてもらうよ!」

よだれ丸「(´▽`)b」

ゑゐ「や、やすのぶさんっ!!ありがとうですッ!!!」


抱きつき、しがみ付いてくるゑゐを腕で抱き、頭を撫でる・・・。


やすのぶは腕に付けている「ブレスレット」を光らせると・・・その姿を戦士へと変えた・・・。



パァァーーーーー・・・・



よだれ丸「(*´▽`)シ」



ゑゐ「うわっ!!す、すごいですッ!!」


蒼いヨロイに・・・




蒼いブーツ・・・。




胸元には「精霊の指輪」で作られた蒼いブローチ・・・。




腰に携えたその剣は・・・戦士の魂の込められた「あおざる製」のブレード・・・。(蒼繋がり??(´▽`;)








変身を終えたヤスノVは羽織った蒼いマントを翻して・・・





ゑゐを抱き上げて大きな声を上げた!!!






ヤスノV「行くぞッ!ゑゐくんッ!!漆黒の森に行ってクラージュさんと合流だーーーーッ!!!!」



ゑゐ「は、はいですーーーーーッ!!!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





tomimari「お願い・・・無事に戻ってきて・・・。」


モカ「神の・・・ヤスノブ様のご加護・・・あらんことを・・・。」


ヤスノブのSSの前で祈りを捧げるtomimariとモカ・・・。



二人はこれから「しなければいけない事」を控えて、神経を研ぎ澄ませていた。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



1時間後、草原の斜陽を北に抜けたところ・・・。



ゑゐを抱き上げながら走り続けるヤスノVだったが流石に疲れが見え始めている。


「大きなかばん」から「天使の水」を取り出して水分を補給していた・・・。


ゑゐ「だ、大丈夫ですか?やすのぶさん・・・?」



ヤスノV「はっはっは・・・ゑゐくん?青いマントを着けている時の俺は「ヤスノV」って呼んでくれよ?」


笑顔でゑゐに話しかけるヤスノVだが額からは汗が流れて止まりはしない・・・。


よだれ丸は近くに水の匂いを感じて「水」を汲みに行ったようだ。


ヤスノV「よだれ丸のマップだと・・・クラージュさんの居場所は、もうちょっと「北」の方だが・・・?」


マップに着いている「緑色の水」を見つめるヤスノV。

どうやら緑色の水を示すここが「漆黒の花屋」のようだ・・・。

距離を目算すると、あと1時間も掛からない・・・。


ゑゐ「早く合流して、クラージュさんにお話したいです!!」


真剣な表情のゑゐがヤスノVに話しかける・・・。



その時!!!



よだれ丸「ヾ(;´Д`)シ」



よだれ丸が「水」ではなく!!大変なものを見つけて帰ってきた!!


ヤスノV「おーーっ!!よだれ丸・・・帰ってきたか・・・・って・・・!?おっ、おいッ!!それっ!!!」



ゑゐ「???フェ、フェイミンですッ!!でもでもッ!!ボロボロになってるですッ!!」


気を失い、あまりに傷だらけで無残な姿のフェイミン・・・。


しかし、そのフェイミンをヤスノVは知っている。

大きな声で名前を叫んで無事を確認する!!


ヤスノV「リンゼッ!!大丈夫か!?リンゼッ!!!」


ゑゐ「し、知ってるですか!?このフェイミンッ!!」



ヤスノV「あぁ!うちの会社の同僚が飼ってるフェイミン・・・リンゼだッ!!」



百絵の仲間、リンゼを抱き上げるヤスノV・・・。

抱き上げられ、気を取り戻したリンゼは・・・息も絶え絶えによだれ丸に話しかける・・・。


リンゼ「(よ、よだれ丸かい・・・?た・・・助けてくれ・・・)」
※()内は動物の言葉です


よだれ丸「(;´Д`)??」

動物の言葉すら「じゃべれない」よだれ丸だが、動物の言葉は理解できる。

リンゼの「助けてくれ」という言葉に首を傾げる。








リンゼ「(も、百絵ちゃんが・・・・百絵ちゃんが・・・・緑色の悪うさぎに捕まっちゃったんだ!!!)」



よだれ丸「Σ(;゚Д゚)!!」



あまりに唐突な発言に驚きの表情を見せるよだれ丸!!


リンゼ「(あいつ等、捕まえた百絵ちゃんを・・・怪うさぎにするって言っていたけど・・・このままじゃ、百絵ちゃんが・・・)」
(※怪うさぎ:怪人級の野うさぎです(´▽`;)シ)


ヤスノV「おいッ!?なんて言ってるんだ?よだれ丸ッ!!」


ゑゐ「お、教えて欲しいですッ!!!」


よだれ丸「!!!! ヾ(゚Д゚;)シ」


手をバタバタ振って「ジェスチャー」でヤスノV達に内容を伝えようとする・・・。




よだれ丸はうさぎ跳びをしてみたり、




ヤスノV「ふむふむ・・・」





弓をひくマネをしたり、





ゑゐ「うんうんです・・・。」





お茶を運ぶマネをしてみたり・・・。




ヤスノV「・・・ほうほう・・・・・・・」




捕らえられて改造される真似をしてみたりした!!





ジェスチャーを終えた1分後、ヤスノVがよだれ丸に言い放つ!!








ヤスノV「わからねぇよッ!!まじめにやってるのか!?よだれ丸ッ!!!」


ゑゐ「ふざけているですッ!!!」



よだれ丸「Σ(つ゚Д゚;)つ」


激しくショックを受けるよだれ丸・・・。



リンゼ「(う・・ううぅぅ・・・)」


リンゼは溜まらずに涙を流す・・・。



しかし、一生懸命コミュニケーションをとっていた最中に突如、木の上に「うさぎの影」が4つ現れる!!



うさ一郎「(あーーーーっはっはっはっはっは!!!)」


うさ次郎「(おいつめたぞ!フェイミンッ!!!)」



リンゼ「(し、しまったッ!!奴ら・・・もうここまで来たのか!?)」


よだれ丸「Σ(;゚Д゚)!?」



うさ三郎「(ばかめッ!!我らに敵うと思って手を出したのが「おしまいへのはじまり」だッ!!)」


うさ四郎「(はっはっはっはっはーーーー)」


肉球の付いた両手をブンブン振りながらリンゼ達を見下ろす野うさぎ4匹・・・。



この野うさぎが百絵を捕まえたのであろうか?

確かに、凶悪そうな顔つきをしている!!




その凶悪さは・・・・保健所の人が見つけたら、即!引き取ってくれる程にっ!!






ヤスノV「な、なんだッ!!?なんで野うさぎやねんッ!!!」


ゑゐ「こ、怖いですーーーー。」


ゑゐを背後に庇いつつ、汗を垂らすヤスノV!!

脳裏に「リボンを付けた野うさぎ」を思い返す・・・。

ゑゐは訳も解らずに目の前に現れた「緑の野うさぎ」に怯える。


リンゼ「(う、うるさいッ!!よくも百絵ちゃんを・・・お前ら一体何者なんだよッ!!)」


よだれ丸「・・・?(;´Д`)ハァハァ」


何者?といった表情のよだれ丸・・・。

様子を伺おうと黙っているが・・・緑の野うさぎの「おしゃべり」は止まらない・・・。


うさ一郎「(ふんッ!!お前達に教える訳にはいかないッ!!)」





うさ次郎「(そうだッ!!我々は「謎の野うさぎ集団」ッ!!!)」





うさ三郎「(あの「アッピー帝国」すらも支配したッ!!!)」





うさ四郎「(「ネオ・ブラックムーン」様だぞーーーーーッ!!!)」





「・・・・・・・・」






リンゼ「・・・・・・・・・」



よだれ丸「・・・・・・・(;´Д`)」



うさ全員「(・・ば、ばらしちゃったーーーーーーーッ!!!!!!!!!)」






速攻!!3秒で正体をばらす「謎の野うさぎ集団?ネオ・ブラックムーン」・・・。





ヤスノV「何言ってるか・・・さっぱりわからん・・・。」


ゑゐ「はいです・・・付き合ってられないです・・・。」


シリアス展開にも拘らず出現した野うさぎに不機嫌になるヤスノV・・・。

水を飲んで落ち着いたみたいだ・・・。


ふぅと溜息を付くとゑゐを再度抱き上げる・・・。


ヤスノV「リンゼッ!遊ぶのはいいけど・・・今、クラージュさんのお屋敷が大変なんだ!!百絵さんに・・・ってそうかッ!!百絵さんに連絡して、「仲間」を派遣してもらおうッ!!!」



リンゼ「(えっ!?いや、今・・・そ、そんな状況じゃないんだけどッ!!?)」


リンゼにとっては「真剣そのもの、命のやり取り状態」であるが、ヤスノVは「ささ」をかけに野うさぎ達の側を離れていく・・・。






しかし!!!








ドガーーーーンッ!!!








?????「(馬鹿めーーーーーッ!!!!)」





ヤスノV「ぐわーーーーーーーっ!!!!」

ゑゐ「うわーーーんッ!!!」




なんと!!振り向いた矢先に吹き飛ばされるヤスノVッ!!

ゑゐもろとも地面に転がり込むッ!!



バキーーーッ!!!


ヤスノV「なっ!?さ、「ささ」が今の衝撃で壊れたッ!!」


なんと、「仲間を呼ぶ為の機械」をいきなり壊されてしまった!!


ヤスノVは怒りを露わにして攻撃してきた相手を睨みつける!!!


ヤスノV「な、何者だッ!!」



?????「(くっくっく・・・?何者か?だと?)」


不適な笑いに・・・・・口元が憎々しい「あんちきしょう」・・・。





サンバイザーに赤いマントを羽織った・・・・





あの「野うさぎ」ッ!!!




ゑゐ「あ・・・あれは・・・デ、「デビル因幡」ですーーーーーッ!!!!」



ヤスノV「ナニィーーーーッ!!?」


よだれ丸「Σ(ノ゚Д゚)ノ」



リンゼ「(くっ!!ぼ、僕も・・・アイツにやられたんだ・・・。)」


悔しそうにデビル因幡を睨むリンゼ・・・。


その「悪」に満ちたデビル因幡の表情はゑゐの言う「正義の野うさぎ」には程遠い・・・。

口からは黄色い煙を吐き出して!!R指定か!?と思わせる程、凶悪な爪を持つッ!!



うさ一郎「(やったーーっ!!お越しになったぞ!!!)」


うさ次郎「(我らが指揮官様だーーーー!!!)」



ゑゐ「ち、違うですッ!!「デビル因幡」はこんなのじゃ・・・こんなのじゃないですッ!!」


シャウト放送局の「戦え!うさぎの国のデビル因幡」に憧れていたゑゐ!!


目の前の「赤いマントの野うさぎ」の悪態に涙を浮かべていく・・・。


あまりに「理想」と掛け離れている事に愕然としたようだ・・・。



?????「(はっはっはっはっは!活きの良い人間が二人!!こいつらも「怪うさぎ」にしてくれようぞ!!!)」



ヤスノV「くそっ!!訳がわからんが・・・やるっていうなら相手になるぞ!?」


ヤスノVは腰からブレードを取り出して、「赤いマントの野うさぎ」と対峙するッ!!



しかし・・・




ヤスノVは、鋭い眼差しの奥に見える「強者」の息吹に背筋を凍らせる!!




ヤスノV「・・・(こ、こいつ・・・できる?)・・・・・・」


?????「(くっくっく)」






うさ三郎「(馬鹿めッ!お前なんかが敵うわけがないッ!!!)」



うさ四郎「(そうだ!!!「デピル因幡」様は最強なんだぞーーーッ!!!)」







うさ一郎〜三郎「(・・・・・・・・・・・・・・)」



よだれ丸「Σ(´Д`;=;´Д`)」


汗を垂らしてうさ四郎を見つめるよだれ丸・・・。



赤いマントを羽織った野うさぎ、デピル因幡も思いがけずにうさ四郎に怒鳴り上げる!!




デピル因幡「な、何っ・・・正体をバラしてるんだーーーーッ!!!!お前達はそのフェイミンの息の根でも止めてろッ!!!」



リンゼ「(デ、デピル因幡ッ??)」




うさ全員「(は、はいーーーッ!!)」


敬礼して木から飛び降りると失敗を補おうとリンゼに駆け寄っていく緑の野うさぎ達・・・。


よだれ丸「(;`Д´)つ」



悪者の野うさぎの言葉が理解できるよだれ丸・・・。


リンゼの危機を感じてそれの前に立ちはだかるッ!!





ヤスノV「だからッ!!何言ってるかわからんってのッ!!!急いでいるのにこれ以上「足止め」させられてたまるか!!」






理由も解らずに剣を抜くヤスノV・・・。




しかしその時、遠くからチョコマカと近寄ってくる野うさぎに目を奪われる!!




フェイト「εεεεε(=゚▽゚)つ」


ゑゐ「フェ、フェイトちゃんですッ!なんで来たんですかッ!???」


ヤスノV「な、何ッ!?あれ程「危険だから来るな」っていったのに・・・・」



デピル因幡を相手にしつつ、フェイトの方を見るヤスノV・・・。




なんと無力なフェイトが緑の野うさぎ達に向かって突っ込んでいく!!!


よだれ丸「Σ(ノ゚Д゚)ノ」


それを止めようとよだれ丸がフェイトに向かうが・・・・



緑の野うさぎ達はニヤリと笑ってフェイトに四方から攻撃を仕掛ける!!



うさ一郎「(はっはっは、無力なタダの野うさぎが・・・)」



うさ次郎「(我らに敵う訳があるまいッ!!!)」



うさ三郎「(死ね、バカ者めっ!!)」



うさ四郎「(仲間になる資格もないぞーーーッ!!!)」



ゑゐ「フェイトちゃんーーーっ!!」



リンゼ「(くっ!!)」



フェイトから顔を背けて目を瞑るゑゐとリンゼ・・・。



間もなく、4回の大きな打撃音が聞こえてくる!!










バク・・・ドガッ!!!




ガンッ!!!ドゴーーーーンッ!!!





よだれ丸「Σ(;゚Д゚)」



目を大きく見開いてフェイトを見つめるよだれ丸・・・。





ヤスノV「な?ま・・・まさか・・・ッ??」


ヤスノVもその状況に驚きを隠せない!!



しかし、一番驚きを隠せないのは・・・・






「デピル因幡」である!!!






フェイト「 バンッ!!!  (=゚▽゚)つ);`Д´)  」




なんと!フェイトは「緑の野うさぎ」を相手に・・・肉球の付いた手で4匹を一度に倒したのだ!!!


デピル因幡「馬鹿なッ!!その緑うさぎは「草魔人の葉」を飲ませた『特殊戦闘型、野うさぎ』だぞッ!?
「シルバーアッピー」ですら1撃で倒すというのに・・・何故、タダの野うさぎの貴様が・・・」



デピル因幡の言葉にフェイトがゆらりと振り向く・・・。




そして・・・



フェイト「  フッ・・・   」





その姿が一瞬で消える!!





ゑゐ「な?フェイトちゃんが消えたですッ!?」




よだれ丸「!?(´Д`;=;´Д`)」


フェイトを探すよだれ丸、ゑゐ、リンゼ・・・。




その時、どこからともなく・・・人間の言葉が聞こえてくる!!!









?????「悪を好む闇の住人に・・・月の光は輝かない・・・。」










ヤスノVが大きな声で木の上を指さして叫びだした!!!




ヤスノV「あ、あれはーーーーーーーッ!?」




デピル因幡「(な、何ッ!?この声・・・・あの・・・あのシルエットはッ!!!)」



満月をバックにマントを付けた野うさぎのシルエット・・・。


振り向いた顔には「サンバイザー」が付けられて・・・


その表情が見える事はない・・・。



しかし・・・この人語を解している野うさぎは・・・




正義の光に満ちている!!!



デピル因幡「(き、貴様・・・また邪魔しに来たのかッ!!!)」





リンゼ「(な、じゃ・・・邪魔・・・?それじゃ・・・まさかあの木の上にいる野うさぎこそが・・・本物の・・・?)」


傷ついた体を起こしてリンゼがシルエットを見上げる・・・。



デビル因幡「ふんっ!俺の真似をして随分好き勝手してくれたみたいじゃないか?デピル因幡・・・。」



ヤスノV「なっ??何で喋れるの!?フェイトちゃんッ!!??それに、俺が前に見たデビル因幡とは違うッ!!」







昔、ヤスノVが見た「デビル因幡」は「百絵」なのでそれは当然!!






今、目の前にいる「野うさぎ」こそ!!






本物の「伝説の野うさぎ、デビル因幡」なのだ!!!





ゑゐ「ま、まさかフェイトちゃんが「デビル因幡」だったなんて・・・!!!!」







デビル因幡「ははは・・・黙っていてすまない。」



ヤスノV「そ、それに雰囲気も変わってるし・・・」


汗を垂らしてフェイト・・・いや、デビル因幡を見上げるヤスノV・・・。



デビル因幡「俺の「人気」を下げて、行動しにくくしておいて・・・イデアを「ニンジン畑」にする計画は台無しだな?デピル因幡よ?」




デピル因幡「(貴様ッ!!人前にその姿を見せるとは・・・化け物扱いされると思わなかったのか!?これで野うさぎの国も崩壊だな?)」



デビル因幡「ふんッ!貴様が俺の姿をして街を走るだけで十分「野うさぎ一族」は化け物扱いさ・・・。その愚行の罪、裁かせて貰うぞ!!」



赤いマントをバサッと広げて木から飛び降りる!!



ヤスノVとデピル因幡の間に割り込むと・・・デビル因幡はヤスノVに言い放つ!!



デビル因幡「やすのぶくんッ!!先に進め!こいつは俺が倒すッ!!」



ヤスノV「なっ!?フェイトッ!!お前一人に任せられるか!!俺も・・・(やすのぶくんって・・・)」



「くん付け」されながらもヤスノVはヤスノブレードを強く握る。


しかし、デビル因幡はニヤっと笑って肉球の付いた親指を立てる!



デビル因幡「ははっ・・・まだ俺の事をフェイトって呼んでくれるんだな?でも、俺の主人、ヤスノブくんを殺したGEIZU・・・あんたに早く捕まえて欲しいんだ!!」



よだれ丸「(´Д`;=;´Д`)」



ゑゐ「フェ、フェイトちゃん・・・。」



デピル因幡「(バカめッ!!「痛快型野うさぎ」の貴様と「殺戮型野うさぎ」の私・・・戦闘能力の違いを見せてくれるわ!!)」


デピル因幡が笑ってデビル因幡に攻撃を仕掛ける!!


それをスルリと避けて、攻撃をそらすデビル因幡!


リンゼ「(くっ・・・僕だって・・・まだヤレルッ!!)」


よだれ丸「・゚・(つД`)・゚・。」


必死に立ち上がろうとするリンゼがよだれ丸を突き放して立ち上がる・・・。




デビル因幡のその懸命な姿に・・・・力強くゑゐがヤスノVに言い放つ。


ゑゐ「ヤスノVさん・・・行くです!!クラージュさんの所に・・・」



ヤスノV「ゑ、ゑゐくん?」



よだれ丸「・゚・(つД`)つ・゚・。」


ゑゐの言葉に驚くヤスノVだが・・・ゑゐは自信ありげにヤスノVに言い放った・・・。




ゑゐ「デビル因幡は「正義の野うさぎ」ですッ!!あんな「悪うさぎ」には負けないのです!!」




デビル因幡「そういう事だ!やすのぶくん!!早くッ!!!!!」


デピル因幡「(おのれ!!行かせるかーーーッ!!)」



デピル因幡の猛攻がデビル因幡に襲いかかる!



それを受け流して、もの凄い迫力で反撃するデビル因幡!!



ある意味、ヤスノVよりも「ヒーロー」っぽいが・・・「ヒーロー」としては確かにヤスノVの先輩にあたる!






ヤスノV「わかった!!必ず無事で戻れよ!?フェイトッ!!」




ヤスノVはゑゐを抱えて、デビル因幡とデピル因幡を残して走り出す・・・。


よだれ丸「・゚・(つД`)シ・゚・。」

よだれ丸も後ろ髪を引かれながらもデビル因幡に手を振る・・・。


ゑゐ「頑張るですッ!!!「デビル因幡」ーーーッ!!」

ゑゐは心の底から、デビル因幡を応援していた・・・。




ヤスノV「あっ!?そうだ!!」


その時、思い出した様にヤスノVはリンゼに言い残す!!!




ヤスノV「リンゼッ!!遊んでないで百絵さんに「緊急収集」掛ける様に言っておいてくれ!!!」




リンゼ「(くっ・・・だから百絵ちゃんは捕まったって言ってるのに・・・・)」



傷ついたリンゼに向かって「天使の水」を放り投げるヤスノV・・・。



ヤスノVはデビル因幡に「野うさぎの一件」を任せて、地図を頼りにクラージュの所へと向かっていった・・・。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



犯人がGEIZUと推理して、途中、巫山戯た「横槍」が入った物のクラージュの元へと急ぐヤスノV達・・・。



夜の闇に紛れて「狼の声」が聞こえる草原を直走る・・・。



一方、眠傀、washinko達もヤスノV達とは「違う角度」から推理を張り巡らせているが、


washinkoでも「未だに解けきれない謎」があるようだ・・・。


明かされない「謎」の裏側には一体何があるのか・・・?



そして、ヤスノVは無事、「真実」をクラージュに伝えてGEIZUを「捕獲」する事が出来るのであろうか?














                           後編へ続く・・・
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               やすのぶたんの修行報告書
 氏名 : やすのぶ 


 ヒーロー名 : ヤスノV  (??でいいのか・・・?)


 修行内容 : 「座禅」と「俺と一騎打ち」(精神統一したか確認の為、携帯でSSを撮りまくった!!)
       


 今回の会得スキル : パワーチェンジ(ヤスノブラッドとか笑いながら言っていた。)
            クロスソード(元々知っているかの様に、すんなり覚えてくれた)


 修行難易度レベル : 普通


やすのぶたんの評価


 剣闘場内ランク  最下位・・・でも、可愛さは1位!!!


 修行期間  7日






備考
 真剣に書くと剣技に申し分は無い。
 それに加えて「基礎体力」は十分に増強もできているだろう・・・。
 しかし、「クロスソード」を伝授したが『全く使おうとしない』のが気になる。
 やすのぶたんに・・・いや、やすのぶくんに詳細を聞くべきだろうか?


                                 師範 クラージュ




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題名:走れ!イデアツーリストのヤスノV


第6話「秘剣、クラージュ」(クラージュ & tomimari編)     〜〜〜中後編〜〜〜   


  


                   〜〜〜END〜〜〜